メモ

- 日 時:2026年7月2日(木)14:00〜15:00
- 会 場:オンライン形式(Zoomウェビナー)
- テーマ:中国の「台湾以東海域」統治の試み — 現状変更の国内的基盤
- 参加者:144名(登録者数176名)
- 登壇者
| 【報告者】 | 益尾 知佐子 | 九州大学大学院教授 |
| 【研究会メンバー】 | 伊藤 和歌子 | 日本国際フォーラム研究主幹(司会) |
| 高口 康太 | ジャーナリスト、明治大学客員研究員 | |
| 土屋 貴裕 | 京都外国語大学共通教育機構教授 | |
| 毛利 亜樹 | 同志社大学法学部准教授 | |
| 持永 大 | 芝浦工業大学システム理工学部准教授 | |
| (五十音順) |
- 議事概要:
中国は近年、台湾問題と海洋問題を結びつけ、彼らが「台湾以東海域」と呼ぶ南西諸島の南方海域で、海警船、海洋調査船、測量船などを用いた活動を強めている。特に、日比間のEEZ・大陸棚境界画定交渉を契機として、従来よりも踏み込んだサラミ・スライス戦術を用いて現状変更を進めている。そこでの巡視や測量、海底ケーブル敷設水域の確認といった行動は、中国が主張する広大な「管轄海域」の統治を既成事実化する試みである。現在、日本では安保三文書の改定が検討されているが、それだけでは十分に対応できない事態が生じている。
こうした動きは単なる軍事的な拡張ではなく、習近平政権下で構築されてきた「軍民融合」体制の一端として理解する必要がある。中国は陸上ガバナンスを海へと延伸させ、自国が主張する管轄海域において、行政力を用いて実効支配を広げようとしている。同時にこれは、台湾への軍事侵攻に向けた準備としての性格も併せ持つ。中国が掲げている名目は平和的だが、実際には「管轄海域」における統治を段階的に強化し、自らの勢力圏を伸長する狙いがある。平時においては、センサー網の整備を通じて監視体制を構築し、有事においては、中国国内法を根拠として海上封鎖や海底ケーブル・センサー網の切断を行い、他国の活動を制限する意向である。
中国の昨今の東シナ海・南西諸島南方海域での行動は一過性のものではなく、長期計画に基づく「恒常的な統治」の入り口である。中国は東アジアの現状変更と西太平洋の勢力圏化を進めており、日本の領域の極小化を図っている。今後は、沖縄周辺や東シナ海にとどまらず、太平洋側、さらには日本海への進出・圧力拡大も想定される。
(文責、在研究本部)
当フォーラムは、「パックス・チャイナ実装研究会」(主査:益尾知佐子 九州大学教授)の活動の一環として、当フォーラム会員や、学術・政策・ビジネス・メディアなど各分野で研究や実務に携わる方を対象に、「Study Session」(オンライン形式、隔月ベース)を開催している。
その第1回目の会合が、下記1.~5.の日時、場所、テーマ、参加者にて開催されたところ、その議事概要は6.のとおりであった。