公益財団法人日本国際フォーラム

  • コメンタリー

    コメンタリー

はじめに

「中国アフリカ協力フォーラム」(Forum on China-Africa Cooperation:FOCAC:読み方は「フォッカック」)のサミットが、2024年9月4~6日、北京で開催された。FOCACには、中国と中国が外交関係を樹立しているアフリカ53カ国、アフリカ連盟委員会(African Union Commission:AUC)[1]の55の国家・組織が加盟している[2]。2024年北京サミットには、中国の習近平国家主席をはじめ、51カ国の国家元首、2カ国の政府首脳[3]、アフリカ連合委員会のムーサ・ファキ・マハマト委員長、国連のアントニオ・グテーレス事務総長をはじめ、3,200人以上が参加した。

FOCAC北京サミットでは、「新時代の全天候型運命共同体の構築に関する北京宣言」(以下、「FOCAC北京宣言」と略す)と「行動計画(2025~2027)」が採択された。「新時代」とは、習近平が「中国が世界の大国になったこと」「中国が人類の歴史の中で重要な役割を果たしていること」を意味していると説明している[4]。「新時代」すなわち国際秩序の中心で中国が主導的地位にあるという世界観を銘打ったうえで、アフリカとの「全天候型運命共同体の構築」を目指す中国のねらいは何であろうか。中国はアフリカを如何に位置づけているのであろうか。

こうした問題意識のもと、現代中国の外交を専門とする日本人研究者の眼から見た中国とアフリカの関係について、本稿は以下の構成で論じていく。第Ⅰ節で、「FOCAC北京宣言」と「行動計画(2025~2027)」を考察し、習近平氏が「新時代」と位置づけている現在の中国のアフリカ政策が従来よりもガバナンスや安全保障に踏み込んだ包括的な関係へとステージを上げていることを論じる。第Ⅱ節では、FOCAC北京サミットから見えてくる中国の対アフリカ政策の5本柱を指摘する。第Ⅲ節では、海洋で膨張する中国の防衛ライン構築が西アフリカへ進んでいることを論じる。

Ⅰ より包括的な関係発展に踏み込んだFOCAC北京サミット

◆ 目指す方向はアフリカとの持続可能な関係発展

アフリカ諸国が中国へ債務免除を要求していたものの、FOCAC北京サミットで中国はそれに応えなかった。しかし、中国は3年間で約500億ドルの資金援助をアフリカへ約束した(2021年FOCAC閣僚会議で約束したのは約400億ドル)。金額だけを見ると、2015年のヨハネスブルグFOCACと2018年の北京FOCACにおける約600億ドルに比べて大幅な縮小であった。中国の経済低迷による財政的制約とアフリカの債務リスク増大により、中国は「小さくて美しいプロジェクト」と呼ぶ小規模プロジェクトへの投資を約1,000件増やす方向にある。とは言え、金額規模がそのまま中国のアフリカへの関与の規模と範囲を反映しているわけではない。中国は国際金融機関や多国間開発銀行のプロジェクトを通じた途上国支援で「効率的な関与」を展開してきている。

「FOCAC北京宣言」は、アフリカの「アジェンダ2063」と中国の「一帯一路」と国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を連結させて、中国とアフリカの共同行動によって「グローバル発展イニシアティブ(Global Development Initiative: GDI)」、「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative:GSI)」、「グローバル文明イニシアティブ(Global Civilization Initiative: GCI)」の共同構築を謳っている[5]

2016年頃から、中国は広範な国々へ支援をするのではなく、中国のグローバル戦略の要地に重点を置いた支援へ切り替えてきている[6]。「行動計画(2025~2027)」を読むと、従来の債務主導のインフラ建設への投資から、貿易関係、統治モデル、治安・安全保障のガバナンスをめぐる協力強化に重点を移し、アフリカとの持続可能な関係発展を目指したものになっている。つまり、融資の金額では縮小しているが、その内容から見れば従来よりも包括的で踏み込んだものになっており、中国はアフリカへの影響力を拡大させていく方向にあると言える。

◆ 米中競争を見据え自己の利益を最大化させようとしているアフリカ

とは言え、それは中国がアフリカをコントロールできるという一方的な関係ではない。

一般的にWin-Winの関係とは双方に利益があることを意味するビジネス用語であるが、欧米の高官らは、「Win-Winの新しい意味は、中国が2度勝つとことだ」とブラックジョークを飛ばしてきた[7]。しかし、中国がプレゼンスを拡大してきているアフリカでの勢力圏競争において、中国は西側に対する優勢を必ずしも堅固にしているわけではない。アフリカ諸国は、欧米諸国からの支援の存在も引き合いに出しながら、中国に対する交渉力を強めようとしている。例えば、コバルトをめぐる米中競争により、中国が圧倒的なプレゼンスを魅せているアンゴラ、コンゴ民主共和国、ザンビアにおいて、西側の「世界インフラ投資パートナーシップ(Partnership for Global Infrastructure and Investment:PGII)」[8]による「ロビト回廊」と呼ばれる大規模な開発構想が進みつつある。

アフリカ諸国は、米中の勢力圏競争を利用して自国の利益の最大化を図ろうとしている。

◆ 国連「未来のための協定」を強く意識

FOCAC「行動計画(2025~2027)」は、国連がグローバル・ガバナンスを変革するために2024年9月22日に採択した「未来のための協定」(Pact for the Future:Resolution A/RES/79/1)を強く意識した内容となっている。「未来のための協定」は“We Will”で始まる56項目の行動を掲げている。「未来のための協定」は、グテーレス事務総長が2021年9月10日に発表した「私たちの共通の課題(Our Common Agenda)」と題するビジョンを基に、国連加盟国の対話を反映し、2024年1月 26日に原案(ゼロドラフト)が発表され、それを踏まえた議論のうえで「第一改定草案」(Revised Draft (Rev.1))が2024年5月 14 日に公開され[9]、9月22日に採択された。

「未来のための協定」は、グローバルな連帯を携えて共通の利益に向けて協力するための新たな方法を模索するために、世界を蝕むインフォデミックや「科学との戦争」を終わらせるグローバルな行動規範の策定を呼びかけ、国際紛争や環境破壊への取り組みを反映させ、政治的代表性の改善、教育・技能訓練、宇宙空間に関するマルチステークホルダー対話を含む国連のなかから支えられたネットワーク化の進んだ包摂的な多国間体制の必要性を訴えている。「未来のための協定」は、宇宙空間を管理する国際的な枠組みの強化に向けた合意や国際金融アーキテクチャの改革の必要性に関して、開発途上国の代表性と発言権を高めることを目指している。

FOCACとの関連で特に注目されるのが、「未来のための協定」の付属文書「グローバル・デジタル・コンパクト」である。同文書は、デジタル協力と人工知能(AI)ガバナンスに関する初めての包括的な世界的枠組みとなる。データ・ガバナンスに関する初の国際的なコミットメントである「グローバル・デジタル・コンパクト」は、データ・ガバナンスを国連の議題にのせ、各国に対して、2030年までに具体的な行動をとることを求めている。グローバルなデジタル・ガバナンスやデータ・がバンスのルール策定を念頭に、「中国がつくりたいルール」を支持してくれる朋友圏=ネットワークの構築を強く意識していることがうかがえる。

◆ 習近平による「10大パートナーシップ行動」の提起

FOCAC北京サミットの基調講演で、習近平はアフリカの現代化に向けた「10大パートナーシップ行動」を打ち出し、中国とアフリカの協力関係の具体的な方向性を明示した[10]。具体的に、以下などが提起されている。

(1)ガバナンス経験の交流プラットフォーム設立などの「文明間の相互承認のためのパートナーシップ行動」。(2)後発途上国33カ国に対するゼロ関税、アフリカ農産物の市場アクセス拡大、電子商取引の協力深化などの「貿易繁栄パートナーシップ行動」。(3)デジタル技術協力センター設立やデジタル実証プロジェクト実施などの「産業チェーン協力パートナーシップ行動」。(4)陸海連携と協調発展を特徴とする「相互接続性パートナーシップ行動」。(5)GDIの下での「発展協力パートナーシップ行動」。(6)中国・アフリカ病院連盟の設立や医療センターの共同建設などの「保健・健康パートナーシップ行動」。(7)10億元の緊急食糧援助提供、10万エーカーの農業標準化実証区の建設、500人の農業専門家派遣、中国・アフリカ農業科学技術革新同盟の構築、500の公共福祉プロジェクト実施、産業付加価値をアフリカ側に残しアフリカで100万人以上の雇用創出などの「農業振興・民生重視パートナーシップ行動」。(8)工学技術大学と高等専門学校の共同建設や10カ所の「魯班工房[11](Luban Workshop:中国の対外職業教育協力機関)」の建設などを含む「人的・文化的交流パートナーシップ行動」。(9)30件のクリーンエネルギープロジェクトの実施、気象早期警戒ビジネス・プラットフォームの構築、防災・減災・救援、生物多様性保護における協力実施、原子力技術の平和利用に関する中国・アフリカフォーラムの設立、30カ所の共同研究所の建設、衛星リモートセンシング、月・深宇宙探査における協力などを実施する「グリーン発展パートナーシップ行動」。(10)GSIを実施するためのアフリカとのパートナーシップ確立、GSI協力のための連携実証エリアの創設、アフリカに10億元の無料軍事援助の提供、6,000人の軍人と1,000人の警察や法の執行官の訓練、500人の青年軍官の中国招待、中国とアフリカの共同軍事演習、訓練、共同パトロールの実施、「アフリカ地雷除去支援作戦」の実施し、人員やプロジェクトの安全の共同維持などを謳った「安全保障共同構築パートナーシップ行動」。

2018年の北京サミットで提唱された「8大行動指針」[12]に比べて、2024年の「10大パートナーシップ行動」は、ガバナンスや政党間交流、軍人交流、デジタル、衛星、治安の領域で従来よりも踏み込んだ内容となっている。

◆ 体制維持への相互支持:中国「現代化は西洋化を意味しない」

北京FOCACのパートナーシップ行動は、アフリカからの天然資源と農業の「輸出の成長」を優先している。近年西側諸国から「一帯一路」による「債務の罠」への批判を中国が受けてきたため、債務主導のインフラ投資よりも貿易関係に大きくフォーカスした内容となっている。

FOCACの枠組みでは、西側諸国からの援助であれば通常付随してくる民主主義・人権・自由・環境などの付帯条件(いわゆる「ワシントン・コンセンサス」)が求められることなく、アフリカ諸国は中国から支援を受けられる。これにより、中国はアフリカ諸国にとっての「パートナー」の地位を固めつつある。中国にとってアフリカとの関係は、鉱物資源の安定的な獲得やグローバル・サウス外交のみならず、「中国の特色ある大国外交」において、西側の統治モデルと一線を画する統治モデルの推進という共通の戦略において大きな意味がある[13]。「中国の特色ある大国外交」の最も重要な基軸は、中国共産党による指導を堅持し、中国の特色ある社会主義路線・理論・制度・文化への自信を堅め、中国が選択した社会制度と発展路線について理解し賛同する国々や人々が増えるように努力することである[14]

中国にとって最優先の安全保障は、中国共産党による一党独裁と民主集中制の政治体制維持にあるからである。

北京FOCAC直後に刊行された中国外交部主管の外交問題雑誌『世界知識』は、ウォルト・ホイットマン・ロストウの近代化理論を狭隘な視角と論じて「現代化は西洋化を意味しない」と訴え、西側の新自由主義がアフリカに産業空洞化を強制してきたことを批判している[15]。新自由主義的なワシントン・コンセンサスは、介入される側のアフリカ諸国からすれば、グッド・ガバナンス(良い統治)のおしつけになる。ワシントン・コンセンサスに対するアフリカの権威主義的な政府からの批判は、中国からすれば「共鳴」を引き出せることになる。

◆ AI・サイバーの国際ルールの策定にアフリカを取り込みたい中国

アフリカのAI市場規模は世界シェアの2.5%にすぎない[16]。しかし、アフリカのデジタル化への潜在的なニーズは極めて大きいとも言える。全世界のモバイル決済額の7割が「サブサハラ」といわれるサハラ砂漠以南で占められている[17]。国際金融公社(International Finance Corporation)とIFC)によれば、世界のインターネット利用者数のうちアフリカの比率はまだ14%程度であるが、アフリカの海底ケーブル増設などのデジタルインフラ関連投資は2027年までに年間60億ドルに達するとも見込まれている[18]

アフリカの魅力は潜在的なマーケットや重要鉱物だけではない。「行動計画(2025~2027)」では、中国が唱える「グローバル人工知能(AI)ガバナンス・イニシアティブ(Global AI Governance Initiative:GAII)」や「グローバル・データセキュリティ・イニシアティブ(Global Data Initiative:GDI)」で中国とアフリカが協力して、GSIを確立していくことが合意されている。

中国がアフリカに求めている重要なねらいの1つは、中国がグローバル・サウスと連係して「デジタル運命共同体」を共同構築し、中国が主導するGDIをデジタル・ガバナンスに関する国際ルール策定の中軸に据えていくことにある。

◆ GSI、SSAへのアフリカの取り込み

中国がアフリカを取り込みたいのはGAIIやGDIだけではない。GSI構築のためのアフリカとのパートナーシップ確立を中国はFOCACで繰り返し、行動計画にも盛り込んだ。

習近平氏の基調講演と「行動計画(2025~2027)」を併せて読むと、「グリーン発展パートナーシップ行動」と「安全保障共同構築パートナーシップ行動」が、従来よりも踏み込んだ内容になっている。また、アフリカで活動する中国人・中国企業の保護というローカルな視点と、宇宙・衛星、AI、サイバーなど広範な領域を含むグローバルな視野における安全保障での協力が包括的に盛り込まれている。中国の宇宙状況監視(Space Situational Awareness:SSA)にアフリカを組み込んでいこうとしていることを示唆していよう。

中国・アフリカ間の「グリーン発展パートナーシップ行動」には、気象早期警報運用プラットフォームの構築、原子力技術平和利用プラットフォームの設立、衛星リモートセンシング・月面・深宇宙探査の領域における協力展開までもが含まれている。そこには、中国がアフリカとのグリーン協力体制を、宇宙ガバナンスのルール策定における中国への支持勢力として固めるとともに、中国の資源と権利を獲得していくことにつなげようとしているねらいがあると推察できよう。中国は、すでに、宇宙デブリの監視システムを改善するなどの宇宙交通管理の強化や、宇宙と地上の統合型の宇宙気候監視システムを構築していくことを表明してきている。そのため、国連の枠組みで国際ルールの策定に積極的に参加していくことを訴えている。

◆ 資源への安全なアクセスと中国の民間警備会社

今回のFOCAC「行動計画(2025~2027)」で注目された一つは、アフリカにおける中国の警備会社のあり方が如何に強化されていくのかという方向性についてであった。

中国側がアフリカ諸国に「軍事補助金」を提供し、アフリカの軍人6,000人・法執行官1,000人を中国が招待して訓練し、中国とアフリカが合同軍事演習・訓練・合同パトロールを実施しするなどして、中国が提唱するGSIにアフリカを取り込むことが盛り込まれている。また、アフリカの角やサヘル地域での対テロ能力の強化に中国がいっそう支援していくとともに、東アフリカの14カ国・インターポール・アフリカ警察協力機構(The African Police Cooperation Organisation:AFRIPOL)と安全保障のシルクロードを築き、法執行機関の能力構築に協力していくとしている。

安全保障のパートナーシップ行動の共同構築の提起は、アフリカにおける中国人と中国企業の保護の問題が、中国側にとって従来よりも深刻化していることを物語っている。

アフリカで活動する1万社以上の中国企業と100万人以上の中国人は、「一帯一路」のプレゼンスが大きくなればなるほど、中国企業や中国人を標的とする誘拐事件やテロ攻撃や反中国的な暴力事件や現地のクーデターなどに晒されている。

しかし、人民解放軍は、アフリカで大規模に展開することについて、2024年10月時点ではまだ消極的である。とは言え、中国はアフリカの治安部隊に中国人・中国企業の安全を委ねられるとアフリカ側を信用してはいない。そこで、近年、アフリカでのプレゼンスが拡大しているのが北京徳威(Beijing DeWe Security Service)[19]や華新中安警備集団(Huaxin Zhongan Security Service:HZSS)や中国国際安保集団(China Security Technology Group:CISG)などの中国の民間警備会社である。中国の警備会社は形式的には「民間企業」の体裁をとっているものの、実質的には、中核的な人員は人民解放軍、人民武装警察、警察から採用されている[20]

にもかかわらず、中国の民間警備会社は、ロシアの民間軍事会社のように戦闘作戦に従事することが許されていない。中国の「保安業務管理条例」(2009年9月28日採択・公布、2010年1月1日施行)によれば、警備員は、火器による武装が限定的にしか許されておらず、紛争を解決するための暴力の行使が許されていない[21](ただし、アデン湾における警備は例外)。その代わりに、中国の民間警備会社は受入国の軍隊や警察などの治安部隊と「密接に協力すること」が求められている。中国の民間警備会社はアフリカの紛争に直接参加せず、武装した現地人を雇用し、舞台裏で警察やその他の治安要員を訓練してきている[22]。中国の民間軍事会社が地元の民兵や警備会社に銃を貸し出すことで、近年、ケニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエなどで人権侵害の事件につながるケースも発生している。こうした状況は、当該地での反中感情を高めてしまうことになる。

アフリカで働く中国人の安全強化について、2022年の中共第20回全国代表大会において、習近平氏は「国家安全を守る能力を強化する。――[中略]――海外の安全保障能力構築を強化し、正当な権利と利益を守る。中国の公民および海外法人の海洋権益を保護し、国家主権、安全保障、発展の利益を断固として擁護する」[23]と訴えていた。にもかかわらず、それから僅か半年後の2023年3月に起きた中央アフリカ共和国の鉱山で9人の中国人労働者が殺害された未解決事件は、アフリカで働く中国人に対するリスクの増大を、中国共産党や中国政府の指導者達に一層強く痛感させることになった。

2024年北京FOCACにおける「行動計画(2025~2027)」や「安全保障共同構築パートナーシップ行動」で示されている内容から筆者が推察するに、アフリカにおける中国の民間警備会社の存在や行動範囲は遠くない将来に拡大する可能性が高いのではなかろうか。

Ⅱ 対アフリカ政策の5本柱

「FOCAC北京宣言」と「FOCAC北京行動計画(2025~2027)」の考察から見えてくる中国の対アフリカ政策の主なねらいとして、以下の5点を挙げられる。①非欧米型の統治モデルの擁護と相互支持、②多国間機関におけるルール策定をめぐるグローバル・サウスの代表性・発言権の拡大、③クリティカル・ミネラルをはじめとする鉱物貿易の安定的なサプライチェーンとグローバル・バリューチェーンの確保、④アフリカで活動する中国人・中国企業の保護、⑤アフリカにおける2カ所目の海外拠点の創設、⑥アフリカのSSAへの組み込みや宇宙・地上統合型の宇宙機構監視システムをめぐる国連でのルールの策定。④と⑥については第Ⅰ節で論じた。⑤については第Ⅲ節で述べる。本節では、①~③について論じていく。

◆ 非欧米型の統治モデルの擁護・相互支持とグローバル・サウスの代表性・発言権の拡大

第1のねらいは、欧米型の民主主義とは異なる統治モデルの共同推進と西側からの批判に対する抵抗でアフリカ諸国と連携しようとしている点である。言い換えれば、中国が説くところの「新型国際関係」の推進、並びに、西側の中国に対するデカップリング/デリスキング[24]へ抵抗するための「おともだち圏」=ネットワークの形成である。

第2に、1点目と表裏一体にある、多国間機関における代表制と発言権の拡大である。中国にとってのグローバル・サウスとの協力には、南南協力の推進だけでなく、グローバル・サウスがグループとして台頭し、国際社会において西側へのパワー・バランスを形成するうえでの重要な役割を果たすことを期待している。

中国とアフリカの双方が「アフリカは大国のパワーゲームを競う場ではなく国際協力のパートナーであると見做している」ことが「行動計画(2025~2027)」で謳われている[25]。しかし、実際には、大国間の勢力圏競争やアメリカへの対抗を強く意識した内容になっている。例えば、人権問題の政治化への反対、国連やBRICSでの協力、「WTO開発のための投資円滑化に関する協定」をWTO枠組みに組み込むための議論における協力、2025年6月30日~7月3日にスペインで開催される第4回開発資金国際会議(FfD4)[26]における協力などが盛り込まれている。2025年のFfd4では、国際金融のアーキテクチャ(世界銀行や国際通貨基金などの開発途上国への融資、助成金、技術援助の提供方法・条件を決定する機関)を改革するための取り組みが強化されることになっている。

アフリカ側が中国と協力し、現代化を推進することで共通の発展と繁栄を実現すること、また、互いの政治体制を自主的に選択する権利を尊重し、それぞれの文明の特色と発展の必要性に基づいて現代化モデルを模索することを支持することが「行動計画(2025~2027)」に明記されている。そのうえで、中国とアフリカが発展理念の結合を強化し、中国とアフリカの間に現代的な経験の交流と自律的な知識体系のプラットフォームを構築しよう、と中国はアフリカ側へ呼びかけている[27]。中国とアフリカは、国家、立法機関、政府と地方の省市の間の交流を拡大し、統治、現代化と開発、貧困削減などの経験交流を継続的に深め、協定に基づく現代化の探求において相互に支援していく意向を示している。

FOCAC北京サミットに先立つ2024年3月8日、中国とアフリカの政府関係者、学者、起業家など300人以上が参加した第13回「中国アフリカ・シンクタンク・フォーラム」がタンザニアのダルエスサラームで開催された。同フォーラムでは、「国際開発協力の深化に関する中国・アフリカ・シンクタンク・コンセンサス」いわゆる「ダルエスサラーム・コンセンサス」を発表した。この声明で中国はアフリカ諸国とともに国際社会に対して、各国の国情や民族の文化的・歴史的側面に則した現代化を実現するべきと強調した[28]

そのうえで、中国はアフリカ諸国が自国事情に基づいて下した政治的・経済的選択を尊重し、内政に干渉せず、アフリカへの援助に条件を付けない、と「行動計画(2025~2027)」に盛り込んだ。また、中国は、アフリカ諸国がグローバル・ガバナンス、特に地球規模の問題を解決するための包括的な枠組みにおいて、より大きな影響力と役割を果たすことを支援していることを訴え、アフリカ連合がG20の正式メンバーとなることを支援し、より多くのアフリカ諸国がBRICSファミリーに加わることを歓迎するとした。さらに、中国とアフリカを含む発展途上加盟国の正当な利益を守るために、アフリカの代表を増やすことで、国連安全保障理事会を改革し、世界銀行・国際通貨基金の特別引き出し権・議決権の改革などを促進し、途上国の代表性と発言権を拡大させていこうと訴えている[29]

◆ クリティカル・ミネラル(重要鉱物)

第3に、「クリティカル・ミネラル(重要鉱物)」[30]を主軸とする貿易関係の拡大である。世界が脱炭素化へ向かうにつれ、ソーラーパネル、風力タービン、電動自動車(EV)などの再生可能エネルギーの生産や設備において、リチウム、コバルト、ニッケルなどのクリティカル・ミネラルの重要性が激増している。アフリカは重要鉱物の埋蔵量が多く、再エネ投資も増加傾向にある[31]

国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)が2023年7月に公開したCritical Minerals Market Review 2023によれば、クリーンエネルギーの増加と電力網の大幅な拡張に伴い、リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト、希土類元素などの主要なエネルギー転換鉱物の需要増加率が急増しており、クリティカル・ミネラルの需要は2030年までに倍増が見込まれている。銅やリチウムでは欧米企業が主要な供給をしているのに対して、ニッケル(主に東南アジアのインドネシアで採掘)とコバルト(主にアフリカのコンゴ民主共和国で採掘)の生産で、中国企業は大きなプレゼンスを見せている[32]

国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development:UNCTAD)がアフリカの再生可能エネルギーやサプライチェーンなどの分析を示したEconomic Development in Africa Report 2023によれば、需要が伸びているクリティカル・ミネラル埋蔵量のアフリカのシェアは高い(コバルト:48.1%、マンガン:47.6%、天然グラファイト:21.6%、銅:5.9%、ニッケル5.6%)。世界のマンガン埋蔵量約15億トンのうち、南アフリカ共和国が6億4,000万トンを占めており、スマートフォンのバッテリーなどに利用されているコバルトの世界の埋蔵量760万トンのうち、コンゴ民主共和国が約46%の350万トンを占めている[33]。クロム、リチウム、天然グラファイト、ニオブ、希土類金属、銀、テルル、チタンといった低炭素移行に重要な金属や鉱物もアフリカで生産されている。

こうした背景もあり、FOCAC北京サミットにともなって国賓として元首が訪中したアフリカ諸国のなかでも、南アフリカ、ジンバブエ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国の元首と習近平氏の会談は、ひときわ注目された。

◆ 南アフリカ共和国

BRICSのメンバー国であり、2025年にG20の議長国を務めることになっている南アフリカ共和国は、中国のグローバル・サウス外交において存在感を増している。

南アフリカ政府は、FOCACで訪中したシリル・ラマポーザ大統領が中国と締結した8つの協定により、より多くの鉱物、商品や製品、農産物の中国への輸出拡大につながることになるとアピールしている。また、南アフリカ政府は、エネルギー安全保障の課題で中国が南アフリカの大きな助けとなるであろうとも語っている[34]

習近平氏と南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、2024年9月2日、両国関係を「新時代の全方位的戦略協力パートナーシップ」に昇格させ、中国と南アフリカのハイレベルな運命共同体構築を加速させると表明した。共同声明で、両国は農業、衛生、医学、インフラ建設など伝統的分野での協力を深化させ、デジタル経済、新エネルギー、人工知能などの重要な分野に焦点を当て、再生可能エネルギー、貯蔵エネルギー、送配電などの分野での互恵協力をさらに拡大することを明らかにした[35]

再生可能エネルギー分野への投資が急拡大しているアフリカでは、南アフリカ、エジプト、モロッコなどでソーラーパネルの製造が急増し、アフリカ域外に供給するプロジェクトも拡大している。南アフリカから中国へ原材料を供給されるだけでなく、アフリカ内で製品化していくことで、中国のサプライチェーンやグローバル・バリューチェーンを強化することに繋がっている。アメリカが友好国・地域を巻き込みながら、デリスキングの名のもとでデカップリングを進めるなかで、中国はサプライチェーンの再構築にアフリカを組み込み、分断リスクに対応している。

◆ ジンバブエ共和国

金、白金族金属、ニッケル、クロム、ダイヤモンドなど鉱物資源が豊富なジンバブエでは、手作業採掘の未加工リチウムをはじめとする鉱物輸出が厳しく管理されている。しかし、中国の鉱業大手3社(浙江華友、中鉱資源集団、誠信集団)は、その禁止措置の対象になっていない。ジンバブエにとって中国は特別な存在である。2023年秋には中鉱資源集団の王平衛董事長が、リチウム製品の産業チェーンをジンバブエに構築し、太陽光発電所建設を急ぎ、持続可能な発展の実現を後押ししていくと話した[36]ことにも示されていたように、中国企業が独占しているジンバブエ、ナミビア、ナイジェリアでは、それらの国の政府がリチウムの輸出を制限し、それらの国に中国が建設した精製所が加工することで、中国は現地で付加価値をつくるサプライチェーンの構築を試みているのである。

中国とジンバブエは、2024年9月3日、包括的・戦略的協力パートナーシップの関係をさらに深化させ格上げすることで合意した。ジンバブエのエマソン・ダンブゾ・ムナンガグワ大統領は、習近平氏と会談し、両国が「政治、経済・貿易、安全保障、人文、国際協力を5本柱とする確固たる協力枠組み」を構築し、手を携えて高水準の「中国・ジンバブエ運命共同体」を構築する必要があるとの認識で一致した[37]

2024年9月3日に公表された「運命共同体の構築に関する共同声明」は、中国がジンバブエの主権、安全保障、開発利益を保護し、ジンバブエと開発戦略を「徹底的に連携」させ、投資、貿易、インフラ、エネルギー・鉱物、クリーンエネルギー、デジタル経済、アボガドなどの農業の分野で互恵協力を拡大し、コネクティビティのネットワークの構築を支援することに意欲があることを盛り込んだ。また、両国が、レアアースや重要な鉱物管理政策に関する経験の交換を含め、鉱物分野における互恵協力を強化することが共同声明に明記された。さらに、中国企業によるジンバブエの新エネルギー・バリューチェーン開発プロジェクトへの投資をジンバブエ政府が歓迎することや、ジンバブエの鉄道システムの改修や「デジタル・ジンバブエ」などのさまざまな形でのインフラ建設に中国企業が参加できるようにジンバブエ政府が支援することも謳われた[38]

両国の関係の基軸は、もちろん鉱物貿易だけではない。中国はジンバブエの主権、安全保障、開発利益の保護を支持し、欧米を念頭に「外部からの干渉」と「不法な制裁」に反対し、ジンバブエとの国家統治・行政における経験交流を強化し、引き続き断固として相互支援を行う意向である。中国は、中国で学ぶジンバブエ学生に奨学金を提供し続けることを表明している。また、ジンバブエは中国と国家間と政党間の統治経験の交流を強化する意欲を示している。9月3日の共同声明で、ジンバブエは、習近平氏が提案した人類運命共同体を高く評価し、習氏が提案した平和、発展、公平、正義、民主主義、自由という「共通の価値観」を高く評価し、中国が提唱する多極世界の秩序観に同意を示している[39]。ここに、中国の説く「人類運命共同体」の中核が、アメリカをはじめとする西側からの干渉と制裁へ共に抵抗し、非民主的な政治体制への相互支持にあることを物語っていると言えよう。

◆ ナイジェリア連邦共和国

アフリカ最大の人口を誇るナイジェリアは、西アフリカにおいて指導的な地位にある。同国は、新興国のみならずG7諸国とも関係が強い。中国のアフリカ政策におけるナイジェリアは、外交でも、地政学的でも、鉱物戦略でも、重要な位置づけにある。

ナイジェリアは原油、天然ガス、リチウム、錫ニオブタンタル鉱、金鉱、鉄鉱石などの鉱物資源が豊富である。しかし、リチウムの採掘について、ナイジェリア政府は、外国企業へのライセンス供与にあたり、リチウム加工や精錬工場が国内に設立されなければ外国企業によるリチウムの採掘や輸出を許可しないなど、外国企業への規制を強化している。ナイジェリアでもジンバブエと同様、中国に有利なサプライチェーンが構築されている。

そうしたなかで、中国の生態環境部は、2023年12月8日、ドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の際、ナイジェリアの電力省と中国企業によるリチウムイオン電池製造工場建設に関して投資契約に合意したことを発表している。

FOCACサミットに先立つ2024年9月3日には、ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領と習近平氏が、中国とナイジェリアの「包括的戦略パートナーシップ」を深化させ、「運命共同体の構築に関する共同声明」を発表した[40]。中国側は、ナイジェリアのECOWASでの主導的役割を支持し、ナイジェリアの軍事装備や情報収集の支援を表明した。ナイジェリア側は「1つの中国」の原則を支持し、両国は中国が唱導する「人類運命共同体」「一帯一路」「グローバル発展イニシアティブ(Global Development Initiative :GDI)」「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative :GSI)」「グローバル文明イニシアティブ(Global Civilization Initiative :GCI)」に賛同し、国連やG20、BRICSでの相互協力を強化することを確認した。また、ナイジェリアと中国は、通貨スワップ協定を通じて人民元の利用拡大を図り、ナイジェリアが新エネルギーや鉱物資源の開発、ナイジェリアでの中国企業との工場設立を歓迎することに合意した。ピーナッツなどの農業、インフラ建設、人工知能、デジタル技術、北斗測位衛星システムの「応用」、原子力発電の協力を含む幅広い分野で連携を深めることも二国間協力文書で両国は署名している[41]

◆ 2つのコンゴ:コンゴ民主共和国とコンゴ共和国

アフリカには2つのコンゴがある。コンゴ共和国は、1960年にフランスから独立後、1969年に国名をコンゴ共和国からコンゴ人民共和国に変更し、1991年にコンゴ共和国に戻している。一方、コンゴ民主共和国は、ベルギーから独立後、1971年に国名をコンゴ共和国からザイール共和国に変更し、1997年にコンゴ民主共和国へ変更した。

コンゴ共和国[42]では、輸出の多くを原油産業が占め、経済の大部分を原油に依存している。

もう一方のコンゴ民主共和国は、コバルト(生産量世界第1位)、タンタル(生産量世界第1位)をはじめ、銅、ダイヤモンドなどの鉱物資源に恵まれており、GDPの約4分の1、輸出品の約9割を石油・鉱物資源が占め、鉱物生産の増加がGDPの成長を牽引している。中国のクリティカル・ミネラルの戦略において重要な国の一つが、コンゴ民主共和国である。スマートフォンバッテリーなどにも利用されているコバルトの世界の埋蔵量の約半分近くをコンゴ民主共和国が占めている[43]からである。

そのため、アメリカやEUを中軸とする西側諸国は、コンゴ民主共和国における中国の圧倒的なプレゼンスに対して巻き返しを図ろうと、グローバル・インフラ・イニシアティブ(Partnership for Global Infrastructure and Investment:PGII)の一環として、アフリカ西部の大西洋岸に面するアンゴラのロビト港からコンゴ民主共和国とザンビアの「カッパー・ベルト地帯」と呼ばれる地域を結ぶ「ロビト回廊」構想を打ち出している。中国が既にアンゴラ共和国、コンゴ民主共和国、ザンビア共和国、タンザニア連合共和国を結ぶ横断鉄道を展開していることから、コンゴ民主共和国をめぐり「中国vs.アメリカ+EU」の勢力圏競争が展開されている。こうした状況下を利用して、コンゴ民主共和国は、中国の「一帯一路」に一方的に組み込まれるのではなく、西側諸国からも中国側からも投資を受けれ、両側からのコミットを増額させようとしている。

コンゴ民主共和国のフェリックス・アントワン・チセケディ・チロンボ大統領と習近平氏の会談は、中国外交部のウエブサイトの北京FOCACをめぐるサミット一覧において最初に掲示されていた。そこから、中国にとってのコンゴ民主共和国の重要性がうかがえる。

2024年9月2日人民大会堂での会談では、習近平氏が2023年5月に中国とコンゴ民主共和国が両国の関係を「包括的な戦略的協力パートナーシップ」[44]に共同で格上げしたと指摘し、両国は、貿易と投融資協力の拡大や、貿易と投資の自由化・利便化のレベルをさらに高めることで合意した。両国は、より多くの中国企業がコンゴに投資し、事業を展開することを奨励し、インフラ整備、エネルギー、鉱業、林業、民間航空などの分野における両国の互恵協力を拡大し、産業チェーンとサプライチェーンをめぐる国際協力を推進していくことで合意し、経済連携の共同開発、人材育成、税関能力構築、ジャーナリズムなどの多数の分野における二国間協力文書に署名した[45]

こうした一連の合意には、米中間の「デリスキング」という名の「デカップリング」の厳しい環境のなかで、アフリカ現地での中間製品化を進めることで、サプライチェーンとバリューチェーンを強化するという中国のねらいが見える。鉱物のサプライチェーンは、鉱物の採掘、輸送、出荷、加工、精錬、精製および合金化、そうした過程を経た鉱物を用いた製品の製造および販売から成る。

コンゴ民主共和国と言えば、「紛争ダイヤモンド」をはじめ、低賃金重労働による搾取、子供の徴兵、女性への組織的暴力などの深刻な人権侵害を行っていることで有名な国である。そのため、アメリカではドッド・フランク法1502条の対象になっている。また、中国側からすれば、コンゴ民主共和国における探査と採掘にとどまらず現地での鉱物の溶解・製造を進めれば、初期抽出物の輸送コストを削減できることになる。

Ⅲ 「宇宙情報回廊」の拡大と「第6列島線」の構築を進める中国

◆ 第1列島線~第5列島線

中国はアフリカにおける勢力圏を拡大しようとしている。

バイデン政権下のロイド・オースティン国防長官をはじめ、アメリカの高官らが、中国はインド太平洋地域などで一段と強引かつ独裁的になっており、中国の指導者たちは戦力投射能力を拡大し、軍事基地の世界的ネットワークを確立しようとしている、と警鐘を鳴らしてきた[46]

アメリカの国防総省の公式レポートで言及されているのは第1~2列島線までであるが、研究者やメディアや実務関係者の間では、第3列島線から第5列島線における中国の動向が議論されている。第4列島線と第5列島線は構築の実現に至ったとはまだ言い切れないが、「一帯一路」により中国にとっての機は熟していると言える。

第1列島線は、千島列島、日本列島、九州沖から沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島を結び南シナ海に至る中国にとっての国防の最低ラインである。

第2列島線は、小笠原諸島や米領グアムを経由してパプアニューギニアに至る防衛ラインである。第2列島線の周辺には、アメリカが自由連合協定(Compact of Free Association:COFA)を締結しているパラオ共和国、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦がある。

第3列島線はアリューシャン列島からハワイ諸島、アメリカ領サモア、フィジーを経てニュージーランドに至る列島線である。近年の第3列島線をめぐる勢力圏競争において、キリバスやソロモン諸島などの地政学的に重要な地点については、中国が優勢にある[47]

第4列島線は、パキスタンのグワダル、スリランカのハンバントタ、モルディブへと南下する[48]。この地域における中国の台頭を念頭に、インドはモーリシャス共和国で軍事基地を準備している。そのモーリシャスに対してイギリス政府が、2024年10月、チャゴス諸島を返還すると発表した。チャゴス諸島最大の島はディエゴ・ガルシアである。イギリスとモーリシャスの同意により、ディエゴ・ガルシアにある米英軍基地は引き続き99年間使用継続されることが合意されている。

第5列島線は、ジブチからアフリカの角を回り、東アフリカの海岸線に沿ってモザンビーク海峡、南アフリカに南下する防衛ラインである。ジブチにおける中国軍基地のドラレ基地は、経済資源の活用、海賊対策活動の実施、海外在住の中国人の保護など、アフリカと西インド洋における中国の関与と影響力の重要性を反映している[49]。そうした状況を受けて、アメリカの国防総省は、ケニア、タンザニア、モザンビーク、セイシェルについて、中国が人民解放軍の基地や兵站施設の開設を検討していると、警戒している[50]

◆ 戦略的に狙うサブサハラでの権益

近年、中国からナイジェリア連邦共和国、セネガル共和国、ベナン共和国、サントメ・プリンシペ民主共和国、コートジボワール共和国、カメルーン共和国、ガーナ共和国などの西アフリカへの融資が目立っている。中国は、従来のアフリカ東部・南部を重視した投資から、大西洋側をも重視していることが地政学的に注目されている。軍事的な協力を含む人民解放軍の港湾へのアクセスが、中国の投射能力と海上交通路(シーレーン)への脅威を増大させる可能性があるからである。

中国のグローバル・サウスへの「支援」は、2016年を転換点として、地政学的・戦略的に重要な国家に集約するようになってきている。中国は、アフリカにおける港湾、水力発電所、鉄道などのインフラ整備の多くのプロジェクトにおいて採算が取れないことから、政府融資を大幅に削減してきている。中国政府は、政府に代わって官民パートナーシップ(Public Private Partnership:PPP)をアフリカにおける新たな投資手段として奨励しているが、民間は債務返済困難なアフリカでのプロジェクトに消極的である[51]。にもかかわらず、貧困から抜け出せないサブサハラのアフリカへの投資が注目されているのは、その地政学的な重要性にある。

◆ 大西洋で初の恒久的な軍事拠点開設をねらう中国

中国が2017年に初の海外拠点をジブチに設けたことをはじめ、従来の中国の軍事プレゼンスは、インド太平洋地域をめぐり議論されてきた。2014年頃から大西洋のポルトガル領テルセイラ諸島に対する中国の経済的なプレゼンス拡大が西側メディアで注目されるようになっていたが、2019年前後から、テルセイラ諸島ラジェス(特に、テルセイラ島の戦略的に重要な位置にあるプライア・ダ・ビクトリア港)から西アフリカに南下する地域での中国の動向に、米軍が警戒するようになっている。

「海洋強国」と「宇宙強国」を目指す中国は、テルセイラ諸島から以南、大西洋に面したアフリカ西岸へ南下するラインで、インフラ、宇宙、港湾、海運、産業に投資の攻勢をかけている。この地域における中国プレゼンスの拡大は、カリブ海のトリニダード・トバゴ共和国などにおけるそのプレゼンスと併せて、中国がアメリカを牽制するエリアとして、アメリカの政府や軍から警戒されている。

西部アフリカにおける中国の動向に米軍が警戒を顕わに示していった2019年に、中国は人民解放軍の海外拠点建設へ向けた国内法の整備を強化した。中国は、2019 年に国防部による国防法改正作業を始め、全国人民代表大会常務委員会による 2 回の審議を経て、2020月12月26日に改正国防法が制定・公布され、2021 年 1月1日に同法が施行された。改正国防法で追加された第22条には、「新時代における軍の使命・任務」として、「国家の海外における利益の保護」も明記された。また、改正国防法第68条には、「海外にいる公民、組織、施設等の安全を保護する」という条文が追加された[52]

中国はアフリカの大西洋側で初の恒久的な軍事拠点開設をねらうとみられており、「アフリカにおける中国人と中国企業を警備する以上のもの」になるのか、その動向が警戒されている。

◆ 赤道周辺の政治的意味:中国がねらう静止軌道上の衛星を破壊できるASAT開発

赤道ギニア本土最大の都市にある、最大の港の1つであるバタ港は、2006年に中国輸出入銀行が最初の資金を提供し、2014年に中国交通建設公司の子会社によって建設された。2015年には、ファーウェイ・マリン・ネットワークスが赤道ギニア政府から、同国とヨーロッパをつなぐ海底ケーブルシステムの契約を獲得した。

中国は大西洋で初の恒久的な軍事拠点を開設するために、2021年、赤道ギニア政府の関係者と接触した。それは、アメリカ東海岸と大西洋を挟む対岸で中国軍艦が再武装できる修理施設を建造する可能性を示唆することであり、ホワイトハウスと国防総省を警戒させた。中国の動きを阻止するために、アメリカのジョン・ファイナー国家安全保障会議副補佐官らは、同年10月、赤道ギニアなどを訪問し、テオドロ・オビアン・ンゲマ・ンバゾゴ大統領親子との会談で、「中国の提案を断るべきである」と説得した[53]

しかし、アメリカと中国の攻防はこれだけでは終わることはなかった。

2022年3月、当時の米陸軍のアフリカ軍司令官スティーブン・J・タウンゼント大将が、中国はアフリカのモーリタニアからナミビアに至る範囲で新たな基地候補先を探しており、アメリカの国家安全保障の課題になる、と述べていた[54]。タウンゼント大将は、同年7月28日の国防記者会見においても、同様の話をしていた。

ギニア湾周辺でのプレゼンス拡大、つまりは赤道上空周辺での中国のプレゼンス増大は、軍事的にも大きな意味をもつ。気象衛星や放送衛星などに利用されている「静止軌道」は、赤道上空の高度約3万6000kmの円軌道を飛行する軌道である[55]。この軌道上の衛星は地球の自転と同じ周回周期で移動するため、地球上のほぼ同じ場所を観測し続けることができる。地球の自転速度は赤道に近ければ近いほど大きくなるので、赤道に近い場所からロケットを打ち上げるのが望ましいとされている。

アメリカ国防情報局(Defense Intelligence Agency:DIA)が2022年4月12日に公表した宇宙の安全保障に関する報告書によれば、米軍による紛争介入を抑止する狙いで中国とロシアが衛星攻撃を目的とした兵器の開発を拡充しており、アメリカの軍事力を支える衛星を弱体化させる能力を獲得している中国は、すでに高度2000キロメートル以下の低軌道で運用する衛星を攻撃する地上発射型の対衛星ミサイルを配備し、高度3万6000キロメートルの静止軌道の衛星にも届くミサイルを開発する可能性があるという[56]。翌年10月には、アメリカの国防総省が毎年連邦議会に提出している年次報告書において、「中国の人民解放軍が指向性エネルギー兵器と衛星ジャミング装置の開発に加え、地球低軌道衛星を標的とする地上配備型衛星破壊(ASAT)ミサイルを運用している」、「中国はおそらく、静止軌道上の衛星を破壊できる衛星破壊兵器をさらに開発する意向であろう」と公表していた[57]

こうした中国の軍事的な戦略を鑑みれば、ギニア湾周辺のアフリカ諸国における中国の衛星支援の背後にある宇宙戦略について、西側は慎重に分析していく必要がある。

◆ 「宇宙情報回廊」とアフリカ

アフリカの「アジェンダ2063」の「15の旗艦プロジェクト」の11項目目は、「アフリカ宇宙空間戦略」を掲げている。アフリカは宇宙開発を促進しようとしている。アフリカの宇宙産業に最も積極に参加してきている国が中国である。中国は、衛星通信と地球観測におけるアフリカの能力開発を支援するために、資金と訓練を提供し、衛星と地上局を建設し、衛星航法と気候監視で協力してきた。そうした中国によるアフリカへの支援は、習近平氏が「宇宙強国」を打ち上げる前から行われてきている。

ナイジェリアとは、中国航天科技集団公司傘下の中国長城工業総公司とナイジェリア通信衛星社が2009年に結んだ契約に基づいて、2011年12月、四川省西昌衛星発射センターからナイジェリアの通信衛星NigComSat-1Rを搭載したロケット「長征3号乙」が打ち上げられて以来の協力関係にある。中国航天科技集団公司傘下の中国宇宙技術研究院が衛星「東方紅4号」の技術を採用して開発した通信衛星NigComSat -1Rは、アフリカ中西部、南部、欧州中東部、中央アジアの一部をカバーしてきた。

習近平氏が2017年に「宇宙強国」を打ち上げてから、そうした支援が加速された。
アルジェリアとは、アルジェリア宇宙局が中国航天科技集団公司に発注した通信衛星「アルジェリア1号」が、2017年12月、打ち上げられて、定点に成功した。同プロジェクトは、衛星、ロケット、地上制御システム、地上応用システムが含まれる天地一体化プロジェクトとなった。2020年には、中国の航天科技集団五院が北アフリカのアルジェリアに輸出した「阿星1号」通信衛星と地上基地が、アルジェリアで発行された500ディナール紙幣に描かれたほどであった。2019年11月には、スーダン初の衛星が中国から打ち上げられた。また、翌月には、中国はエチオピアに、気候変動の研究、及び農業・林業・水資源・災害モニタリングなどの分野に応用できる衛星、地上システム、衛星発射、プロジェクト育成を含むマルチスペクトルリモートセンシング衛星を提供した。エジプトとは、2023年6月にカイロに衛星組立・試験センターを建設し、12月に中国がエジプトに提供した衛星MisrSat-2の打ち上げに成功した。この衛星は、農業、鉱物資源の探査、地表水源の特定、気候変動が環境に与える影響の調査などで利用されている。また、同月には、中国とエジプトは中国主導の国際月研究ステーション(ILRS)での協力を含む一連の宇宙協定に署名した。エジプト宇宙庁(EGSA)は、2024年8月、宇宙技術の開発を手がける香港のUSPACEテクノロジー・グループとの合弁会社設立を発表している。ILRSプロジェクトには、南アフリカも2023年9月加わっており、南アフリカ宇宙庁(SANSA)がILRSプロジェクトの実証、ミッションの実施、運用と応用、教育と訓練に協力することになっている。さらに、南アフリカと中国の宇宙機関は、BRICSリモートセンシング衛星群の枠組みの中で、リモートセンシングデータの交換と応用、および衛星地上局で協力することになっている。

中国がアフリカで宇宙事業に取り組んできている主な動機の一つは、中国の北斗衛星ナビゲーションシステムの採用を促進し、アメリカのGPSの主導的な地位に取って代わることである。また、IoT時代の現在の宇宙状況監視(Space Situational Awareness:SSA)の能力を高めることにあると言えよう。中国は、2018年4月10日に、チュニジアの首都チュニス北部の科学技術パーク内に北斗衛星測位システムの初の海外機構「中国・アラブ北斗センター」を設立した。それ以来、中国はAUやアフリカ諸国と北斗採用について議論を重ねてきている。

中国がアフリカに期待しているのは、宇宙活動に関するグローバル・ガバナンスのルール策定において、「中国にとって望ましい大きな役割や行動」をAUならびにアフリカ諸国が果たすことである。

おわりに

以上考察してきたように、2024年のFOCACで打ち出された中国のアフリカ融資の金額は減額しているものの、それは、中国のアフリカに対する関与の縮小を決して意味していない。むしろ、その内容を見れば、米中競争を反映して、従来よりも包括的で踏み込んだものになっており、中国はアフリカへの影響力を拡大させていく方向にあると言える。

中国もアフリカも「アフリカを大国の競争の場にしない」と謳っているものの、アフリカは、グローバル・ガバナンスの規範策定をめぐる大票田としての舞台から、宇宙・サイバーでの覇権競争をもにらんだ地政学的な競争の舞台になっている。

とは言え、主体性を高めているアフリカ諸国は、そうした米中競争を利用しながら、両陣営からの自らの発展への投資に利用しようとしている面も見受けられる。西側諸国は、アフリカで拡大する中国プレゼンスに打ち勝つことはできないまでも、アフリカ諸国を中国陣営にいかせない、中立的な立ち位置にとどまらせるためのアフリカ外交を進めていく必要がある。

文末注

[1] AUCはAUの事務局としてAUを対外的に代表し、政策・法案の提案・決定事項を執行する(アフリカ連合日本政府代表部[https://www.au-mission.emb-japan.go.jp/files/100674424.pdf])。
以下、URLの最終閲覧日はすべて2024年11月4日である。
[2] 「中非合作论坛」中华人民共和国外交部、2024年4月[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gjhdqzz_681964/zfhzlt_682902/jbqk_682904/]。
[3] リビアのムハンマド・ユーニス・メンフィ首脳評議会議長、スーダンのアブドゥルファッターフ・ブルハン・アブドゥルラフマーン・ブルハン主権評議会議長。
[4] 「习近平:决胜全面建成小康社会 夺取新时代中国特色社会主义伟大胜利——在中国共产党第十九次全国代表大会上的报告」中国政府网、2017年10月27日[https://www.gov.cn/zhuanti/2017-10/27/content_5234876.htm]。
[5] 「关于共筑新时代全天候中非命运共同体的北京宣言(全文)」中华人民共和国外交部、2024年9月5日[https://www.mfa.gov.cn/zyxw/202409/t20240905_11485966.shtml]。
[6] 中国のこうした途上国支援の切り替えについて、例えば太平洋島嶼国の事例について、以下などで論じている。三船恵美「勢力圏競争における大洋州島嶼国の含意と中国リスク―パラオ、キリバス、ソロモンについての考察―」日本国際フォーラム、2024年2月14日[https://www.jfir.or.jp/studygroup_article/10538/]。
[7] 例えば、トンプ政権期のバー司法長官の言葉は、以下で確認できる。William Barr, Transcript of Attorney General Barr’s Remarks on China Policy at the Gerald R. Ford Presidential Museum U.S. Department of Justice, July 17, 2020 [https://www.justice.gov/opa/speech/transcript-attorney-general-barr-s-remarks-china-policy-gerald-r-ford-presidential-museum].
[8] PGIIがとりあげてきている主要経済回廊の開発として、具体的には「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」と「ロビト回廊」の2つがある。IMECと中国についての考察は、以下で論じている。三船恵美「『新時代の中国の特色ある大国外交』における中東ユーラシアと 『一帯一路』に対する国際南北輸送回廊(INSTC)」中東調査会、2024年5月7日 [https://www.meij.or.jp/research/2023/18.html]。
[9] https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-the-pact-for-the-future.pdf
[10] 学而时习「习近平主席宣布中非“十大伙伴行动”」求是网、2024年9月6日[http://www.qstheory.cn/zhuanqu/2024-09/06/c_1130199372.htm]。
[11] 中国の魯班工坊(Luban Workshop)は、中国政府が国外の中国企業との連携を強化して、中国の文化や企業に精通した現地技術人材を育成してきている。中国からすれば、自国の工業規格や技術を拡大する手段になる。アフリカの企業や政府からすれば、技術向上や雇用創出に繋がる。中国アフリカ間の関係発展の重要なツールになっている。
[12] (1)産業促進行動の実施。(2)インフラ施設連結行動の実施。(3)貿易円滑化行動の実施。(4)グリーン発展行動の実施。(5)能力開発行動の実施。(6)健康・衛生行動の実施。(7)人的・文化的交流行動の実施。(8)平和・安全行動の実施。
[13] こうした中国的民主の外交化については、拙稿(三船恵美「外交化した中国的民主」霞山会『東亜』2024年12月号掲載予定)で論じている。
[14] 「中国の特色ある大国外交」については、三船恵美「第15章 大国外交と日本 ―「中国の特色ある大国外交」とは何か―」加茂具樹・渡邊真理子編『現代中国政治』法律文化社、2025年刊行予定、で参照されたい。
[15] 刘海方・黎文涛・唐晓阳・王进杰「当中国式现代化遇上非洲现代化」『世界知识』18期(2024年9月)、12-25頁。中国の著名なアフリカ研究者である劉海芳・北京大学アフリカ研究センター所長、李文涛氏、中国現代国際関係研究院アフリカ研究所所長、唐暁陽・清華大学国際関係学部教授兼部長、王晋傑・北京大学アフリカ研究センター副事務局長との座談会を掲載したもの。同誌は、4月19日に西アフリカのニジェール政権の要請を受けて駐留米軍部隊を撤退させることにアメリカが合意した2日後のニジェールにおける反米デモを16頁に掲載していた。同月12日には、中国国営石油大手の中国石油天然ガス集団(CNPC)がニジェールとの間で、アガデム油田プロジェクトの商業化に向けた覚書を締結したばかりであった。
[16] GSMA, “New GSMA report reveals huge potential for AI to support Africa’s socio-economic growth across agriculture, energy and climate,” July 16, 2024 [https://www.gsma.com/newsroom/press-release/new-gsma-report-reveals-huge-potential-for-ai-to-support-africas-socio-economic-growth-across-agriculture-energy-and-climate/].
[17] 「なぜアフリカでDXが進むのか?生成AIのメリットとデメリットとは」JICA、2024年2月26日[1][https://www.jica.go.jp/information/topics/2023/p20240226_01.html]。
[18] Marcio Cruz (ed.), Digital Opportunities in African Businesses, World Bank Group, May 2024 [https://openknowledge.worldbank.org/server/api/core/bitstreams/e6f2cc1b-ad12-460f-9f17-ff95b69cb378/content].
[19] ギニア、ケニア、中央アフリカ共和国、マダガスカル、ナイジェリア、コンゴ民主共和国などに現地の子会社や支店をもち、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、アラブ首長国連邦に事務所を開設している。
[20] 例えば、VOAは、中国の警備請負業者の99%が元人民解放軍、元特殊部隊、元準軍事警察でもあると報じている。Kate Bartlett, “How Chinese Private Security Companies in Africa Differ From Russia’s,” March 31, 2023, Voice of America [https://www.voanews.com/a/how-chinese-private-security-companies-in-africa-differ-from-russia-s-/7030946.html].
[21] 「保安服务管理条例」中国政府网、2009年10月19日[https://www.gov.cn › content_1443395]。
[22] “Wagner Withdrawal Could Open Door for Chinese Security Companies,” Africa Defense Forum, Jul 18, 2023 [https://adf-magazine.com/2023/07/wagner-withdrawal-could-open-door-for-chinese-security-companies/].
[23] 「高举中国特色社会主义伟大旗帜 为全面建设社会主义现代化国家而团结奋斗——在中国共产党第二十次全国代表大会上的报告(2022年10月16日)」『人民日报』2022年10月26日。
[24] 中国政府と中国メディアは「デリスキング」もレトリックを変えただけの実質的な「デカップリング」であると繰り返し批判している。
[25] 中华人民共和国外交部「中非合作论坛—北京行动计划(2025-2027)」中华人民共和国外交部、2024年9月5日 [https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202409/t20240905_11485697.shtml]。
[26] Ffd4で中国は他のアジア太平洋諸国と交代で副議長を務めることになっている。
[27] 「中非合作论坛—北京行动计划(2025-2027)」前掲。
[28] 「中非智库论坛近期发布《中非智库关于深化全球发展合作的共识》」国际合作中心、2024年6月27日、[https://www.icc.org.cn/strategicresearch/laboratory/worldpolitics/xgwz/2321.html]。
[29] 「中非合作论坛—北京行动计划(2025-2027)」前掲。
[30] どの資源がクリティカル・ミネラルに該当するかという明確な定義はなく、それぞれの国やその年の状況によって異なる(商船三井「脱炭素に不可欠なクリティカル・ミネラル(重要鉱物)」2023年9月4日[https://www.mol-service.com/ja/blog/critical-minerals])。
[31] International Energy Agency, Global Critical Minerals Outlook 2024, May 17, 2024 [https://iea.blob.core.windows.net/assets/ee01701d-1d5c-4ba8-9df6-abeeac9de99a/GlobalCriticalMineralsOutlook2024.pdf].
[32] International Energy Agency, Critical Minerals Market Review 2023, December 2023 [https://iea.blob.core.windows.net/assets/c7716240-ab4f-4f5d-b138-291e76c6a7c7/CriticalMineralsMarketReview2023.pdf].
[33] UNCTAD, Economic Development in Africa Report 2023: The Potential of Africa to Capture Technology-Intensive Global Supply Chains, August 16, 2023 [https://unctad.org/system/files/official-document/aldcafrica2023_en.pdf] .
[34] South African Government News Agency, “SA increases imports to China,” South African News, September 6, 2024, [https://www.sanews.gov.za/south-africa/sa-increases-imports-china] .
[35] 「中华人民共和国和南非共和国关于建立新时代全方位战略合作伙伴关系的联合声明(全文)」中华人民共和国外交部、2024年9月3日 [https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_678284/xgxw_678290/202409/t20240903_11483773.shtml]。
[36] 「津巴布韦总统出席中资锂矿投产仪式」新华网2023年11月30日[http://www.news.cn/world/2023-11/30/c_1130000226.htm]。
[37] 「习近平同津巴布韦总统姆南加古瓦会谈」中华人民共和国外交部、2024年9月3日、[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_677824/xgxw_677830/202409/t20240903_11484419.shtml]。
[38] 「中华人民共和国和津巴布韦共和国关于深化和提升全面战略合作伙伴关系、构建高水平中津命运共同体的联合声明(全文)」中华人民共和国外交部、2024年9月4日[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_677824/xgxw_677830/202409/t20240904_11484698.shtml]。
[39] 前掲、「中华人民共和国和津巴布韦共和国关于深化和提升全面战略合作伙伴关系、构建高水平中津命运共同体的联合声明(全文)」。
[40] 「中华人民共和国和尼日利亚联邦共和国关于建立全面战略伙伴关系、构建高水平中尼命运共同体的联合声明(全文)」中华人民共和国外交部、2024年9月4日[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_678356/xgxw_678362/202409/t20240904_11484700.shtml]。
[41] 「习近平同尼日利亚总统提努布会谈」中华人民共和国外交部、2024年9月3日、[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_678356/xgxw_678362/202409/t20240903_11484430.shtml]。
[42] 2024年のFOCAC北京サミットで中国と共に共同議長を務めたのはコンゴ共和国のドゥニ・サス・ンゲソ大統領であった。習近平氏は、2024年9月6日、北京の人民大会堂でサス・ンゲソ大統領と会談し、両国は「包括的戦略的協力パートナーシップの深化と未来を共有するハイレベルの中国・コンゴ共同体の構築に関する中華人民共和国とコンゴ共和国の共同声明」[1]を発表した(「习近平同刚果(布)总统萨苏会谈」中华人民共和国外交部、2024年9月6日[https://www.fmprc.gov.cn/chn//gxh/tyb/zyxw/202409/t20240906_11486441.html11486441.shtml])。
[43] UNCTAD, Economic Development in Africa Report 2023, op.cit..
[44] 「中华人民共和国和刚果民主共和国关于建立全面战略合作伙伴关系的联合声明(全文)」中华人民共和国外交部、2023年5月26日、[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_677680/xgxw_677686/202305/t20230526_11084472.shtml]。
[45] 「习近平会见刚果(金)总统齐塞克迪」中华人民共和国外交部、2024年9月2日[https://www.mfa.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/fz_677316/1206_677680/xgxw_677686/202409/t20240902_11483165.shtml]。
[46] Jim Garamone, “Austin Tells Reagan Forum How U.S. Will Take on Challenge of China,” DOD News, December 4, 2021 [https://www.defense.gov/News/News-Stories/Article/Article/2861926/].
[47] 第3列島線での大国間攻防については、三船恵美「勢力圏競争における大洋州島嶼国の含意と中国リスク―パラオ、キリバス、ソロモンについての考察―・日本国際フォーラム、2024年2月14日[https://www.jfir.or.jp/studygroup_article/10538/]で論じている。
[48] 第4列島線と南アジアにおける勢力圏競争については、三船恵美「中国の「大国外交」と南アジア」国際貿易投資研究所『世界経済評論』2024年5-6月号(特集「多様化が進む南アジアの国々:現状と今後を知る」)、2024年4月、62~68頁、で論じている。また、第4~5列島線に位置する中東における勢力圏競争については、三船恵美「『新時代の中国の特色ある大国外交』における中東ユーラシアと『一帯一路』に対する国際南北輸送回廊(INSTC)」中東調査会 MEIJコメンタリーNo.6、2024年5月7日[https://www.meij.or.jp/research/2023/18.html] において論じている。
[49] Wilson Vorn Dick, “China’s Reach Has Grown: So Should the Island Chains, Asia Maritime Transparency Initiative, October 22, 2018 [https://amti.csis.org/chinas-reach-grown-island-chains/].
[50] US Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China, DoD, October 2023, p.155.
[51] Boston University Global Development Policy Center, Chinese Loans to Africa Database, September 18, 2023[https://www.bu.edu/gdp/chinese-loans-to-africa-database/].
[52] 「中华人民共和国国防法」国防部网、2020年12月27日[http://www.mod.gov.cn/gfbw/fgwx/flfg/4876050.html]。
[53] Michael M. Phillips, “China Seeks First Military Base on Africa’s Atlantic Coast, U.S. Intelligence Finds: Alarmed officials at the White House and Pentagon urge Equatorial Guinea to rebuff Beijing’s overtures,” Wall Street Journal, December 5, 2021.
[54] David Vergun, “General Says China Is Seeking a Naval Base in West Africa,” DOD News, March 17, 2022 [https://www.defense.gov/News/News-Stories/Article/Article/2969935/general-says-china-is-seeking-a-naval-base-in-west-africa/].
[55] 他方、地上から200km~1000kmの「低軌道」では、軌道周期が短く、リモートセンシング、有人宇宙飛行、データ通信、国際宇宙ステーション(ISS)などに使用されている。
[56] Defense Intelligence Agency, Challenges to Security in Space, DIA, April 12, 2022 [https://www.dia.mil/Portals/110/Documents/News/Military_Power_Publications/Challenges_Security_Space_2022.pdf] .
[57] “Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China: A Report to Congress, Pursuant to the National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2000, DoD, October 2022 [https://media.defense.gov/2023/Oct/19/2003323409/-1/-1/1/2023-MILITARY-AND-SECURITY-DEVELOPMENTS-INVOLVING-THE-PEOPLES-REPUBLIC-OF-CHINA.PDF].