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2020-04-09 17:49
(連載1)「緊急事態宣言」をどう受け止めるべきか
荒木 和博
拓殖大学教授
この状態がどこまで続くのかは分かりませんが、どうやっても武漢コロナウイルスが根絶されることはありません。インフルエンザ程度の状況になって未来永劫お付き合いしていくしかないのでしょう。そうしているうちにまた別の感染症が出てくる。地震は起きる、台風は来るで、人間は災いから逃れることはできません。
まあ、交通事故を根絶しようと思ったら車を全廃するしかないわけですが、誰もそうしようと言う人はいません。減らす努力はすると言っても日本だけで年間3000人の人が死ぬことは折り込んだ上で車を使っているわけです。武漢コロナウイルスも、それによる被害と経済社会が窒息する被害の折り合いをどこかで付けるしかないように思います。
ところで今回のことから得られる教訓のひとつとして、安全保障において米国が頼りにならない場面はいくらでもあるということがあるでしょう。いや、もともと米国だよりは無理だったのですが、それができているかのように装ってきた、そしてそこからはみ出したものはみな隠しあるいは見ないふりをしてきたのではないかということです。
考えてみれば横田めぐみさん拉致にしても、昭和52年(1977)11月15日の事件当時から北朝鮮による拉致と政府は分かっていたのですから、そのときに緊急事態宣言を出してもおかしくなかったわけで、これは他の拉致被害者、あるいは拉致と分かっていながら認定していない特定失踪者についても同様です。ほんとうは緊急事態は何度も起きており、政府がそれを知らせなかった、あるいは私たちがそう認識しなかっただけなのではないでしょうか。(つづく)
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