(1)TPP(環太平洋パートナーシップ協定)

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)については、その最大の意義は、「アジア太平洋地域において、物品およびサービスの貿易ならびに投資の自由化および円滑化を進めるとともに、(知的財産、電子商取引、国有企業、環境等の)幅広い分野で21世紀型の新たなルールを構築するための法的枠組みについて定める事」である。そのTPP協定は2016年2月に署名されたが、本年1月の米国による離脱表明を受け、11か国による早期発効を目指して検討を進め、本年11月に閣僚間で大筋合意に至った。早期発効の方策につき、7月から事務レベルで協議を積み重ねて来た結果、11月のTPP閣僚会合で大筋合意を達成した。今後は大筋合意を基礎に、継続協議となった論点の対応を含め、可能な限り早期の署名・発効を目指す。

(2)日EU・EPA(経済連携協定)の重要性

日EU・EPA(経済連携協定)については、SPA(戦略的パートナーシップ)とともに、日EU関係の最優先課題であり、日EU関係の重要な基盤として、両者の戦略的関係を更に強化するものである。EUは、我が国にとって、(民主主義、法の支配、基本的人権といった)基本的価値を共有する重要なグローバルパートナーであり、また我が国にとっての主要貿易・投資相手でもある。日EU・EPAは、関税撤廃や投資ルールの整備等を通じて貿易・投資を活発化し、雇用創出、企業の競争力強化等を含む経済成長に資する。また、同EPAは、日本の成長戦略の重要な柱であり、日本企業の欧州市場進出を促進するものである。

(3)RCEP(東アジア地域包括的経済連携)

RCEP(東アジア地域包括的経済連携)については、これが実現すれば、広域経済圏が出現する。世界の成長センターであるアジア太平洋地域経済との連携強化は、我が国が経済成長を維持・増進していくために不可欠である。広域のFTAが実現することにより、参加国間における貿易・投資が更に促進されるとともに、地域における効率的なサプライチェーンの形成等に寄与している。なお、安倍総理は、先般のRCEP首脳会議において、マーケットアクセス、ルール及び協力の三位一体で交渉を主導していきたい旨述べた。

(4)日米関係

日米関係については、2017年2月10日に、安倍首相とトランプ大統領がワシントンDCで最初の首脳会談を行い、日米共同声明を発表し、その中で日米同盟および経済関係を一層強化するための強い決意を確認した。この共同声明では、経済に関し、「日本および米国は、両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長および高い基準の促進に向けた両国の継続的努力の重要性を再確認した。この目的のため、また、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱した点に留意し、両首脳は、これらの共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した。これには、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む」旨、発表した。そして、安倍首相は、(2017年2月11日にはフロリダ州で)トランプ大統領と共に、ゴルフをプレーし、その間、様々な話題についてじっくりと話をした。さらに、(フロリダに)滞在中に発生した北朝鮮による弾道ミサイル発射という挑発行為に対し、その場で共同会見を開催し、日米の強い結束を示した。

(文責、在事務局)