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2010-07-21 19:52

(連載)まず選挙制度の改正から始めよ(1)

大藏 雄之助  異文化研究所代表
 今回の参議院選挙では、多くの候補者が「国会議員の定数削減」を公約としたが、本来は1票の平等を確保するために、選挙制度を改正することから始めるべきであろう。住んでいる場所によって1票の値打ちが5倍以上も違うというのは、放置できない不公平である。税制と選挙制度は、みんなが満足するようなものは絶対にできない。とはいいながら、わが国の現行の国政選挙には不合理な点が少なくない。

 まず、二院制をとっているのに、衆議院も参議院も似たような選挙方式を採用している。多角的に国民世論を反映させるためには、例えば衆議院を完全小選挙区制に、参議院を大規模の比例代表制に変更するほうがよい。

 ところで、現在の衆議院の「比例代表、小選挙区並立制」は、中途半端な妥協の産物である。小選挙区制の利点は、二大政党に収斂されて、政権の交代が容易になり、しかも与野党の差が大きく、安定政権が樹立されるところにある。しかし、死に票が多くなるので、比例代表制を加味したのだが、それが二大政党化を妨げている。

 世界の趨勢は、政党の総獲得票数と議席の割合が比例するように、比例代表制を主体にする方向にある。小選挙区制の発祥に地であるイギリスでも、第一党の保守党が過半数を制することができず、連立政権となった。キャスティング・ヴォートを握った自由民主党は、第三党に不利な小選挙区制度を改めることを要求し、野党の労働党も賛成しているのを考慮して、保守党も一応検討することを約束している。(つづく)
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