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2010-04-14 00:22
(連載)「核なき世界」と日本の対中外交(4)
角田 勝彦
団体役員
米科学者連盟(FAS)のハンス・クリステンセン氏によると、現行の核作戦計画「OPLAN8010」で米国が核攻撃の対象として想定しているのは、中国、イラン、北朝鮮、ロシア、シリアの5カ国と非国家テロ組織であり、核弾頭数200~300と推定される中国は、ロシアとともに核を含めた戦略対話の相手国に挙げられている。実際年1回の米中戦略・経済対話(SED)も実施されている。現在は米ロの核が世界の核の95%を占めるとはいえ、米ロの核削減が進むにつれ、中国の核の重要性はさらに増大しよう。毎年の軍事費増も顕著である。
問題は、中国が核削減協議の枠外にあって、ロシアなどと同じく旧来の核依存型の安全保障政策を維持していることである。ロシアは、2月に公表した軍事ドクトリンで「通常兵器による侵略でも核使用を辞さない」との方針を明らかにしており、また新START締結に際し「ミサイル防衛(MD)の脅威が高まった場合、一方的に条約から撤退する権利を持つ」とする特別声明を出したが、中国も米日などのMD進展への対抗措置を示唆している。
昨年9月、オバマ自身が議長を務めた核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合は「核兵器なき世界」の条件作りを目指す決議1887を全会一致で採択した。この会合で、鳩山首相は、非核3原則の堅持を誓うとともに、「日本自身が核軍縮・不拡散を主導する積極的な外交を展開」する旨表明した。昨年12月、天野之弥外務省不拡散・原子力担当大使が、日本人として、またアジアから、初めて国際原子力機関(IAEA)事務局長に選任されたのも、かかる姿勢が評価されたためもあろう。4月、日本は安保理議長国にもなっている。
岡田外相は、4月8日新START締結に際し「我が国としては、両国による同条約の早期批准を期待するとともに、その他の核兵器保有国も参加した世界的な核軍縮の進展及び目標である『核兵器のない世界』に向けて、国際社会の中で一層リーダーシップを発揮していく」旨の談話を発表した。唯一の被爆国、かつ非核大国である日本は、米中の間に立って「核なき世界」実現のため努力できる位置にある。我が国が、国際社会の中で一層リーダーシップを発揮しようとするなら、核安全保障サミットなどで具体的貢献をおこなうとともに、中国を説いて、安保理における実効性があるイラン制裁決議採択への協力と北朝鮮関係6カ国協議の早期再開に向けた連携強化、さらには核軍縮のための透明性増加などの実現に向かわせることが重要であろう。(おわり)
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