(1)日本国憲法と自衛権

国際法に合致した憲法解釈の確定をすべきである。日本国憲法第9条に関してだが、自衛権は本来、国際法の問題であり、憲法の問題ではない。歴史的経緯、思想的背景および政治的環境によって日本国憲法は本質的には国際的憲法となっているが、それがガラパゴス化してしまったのは、壮大な解釈行為を通じた取り込み作業の結果である。この日本国憲法においては、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大原則が他に優越するとされている。しかし、私は左記原則が「憲法解釈の一つに過ぎず、根拠が無い原則である」と考えている。

(2)憲法の二重構造

日本では、安全保障問題は「表は9条、裏は日米安保」という二重構造で運用されているのが現実であるが、私はそれ自体が矛盾しているとは考えない。しかし、宮澤俊義氏が「大日本帝国憲法を民主的に解釈改憲すれば良い」と主張し、それを、マッカーサーSCAPが却下し、GHQの部下に日本国憲法草案を作成させた。宮澤氏は、GHQによる「押しつけ憲法」への)悔しさから「八月革命説」を生み出したのだと思う。

(3)集団的自衛権めぐる違憲論争

岸政権期までの日本には、「集団的自衛権は違憲か否か」という論争は無かった。佐藤栄作首相になってから沖縄返還にこだわり、ニクソン大統領(当時)の側近のキッシンジャー大統領補佐官(当時)に密使を送る事もした。日米安保と沖縄は密接に絡み合っているが、当時、米国はベトナム戦争参戦中であり、在沖米軍基地から爆撃機が北越空爆のために飛び立っていた等の現状があったため、沖縄が日本に返還され場合、「日本がベトナム戦争に加担する事になる」と批判された。佐藤首相はその批判に対し、「我が国は米国を支持するが、集団的自衛権に関しては違憲だから行使していない」などと二枚舌の回答を行ってしまった。そして、それは田中角栄政権発足後、「1972年の政府見解」内で「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」旨明文化されてしまった。

(文責、在事務局)