伊藤 憲一
ITO Kenichi
代表理事・会長
財団法人日本国際フォーラム(JFIR)は、1987年3月12日に設立され、今年で設立30周年を迎えます。設立当時の日本の風土には、「外交・国際問題のような天下国家の問題はお上に委せておけばよい」という空気がいまだ強く――実際、当時存在していた非営利のシンクタンクのほとんどすべては、実質的にどこかの省庁の系列機関でした――そのなかでの当フォーラムの船出には、逆風をついての船出のような気負ったものがありました。
当フォーラムは、市民社会の側から、つまり民間・非営利・独立・超党派の立場から、会員および市民の参加を得て、外交・国際問題について研究・討論・交流・提言等の活動を推進し、もって内外の世論の啓発に努めてまいりましたが、それ自体が組織として特定の政策上の立場を支持し、もしくは排斥することはありません。特定の提言の内容について責任を有するのは、あくまでもその提言に署名した者に限られます。当フォーラムは、内閣総理大臣からその活動の公益性を認められて、2011年4月1日に、公益財団法人に移行しました。
当フォーラムは、その活動分野として、(1)政策提言、(2)公開討論、(3)調査研究、(4)対話交流、(5)懇話懇談、(6)国際枠組み、(7)広報啓発の7つの分野を掲げておりますが、いずれの分野でも強調しているのが、「自主性」です。外部からの委託によってではなく、「自らの判断でテーマを選び、自らの資金で経費を賄う」という「自主性」です。このようなことが非営利団体である当フォーラムにおいて可能であるのは、当フォーラムが会員制度を採り、法人・個人会員の皆様が当フォーラムの活動を一貫して支えてきてくださっているからであります。
11年前の2006年4月12日には、インターネット時代到来の恩恵を受けてホームページ(http://www.jfir.or.jp)上に双方向性のe-論壇「百花斉放」を開設することができました。その結果として、会員以外にも広く全国、さらには世界各地の関心を有する皆様の参加を得て、当フォーラムの活動の質量両面でのスケールを拡大することができました。「自主性」だけでなく、当フォーラムの本来の目的である「公益性」や「公共性」の強化にもつながったわけであり、喜んでおります。最後になりましたが、会員ならびに関係各方面の皆様の変わらぬご支援に心からの感謝を申し上げる次第であります。
2017年1月
代表理事・会長
伊藤 憲一