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2014-02-10 16:42
(連載1)オバマさんの5度目の一般教書演説について
河野 勝
早稲田大学政治経済学部教授
遅ればせながら、オバマ大統領の State of the Union Address を聴いた。なぜこれを日本語で「一般教書演説」と訳すのか分からないが、合衆国(union)の現状(state)を議会に報告するというのが、この演説である。日本のような議院内閣制と異なり、三権分立が確立しているアメリカでは、行政府の長(すなわち大統領)が立法府(すなわち議会)に足を踏み入れることはほとんどない。
議会の側が大統領を招いて、この演説をしに来てもらうのである。だから、日本の総理大臣が演説するときのように、議場で議員がヤジを飛ばすなどということは起こらない。それは非礼にあたるからである。因みに、議会は大統領だけでなく、閣僚や統合参謀本部の議長などの制服組も招待するし、またもうひとつの三権のトップである連邦最高裁判所の判事たちも、その議場に招いている。そのような席で、招いた側が失態を演じる分けにはいかないのである。
さて、今回の演説について、ボクが感じたいくつかの印象をメモにまとめておきたい。まず、今回は、圧倒的に国内問題ばかりが語られた演説だった。対外関係については、イランとの外交交渉の進捗状況を報告したぐらいで、日本のこと、中国のこと、アジア太平洋のことは、話題にも上らなかった。これはいつものことではあるが、しかし、今回はいつも以上に外交については語らない、という抑制が効いているような気がした。
外交についてしゃべり出すと、スノーデン事件によって露呈したアメリカの諜報活動について弁解しなければならなくなるという要因も、どこかで働いていたのではないか。もしそうだとすると、スノーデン事件はアメリカの対外政策を内向きにするという(日本にとってみれば)あまり好ましくないボディブロー効果をもっているということになるのかもしれない。(つづく)
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