NEAT第42回国別代表者会議(CCM)開催

2025年8月13日
日本国際フォーラム
東アジア共同体評議会事務局
ASEAN+3(APT)首脳会議の傘下にある「東アジア研究所連合(NEAT)」の「国別代表者会議」(CCM)が、8月13日にNEATフィリピン(フィリピン開発研究所)主催により、下記1.~4.の要領でマニラで開催された。
1.日 時:2025年8月12~13日まで(プログラム [PDF] )
2.開催方法:Conrad Manila, Philippinesにて対面およびオンラインの併用
3.出席者:各国のNEAT代表者など49名。日本からは菊池誉名当フォーラム常務理事が参加し、日本主催WGの報告などを行うとともに、メモランダムへの採択を行うなどした。
4.内 容:
CCMでは、本年度各国が主催した2つのWGから、研究成果としての政策提言が報告され、ASEAN+3首脳会議に提出される「政策提言メモランダム」が採択された。各WGによる提言内容については以下のとおりである。
(1)「持続可能な社会に向けた防災対策」WG(NEAT日本(日本国際フォーラム)主催)
(イ)地域的な防災協力枠組みの強化
APT諸国は、ASEAN防災・緊急対応協定(AADMER)2026–2030作業計画および日本、中国、韓国とのASEAN+1防災作業計画を全面的に支持するとともに、共同防災対応や資源調整の仕組みを強化するためにAHAセンターとの協力をさらに深めるべきである。
(ロ)統合的かつ気候変動に強靭な防災戦略の推進
各国および地域の防災戦略は、仙台防災枠組み、SDGs、各国の気候変動適応計画と整合させるべきであり、その際、自然を活用した解決策や、脆弱なコミュニティを計画・実施に取り込むことに重点を置く必要がある。
(ハ)先進技術と早期警戒システムの導入・拡大
衛星技術、AIによる警戒システム、安全なデジタル基盤を地域的に拡大・共有し、防災関連情報の迅速かつ包摂的な伝達を確保すべきである。
(ニ)包摂的な教育、人材育成、制度構築の強化
防災教育は、幼児期から高等教育、生涯学習に至るまで主流化し、地域共通の認証制度や国境を越えた研究・研修プログラムを導入することで、APT全域の防災実務者の専門性向上と動員を進めるべきである。
(ホ)「Build Back Better」と「Build Better Before」の原則の制度化
地域社会の強靭性を高めるための資金メカニズムを確立する。強靭なインフラへの先行投資、地域主導の防災資金、地域保険メカニズム、包摂的な地域開発計画は、受動的な救援対応から予防的なリスク低減への移行に不可欠である。
(2)「RCEPを通じた東アジアにおけるサプライチェーン連結性の強化」WG(NEAT中国(中国外交学院)主催)
(イ)関税および非関税障壁を低減するための地域協力の強化
APT諸国は、保護主義を防止し関税を削減するとともに、基準の調和、ペーパーレス貿易システムの導入、非関税措置の撤廃に取り組み、東アジアにおける円滑な財・サービスの流れを強化すべきである。
(ロ)ASEAN事務局内のRCEP支援ユニットの強化
(ハ)RCEP活用の促進に向けた重点的取り組みの支援
特に中小零細企業(MSMEs)に対して、啓発活動、企業向け研修プログラム、RCEP作業メカニズムの強化を通じてRCEP利用を拡大すべきである。
(ニ)新たな優先課題に対応するためのRCEP条項の高度化
RCEPは、労働・環境・企業の社会的責任(CSR)に関するより強固な基準を取り込み、また知的財産権(IPR)、原産地規則、貿易技術的障害に関する規則を更新することによって、高品質で持続可能なサプライチェーンに資する協定としての価値を高める必要がある。
(ホ)RCEP加盟拡大および包摂的な地域参加の検討
これにより、RCEPの意義を高めるとともに、地域の多国間経済ガバナンスへのコミットメントを強化することができる。
5.政策提言メモランダム:
採択された政策提言メモランダムは以下のとおり。
・NEATメモランダムNo.22 [PDF]
・NEAT日本主催WG最終報告書 [PDF]
・NEAT中国主催WG最終報告書 [PDF]
以上
文責:事務局