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2014-02-11 12:51
(連載2)オバマさんの5度目の一般教書演説について
河野 勝
早稲田大学政治経済学部教授
より全般的にいえば、今回の演説は、ほとんどインパクトを残さない、どちらかというと広く浅く表面をさらうだけの演説、という感じがした。大きな懸案だった医療保険改革をなんとかやりとげたものの、それが廃案に追い込まれる不安を抱えていて、ディフェンシブになっている印象だった。今年の目玉はおそらく移民政策だろうということだが、この分野に関する部分でもリーダーシップが感じられる演説ではまったくなかった。
今回の演説は、オバマ大統領にとって2期の2回目の演説で、あと2回この演説をする機会が与えられているのにもかかわらず、前評判では、インパクトのある演説をできるのは今回が最後だろうといわれていた。来年と再来年の演説はすでに2016年の大統領選挙の流れにかき消されてしまうだろうから、というわけである。しかし、今回の演説は、すでにその流れの中に巻き込まれていたのではないか、というのが僕の解釈である。
現在、民主党と共和党の間では、女性に優しい民主党、そうでない共和党という(民主党側からの)レッテル張りをめぐって、激しい(というか口汚い)論戦が起こっている。ヒラリー・クリントンを次期大統領候補にしてもり立てようとする民主党側に対して、共和党側は「大統領職にあったとき、若いインターンをだまくらかして性行為までした男の妻」としてヒラリーをおとしめようとしているのである。
今回のオバマ大統領のスピーチは、女性の地位向上についてのメッセージがここかしこに力強く感じられるものだった。だから、オバマ大統領は、今回は自らの政権が直面する政策課題を具体的に述べることよりも、これから2年後における自らの党の命運にプライオリティをおいていたのではないかと思えるのである。もちろん民主党への支持が高まることが、これから2年間の議会運営をやりやすくするというメリットも、そこには当然あるわけではあるが。(おわり)
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河野 勝 2014-02-10 16:42
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