公益財団法人日本国際フォーラム

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2022年度第1回定例研究会合

「海洋秩序構築の多面的展開―海洋『世論』の創成と拡大―」研究会は、さる8月23日、定例研究会合をオンライン開催した。講師として招いた小島道一ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センター上席主任研究員より、「SDGsと海洋:海洋プラスチック問題」と題して報告を受けたところ、その概要は以下のとおりである。

1.日 時:2022823日(火)(第1部 19時~2030分、第22030分~21)

2.場所:日本国際フォーラム会議室の対面および ZOOM ミーティング によるオンライン

3.出席者:

[主 査] 伊藤  剛 JFIR 理事・上席研究員/明治大学教授
[メンバー] 坂元 茂樹 神戸大学名誉教授
石川 智士 東海大学教授
合田 浩之 東海大学教授
小森 雄太 笹川平和財団海洋政策研究所研究員
西谷真規子 神戸大学准教授
山田 吉彦 東海大学教授
渡邉  敦 笹川平和財団海洋政策研究所主任研究員
渡辺 紫乃 上智大学教授
[報告者] 小島 道一 ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センター上席主任研究員
JFIR 菊池 誉名 理事・主任研究員
佐藤  光 特別研究員 ほかゲストなど多数

 

4.協議概要

(1)小島道一・ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センター上席主任研究員による報告概要

SDGsで海洋プラスチック問題は直接的に言及されていないが、海ゴミ全般を含む海洋汚染については言及されている。海洋プラスチック問題に焦点が当てられたのは、SDGsが採択された後の201516年頃と比較的最近のことである。国際資源循環に関しても、SDGsでは触れられていない。国際資源循環への関心が高まったのは、中国が再生資源の輸入制限強化をWTOに通知した20177月以降である。

海洋へ投棄されるプラスチックの環境影響については、1970年代から懸念されており、ロンドン条約やMALPOL条約で、廃プラスチックの海洋投棄を禁止することが定められている。しかし、数ある海ゴミの一つとしてプラスチックが取り上げられているだけであり、必ずしもプラスチックのみに焦点が当てられていたわけではない。2011年の地球環境ファシリティ(GEF)の科学技術アドバイザリー・パネル(STAP)や、2012年の生物多様性条約のDecision XI/182014年以降の国連環境総会(UNEA)などで海洋プラスチック問題に焦点が当てられ、徐々に議論されてきた。

プラスチック問題に取り組む理由として、まず生態系に影響を与えている証拠が数多く出てきた。海洋プラスチックは、従来の生態系保護のアプローチである、自然保護区を設置し、人間の活動を制限するといった対策が有効でない問題である。海のみではなく、雨や雪などからもプラスチックが見つかっているが、人間への健康影響については明確ではない。また、プラスチックは分解されずに、累積的に蓄積されていく。環境中に流出すると回収は困難であるため、予防原則を適用して、流出量を少なくすることや、環境中から回収することに努力が必要である。

海洋プラスチックごみについては、2015年、雑誌Science上に海洋プラスチックに関する論文が掲載され、2016年のダボス会議で議題としてのぼったことで、国際的な関心が高まった。20223月には、UNEAでプラスチック汚染に関する条約に向けて国際交渉を始めることが決議され、11月に交渉が開始される予定である。

日本では、2018年のG7シャルルボワ・サミットで、日米が「プラスチック海洋憲章」に署名しなかったため、国内外から批判されたことで注目されるようになった。2019年のG20 では、重要課題の一つとして海洋プラスチック問題が位置付けられ、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有することが合意された。その後、日本の環境省は、東アジア・アセアン経済研究センターに資金を拠出し、Regional Knowledge Centre for Marine Plastic Debris(RKC MPD)201910月に設立された。

プラスチックの海への流出量推計として、Jambeckなどによる研究(2015年)では、廃プラスチックの国別流出量の最も多い国は中国であり、次いでインネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカの順番となっている。その理由として、アジア地域や発展途上国が経済成長するにつれて、プラスチックの使用量が増加する一方、廃棄物の収集・処分が十分にできていないためである。一方、Meijerなどによる研究(2021年)によれば、流出量自体はJambeckなどの推計よりも少ないものの、流出量の最も多い国はフィリピンであり、次いでインド、マレーシア、中国、インドネシアの順番であり、アジア諸国の流出量が多い。生態系への影響として、東南アジア諸国で死んだジュゴンやクジラなどの体内からプラスチックが見つかったという報道が多くみられる。そのため、東南アジアのこの問題への援助や国際協力が、2017年以降行われている。

インドネシアでは、2017年にアクション・プランを取りまとめ、複数の省庁で協力して問題解決に取り組んでいる。アクション・プランでは、意識啓発活動や河川での廃棄物回収インフラの設置、易分解性プラスチック製造のガイドラインの作成、プラスチック・リサイクルの機器・機械の設置などが計画されている。担当省庁も環境省だけでなく、工業省や海洋漁業省など様々な省庁が担当している。インドネシアでのプラスチック排出の推計によれば、大都市では収集処分が比較的進んでいるため、流出は4%程度である。一方、農村や遠隔地では10%を超えており、農村と中小都市を合わせると、全体の流出量の69%にのぼる。大都市で収集対策が行われているのは、公衆衛生対策として実行されてきた背景があり、農村部等での収集を拡大させることが課題となっている。

タイでは、2019年末までに、マイクロビーズ、PETボトルのキャップにかぶせるプラスチックのキャップ・シール、およびオキソ分解性プラスチックを禁止し、リサイクルを進めるためのロードマップが閣議決定されている。ベトナムでも2019年に海洋プラスチックごみの管理に関するアクション・プランが策定され、環境保護法を改正し(2020年)、廃プラスチック対策などの取り組みを始めている。マレーシアでは、2018年に使い捨てプラスチックを無くすための野心的なロードマップを作ったものの、政権交代でより穏やかな、確実性の高いロードマップを作成し直している。中国では、90年代後半に廃プラスチックの散乱が白色汚染として問題視され、その後2007年末にプラスチック制限令が出された。また、2020年に、国家発展改革委員会と生態環境部が、「プラスチック汚染防止のさらなる強化に関する意見」を発表するなど、各省でプラスチック禁止令が出されている。

東アジアでは、90年代から循環経済に向けて動いていたが、2000年代にはフィリピンや中国、インドが法制化し、2015年以降ベトナムやシンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアでも法制化やその準備が進められている。2021年に、ASEAN経済共同体の理事会が、「ASEAN 経済共同体循環経済フレームワーク」を採択し、プラスチックだけでなく、循環経済全体を進める動きが東南アジア地域でみられる。

海洋プラスチック対策は、①プラスチックの生産・使用の抑制、②リユース、リサイクル、③廃棄物の収集、処分、④環境中からの回収、に分けられる。使い捨てプラスチックを減らす自主的な取り組みとして、非プラスチック製品(野菜の葉、木製、生分解性のレジ袋など)の使用などがみられる。プラスチックの代用として、生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックがあるが、両者は必ずしも一致するものではない。バイオマス由来のものが必ずしも分解しやすいわけではなく、分解しにくいものもあるため、区別して議論する必要がある。海洋プラスチック問題にはさまざまな分野が関連しており、河川や海のモニタリングや生態系への影響、廃棄物処理、リサイクルなど多岐にわたる。

国際資源循環と海洋プラスチックの関わりとして、日本は発砲スチロールを大量にリサイクルしている国として世界的にみて珍しい国である。日本国内で製品としてリサイクルしている場合もあれば、発泡スチロールを圧縮して海外に輸出もしている。一方で、輸出されたプラスチックの環境中への流出もみられ、廃プラスチックを破砕・洗浄する過程で廃プラが環境に漏れるケースもある。また、不適切な保管によって環境中に流出する場合もある。リサイクルを輸出する際に、汚れが付着したものやリサイクルしにくいものについては、事前通告や同意の必要性や、輸出入を禁止することなどがバーゼル条約によって制度化されている。

2017年において、日本からの廃プラスチック輸出の最大の相手国は中国であったが、中国が輸入を抑制したことで、2021年において貿易量は2017年の半分以下になっている。プラスチックの生産量、海洋への流出量、廃プラスチック貿易量を比べると、廃プラスチックが流出する場合もあるが、他からの流出量の方が大きい。

国際資源循環を考えるうえで、各地域で経済がどれだけ完結しているかが重要となる。貿易マトリックスをみると、米国・カナダ・メキシコ地域では輸出の50%は域内であり、輸入は39%である。EUは輸出・輸入ともに60%以上が域内である一方、東南アジアは輸出が39.9%、輸入が47%である。東・東南アジアの域内貿易のシェアは、 EUほどではないが、米国・カナダ・メキシコ地域と同程度のレベルになっている。

域内貿易が多いということは、生産者と消費者、リサイクルの資源循環において貿易が行われている可能性が高いことを意味している。貿易規制が厳しくなると、資源循環が停滞してしまう。実際、中国が再生資源の輸入を抑制した結果、比較的良い取り組みがつぶれてしまう事例(帝人、富士ゼロックス)がみられた。サプライチェーンが国境を越えて作られるなかで、循環経済を動かすためには、どこかのタイミングで生産者に資源を戻すことが必要となる。産業が少ない国であれば、循環を回すために国境を超えた取り組みが必要となる。

プラスチック問題に関するいくつかの国際条約(ロンドン条約やMALPOL条約など)があるが、プラスチックのみを対象とした条約ではない。既存の国際条約でカバーされていないこととして、陸域からのプラスチックの海洋流出を防止することは義務づけられていない。発生した廃プラスチックをリサイクルする、あるいは、適正処分をすることを規定した国際条約もない。

課題として、温暖化のように、温室効果ガスの排出量の値を推計するための統計が十分に整備されておらず、また、推計手法が確立していない。多くの発展途上国では、家庭からの廃棄物の収集量に関するデータも整備できていない。大気汚染や水質汚濁のモニタリングに比べ、マイクロ・プラスチックの濃度を計測するのに時間がかかる。排出量が多いのは発展途上国であり、温室効果ガスのように先進国から責任を負わせる形はあまり意味がなく、先進国から途上国への国際協力が必要である。途上国のなかでも、都市の貧困層の住むスラム地域や農村では、廃棄物の収集サービスを受けていないところが多いため、どのようにサービスを提供するのかが重要となる。「特定のプラスチック製品を国際的に禁止できるか」や、「生分解性プラスチックなど、代替素材の使用を義務付けられるか」などについても考えていく必要がある。

 

(2)自由討議

小島上席研究員の報告を受け、参加者との間で、以下のような協議が行われた。

 

参加者:プラごみの流出量について、Jambeckなどの研究とMeijerなどの研究とでは流出量に大きな違いがあるが、その違いが生じている理由は何か。また、アジア地域での流出量が大きいが、何故アジア地域で他地域よりも流出量が多いのか。貿易マトリックスに関して、アジア地域よりもEUや米国・カナダ・メキシコ地域の方で域内貿易が進んでいるが、EUや米国・カナダ・メキシコ地域の方がプラごみを上手く処理しているということを示しているのか。国境を超えた循環が上手くいったとしても、グッド・リサイクルのための技術・制度・方法が確立されない限り、国境を超えたリサイクルの循環は機能しないのではないか。国境を超えたリサイクルがより良くなるためにどのようなアイディアがあるのか。

小島上席研究員:国境を超えることが、上手くいく循環を必ずしも保証するわけではない。しかし、国境を閉じてしまうことで、リサイクルが上手くいかなくなってしまう国はある。例えば、太平洋島嶼国は産業がなく、国内でリサイクルを回すことができないため、産業のある国でリサイクルを行わざるを得ない。貿易を行いながら、不適切な処理につながらないように各国で公害規制を行うことや、輸出する前に汚れたものやリサイクルしにくいものが混ざらないようにすることが重要である。

日本と比べて、米国やEUにおける問題は、リサイクルできるものを一緒くたに集め、機械で分別を行っていることである。しかし、必ずしも機械で分けきれない場合もあり、汚れたものも混ざった状態で輸出されていることが問題である。日本国内では、市町村レベルにおいて、分別がしっかりとなされているが、産業廃棄物については一緒くたにされている。リサイクルしやすいようにどれだけしっかりと分別して輸出できるかが重要となる。

流出量に関して、推計が異なる理由として、仮定で利用するデータや計算ロジックのような部分で研究によって違いがある。どちらかと言えば、Meijerなどによる研究の方が、実際の数値に近いと考えられる。

 

参加者:タイのように、リサイクルするための拠点整備が重要となるのか。また、アジアに比べて、米国などでプラごみの流出量がデータとして少ないのはなぜか。

小島上席研究員:リサイクルには様々なプロセスがあるが、プロセスによって規模の経済がある程度働くため、リサイクル分野においても産業集積が生じる面がある。米国などで流出量が少ない理由として、廃棄物の収集・処分に対して途上国よりも費用をかけていることがある。途上国では、ごみの収集サービスを受けられてない人や場所が多く、また埋立て処分場など処理を行う施設が十分にないため、ごみを空き地に捨てるなどの結果として、海洋に流出している。日本では、60年代でごみの収集サービスを受けている人は50%を割っていたが、20年かけて90%ぐらいまで増加した。途上国では、ごみの収集範囲を広げることについて、まだ十分できていない。

 

参加者:一人当たりGDPとプラごみの流出量との間に相関関係はあるのか。

小島上席研究員:一人当たりGDPは流出量の推計の説明変数に入っていないが、豊かになるほどプラスチックの使用・購入量が増えるため、豊かになるほど廃棄物に占めるプラスチックの割合が増加する。経済成長し、プラスチックの使用量・購入量は増える一方、廃棄物の収集サービスを十分受けられていない中所得国が、推計データにおいて上位を占めている。

 

参加者:陸から海に流出するごみだけでなく、漁網のように海で利用している漁具がゴーストギアとして生態系に悪影響を及ぼしている。日本から東南アジアに中古の漁網が輸出され、利用されている事例もあるが、再利用と最終的な処分状況はどうなっているか。

小島上席研究員:水産庁などが中心となって、漁網がどのくらい排出されているのかに関してのデータ収集が近年進められている。流出した漁網を回収し、処分することを仕組みとして考える必要がある。日本国内では、流出した漁網ごみを回収して、地方自治体の負担で処分する取り組み事例もある。漁業者の協力も得て、流出した漁網の処理・処分を行う形を作っていく必要がある。

 

参加者:プラごみの処理に関して、基本的に各国による対応が主流となっている。途上国ではごみ処理能力が低いため、先進国や国際機関などからの支援が必要となるが、国際協力はどの程度進んでいるのか。例えば、2019年のG20で「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有することに合意がなされたが、国際的な合意を実現するための国際協力枠組みは作られているのか。各国にリサイクルや適正処理を義務付ける国際条約は現状ないが、処理などについて先進国による途上国支援を促進させるような条約のアイディア等はあるのか。海洋プラスチック問題に関して、データ不足により国際的な枠組みの形成が難しいが、データを収集・解析するための科学者によるネットワークはあるのか。

小島上席研究員:海洋プラスチック問題に関する包括的な条約はないため、プラスチック汚染を解決するための条約作成に向けて動き出している。これまで各国の国内問題として廃棄物処理は捉えられてきたため、廃棄物全般についての条約はない。廃棄物の処理・処分は、都市部の衛生対策として行われてきたという背景があり、農村地域での処理・処分にはあまり目が向けられてこなかった。そのため、各国において、ごみ収集を全国に広げることについて力を入れてこなかった。国際的な廃棄物処理に関する国際的な協力も、都市部での対策を中心とした協力が多く、農村部にどのように拡大させるかという観点での協力は少なかった。海洋プラスチック問題は、農村部までどのように政策を拡大させるかに関して、新たに協力が必要となっている問題でもある。日本の場合、農村に拡大させる過程で市町村が共同でごみ処理を行うなどの対応を行った。廃棄物の埋め立て処分場や焼却施設は規模の経済が働くため、ある程度の規模の廃棄物を一緒に処分することでコストが低下する。そのため、小さな自治体を束ねて廃棄物を処理していくためのノウハウが重要である。

マイクロ・プラスチックの測り方や海洋生態系への影響評価などに関する科学者のネットワークはあるが、どちらかと言えば海側の研究・調査に関するネットワークである。農村部にごみ処理をどのように広げるのかといった対策面は、分野が多岐にわたるため、様々な分野の研究者が参加するネットワークを構築する必要がある。

 

参加者:Jambeckなどの研究において、国別の流出量で中国は最大国になっているが、海洋プラスチック問題について中国は国内でどのような対策を行っているのか。近年の米中関係との関係に関して、気候変動問題への協力を交渉の政治的カードとして使っているが、海洋プラスチック問題で中国は国際的にどのような役割を果たすことができるのか。今後、米国を含めて他国との関係を考えるうえで、中国が海洋プラスチック問題を交渉カードとして使う可能性はあるのか。

小島上席研究員:中国は海岸沿いにも人口が多く、海洋流出の問題は小さくない。中国は都市部を中心に廃棄物の処理を拡大してきており、農村部への拡大についてはまだ明確ではないが、その取り組みについては高い評価ができる。流出量がどの程度であるのかについてもう少し明らかにならないと、海洋プラスチック問題が交渉カードとなるかは判断できない。推計によって数値のばらつきが多い状態では、しっかりとした交渉にはならないだろう。

 

参加者:中国が環境問題を交渉カードとして使っている例としては、どのようなものがあるのか。

参加者:気候変動問題への姿勢と同様に、他の環境問題に関しても、「中国が協力しないと問題は解決しない」という姿勢を示す可能性はある。例えば、中国の工場のシェアが大きい場合、再処理プロセスにおいて、中国が強い影響力を持つ可能性がある。

小島上席研究員:中国は、再生資源の輸入を禁止する措置を行ったが、中国の業者が海外に移転している。古紙のリサイクルについても、中国の業者は海外に移転してビジネスを継続している。そのため、それら業者が不適切な処理を行った場合、現地でのトラブルに発展する可能性はある。

 

参加者:各国でリサイクルの内容は同様なのか、あるいは異なっているのか。日本では燃焼も含めてリサイクルとして取り扱っているが、他国は日本と異なるとの話を聞くが、実態はどうなっているのか。国際的に燃焼がリサイクルに含まれない場合、今後のプラスチックごみの処理について、燃焼は含めないということが国際的な流れになるのか。

小島上席研究員:国際的に、エネルギー回収はリサイクルとは呼ばれない。しかし、分別が難しく、リサイクルしにくいものについては焼却する可能性はある。気候変動問題との関連で言えば、燃やさずに再利用することが求められる議論になる。バイオプラスチックの場合は焼却しても、炭素循環の一部になるため、焼却しても問題ないとする議論もある。

 

参加者:生分解性プラスチックなど、代替素材の使用の義務付けに関して、安全保障分野では代替が困難な部分もあるが、それらの分野でのプラスチック使用は致し方ないものとして考えられるのか。あるいは、それらの分野でもプラスチック使用のゼロを目指すべき流れとなっているのか。

小島上席研究員:国際的な流れとして、まだ何かの合意がなされているわけではない。安全保障分野などにおいても、プラスチックでなくてもよい部分を探っていく必要はある。現段階でプラスチックを全面禁止にした場合、生活が成り立たなくなるため、あくまで減らせる部分から徐々に減らすという考えが重要であろう。

 

参加者:海洋プラスチック問題において、沿岸部から海へ流出する場合が多いと考えられるが、内陸部で発生するプラごみの処理も問題となる。現実問題としてプラスチックを全面的になくすことも現状困難であるなかで、プラスチックの生産(入口)を減らすか、プラスチックの消費(出口)を減らすのかという議論も重要となってくる。

以上、文責在事務局