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2010-11-24 09:35
(連載)朝鮮学校への高校無償化適用を当面中止せよ(1)
角田 勝彦
団体役員
「一難去ってまた一難」と言うが、日中関係に改善の兆しが見えだしたと思ったら、今度は将軍様金正日の後継者金正恩 (キム・ジョンウン)登場以降の北朝鮮動静、とくにウラン濃縮疑惑(水爆開発の可能性)が問題になってきた。11月23日午後には、突然、北朝鮮による韓国ヨンピョン(延坪)島砲撃が報道された。北朝鮮が公開したウラン濃縮施設は、2005年の6者協議共同声明や09年の国連制裁決議に違反すると考えられ、日本としての危機管理も問題になろう。何らかの対策が必要だ。この関連で、国内で批判も強い「朝鮮学校への高校無償化適用(就学支援金支給を含む)」は、少なくとも当面中止すべきである。
日中関係、とくに中国側の対応には、11月13日の菅直人首相と胡錦濤国家主席の首脳会談以降、改善が見られる。たとえば22日付『環球時報』(『人民日報』系列の国際情報紙)が前原外相の「私はタカ派ではなく現実主義者」と題する書面インタビュー記事を掲載したり、停滞していた中国からのレアアースの対日輸出が約二カ月ぶりに再開する見通しとなったことなどがあげられる。21日から尖閣諸島の接続水域を航行していた中国の最新鋭漁業監視船「漁政310」(2580トン。艦載ヘリを初搭載)ほか1隻も、21日夕、ともに接続水域の外に出た。要するに、筆者は、吉田重信氏が11月21日付の本欄への寄稿「米政府の手中にある菅政権の命運」で記されたように、「アメリカの『ポチ』となってしまった菅政権が退陣しないかぎり、日中関係は改善するする見込みがないだろう」とは考えていない。菅直人首相は、柳田稔前法相の更迭や補正予算案で忙殺されていることとは思うが、せいぜい外交にも努力願いたい。
さて、ヨンピョン島砲撃事件については別の機会に分析したいが、さしあたり問題は、北朝鮮ウラン濃縮疑惑である。北朝鮮が11月、寧辺の核施設を訪問した米国の核専門家ヘッカー元ロスアラモス国立研究所長を新設のウラン濃縮施設に案内し、「2000基の遠心分離器が既に稼働中」と説明したことが、20日同氏が公表した報告書で分かった。
協議した日米韓3カ国の当局者は22日、ウラン濃縮停止を6者協議再開の条件とするよう議長国の中国(米国のボズワース北朝鮮政策特別代表が23日に中国を訪問)と北朝鮮に求めていく方針で一致した由で、今後は中国と調整に入ることになる。北朝鮮が、自分からウラン濃縮施設を見せたのは、米朝対話実現を探る北朝鮮が米国を揺さぶろうとしたものとも考えられ、このためボズワース氏は、22日夕の前原外相との会談で「事実だとすれば極めて由々しき事態だ」とする外相に「現状は深刻だが、危機だと言って騒ぎ立てる性質のものではない」と指摘したものと思われる。(つづく)
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