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2009-08-07 12:42
(連載)北朝鮮の核兵器にどう向かい合うか。(1)
阿部 信泰
日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センター所長
北朝鮮が2度目の核実験を強行し、今や北は核抑止力の獲得にまい進しているように見られる。軍縮・不拡散を進める観点からは、はなはだ残念なことであるし、現在、作業をお手伝いしているエバンス・川口国際委員会(核不拡散・核軍縮国際委員会)の議論も、目の前に核拡散の実例が横たわっているところで、何とかこれを克服して「核兵器のない世界」を目指す道程を書かなければならないというむずかしい課題に直面している。北朝鮮に関しては一歩後退、二歩前進を目指すも余儀なしと考えられる。
北朝鮮は、今年に入ってから太平洋に達する弾道ミサイルの発射実験と2回目の核実験をし、6者協議から脱退すると宣言し、安保理決議も受入れを拒否した。あらゆる兆候からして北朝鮮は、今や経済援助や食糧援助などを獲得する取引材料として核開発を進めているのではなく、彼らが言うところの「抑止力」を獲得するためにまい進していることが明らかになった。各国が6者協議への復帰を呼びかけているが、残念ながら当面戻ってきそうな兆しは見えない。仮に復帰しても、本格的な核放棄の合意に達し、実施に移るまでには、相当の曲折は覚悟せざるを得ないだろう。
北朝鮮が実験用原子炉を取得したのは1967年にさかのぼり、1975年にはここで照射したウランからプルトニウムを分離したと言われるから、見ようによっては、北朝鮮はそれ以来迷わずに核兵器獲得のために密かに努力を続けてきたとも見える。その間、NPTに加入したが、未申告の活動がIAEAにより見つかって、すったもんだの挙句、1994年の「枠組み合意」で軽水炉と交換に黒鉛炉の放棄を約束した。しかし、その後、ウラン濃縮活動が疑われて、KEDOが放棄され、6者協議が始まり、2006年9月に核放棄の合意宣言が出されたが、実現されずに今に至っている。
この間に多くの政治家、交渉担当者が北朝鮮に対して体制維持、安全保障、経済、食料、エネルギー支援などを見返りに約束した。もし北朝鮮が一貫して核兵器獲得を目指し、その目標を達成するまではいろいろと偽装と計略をめぐらしてきて、今一応爆発する装置を獲得したので、おおっぴらに核兵器獲得を言い、核放棄要求を断固拒否すると言い出したとすれば、全ては計画通りで、これまで北朝鮮と交渉してきた人々は、北の前で踊らされたチャーリー・ブラウンとなりかねない。ピーナッツ(スヌーピー)の漫画に出てくる、だまされても、だまされても、だまされ続けるチャーリー・ブラウンである(つづく)
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