公益財団法人日本国際フォーラム

理事長

渡辺 繭
WATANABE Mayu

代表理事・理事長

このたび日本国際フォーラムの理事長に就任いたしました。皆様のご指導を仰ぎながら微力を尽くしてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

早いもので、私が2000年9月11日に日本国際フォーラムに着任してから20年近くが経過しました。着任してちょうど1年の2001年9月11日には米国で同時多発テロ事件が勃発しました。崩れ落ちる世界貿易センタービルの姿を目の当たりにしながら、ポスト冷戦時代の国際秩序に大きな地殻変動が生じつつあることを実感し、当フォーラムのような外交シンクタンクの役割がいよいよ大きくなることを確信しました。

その後、当フォーラムの諸活動に現場で参加してきた私は、研究体制の充実・強化をつうじて当フォーラムの活動の発展に努めるとともに、世界各国の有力シンクタンクなどとの広範な知的ネットワークの構築にも努めてまいりました。いまでは、そうしたネットワークの下、民間外交の一翼を担う醍醐味を日々感じております。

 振り返れば1987年の設立以来、当フォーラムは、時代の最先端の課題解明と世論醸成に向けて、これまでに37にのぼる政策提言を発表する他、日本内外でシンポジウムを開催し、また多数の研究プロジェクトを実施してまいりました。これらの活動成果を世に問い、国内外から高い評価を得ることができましたのは、故服部一郎、伊藤憲一、島田晴雄、橋本宏の歴代各理事長のひとかたならぬご尽力の賜物であることは言を俟たず、そうした重責を託された私は、身が引き締まる思いでおります。

現在、国際社会は、冷戦終焉に伴う米国による一極支配の世界から、多極支配を経て無極支配と呼びうる段階へと変遷し、米国の「世界の警察官」的立場からの相対的な後退、中国やロシア等の新興国の台頭とそのゲーム・チェンジャー的行動、グローバル・テロの頻発、そして欧米先進民主主義国におけるポピュリズムの高揚などに直面しています。百年に一度あるかないかのパワートランジションの影響下にある国際社会において、「日本の進路と役割について真剣な議論を重ね、積極的提言を行う」との設立以来の使命を変わらず自らに課し活動する当フォーラムの存在意義は、従来にも増して高まっているものと確信しております。

このような国際社会の大変動期にあって、私どもは、引き続き、自らの使命を真摯に受け止めるとともに、世界と日本の平和と繁栄を追求して、更に意欲的な活動を展開してまいりたいと存じます。高度情報化社会が進展する中、当フォーラムといたしましても、ホームページやSNSなどの新たな情報ツールを有効に活用し、内外世論に直接かつ広く働きかけるなど、天下の公器としての使命を一層積極的に果たしてまいりたいと考えております。どうぞ、みなさま方の倍旧のご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

2019年6月

代表理事・理事長