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2014-04-07 11:07
(連載1)朴大統領の反応について
河野 勝
早稲田大学政治経済学部教授
最近行われた日米韓の首脳会談の記者会見の席で、安倍首相が韓国語で話しかけたのに朴大統領がそっけなかった、ということが話題になっている。このことについて「いや実はそっけなかったのは、テレビに映っているときだけで、会談の時は握手もしたし、笑顔だった」ことが明らかにされている。
そして、このことから、もっぱらメディアでは「だから、朴大統領の反応は国内向けのものであった。日本に対し妥協したことを見せると政治的コストが大きいから、そうしたのだろう」というような解釈が引かれている。僕は、こうした分析は、間違っている、というか、一歩足りない、と思う。
まず、朴大統領の行動が単純に韓国国内での政治的コストを考えた上での行動であったのなら、(カメラの入った)会見の時であろうと、(カメラの入らない)会談の時であろうと、ずっとそっけない態度を貫く必要があったはずである。(上記の報道がまさにそうであるが)、朴大統領が外向きの顔と内向きの顔とを使い分けていたという情報がもれてしまえば、韓国国内の対日強硬派は「なんだ、やっぱり朴大統領は妥協したのか」と反発するにちがいないからである。僕には、そうした対日強硬派が、テレビの画面に映っている時だけ建前的にそっけない対応をしていてくれればよい、などと考えているようには思えない。
さて、ということは、どういうことか。ここには、二つの可能性しかない。第一の可能性は、朴大統領が、会見時の厳しい顔と会談時の穏やかな顔とを使い分けるという情報が外にもれるとは、よもや思っていなかった、という可能性である。もしそうした情報統制がうまくいく(と信じていた)のであれば、表向きにそっけない顔をすることで、彼女は政治的コストを免れる(と信じていた)ことになろう。(つづく)
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