地球の自然環境を工学的な手法をもって維持改善しようとする学問分野を地球工学と呼ぶ。なかでも、気候への意図的かつ大規模な働きかけを行うものは気候工学とも呼ばれる。
気候工学によって温暖化が抑えられるなら、気候変動に伴う紛争の可能性も下がると期待されるが、話はそう簡単ではない。
気候工学に対しては、その地球環境への副作用やモラルハザードに関する批判が向けられている。さらに、気候工学が紛争を招くことも懸念されるのだ。
1.気候工学とは
各国政府が現在表明している温暖化ガス排出削減目標を足し合わせても、地球の平均気温の上昇を食い止められそうにない中、排出削減の代替手段(プランB)として、気候工学の活用が議論されている(Corry, 2017)。
気候工学的手法による温暖化対策は、大きく分けて二つの種類がある。
一つは太陽光を遮蔽または反射させる太陽放射管理(SRM:solar radiation management)であり、もう一つは二酸化炭素を大気中から回収する二酸化炭素除去(CDR:carbon dioxide removal)である。
(1)太陽放射管理(SRM)
太陽放射管理(SRM)技術は、地球にやってくる太陽光の数%を地球から反射させ、それによって地球の気温を下げようというものだ。
方法としては、例えば宇宙空間に反射板を設置したり、成層圏にエアロゾル(微小粒子)を散布したり、海洋上で海水を高く噴き上げて雲を明るくしたりといった方法が提案されている。
こうした太陽放射管理(SRM)技術は、温室効果ガス排出削減のために必要な膨大な投資額に比べれば、比較的安価な温暖化対策である。成層圏エアロゾル注入法のコストは、年間22.5億ドルから180億ドル(1ドル130円の為替レートなら2950億円から2兆3400億円)ほどと見積もられている(Smith & Wagner, 2018; Smith, 2020)。
現在、グリーンテクノロジーに年間約5000億ドル(同65兆円)が投資されていることを考えると、成層圏エアロゾル注入法はその数十分の1から数百分の1の費用で、より直接的に温暖化を回避することが可能と期待されているのだ。
(2)二酸化炭素除去(CDR)
一方、二酸化炭素除去(CDR)は、主要な温室効果ガスである二酸化炭素を大気から回収し、それを数千年の時間軸で地下や海底に貯蔵したり、光合成によって固定化したりする技術の総称である。大気から装置で二酸化炭素を直接回収する方法や人工光合成による方法など、様々な案が研究されている。
ただし、大気中から二酸化炭素を分離するのは大きなエネルギーが必要なため、その費用は決して安くない。二酸化炭素1トンあたり600ドルという試算もあれば、94ドルから232ドルの間という試算もある(Service, 2018)。
世界で排出される二酸化炭素の量は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の2018年時点で、年間約335億トンであった。仮にこれを全量大気中から除去しようとすると、その年間費用は3兆1490億ドル(同、約409兆円)から20兆1000億ドル(同、約2613兆円)かかる計算になる。太陽放射管理(SRM)技術の費用や現状のグリーンテクノロジー投資と比べて、はるかに大きな費用だ。
2.気候工学が招く国家間対立
気候工学を巡っては、環境への悪影響やモラルハザードに対する懸念に加え、その実践の賛否、意図的な悪用、副作用、管理体制などのために、国家間対立が起きる可能性も懸念されている。
気候工学の研究や実践は、国際政治的な側面も持つのだ。
(1)利害対立
全地球規模で気候工学が実践された場合、影響を受けない国はないだろう。それによって利益を得る国もあれば、不利益を被る国もありうる。すなわち気候工学は、勝者と敗者を生み出すものなのだ。
気候学者のウィリアム・ケロッグ(William Kellogg)とスティーブン・シュナイダー(Stephen Schneider)は、気候変動への対応として気候工学の活用を提起した極めて初期(1974年)の学術論文において、その実践が国家間の緊張を高める可能性を既に指摘していた(Kellogg & Schneider, 1974)。
その後も、同様の懸念はたびたび提起され、中には軍事衝突の可能性さえ示唆するものもある(Barrett 2008, 41; Schellnhuber 2011; Maas and Comardicea 2013, 43)。
化石燃料に深く依存した経済からの脱却に困難を感じている国の中には、気候工学の研究開発や実践を積極的に支持する国もあろう。今のところ気候工学の研究に最も積極的なのは米国である。
米国海洋大気庁は、2019年12月に議会から400万ドルの予算を得て、気候工学の研究を始めている(Fialka, 2020)。米国ではハーバード大学教授デイヴィッド・キース(David Keith)の研究チームSCoPExも太陽放射管理(SRM)の研究を積極的に行っており、これをビルゲイツ財団が資金援助していることは良く知られた話だ。
気候変動の影響に対して極めて脆弱な途上国、島嶼国、小国の中にも、藁をもつかむ思いで気候工学に期待する国があるだろう。
そもそも気候工学的な手法は、国際的コンセンサスを待たずに一方的に実践することも技術的には可能である。
そのため、国際場裏での影響力が大きくない途上国や小国であればこそ、らちのあかない排出削減交渉に時間を費やすよりも、思いを同じくする国だけで集まって気候工学に活路を見出すことも考えられる。
実際、2019年の国連環境会議では、スイス、ブルキナファソ、ミクロネシア連邦、ジョージア、リヒテンシュタイン、マリ、メキシコ、ニジェール、セネガルなど、気候変動の影響を強く受ける小国や途上国が気候工学の研究促進を提案している(SGRP, 2019)。
一方、脱炭素化へ既に大きな投資を行い、そのための技術などに優位性を持つ国々には、この動きを停滞ないし逆行させかねない気候工学に対して、慎重な態度をとるインセンティブが生じるだろう。実際、脱炭素化をリードするEUは、域内の立場の違いもあり、前出の国連環境会議で気候工学決議に対してあいまいな立場をとったという(ibid)。
逆に、気候工学技術をいち早く確立した国は、その技術的優位を失ったり、国際的な管理の下で手足を縛られたりすることを嫌うだろう(Nightingale and Cairns, 2014)。
この点、国連環境会議での気候工学決議提案に最も強く反対し、その不採択に持ち込んだのが、気候工学研究が盛んな米国であったという事実は興味深い(Chemnick, 2019)。
また、ロシアのような寒冷な国の中には、自国がある程度温暖化することを歓迎する国があるかもしれない。識者の中には、近隣諸国が成層圏にエアロゾルを散布するためロケットを発射したら、ロシアは撃墜するのではないかと考える者もある(Schellnhuber, 2011)。
ただし実際には、ロシアは2010年の生物多様性条約第10回締約国会議で気候工学の原則禁止を求める決議に反対の立場をとった(SGRP, 2019)。
以上のとおり気候工学は、従来の気候変動対策と同様、その推進によって利益を得る国もあれば、不利益を被る国もある。そうした利害の違いこそ、気候工学が国家間に対立を招きかねない主たる原因の一つなのだ。
(2)意図的な悪用
一部の識者は、地域や時期を絞った気候工学的手法が、軍事外交目的など利己的な都合のために意図的に悪用されるのではないかと懸念している(e.g. Lin, 2015)。
もちろん気候工学的な手法による気候への介入は、制御が困難であり、紛争当事国以外の第三国をも巻き込む可能性がある。このため、気候工学を外交政策の手段や軍事目的の武器として意図的に悪用するのは難しいと見る向きもある(Maas & Scheffran, 2012; Briggs, 2010)。
しかし、気候工学の悪用に対する懸念は、まったく根も葉もないものではない。
実際、軍事目的のために気候が操作された例が過去にあるからだ。ベトナム戦争中に米軍は、カンボジア領内を通り南ベトナムに至る陸上兵站補給路(いわゆるホーチミン・ルート)の交通を妨げたり、敵の対空ミサイルの発射を困難にしたりするために、インドシナ半島で人工降雨作戦を繰り返した。
この人工降雨作戦は、1963年8月にベトナム中部フエで行われたのを皮切りに、CIAや空軍が主体となって、1960年代半ばにかけて繰り返されたという(Hersh, 1972)。
ベトナム戦争終了後、米国とソ連は人工降雨のような環境改変技術を軍事利用しないことを互いに合意し、両国の主導で1976年に『環境改変技術敵対的使用禁止条約』が国連で採択された。
この条約では、環境改変技術を「自然の作用を意図的に操作することにより地球(生物相、岩石圏、水圏及び気圏を含む。)又は宇宙空間の構造、組成又は運動に変更を加える技術」と広く定義し、その軍事的使用その他の敵対的使用を禁止している。同条約の締約国は、2022年現在、米国、中国、ロシア、インド、日本を含む78か国に上る。(UN, 1978)
ただし、条約で禁止されているからと言って、気候工学的手法が軍事目的で使用されないとは言い切れない。
『環境改変技術敵対的使用禁止条約』は、その違反に対して、国連安全保障理事会への苦情申し立てとそれを受けた同理事会による調査を定めるのみである。決して強制力が強いわけではない。
そもそも大国による国際法軽視は、国際政治の常である。気候工学を実際に実践できるのは、ロケットを多数飛ばしたり二酸化炭素を大量に回収貯蔵したりという技術的な能力と、その実践に伴う国際的な批判や制裁に耐えられる立場を兼ね備えた大国である。その数は、米国、中国、欧州の一部、ロシアなど、決して多くはない(Ernst & Parson, 2013; Keohane, 2015)。
したがって、そうした条件を備えた一部の国が気候工学の支配権を握ることになると主張する者もいる(Nightingale & Cairns, 2014)。
(3)予期せぬ不利益を巡る対立
気候工学は、予期せぬ結果を招く場合もある。気候工学の影響を完全に制御するのは難しい。予期せぬ結果として、一部の国や地域に想定外の温暖化、寒冷化、異常気象、自然災害、その他の環境問題が生じる可能性もある。
こうした予期せぬ結果によって、国家間の対立が生じることもあろう。
さらに言えば、気候工学が軍事紛争の真の理由とはならなくても、敵対する国家間で紛争のきっかけとなることはある(Maas & Scheffran, 2012)。
あるA国によって気候工学的手法が実践された後、別の国Bで異常気象や自然災害が起きたとしよう。その場合、B国を襲った異常気象や自然災害とA国の気候工学との関連を疑う声が上がったり、B国の世論や政府がA国を非難したりする可能性は十分ある。
場合によっては、A国に対してB国が賠償を求めたり報復措置を採ったりといった事態にエスカレートすることも考えられる(Nightingale and Cairns, 2014)。
この場合、気候工学的手法の実践と異常気候や自然災害などとの因果関係が科学的に証明されなくても、対立は起きうる。
科学者や被害国の指導者が本当に気候工学との因果関係を信じているかどうかに関わらず、異常気候や自然災害の被害を受けたB国の世論や政府は、気候工学を実践したA国を非難する口実を得ることになるからだ(Scheffran, 2013)。
(4)ガバナンスを巡る対立
英国王立協会が2009年にまとめた報告書は、「気候工学を展開するにあたって最大の課題は、科学技術的な問題よりも、むしろそのガバナンスに関する社会、倫理、法律、政治の問題であろう」と述べている(Shepherd, 2009)。
気候工学の外部性
気候工学的な手法による温暖化対策は、ある一つの国あるいは大学やNGOの行為ですら世界全体の気候に影響を及ぼすかもしれないという点で、経済学でいう「外部性」が大きい。
気候工学が及ぼす影響が好ましくないもの(負の外部性)の場合、前述したような予期せぬ不利益を巡る対立が生じうる。
他方、気候工学によって温暖化防止という好ましい影響(正の外部性)が世界で広く共有されるなら、それは一種の国際公共財となる。
どこかの国や民間主体が効果的な対策を実践しさえすれば、地球上のみながその恩恵を受けること(非競合性)ができ、気候変動対策に協力的でないからといって地球から追い出されるということもない(非排他性)からだ。
そのため気候工学には、誰がそれを実践する費用を負担し、また、誰が実践を巡る権限を持つべきかという政治的問題が付きまとう。
そして、こうした気候工学の実践と管理を巡っては、各国の間に利害や思惑の衝突が生じうる。
費用分担
ノーベル経済学賞受賞者のトーマス・シェリングはかつて、「気候工学によって温暖化対策は複雑な国際管理体制の問題から単純な費用負担の問題へと変わるかもしれない」と述べた(Schelling, 1996)。
気候工学による温暖化対策が典型的な国際公共財であるならば、そのガバナンス問題は、どう費用を分担し、どうフリーライダー(ただ乗り)を排除するかという、割とありふれた問題になるからである。
気候工学のガバナンスが費用分担の問題だとなれば、これを巡る先進国と途上国との間の対立が熱を帯びかねない。
前述のとおり、気候工学を実際に実践できるのは米国、中国、欧州の一部、ロシアなど一部の大国に限られるだろう。そうした国々は温室効果ガスの主たる排出国にも名を連ねる。
そのため、温室効果ガスの排出にも気候工学の技術にもほとんど関わりのない多くの途上国は、先進国や大国こそ、温室効果ガス排出の責任をとって自らの費用負担で気候工学的手法を実践すべきと主張するだろう。
地球のサーモスタッド
ただし気候工学のガバナンス問題は、残念ながら単なる費用分担の問題にはおさまらない。
地球全体に影響が出る施策の実践に、いったい誰が正当な権限を持つのかという問題もはらむからである。
言い換えれば、誰が地球のサーモスタッド(温度調整装置)のスイッチを握るのかということになる(Keith & Dowlatabadi,1992)。
特に成層圏エアロゾル注入法については、その終端ショックに注意が必要だと指摘されている。この手法で温暖化を食い止めるには継続的にエアロゾルを成層圏に注入し続ける必要がある。それを突然やめれば、温暖化が突然顕在化して地球の平均表面温度が急激に上昇しかねない(Baum et al., 2013)。
つまり気候工学は、適切に実施管理されなければ、地球全体に大きな影響が出るのだ。
ルールとガバナンスのあり方
したがって、いざ気候工学を実践するというときが来たら、国際的なルールとガバナンスの確立が必要になろう。
しかし、気候工学を巡って各国には様々な利害や思惑の違いがあることから、気候工学の実践を巡るガバナンスの交渉も対立が避けられそうにない。
ある者は、気候工学のガバナンスは国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)締約国会議のような幅広い参加者が集まる既存の多国間枠組みを通じて行われるべきだと主張する(Zürn & Schäfer, 2013)。
一方で、気候工学のガバナンスに特化した新たな枠組みの立ち上げを提案する者もいる(Lloyd & Oppenheimer, 2014)。
こうした多国間枠組みでの民主的なガバナンスを主張する向きがある一方、少数の国家グループが気候工学のガバナンスを握るべきだと主張する者も少なくない。無理して法的拘束力のある多国間枠組みを世界中の国々が参加して作ろうとすれば、各国の利害調整の結果、ルールが骨抜きになったり、気候工学の実践が過度に限定されたり、または交渉が膠着状態に陥いったりといった事態になりかねないからだ。(Benedick, 2011; Parson & Ernst, 2013; Lloyd & Oppenheimer, 2014)
特に、技術開発の初期段階においては、その有効性や副作用への懸念から国際的なコンセンサス形成が難しいと予想される。それは、気候変動対策そのものを巡る過去30年の国際交渉の歴史が物語っている。
そのため、合意できる国だけで集まって、一刻も早く温暖化を食い止める必要があるというのが、少数グループでのガバナンスを支持する向きの意見だ。
しかし、国際的なコンセンサスなしに、一部の国が一方的に気候工学の実践を強行する事態となれば、結局、実践に賛成する国とこれに反対する国の間、あるいはガバナンスのあり方を巡って意見が分かれる。そうした意見の相違のある国の間では、対立が深まるとも危惧される。(Horton & Reynolds, 2016)
つまるところ気候工学は、技術的には温暖化対策の切り札になりうるかもしれないが、政治的には国家間の対立を助長する種になりかねないのだ。
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