メモ

「北極圏を巡る情勢の変化と対応」研究会の第1回定例研究会合が下記1.~3.の日時、形式、出席者にて開催されたところそれらの概要は下記4.のとおり。
- 日 時:2026年5月11日(月)12時30分~午後1時30分
- 形 式:ZOOMによるオンライン会合
- 出 席 者:14名
| [主 査] | 高橋美野梨 | 北海学園大学准教授 |
| [副 査] | 廣瀬 陽子 | 日本国際フォーラム上席研究員/慶應義塾大学教授 |
| [事業統括] | 高畑 洋平 | 日本国際フォーラム上席研究員・常務理事 |
| [メンバー] | 石原 敬浩 | 海上自衛隊幹部学校非常勤講師 |
| 稲垣 治 | 神戸大学極域協力研究センター研究員 | |
| ユハ・サウナワーラ | 北海道大学北極圏研究センター准教授 | |
| 原田 大輔 | JOGMECエネルギー事業本部調査部長(併)企画調整部担当審議役 | |
| 三船 恵美 | 日本国際フォーラム上席研究員/駒澤大学教授 | |
| (メンバー五十音順) | ||
| [JFIR] | 渡辺 まゆ | 日本国際フォーラム理事長・上席研究員 |
| 伊藤和歌子 | 日本国際フォーラム研究主幹 | |
| 池野 琴美 | 日本国際フォーラム研究助手 他3名 |
- 概要
(文責、在研究本部)
(1)高畑 洋平 日本国際フォーラム上席研究員・常務理事 による開会挨拶
本研究会は、外務省の外交安全保障調査研究事業費の補助金を得て実施しており、北極をめぐる国際秩序の変動を地政学、安全保障、資源、制度、科学協力を総合的に検討することを目的としている。近年、北極は単なる科学研究の対象ではなく、国際秩序の再編そのものを映し出す戦略空間となっている。ロシア・ウクライナ戦争以降、北極協議会の機能低下をはじめ、北欧諸国のNATO加盟、中露の接近、海上交通や資源問題など多層的な変化が進んでいる。その中で、本研究会は単なる地域研究ではなく、日本外交が今後どのように北極秩序に関与していくかを考察する政策研究として重要な意味を持つと考える。
(2)メンバーによる挨拶
【主 査】高橋 美野梨 北海学園大学准教授
各分野の第一線でご活躍されている先生方と、今後2年間にわたり研究上の議論と知見の共有を重ねていけることを、大変光栄に存じている。同時に進行している北極域研究推進(ArCS)プロジェクトは、2015年に始まった大規模な事業であり、ArCS II以降、北極政策へのインプットも成果の一つとして行ってきた。こうした動きは今後も注視していく必要がある。また、2032〜33年の国際極年(IPY)に向けて多様な動きが見られ、関連する知見の発信も進んでいるため、日本の研究者としても何らかの影響を与えていければと考えている。
【副 査】廣瀬 陽子 日本国際フォーラム上席研究員/慶應義塾大学教授
北極については2016年頃から研究を進めており、現在は単著の準備も進めている。特に国際関係の観点から北極を継続的に見てきた立場から、本研究会では総合的な北極研究が可能になると捉えている。北極研究は重要性に比して十分に可視化されていない面もあるため、日本国内外に適切な形で発信していきたい。
【メンバー】(五十音順)
石原 敬浩 海上自衛隊幹部学校非常勤講師
20年ほど前まで海上自衛隊で水雷(対潜戦)を専門とし、艦艇勤務に従事していた。その後、海上自衛隊幹部学校で戦略教官となり、海洋戦略や安全保障の研究を始めた。ロシアの潜水艇が北極点の海底に旗を設置した出来事を契機に北極へ関心を持った。自衛隊の現場経験と研究者としての視点の双方を踏まえ、北極海の重要性と面白さに着目して研究を続けている。
稲垣 治 神戸大学極域協力研究センター研究員
専門は国際法であり、約10年前から北極および南極をめぐる国際法上の課題について研究を進めている。日本国際フォーラムとは学生時代からご縁があり、今回改めて関わる機会を得られたことを感慨深く受け止めている。
ユハ・サウナワーラ 北海道大学北極圏研究センター准教授
北極域・北方圏を対象に、多様な分野にわたる研究を行っている。日本や北海道と北極域との関係、交通インフラ開発、近年では北極観光に関する研究にも取り組んでいる。関連プロジェクトとしては、ArCS IIIのガバナンス課題でサブ課題2を担当しているほか、JSPSとフィンランドの二国間交流事業「ロシアによるウクライナ侵攻と日本及びフィンランドの北極域における活動と展望」にも携わっている。また、科研費事業ではフィンランドと北海道におけるインフラ整備や安全保障について研究しており、本プロジェクトとも接点があるのではないかと考えている。
原田 大輔 JOGMECエネルギー事業本部調査部長(併)企画調整部担当審議役
エネルギー資源開発の観点から北極域を捉え、北極海航路の活用においてエネルギーが重要な要素となる点や長期的視点で北極域が世界にとって不可欠な天然ガス供給源になる可能性について、最新情報を共有していきたい。トランプ政権下で注目されているアラスカ、グリーンランド、ロシアの各現地情報も発信していきたい。
三船 恵美 日本国際フォーラム上席研究員/駒澤大学教授
中国外交を専門としており、中国研究所の『中国年鑑』において、2009年度版以降、中国とヨーロッパの関係を継続的に執筆してきた。その中で、北極圏が中国外交において持つ意味についても年ごとの動向をフォローしてきた。特に、北極圏をめぐる議論ではレアアースが注目されがちだが、中国にとってはミサイル防衛や軌道利用との関連も重要であるという視点から地域を捉えている。
(3)研究会の活動計画と成果発信の方針
本研究会は、本日から2年間にわたり、事業計画書に沿って活動を進める。初年度は、主に五つの柱から構成される。第一に、研究会合を1〜2か月に1回程度、主にオンラインで開催し、各メンバーが自身の専門性に基づいて報告を行う。第二に、研究交流として、公開シンポジウムや必要に応じたワークショップを開催する。ワークショップでは、メンバーだけでは十分に扱いきれない分野や地域について、外部専門家を招くことも想定している。第三に、知的対外発信として、日本語・英語の特設ページやSNSを活用し、研究会の成果を発信していく。メンバーには、報告内容を基にした短いコメンタリーなどの執筆を依頼する予定である。第四に、日本国際フォーラムとして、本研究会の成果をより広く発信するための戦略的発信を行う。第五に、外務省との検討会を通じて、定期的に意見交換をしながら研究を進める。
2年目も基本的な活動は初年度と同様に、研究会合、シンポジウム、ワークショップ、コメンタリー発信を継続する。加えて、2年間の研究成果を踏まえた政策提言の作成・発表を行い、国内外に広く発信する予定である。必要に応じて、総理や外務大臣等への提出も想定している。また、本プロジェクトには出版社も関心を示しており、2年目以降には商業出版への展開も見込まれる。