第155回外交円卓懇談会
「デジタル時代の日印関係」
2019年5月21日
公益財団法人日本国際フォーラム
グローバル・フォーラム
東アジア共同体評議会
事務局
日本国際フォーラム等3団体の共催する第155回外交円卓懇談会は、サンジェイ・クマール・ヴァルマ(Sanjay Kumar VERMA)駐日インド大使を講師に迎え、「デジタル時代の日印関係」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。
1.日 時:2019年5月21日(火)15:00~16:30
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.テーマ:「デジタル時代の日印関係」
4.報告者:サンジェイ・クマール・ヴァルマ(Sanjay Kumar VERMA)駐日インド大使
5.出席者:18名
6.講師講話概要
サンジェイ・クマール・ヴァルマ(Sanjay Kumar VERMA)駐日インド大使の講話の概要は次の通り。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、議論についてはオフレコを前提としている当懇談会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。
(1)デジタル分野における日印協力の現状
現在日印間においては、デジタル分野の協力が進展している。両国の繁栄には、持続可能な発展が不可欠であるが、デジタル分野はそれを支える重要な要素である。日本からインドに対しては、新幹線をはじめとする技術協力の他、投資も活発に行われている。そして、特に象徴的なプロジェクトとして「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」などが、日印共同事業として展開されているところである。他に、両国の連携を円滑にすることを目指し、日本語教室も開設されている。
加えて両国企業の間では、今や大企業同士による事業連携以上に、スタートアップ事業における連携が進展している。また、インドは牛乳をはじめとする大規模な食品生産国であることから、日本の優れた食品加工分野業界との連携は大変有益である。今後はさらに、ヘルスケア、気候変動、リスク削減、防災などの関連分野でも連携を強めていきたい。
(2)デジタル分野における日印協力の可能性
インドにおいてデジタルエコノミーは、2035年までに4兆ドル規模の大市場になると予測されている。インドでは、農村部でもデジタル製品が大規模に広がっており、その結果、例えば携帯は30ドル程度で購入でき、月額の使用料は120円程度で、無制限のデータ通信ができる。今やインドのスマートフォン利用者は、米国の総人口よりも多くなっていることから、その市場と今後の可能性は論を待たない。こうしたなかで、日印間のデジタル分野のパートナーシップは重要であり、安倍首相が提唱する「ソサエティ5.0」、モディ首相が提唱する「デジタル・インディア」「スタートアップ・インディア」などの構想は、その主要な部分となる。特に、インドはソフト・ウェア、日本はハードウェアの部分で発展しており、両国のデジタル分野は補完的な部分が多く、さらなる協力が望ましい。
(文責在事務局)