第290回国際政経懇話会メモ
「トランプ新政権と日米同盟」
平成29年2月16日(木)
公益財団法人 日本国際フォーラム
グローバル・フォーラム
東アジア共同体評議会
第290回国際政経懇話会は、河井克行・内閣総理大臣補佐官/衆議院議員を講師にお迎えし、「トランプ新政権と日米同盟」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、オフレコを前提としている当懇話会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。
1.日 時:平成29年2月16日(木)正午より午後12時50分まで
2.場 所:日本国際フォーラム会議室(チュリス赤坂8階803号室)
3.テーマ:「トランプ新政権と日米同盟」
4.講 師:河井 克行 内閣総理大臣補佐官・衆議院議員
5.出席者:25名
6.河井克行・内閣総理大臣補佐官・衆議院議員の講話概要
(1)今回の日米首脳会談について
今回の日米首脳会談は、大成功であった。これまでの相場とは異なり、今回の会談では、冒頭、安倍総理とトランプ大統領の19秒間の握手にはじまり、2日間で計4回共に食事をとったほか、フロリダ州の別荘で一緒にゴルフをするなど、その両者の信頼関係は、過去最高水準と呼ぶに相応しい。さらに、今回の会談では、麻生副総理とペンス副大統領の下での経済対話の発足に加え、G7やG20などの国際会議の際には必ず日米首脳会談を行うことで合意した。ただし、個人的には、今回一番の出来事としては、北朝鮮による弾道ミサイル発射後の日米共同記者発表であろう。日米両首脳がそろって記者発表に臨み、断固非難する姿勢を内外に発信し、信頼関係の強さを印象づけることができた。
(2)日米首脳会談が成功した理由
今回の日米首脳会談実施にあたって、一部マスコミなどからは、早期の日米首脳会談の実施に対して、批判的な論調が見受けられた、おそらく安倍首相はこうした声にも耳を傾けていたと思うが、それでも、日米首脳会談の実施を決断した。安倍総理の胆力、政策的手腕、さらには勝負勘が、今回の日米首脳会談の成功につながったと確信している。
(3)総理補佐官から見たトランプ大統領とは
2012年第二次安倍政権発足後、衆議院の外務委員長に就任した私は、前政権である民主党(現:民進党)政権で大きく毀損した日米同盟を立て直すべく、米国との政治的繋がりの強化に尽力した。とりわけ、ワシントンD.C.と沖縄を最重要地域ととらえ、これまでワシントンDCには23回赴いたほか、会った連邦議員などは172名に及ぶ。私は、米大統領選の投開票前の昨年10月以来、毎月ワシントンD.C.を訪れて、トランプ大統領の側近あるいは共和党関係者と意見交換を行ってきた。そこから見えてきたトランプ大統領とは、真の現実主義者であり、米国経済の活性化を最優先に考えているということであろう。その際のキーワードは、「雇用」と「投資」である。
(4)米国におけるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の位置づけ
TPPに関して率直に言うと、完全に頓挫してしまったとは思っていない。ある共和党議員から聞いた話では、「貿易」という言葉からは、(米国の富が国外に奪われてしまう)ネガティブなイメージを抱く一方、「投資」という言葉からはポジティブなイメージを抱くということである。TPPを詳しく読めば、「貿易」のみならず、「投資」についても、記載されているのだが、この点は十分に理解されていないように思う。今後、日米経済対話の枠組みの中で、しっかりと議論していく必要がある。
(5)今後の日本と世界について
これまでの訪米で感じたことは、トランプ大統領が安倍総理を強く求めているということである。それが、今や国際社会全体が安倍総理を強く求めるようになっており、こうした状況は、我々日本人がこれまで経験したことのないものである。今後は、自国とインド太平洋地域の平和と繁栄を守るために、日本の役割がこれまで以上に拡大するだろうし、そうしなければならないだろう。
(文責、在事務局)