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2014-11-17 10:40
(連載2)目くらまし解散の先にあるもの
角田 勝彦
団体役員、元大使
安倍首相は、11月17日豪州での主要20カ国・地域(G20)首脳会議から帰国するが、11月9日よりの今回の外遊の成果は少なくない。中国・韓国との関係を見ても両国首脳との懸案の顔合わせを実現し、年内の日中韓外相会談開催合意を取り付けた。中国と「海上連絡メカニズム」の運用を早期に始めることで一致する具体的成果もあった。国内、とくに国会の情勢も解散を迫られるほどではなかった。しかるに、突然の解散騒ぎである。しかも、政局マターとはいえない消費税率再引き上げを巡ってである。
安倍首相は、11月17日に発表される7~9月期のGDP速報値や18日に終了する増税の影響を有識者に聞く点検会合の結果を踏まえて、最終判断をすると言っている。今更妥協して、例えば財務省の判断先送りの提案にのることなどはないだろう。となると最終判断は増税先送りである。引き上げ時期を1年半先送りして2017年4月とすると見られている。
確かに本年4月に行った8%への消費税引き上げ後の景気回復の足取りが重く、再増税すれば「デフレからの脱却」を掲げたアベノミクスが根幹から揺るぎかねないと判断するのは一理ある。問題は、再増税を先送りしても解散の必要がないことである。関係法律の付則には経済状況によって増税を最終判断する旨の規定「景気条項」があり、法改正を含む既定の手続きをとれば済むのである。先送りには内外の支援もある。選挙の争点にもならない。自民党は、増税先送りを含む各種の経済問題を中心に選挙公約を作成中とされる。野党は大義なき解散に象徴される安倍政権の強権性を批判しようが、不意を突かれた弱みもある、まとまれないという基本的問題もある。苦戦だろう。ともかく11月16日の沖縄県知事選の結果が見ものである。
総選挙の結果がどうあれ、来年はアベノミクスの成長戦略の難航是正、来春の統一地方選に加え、日米防衛協力のための指針の最終報告、安全保障法制整備や原発再稼働など国民の反発が避けられない課題が待ち構えている。偉大な宰相の名を後世に残そうと安倍首相が目くらましの無理を重ねても、国民はそろそろ実態を直視するのではないだろうか。(おわり)
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