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2014-04-06 11:39

(連載3)朝鮮統一の可能性と日本の選択

堀口 松城  日本大学客員教授
 最近の米国の論調の中には、「日本が中国や韓国との不必要な対決姿勢を続けるのであれば、中国との紛争が起こっても米国は日本を支持しない」とする意見が時おり見られる。しかし、かりに米国が日米安保条約上の義務を上記のような理由で果たさなければ、米国が世界中の国々と結んでいる同盟のネットワークが信頼性を失い、米国は、東アジアの、ひいては世界における覇権を、中国などに譲らざるを得ないことになる。

 したがって、現在孤立主義に傾きつつある米国の一部に上記のような意見が出てきたとしても、これが米国の多数意見となり、長期にわたって固定してしまうと考えることは、早計であろう。振り子が一方の側に振れれば、やがて逆方向の動きが出てくるのが、米国だからである。そのときに備えて、日本は日米同盟の求める義務を粛々と果たし続けることが肝要である。

 但し、日本の立場についての説明などの、これまでの対米働きかけが、いわゆる親日派といわれる議員やオピニオン・リーダーに傾きがちで、そうでない親中派や親韓派といわれる人たちへのアプローチが手薄であったことは否めない。日本人は、先のブエノスアイレスにおける東京オリンピック招致の際のあのすばらしいパフォーマンスを学びなおしながら、様々の立場の米国人や世界の人々に、持ち前の誠意をもって、日本の立場を静かに、かつ効果的な方法で説明していくことが求められる。

 今後、仮に朝鮮統一に関する中国の条件が満たされて、統一が実現した場合、統一朝鮮は、中国とのさらなる連帯強化と統一朝鮮のアイデンティティ確立のために、いっそうその反日政策に拍車をかけることも予想される。人口7,500万人の統一朝鮮と、その頃には約14億人をこえているだろう中国が、そろって日本に対して敵対的行動をとる場合、日本にはかなり厄介な事態になることが予想される。このような状況に備えて、日本が今から力を入れておくべきことは、米国はもとより、ASEANをはじめとするアジア諸国や、豪、NZ、さらにアフリカやラ米その他、できるだけ多くの国々との間に信頼に立つ良好な関係を拡大、強化し、日本の味方を増やしておくことであろう。(おわり)
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