アジア太平洋地域、とくに北東アジアと中央アジアにおける対話と統合の多国間プロセスに参加することは、モンゴルの外交政策の重要な目標のひとつである。冷戦の終結により、北東アジアの国際関係は好転した。域内諸国間の協力が拡大し、相互依存関係が深まっている。しかし、世界の他の地域と比べると、北東アジアの統合プロセスはそれほど活発とは言えない。北東アジアにおいては安全保障と協力の多国間枠組みが必要であり、モンゴルとしても北東アジア問題を協議する公式のメカニズムの創出に向けて尽力している。北東アジアでは、天然資源の豊富なロシア・モンゴル、人的資源の豊富な中国、経済力と技術力の高い日本・米国・韓国がそれぞれ補完し合う形で、協力関係を発展させることが可能だ。北東アジアは国際的輸送・金融・情報などのネットワークの中心になり得るし、天然資源の共同利用やインフラ開発での協力も活発化している。今後、二国間にとどまらず多国間の枠組みでも地域協力を強化することが望まれる。モンゴルは、冷戦の終結によって真に自立した対外政策を行う機会を得た。90年代に民主主義と市場経済を選択し、アジア太平洋のほとんどの国と二国間関係を拡大発展させてきた。その中でも日本は特別の位置を占めている。日本は90年代からモンゴルを一貫して支援してきており、モンゴルも日本の国連安保理常任理事国入りを全面的に支持するなど、日本との協力拡大を最優先方針のひとつにしてきた。朝鮮半島問題については六者協議の成功を強く望んでおり、これを北東アジア全体の対話メカニズムにしていくことが地域の安全保障と信頼醸成にとって必要だと考えている。モンゴルは、地域の経済統合を発展させることが諸国間の信頼醸成と領土問題や歴史的意見対立の解決に寄与すると考え、ASEAN+3や東アジア共同体構想を当初から支持してきた。モンゴルは、域内市場に鉱物資源や鉱業製品を供給することが可能であり、中央アジアと北東アジアの間という地理的位置を利用して、インフラ・通信・エネルギーなどのプロジェクトに参加していきたい。核拡散問題はすべての国にとって重要な問題であるが、モンゴルは1992年に旧ソ連軍が完全撤退した後、その領土を非核地帯と宣言し、1998年に国連総会で『モンゴル国の非核地位に関する決議』が採択された。今後核保有国と国際協定を結び、モンゴルの非核地位を強化・制度化していくことが必要である。

(文責、在事務局)