10月4日の高市自民党総裁の出現は、10月10日に至り、公明党の連立離脱を生み、日本政治に混迷を齎した。立憲民主党の、国民民主、日本維新への首相選挙での「玉木首相」推薦の動きはさらに混迷を深くした。しかし、10月15日以来の、高市総裁と、吉村、藤田維新代表による政策協議は情勢を大きく変えた。現状は高市首相誕生の可能性が限りなく高まっていることだが、注目すべきは、公明党の連立離脱から、維新・自民の協調の過程は、日本政治における数の論理に対する、政策論理の優位性を明瞭にしたという新展開である。高市総裁は、この流れを活用し、自民党の再生、活性化を進めている。

第一に、自民党は、長年にわたり、憲法や安全保障において公明党の制約を受けてきたが、これは選挙時の公明党の活動による数の論理を重視したことが大きい。公明党の離脱により、数の論理の制約から解放され、より政策の論理で動けるようになった。その結果、政策の基本で合致する維新や国民民主との連立を探り、維新との政策協議に至った。

立憲民主党は、反自民連合の数の論理として、「玉木首相」を狙ったが実現しなかった。その後、公明党との連携を進めているが、両党は安全保障など政策の類似性があると思われる。

以上から見ると、高市総裁実現以来の状況は、日本政治における政策論理の重要性を高めた点において画期的である。

第2に、維新提案の12項目は、政策論理を進めるうえで重要な枠組みとなったが、高市総裁と、吉村、藤田代表の、真剣な取り組みが、日本政治に新しい局面を開いた。藤田代表は高市総裁への尊敬を表明している。

第3に、高市総裁は、公明党離脱後に国民民主や維新など、憲法、安全保障で合意できる政党との連携を模索したが、自民党の再生・活性化の機会として利用しているようだ。維新要望の12項目は、自民党にとって飲み難いものもあろうが、これへの対応は、自民党の改革の機会と考えていよう。議員定数の削減も、比例の削減が主だとすれば、マイナスばかりでない。

高市新総裁の実現以来、自民党への入党者が続出し、若年者の支持が増えているとの報道がある。上記のように、自民党が、公明の制約から解放され、憲法や安全保障で明確な主張を展開すればその人気は高まろう。高市総裁はその任務に極めて適しており、来るべき、総選挙においても公明党離脱のマイナスを取り戻す可能性は十分ある。

自民、維新、国民民主をはじめ、憲法改正を是とする勢力のそろった状況において、9条を改正し、最高法規としての尊厳を取りかえすことを、改めて、高市総裁に要望するものである。