トランプ氏の平和賞受賞資格について、何よりも問題視すべきは軍の正しい使い方を知らないということである。これでは平和の政治家とは、とても呼べない。トランプ大統領は非登録移民をめぐる国内での政治闘争に軍を動員しているが、これでは戦争に向けても平和に向けても指導力を発揮できない。ラテン語の有名な諺で“Si vis pacem, para bellum.”(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ。)と言われるように、軍の使い方を誤っての平和は有り得ない。トランプ政権は国内では民主党市政のシカゴやポートランドなどに、犯罪や非登録移民への対策と称して州兵を派遣している。こちらは大統領の一方的な命令では派兵できないはずである。また麻薬対策と称し、議会の承認もなくベネズエラの船舶を攻撃している。トランプ政権は理由も、その論拠となる証拠も、議会や国民への説明責任もなしに、自分達には相手が誰であろうが所構わず殺傷する権利があると主張する。そのような主張を、保守系反トランプ派の代表的論客であるウィリアム・クリストル氏は厳しく批判している。ともかく、こんな大統領なら勝手に核実験くらい再開するだろう。このように国際政治のみならず、国内政治の観点から見てもトランプ大統領はノーベル平和賞には値しない。なぜ高市首相は嬉々として、このような人物を推薦するのだろうか?日本国の最高指導者の思考や感性がMAGA化しているなら、由々しき問題である。(つづく)