e-論壇「百花斉放」 e-論壇「百花斉放」 公益財団法人 日本国際フォーラム 公益財団法人 日本国際フォーラム
 「百花斉放」へようこそ。投稿へのコメントでないご意見は「新規投稿する」ボタンをクリックして投稿してください。
 なお、投稿記事を他所において引用、転載する場合は、その記事の出所が当e-論壇であることを明記してください。

投稿日で検索  //// 
キーワードで検索   
※キーワードはスペースで区切って複数の言葉を入力できます。
  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]
新聞の社会的役割が終わる日   
投稿者:中村 仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳) [投稿履歴]
投稿日時:2018-10-31 11:43 [修正][削除]
>>>この投稿にコメントする
No.4278
 秋の新聞週間に合わせて、新聞に対する国民の意識調査(世論調査)を各紙が実施しています。新聞がメディアの主軸であった時代はともかく、情報社会が多様化したにもかかわらず「新聞の役割は何ですか」、「新聞は信頼できますか」などと、読者に尋ねるというのは、奇妙な慣行です。たとえば、自動車メーカーが「車の役割は何ですか」、「車は信頼できますか」と、ユーザーに聞くようなことはしません。役割がなくなれば売れなくなる、信頼できなくなれば買われなくなるというだけのことです。メーカー自身が売れない理由を考え、社会的なニーズにあった製品を造るのです。売れ行き、得られる利益から、その製品が社会から評価されているかどうかを判断するのです。それに対して、新聞業界は「新聞はあなたが必要としている情報を提供していると思いますか」、「新聞は事実を正確に伝えていると思いますか」(読売新聞、14日)などについて世論調査をしています。そして「新聞が事実を公平に伝えている68%」、「新聞報道は信頼できる76%」との結果がでてくると、業界関係者は安心するのです。自分に対する評価を聞き、それを自分の紙面で紹介するという慣行から、いつまで経っても、抜け出せないところに新聞の焦りがあるのでしょう。「公平」「信頼」などで高い点数をもらっても、新聞をとる人が減っているところに本当の危機があります。

 新聞経営者からすると、「ニュースを知る上で、どのメディアを信頼していますか」は64%で、ソーシャルメディアやポータルサイト(ツイッター、グーグル、フェースブック、ヤフーなど)を圧倒しています。それにもかかわらず、信頼性の高低と普及率・利用率の高低はますます無関係になり、新聞は苦戦を強いられています。新聞週間の恒例の調査で、以前から気になっていたのは、新聞をとっていても、購読時間がいかにも短く、その分析がないということです。読売新聞調査では「1日平均でどのくらいの時間、読みますか」の問いに、「10分が18%」、「20分が16%」、「30分が22%」で「1時間」、「2時間」となると、1桁に落ちます。10分、20分では、恐らくラジオ・テレビ欄、天気予報、目立つ大きな見出しをざっと眺めるくらいでしょう。「読んでいる」とは言えない短さです。その上、「全く読まない」は23%ですから、50%以上の人が実質的に新聞を読んでいないに等しい。では、どんな情報産業に脱皮するかこそ重要なのです。インターネットの利用時間調査が行われています。「1時間が23%」(新聞は9%)、「2時間が18%」(同1%)と、やはり新聞を圧倒しています。新聞を購読しない若い世代を対象すると、この数字は倍近くに跳ね上がるでしょう。新聞を読む時間が「10分」「20分」「全く読まない」というデータを新聞の紙面に載せること自体が自己否定を宣伝することに気がつかないのでしょうか。参考になる項目はあります。「新聞に期待していることは何ですか」に対し、「権力を監視する29%」、「世の中の不正を追及する34%」です。権力の監視や不正追及はずっと新聞メディアの中核的な役割でした。それよりも「情報を正確に伝える73%」、「分かりやすく伝える62%」への期待値が高い。

 「権力を監視する」といいつつ、新聞は政権寄りと反政権で対立しています。読者は新聞に「権力の監視」を求めるのはもう無理だから、「正確な情報伝達」、「分かりやすく伝達」を優先してくれればよいに変わってしまった。「新聞社の主張を提示する」への期待はわずか8%にすぎません。「権力の監視」ついていえば、政権首脳の巨悪を暴き、政権を打倒したのは、相当な昔です。最近、目立つのは森友学園、加計学園、官僚による文書改ざんなどで、まあ小悪でしょう。今年の新聞協会賞は朝日新聞がこれらの問題で受賞しました。ついでに言えば、自動車業界では、自動車メーカー自身が投票で年間最優秀車を決めるなどということはしていません。電機業界にも、そんなものはありません。お互いが熾烈な競争をするライバルだからです。同業他社が集まって、業界の最優秀作品を決めるなんという慣行をいまだに引きずっているのは新聞業界くらいでしょうか。新聞週間の華である新聞協会賞の表彰式などという過去の遺物を引きづっていることが、新聞業界の同業者体質の象徴です。どの新聞社をみても、同じような紙面構成、同じような取材体制、同じような販売体制をとっています。最も虚偽が多い政界取材を最高位に位置付けて、取材合戦明け暮に明け暮れ、「真実の報道を目指す」でもあるまいと思います。

No タイトル 投稿者 日時
4290 北方領土と日ロ平和条約締結問題 橋本 宏 2018-11-15 11:50
4289 危うい歯舞、色丹の「2島先行返還論」 杉浦 正章 2018-11-15 06:47
4288 ヨーロッパの良識のピンチ 船田 元 2018-11-14 10:14
4287 シエラレオネについて考える 篠田 英朗 2018-11-13 13:42
4286 日本の海洋安保プレゼンスに評価 鍋嶋 敬三 2018-11-12 12:11
4285 (連載2)プーチン氏の平和条約提言の問題点 ←  (連載1)プーチン氏の平和条 袴田 茂樹 2018-11-08 13:31
4284 トランプが直面する「決められない政治」 杉浦 正章 2018-11-08 06:17
4283 (連載1)プーチン氏の平和条約提言の問題点 袴田 茂樹 2018-11-07 11:58
4282 香港「一国二制度」は終焉間近か 四方 立夫 2018-11-06 17:00
4281 危機に直面する自由貿易体制 船田 元 2018-11-05 14:14
4280 アメリカでの奨学金削減と中国の留学生誘致 古村 治彦 2018-11-02 13:48
4279 日中 「第三国でのインフラ開発協力」は経済原則に則って 四方 立夫 2018-11-01 10:00
4278 新聞の社会的役割が終わる日 中村 仁 2018-10-31 11:43
4277 中国の対日大接近は「強国路線」の一環 杉浦 正章 2018-10-30 04:36
4276 日本主導のTPPがイギリスの危機を救う 赤峰 和彦 2018-10-29 13:10
4275 英中および英欧関係に関して三船恵美教授に質問 ←  (連載2)中国・欧州関係か 河村 洋 2018-10-26 23:17
4274 「一帯一路」構想と日本のインフラ支援 倉西 雅子 2018-10-26 17:50
4273 サウジの米、トルコとの軋轢深刻化 杉浦 正章 2018-10-25 06:29
4272 鄧小平の柔らかな手 鍋嶋 敬三 2018-10-24 12:02
4271 わが国の北極戦略はどうあるべきか 四方 立夫 2018-10-23 13:37

  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]