(1)在留外国人の推移等

我が国における在留外国人数は,平成21年~24年(リーマンショックの影響を受けた期間)を除いて,全体的に右肩上がりで推移している。昭和60年の外国人登録者数は85万612人であったが,平成30年の在留外国人数は273万1093人にまで達している。在留資格の内訳は,「永住者」が全体の28.3%と一番多く,「特別永住者」と合わせると全体の約40%を占める。我が国で暮らす外国人のほぼ2人に1人が永住者又は特別永住者であることは,在留外国人の日本への定着率が高いことを示している。また,国籍別内訳では,中国(28%),韓国(16.5%),ベトナム(12.1%),フィリピン(9.9%)で全体の7割近くを占めている。

(2)出入国管理及び難民認定法(入管法)について

入管法は,本邦に入国し,又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに,難民の認定手続を整備することを目的としている。平成30年11月に入管法改正案が閣議決定され,平成31年4月に改正入管法が施行された。入管法では,第5条(上陸拒否事由)において,本邦への入国が拒否される外国人の類型が定められているほか,第24条(退去強制事由)において,本邦からの退去を強制することができる外国人の類型が定められている。この第5条と第24条については,その時代の社会背景やニーズなどにより改正が行われてきた。たとえば,かつて「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)に定める精神障害者」は,第5条の上陸拒否事由に該当したが,平成16年の改正により,「本邦におけるその活動又は行動を補助者する者」が随伴すれば入国可能となった。

(3)外国人労働者の受入れに係る最近の主な取組

最近,我が国では「国家戦略特別区域」及び「総合特別区域」における外国人材の受入れ政策を実施している。いずれも区域を限定して外国人を受け入れる特例措置であり,前者においては,家事支援外国人(平成27年9月施行)や農業支援外国人(平成29年9月施行)を受け入れており,また,後者においては,「特定伝統料理海外普及事業」(平成25年11月施行)として,我が国の伝統的な料理(京料理)の調理に係る業務に従事する活動を行う外国人の在留を認めている。そのほか,東京オリンピック・パラリンピック競技大会関連の建設需要に対応するべく,建設及び造船分野における外国人材の受入れも時限的な措置として運用されている。なお,これらの外国人材は,「特定活動」の在留資格で入国・在留が認められる。

(4)新たな外国人材の受入れ制度と共生社会について

平成31年4月より,現状の在留資格に加えて,新たな在留資格「特定技能」が創設され,「真に受入れが必要と認められる人手不足の分野」で「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材」の受入れが始まった。在留資格の技能水準に関しては,新たに「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設された。「特定技能1号」において,在留期間の上限は通算5年で,家族の帯同は基本的に認められていないが,「特定技能2号」については,在留期間の上限はなく,家族の帯同も要件を満たせば認められる。特定技能の受入れ分野は,現在までの閣議決定により「生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野」とされ,向こう5年間の受け入れ人数の上限が決まっている分野は,介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業,建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業の14分野である。このうち,「特定技能2号」で想定しているのは上記の建設と造船の2分野のみである。出入国在留管理庁では,出入国管理業務に加え,新たな在留資格の創設に伴う在留外国人の増加に対応した在留管理業務,そして外国人の受入れ環境整備のための業務等に全力で取り組んでいる。

(文責、在事務局)