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2014-04-08 10:47
(連載2)朴大統領の反応について
河野 勝
早稲田大学政治経済学部教授
しかし、実際は、この二つの顔の使い分け自体がニュースになってしまったわけであるから、この情報統制はみごとに失敗した、といわなければならない。ということは、この第一の可能性を論理的につきつめると、朴大統領はそのような情報統制ができるという錯覚に陥った、つまり彼女が判断ミスをした、ということでなければならないことになる。まあ、そういうこともありうるかもしれないけれども、僕には朴大統領(および彼女のまわりにいるスタッフ)が、それほどナイーブだったとは思えない。
第二の可能性は、第一の可能性とはまったく逆に、二つの顔を使い分けるということ自体がニュースになることをあらかじめ十分承知の上で、朴大統領はそのような対応をした、という可能性である。こちらのシナリオが正しいとすれば、朴大統領は、たとえ二つの顔の使い分けがばれて国内的に反感を買うようなことがあっても、それを甘受する用意があったということになる。
国家と国家の間の外交においては、このような表の顔と裏の顔を使い分けることはよくあることである。だから、彼女は、むしろあからさまにその使い分けをみせることによってあるシグナルを送っていたと考えることができる。そして、ここが最も重要な点であるが、その送ろうとした相手は、けっして(上記のメディア解釈が示唆するように)韓国国内の対日強硬派だったのではなく、日本だったと考えるべきなのである。
そのシグナルの意味するところが何なのかは、この首脳会談に至る水面下の交渉が不断に行われているわけであるから、このひとつの事例だけからでは正確には判断しようがない。ただ、それが「私だって対日関係を改善したいのよ。(だけれども、国内の強硬派が簡単にそうはさせてくれないのよ。)」という、いってみれば自国の内情の率直な告白であった可能性は十分にあると、僕には思えるのである。(おわり)
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(連載1)朴大統領の反応について
河野 勝 2014-04-07 11:07
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河野 勝 2014-04-08 10:47
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