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2008-08-30 06:28
(連載)地球規模課題で日本は欧米との協力を重層化せよ(1)
古川勝久
(独) 科学技術振興機構社会技術研究開発センター・フェロー
先月、イギリス国防省戦略企画室当局者と、気候変動がもたらす地政学的影響について話していたとき、かれは「われわれは、気候変動の影響で北極が溶けた後の世界について考えている。北極大陸が溶ければ、日本と欧州との間では新しい海路が開かれる。そうなるとアジアとイギリスの距離はもっと近くなる。今後、経済交流など、アジアと欧州との間で、どのような協力関係を開拓してゆけるのか、ぜひ日本とも対話を進めてゆきたい」と述べた。
これまで台湾海峡、マラッカ海峡、インド洋、スエズ運河などを経て、ようやくその先にイギリスがあったが、北極大陸が溶けた後は日本とイギリスの海を隔てた航路はぐっと近くなりうる。日本とイギリスとの間では、これまでイラクやアフガニスタンなど、安保面でも比較的限られた分野での協力しかなかったが、今後はより広範な分野で協力関係を活性化させることが可能となるかもしれない。同様のことは北欧諸国をはじめとする欧州諸国との間でも、考えられるかもしれない。
最近、北欧諸国の中には、国連軍縮会議などで、「核軍縮を進めるために、核保有国の同盟国は自ら『核の傘』から離脱するべきだ」と主張する国が出てきた。北欧諸国からすれば、東アジアの軍事情勢などは、あまり切迫感のない他人事なのであろうか。しかし、もし海路が短くなるならば、このような欧州諸国にとっても、アジア情勢は相対的な重要性を増すことが考えられうる。「欧州はアジアの隣人」とまではゆかないかもしれないが、少なくとも欧州に「アジア地域安定のためのステイクホルダー」としてより責任ある役割を期待しうるかもしれない。(つづく)
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