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米国の新外交・安保体制は成功するか?   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-30 11:41 [修正][削除]
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4121/4161
 米国のドナルド・トランプ大統領が国務長官、国家安全保障担当補佐官を相次いで解任、閣僚の更迭も続く中、次は最側近の首席補佐官か?との噂も絶えない。政権内の最重要ポストの度重なる更迭は大統領との路線対立だけでなく、激しい性格のトランプ氏とソリが合わない感情的な対立も背景にある。米ブルッキングス研究所によれば、トランプ政権発足後、14ヶ月間にホワイトハウスの最高レベルの離職率は解任、辞職、配置換えなどで48%という高率だ。政権最初の2年間でオバマ政権は24%、G.W.ブッシュ政権は33%だからトランプ政権の激しさが浮き彫りにされる。特に最上級の12ポストのうち7ポストで入れ替えが行われた。このような高い離職率は政権の混乱と組織運営の非効率をもたらし、「大統領の課題遂行をますます困難にしている」(同研究所報告)と指摘されている。

 トランプ政権の外交・安全保障体制の動揺は、北朝鮮問題で米中を巻き込んだ激しい駆け引きが展開される中、同盟国の日本として大きな懸念を持たざるを得ない。R.ティラーソン国務長官の解任は北朝鮮やイランの核問題、中東政策を巡る大統領との路線対立のほか、個人的な確執も影響したようだ。同氏が昨秋、同僚との会話で大統領を"moron"と呼んだことがきっかけだ。日本の新聞では「ばか」と訳されているが、英語辞書によればまともな判断能力に欠ける人を指す言葉とされる。トランプ氏は「決して許さない」と息巻いたと側近の話として伝えられる(ニューヨーク・タイムズ紙)。後任のM.ポンペオ中央情報局(CIA)長官は保守派運動の「ティーパーティー(茶会)」の下院議員を経て就任、大統領と思想的に近い。

 ポンペオ長官をよく知るシンクタンク、ハドソン研究所のK.ワインスタイン会長は、同長官が深い洞察力、経験、偏見のない戦略的な考え方からレーガン政権のG.シュルツ氏以来の名国務長官になる可能性があると高く評価している。下院議員時代の情報特別委員会委員やCIA長官として北朝鮮の核・ミサイルの脅威、金正恩体制についての洞察、多くの意見を丁重に聞く姿勢などから、激動の時代に必要な戦略目的を持って決然と行動できると、期待を表明した。また、ロンドンの王立国際問題研究所のX.ウィケット米国部長は北朝鮮、イラン、ロシア問題に対していずれもタカ派だが、大統領との良好な関係から外交政策はより一貫したものになるだろうと予測している。

 J.ボルトン新国家安全保障担当大統領補佐官は、国務次官(軍備管理担当)や国連大使当時からイランや北朝鮮に対する強硬なタカ派で鳴らした論客で、保守派の応援団は「今やタカ派の出番だ」と意気込んでいる。保守陣営の期待を背負っての登場だが、成功のカギはホワイトハウスや各省庁とうまくやっていけるかにかかる。国務次官当時、意見の合わない職員を顔を真っ赤にして怒鳴りつけ、役所を辞めさせようとした事件がいまだに語り継がれている。協調性をどう発揮するかが成功の第一のカギだ。特にホワイトハウスで実力を振るう大統領の女婿のJ.クシュナー氏と折り合いを付けなければならない。ボルトン氏が進める政策をクシュナー氏の助言で大統領が覆すこともあり得る。原則に厳しいボルトン氏がこれに抵抗し大統領がクビにする事態も「1年以内に起こり得る」(D.ザケイム元国防次官)という。安倍晋三首相は朝鮮半島を巡る激しい動き、貿易戦争の瀬戸際の最中、4月中旬の日米首脳会談に臨むが、米政権中枢の外交、安保チームの立て直しの成否は日本にとっても重大な関心事にならざるを得ない。

西側とロシアの外交官蹴りだし合戦の落としどころ   
投稿者:松井 啓 (東京都・男性・時事評論家、元大使・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-29 16:39 [修正][削除]
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4120/4161
 まさに冷戦時代を彷彿とさせる外交官国外追放の応酬が始まった。端緒は3月4日にロンドン郊外で起きた元ロシアスパイの暗殺未遂事件にロシアが関与したとメイ首相が断定してロシア外交官を一斉に追放すると発表したことである。英国はEUからの離脱交渉が難航しておりメイ首相の権威は下がってきているので人気回復が必要なのだろう。更に、EU27カ国もこれに同調して追放を発表しているのでその数はこれまでのところ合計140人を超えている(英27、ウクライナ13、仏、独、ポーランド各4、チェコ、リトアニア各3、デンマーク、オランダ、イタリア、スペイン各2人等、更に米60人以上、カナダ4人)。この時期にEU全体のタガの弛みを引き締める必要があり、ロシアを西側の共通の敵に見立てて結束を強化する狙いが見え隠れする。

 他方ロシアが沈黙しているはずはなく、根拠のない言いがかりだとして報復措置に出ることをプーチン首相が明言しているので、事態は更に拡大する可能性がある。石油価格下落とウクライナ制裁で低迷して経済に不満な新世代が拡大しているにもかかわらず、何とか従来通り7割の得票率で4期目の大統領選に勝利したプーチンにとってはこのような包囲網は自己基盤の強化に格好の口実を与えるだろう。ロシア国民は辛抱強く自尊心が高く、ナポレオン軍にもヒットラー軍にも負けなかったことを誇りとしているので、プーチンの強硬手段によって更に制裁が強化されても国民の結束に訴えるプーチンの政策に反対はしないであろう。

 外交官追放はこれまで「相互主義」に乗っ取った「目は目を」の連続となるが最終的には締まりのない結末となるのが落ちである。西側は最終的な落としどころを考えて出発したのであろうか、何らかの裏取引があるのだろうか。国民をどう納得させるのであろうか。何れにせよ漁夫の利を得るのは中国である。日中貿易戦争、朝鮮問題等に関しアメリカとの交渉を強化できる絶好のチャンスである。

 日本はこの際決して表立って突出してはならない。他方、安倍首相にはこれからプーチン大統領、トランプ大統領と会談する様々な機会が予定されているので、この合戦を痛み分けで収拾させる方途を検討しておくべきであろう。

北の“非核化”にある「疑似餌」の側面   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-29 06:27 [修正][削除]
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4119/4161
 金正恩の中国電撃訪問は、すべて5月に予定されるトランプとの米朝首脳会談対策に集約される。世界の孤児のまま対米会談に臨むことのリスクをやっと気がついたのだ。逆に中国にしてみれば、極東における“蚊帳の外”の状況を改善するメリットがある。金正恩は「後ろ盾」、中国は「存在感回復」を獲得することになった。双方にメリットがある会談だったし、中国が影響力を取り戻したことは事実だ。これにより冷え込んでいた中朝関係は一気に改善し、“死に体”であった中朝の血の同盟である中朝友好協力相互援助条約は再び息を吹き返しつつある。ただし非核化と言っても様々だ。過去2度あった北の“疑似餌”に3度ひっかかる馬鹿はいない。中朝の首脳会談では、朝鮮半島の非核化については大まかなスケジュールや考え方を確認したものとみられる。しかし、単に「非核化」といっても、日米と中国のスタンスは大きく異なる。日米は核の即時全面的放棄を求めるが、中国は時間をかけて解決しようとする立場だ。金自身の発言を分析しても怪しげな空気を感ずる。北朝鮮は日米の求める非核化対応をよしとしているようには見えない。

 非核化に対する金正恩の発言は「我が国の善意に応え、平和実現のため段階的かつ同時に措置を講ずれば、朝鮮半島の非核化の問題は解決することが出来るだろう」というものだ。この「段階的かつ同時に」の表現がくせ者なのだ。それは段階的手順を追ってということであり、手放しでの非核化ではさらさらない。非核化と言えば北朝鮮が一方的に核を放棄するような印象を受けるが、これまで北が主張してきたことは「米国の行動あっての行動」なのであり、米軍の核が朝鮮半島に存在すれば成り立たない論理なのである。これは核兵器の「即時放棄」を唱える日米の要求ではなく、「時間をかけて解決」という中国の方針に添って金正恩が球を投げたと受け止めることも可能だ。北朝鮮はきょう南北閣僚級会談、来月には南北首脳会談、5月には米朝首脳会談を控えているが、電撃訪問は金正恩が米朝首脳会談の“失敗”を極度に恐れている可能性があることも露呈した。トランプは「米朝会談は楽しみだが、残念ながら最大限の制裁と圧力は何があっても維持されなければならない」と述べるとともに、米朝協議がうまくいかなかった場合について「アメリカは全ての選択肢がテーブルの上にある」とどう喝しているのだ。金正恩は常にリビヤのカダフィー暗殺未遂事件が脳裏をよぎっているといわれている。アメリカは1986年にカダフィーの居宅を狙って空爆する強硬手段を取り、暗殺しようとした。カダフィーは外出しており危うく難を逃れた。この恐怖が金訪中の原動力となっているといってもよい。

 トランプの言うように米朝首脳会談が破綻すれば、米国による軍事行動の可能性が一気に高まる。米国を“けん制”するにも孤立状態では手も足も出ない。そこで金正恩は習近平に泣きついて、関係を改善し“後ろ盾”の存在を誇示する必要に駆られたのだ。中国を通じて米国の軍事行動をけん制してもらうしか方策は無いのだ。中国は朝鮮戦争の休戦協定の当事者でもあり、金正恩は米朝関係改善が出来なければ中国にすがりつくしか生きる道はないと考えたに違いない。中国にしてみれば、極東における日米韓の軍事協力の可能性をひしひしと感じているのであり、朝鮮半島の非核化や平和の定着などを進めるためにも、北の独走を防ぐ必要がある。そのための電撃訪問の受け入れであるが、これは父親の総書記金正日訪中と酷似している。1992年の中韓国交正常化により、中朝関係は極度に悪化したが、今回同様に、金正日は2000年5月29日の電撃訪中で世界をあっと言わせた。金日成が死去してから初の外国訪問であった。韓国大統領金大中との首脳会談を直前に控えていたことまで日程を模写したかのようにそっくりだ。また北がロシアと連携をする場合もあり得る。北がロシアと結べば、極東に中露北と日米韓の対峙の構図が出来る可能性がある。ロシアは欧米から総スカンを受けており、極東に突破口を求める可能性が大きい。

 問題は北の非核化のプロパガンダを真に受けて、国際社会が性急な対応をすることだ。非核化と言っても即時全面放棄を北がするわけがないからだ。世界は核問題で金日成にだまされ、金正日にだまされてきた。金日成は1980年代から核開発に着手したとみられる。1994年の金日成死後に権力の座を継いだ金正日は、「先軍政治」を掲げて核開発に専念した。北の政権は経済的に困窮すると“核カード”を切り、援助を達成するのが“遺伝子”に組み込まれているかのようである。紛れもなく金正恩も“遺伝子”の指図で動いている。従って、北の核放棄の意図はうさんくさいのだ。実質的な進展もないうちは「北の病気がまた始まった」くらいの対処が適切だ。日本政府の置き去りを指摘する浅薄な新聞もあるが、ここは慌てる必要はない。公明党の議員から参院予算委で「国民は日本だけ置いていかれると懸念している」との指摘があったが、国民とは誰だ。素人の見方であり、慌てる乞食はもらいが少ない。誰も日本を置いていこうなどとは思っていない。中国からも米国からもパイプを通じて連絡は来ている。北が厳しい経済事情を背景に、やがては日本にすり寄ることは目に見えている。ここは、北の非核化の本質をじっくり見極めてから対応しても遅くはない。

安倍政権“イメージダウン作戦”は失速   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-28 05:46 [修正][削除]
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4118/4161
 事前の騒ぎばかりが大きくて、実際の結果が小さいことを大山鳴動ネズミ一匹というが、証人喚問はそのネズミすら出なかった。パフォーマンス野党の面目躍如というところか。加えて朝日、TBS、テレ朝の三大反安倍報道機関も、煽りに煽ったが見事空振りとなった。前国税庁長官佐川宣寿への喚問は、これを機会に安倍政権を退陣に追い込もうとする野党の思惑がことごとく外れた。改竄(かいざん)の解明が進まない原因は、野党や一部マスコミが無理矢理安倍官邸に改竄問題を直結させようと狙ったところにあり、それが挫折したということだ。共産党の小池晃書記局長は「証人喚問の意味がない。これ以上聞いても意味がない」と声を荒らげたが、もともと意味のないものを、1日3億円という膨大な国費を使って国会で取り上げることの愚かさをかみしめるべきではないか。「意味がない」ことが分かっていながら喚問して人目を引く演技をするパフォーマンス自体が「意味がない」のだ。そもそも立憲民主、希望、民進など6野党の議員はわざわざ大阪拘置所に出向き、詐欺罪で拘置中の「森友学園」の前理事長、籠池泰典被告と接見、さも隠し球を入手したかのようなそぶりを見せた。しかし、質疑を見れば新味のある発言を聴取できなかっただけでなく、蟻の一穴も開けられない体たらくであったことが分かる。刑事被告人とタッグを組む野党という“負のイメージ”が、これまたばかな民放テレビで度々流布され、パフォーマンスしか行えない野党を露呈した。

 筆者が予言したとおり、前国税庁長官佐川宣寿は野党の追及に「刑事訴追の恐れのある話であるのでコメントを差し控える」との答弁に終始した。トップバッター自民党の丸川珠代の質疑応答で全てを語り、以後の質疑はその繰り返しでしかなかった。佐川は丸川に、首相・安倍晋三や昭恵夫人、今井秘書官らの関与については「一切ない」と明確に否定した。さらに国有地の売却について安倍や昭恵の影響があったかどうかも「全くない」と全面否定した。「守りの決意」が相当のものであることを伺わせた。逆に「問題は理財局の中で対応した」とあくまで理財局トップとして責任を負う姿勢を鮮明にさせた。安倍は昨年2月から、森友学園への国有地売却に自らや昭恵夫人が関わっていた場合、「政治家として責任を取る」と国会で答弁してきたが、佐川の答弁は関わっていないことを裏付けるものだ。議院証言法に基づく答弁は、虚偽の答弁をすれば偽証罪に問われるものであり、佐川にしても“命がけ”の側面がある。それにしても佐川は何も証言らしい証言をしなかったが、安倍らが関係していないことだけは、ちゃっかりと答えた。その“度胸”は相当なものである。丸川と佐川の質疑応答は実にスムーズであり、“出来レース”をうかがわせるほどで、野党も質問したが、否定された。闇の中だ。

 勢い込んで質問に立った立憲民主党の福山哲郎は成果ゼロの結果について「前から過剰期待はしないでくださいと言ってきた」と言い訳をしたが、後悔先に立たずとはまさにこのことであろう。人権上限界のある証人喚問で突破口を開こうとする野党戦略は稚拙で当初から無理があったのだ。野党はさらに昭恵を始め、夫人付職員谷査恵子、前理財局長迫田英典らの喚問などを要求しているが、悪乗りもいいかげんにした方がよい。昭恵が国有地の取引に直接関与していないことは明白であり、関与した証拠もない。真相は解明されたのであり、野党は改竄の核心には迫れなかったのだ。つまらぬ偽疑惑で政権の足を引っ張るときではない。安倍政権イメージダウン作戦は失敗したのだ。
 
 改竄問題は財務省内の調査や大阪地検に委ねるべきであり、佐川が「当時の担当局長として責任はひとえに私にある」と明白に発言している以上、財務相麻生太郎の辞任問題も遠のいた。自民党内は反安倍勢力萌芽の気配はあるが、石破茂や村上誠一郎、小泉進次郎の反安倍3羽ガラスでは力量不足で政権を揺さぶるところまで仕掛けを出来まい。折から北東アジア情勢は風雲急を告げており、安倍を外交に専念させた方がよほど国益に資することは言うまでもない。もう森友問題は「幕引き」をはかるべきだ。

自民党憲法改正推進本部の動きについて   
投稿者:篠田 英朗 (東京都・男性・東京外国語大学大学院教授・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-27 13:37 [修正][削除]
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4117/4161
 自民党の憲法改正推進本部が、改憲案をまとめる方向を固めたという。今月に入ってから、「森友祭り」を理由にして、多くの論者が「憲法改正は不可能になった」と論じていただけに、自民党案を一本化して提示する方向を固めたことは、評価したい。「必要最小限度」の文言を、取り除いたという。望ましいことだと思う。石破氏らの「曖昧だ」という指摘を取り入れ、「自衛権明記」を主張していたグループの意見も取り込んだ形だという。私も、石破氏と同じ考えなので、この文言を取り除くのは、大変に良いことだと思う。

 憲法学では、「必要最小限」という政府見解の歴史的展開の中で生まれた概念を、「フルスペックの軍隊ではない」自衛隊が行使する「フルスペックの自衛権ではないもの」といった話で解説してきた。それによって思いついたときに「政府を制限するのが立憲主義だ」などといった政治運動上の主張をする間口を確保してきた。しかし日本人の誰も「フルスペックの軍隊」なるものについて理解しているわけではなかった。最悪なのが、憲法学に染まってくると、「フルスペックの軍隊」とは戦前の日本の大日本帝国軍のようなもので、しかもそれは憲法の規制を離れた国際法が認めているものだ、といった全く根拠のないデマが流布されたりすることだ。

 国際法上の自衛権は、「必要性(necessity)」と「均衡性(proportionality)」の原則によって規制されている。憲法典上の根拠のない意味不明の憲法学ジャーゴンを排し、国際法規範による規制を直接取り入れることが、望ましい方向性だ。「必要最小限」概念を憲法典から取り除くことは、規制が弱まることを意味しない。本来、憲法学の基本書による「自衛戦争」の規制から、国際法規範による「自衛権行使」の規制に、議論をシフトさせることが望ましいのである。「自衛隊」が「実力組織」と描写されることは、曖昧さの余地を残す。だが少なくともそのような存在である自衛隊が、「国際法上の軍隊」であってはいけない理由はない。

 「森友祭り」は、まだしばらく続くだろう。国会の三分の一を持っていない改憲反対派は、政治運動を通じて改憲に反対するしかない。もっとも公明党をはじめとする自民党以外の政党が、どのような立場をとってくるかは未知数である。そもそも自民党ですら、まだ条文案の確定という段階には進まないのだという。改憲問題をアベ問題と同一視する動きは、今後もさらに高まっていくのだろう。おそらくそのような姿勢は、極めて近視眼的なものだと私は思うのだが、直近の改憲案の行方に影響を与えないわけでもないだろう。改憲案の行方は、まだまだどうなるかわからない。それにしても議論の記録は残る。行政公文書なるものは、キャリア官僚群がその気になれば、組織的に改ざんされる。だが、公の議論の記録は、そうはいかない。今後も、歴史に残る議論を期待したい。

それでも安倍3選しか選択肢はない   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-27 06:30 [修正][削除]
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4116/4161
 まさに国会で魔女狩りが始まったかのようである。野党が、希代の詐欺師籠池泰典に勝手に名前を使われた被害者で首相夫人の安倍昭恵や首相秘書官今井尚哉を国会の証人喚問に引き出そうとしているのだ。26日も民進党の増子輝彦は昭恵の証人喚問を要求した。しかし、首相夫人といえども民間人だ。民間人の証人喚問は過去にもあったが、事は人権問題が絡む。極めて慎重でなければなるまい。今の野党のやり口は、ことごとく安倍を敵視する朝日新聞やTBS、テレビ朝日などと“呼応”するかのように、ことを「政治ショー」化して、政権を揺さぶることを狙っている。しかし、25日の自民党大会は政局のにおいすらせず、安倍はかすり傷もなく乗りきった。自民党の良識が作用したのだ。前国税庁長官佐川宣寿の証人喚問が今日27日に終わり、予算は28日に成立して、政治の舞台は外交へと移行する。

 安倍は佐川喚問に関して26日「地検の捜査にも協力しながら、政府として徹底した調査を急がせたい。政府と国会、それぞれの立場で、しっかりと全容を解明し、うみを出し切ることが重要だ」と述べ、全容の解明に全力を尽くす考えを示した。言うまでもなく自らの関与は否定しているし、財務相麻生太郎自身も否定している。一方、野党がずる賢いのは森友学園への国有地の払い下げの問題が、壁に突き当たって追及しきれなくなったことから、新たな追及材料として証人喚問の連発という“魔女狩り”を行い、火あぶりの場をつくってマスコミうけしたいという魂胆があることだ。籠池に勝手に名前を使われただけの民間人昭恵を証人喚問の場に引き出し、魔女裁判のごとくに質問漬けにする。国会における証人喚問の場は司法不在であり、弁護士を雇うことも裁判官の判決を求めることも出来ない。追及する野党議員は免責特権が与えられており、何を発言しようが自由だ。引き出される一般民間人にとってはまさに地獄の責め苦を負わなければならない。このような“禁じ手”の場に昭恵を招致しなければならない理由などゼロだ。そもそも野党議員は、圧倒的多数を持つ自民党が、野党議員の家族を証人喚問の場に引き出すケースを想像したことがあるか。強権国家ならあり得ることだが、幸いにも日本の民主主義は完全に定着しており、そのような事は起こり得ない。要するに野党の要求は無理筋であり、一部マスコミにこびを売るものでしかない。野党は無理強いすれば、やがては自らに跳ね返る危険を考えているのか。

 こうした問題の根幹となっている改憲問題の展開を予想すれば、まず大きな流れとしては9月の総裁選で安倍が3選されるかどうかにある。この見通しが立たなければ、改憲の見通しも立たない。朝日は「総裁3選への道筋を付けない限り、改憲の年内発議を目指せる状況ではなくなった」と早くも、年内の発議困難という方向を打ち出している。しかし、この記事は政局判断に必要な要素を全て計算に入れないご都合主義であり、まるで「始めに見出しありき」の独断と偏見に満ちている。改憲の手続きはまず、国会議員衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成により憲法改正案の原案が発議される。衆参各議院においてそれぞれ憲法審査会で審査されたのちに、本会議に付される。両院はそれぞれの本会議で3分の2以上の賛成で可決して憲法改正の発議を行うことができる。これに伴う国民投票は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内に行われ、過半数で改憲が決まる。自民党のスケジュールとしては来年度予算が成立する月末以降に改憲の条文案を国会に提示して各党協議に入る。首相3選を前提にして遅くとも来年19年の早い段階での発議こぎ着けるのだ。というのは、来年前半は春の統一地方選挙に続いて、天皇退位、G20サミットと重要日程がひしめいており、後半は2020年オリンピック対応で忙殺される。今年暮れから来年早々までの発議しかないのだ。
 
 問題は前提となる首相3選があるかだが、まず3選の流れは動かないだろう。野党やばか丸出しのテレビのトークショーのレベルならば、まるで安倍退陣前夜の様相だが、いずれも問題の根底を見ていない。根底とは自民党内の安倍支持勢力だ。これまでのところ国会議員票405のうち安倍支持御三家の細田派94人、麻生派59人、二階派44人に官房長官菅義偉の影響が強い無派閥を加えれば過半数を超える。これが現在のところ安定している。党大会でも微動だにしなかった。この流れを見れば、自民党内は反旗を翻して4年近く冷や飯を食うことをためらう議員や地方党員が増えるだろう。元幹事長石破茂はまず必ず立候補するが、自派議員は20人で、地方票を頼みにするしかなく、神風が吹かない限り安倍には勝てまい。「出る事に意義がある」と言うしかない。側近らが物欲しげな岸田も47人では、勝負にならない。安倍が倒れない限りは無理だ。キーポイントは佐川喚問で新証言が出るかどうかだが、佐川は大阪地検が捜査中であることを理由に証言を差し控えるものとみられる。改竄に自らが関与した証言を朝日や野党は期待しているが、佐川が理財局長に就任したのは、国有地売却決済の後だ。それでも佐川改竄説はくすぶっており、一部メディアは佐川が何を言ってもあげつらう事は目に見えており、今後に尾を引く問題としては残る。今後大阪地検の捜査で逮捕者が出れば再び大騒ぎになるが、近畿財務局職員らに絞られる公算が大きく、政権直撃的事態にはなるまい。 

プーチン大統領、圧勝だが投票率70%に届かず   
投稿者:飯島 一孝 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-24 19:18 [修正][削除]
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4115/4161
 ロシアの大統領選は3月18日、投開票が行われ、プーチン大統領の4期目の当選が決まった。得票率は開票率99%の段階で76%に上ったが、投票率は67%と、70%の目標には達しなかった。反プーチン派の投票ボイコット運動の成果ともいえ、これが今後、プーチン政権崩壊の「蟻の一穴」となるかもしれない。プーチン大統領は選挙前から「投票率、得票率とも7割以上」の目標を掲げていた。プーチン氏の唯一のライバルともいえる反プーチン派のナワリヌイ氏が立候補を中央選管から拒否され、選挙ボイコットを訴えていたのが大きな理由だろう。それとともに、今後任期6年間を無事乗り切るには、国民、とりわけ若者の支持が必要と考えていたからに違いない。その意味では、今回の勝利はプーチン氏にとって5分5分といっても過言ではない。

 ロシア紙ノーバヤ・ガゼータによると、投票率は地方より都市部に低いところが多く、最大票田のモスクワ市は59・86%と6割を切っている。これは都市部に反プーチン派が多いことを裏付けており、中でも若者の政治不信・政治離れが進んでいることの証しだろう。今後、こうした政治不信を払拭できるかどうかが、安定政権を目指すプーチン大統領の大きな課題になる。もう一つの課題は、プーチン氏の年齢にあるといってもいいかもしれない。現在65歳のプーチン氏も6年後には71歳になるからである。ロシアの平均寿命は男性66歳、女性77歳。とくに男性の平均寿命はウオツカの飲み過ぎもあってソ連崩壊前後、ぐんと下がった。徐々に回復しつつあるものの、男性の平均寿命は依然、女性に比べかなり低い。プーチン氏にとっても健康問題は他人事ではない。

 それ以上に、プーチン氏にとって大きな問題は、これがプーチン氏の最後の任期になるという点だ。憲法上、大統領任期は連続2期までと定められ、本人自身、「この問題で憲法改正はしない」と断言している。そうなると、一時は支持率8割の高率を誇ったプーチン氏でも「レームダック」になる可能性は低くない。そうなった場合、プーチン氏がどう出るかが焦点になろう。彼の性格からすると、強硬策を打ち出して人気回復を図る可能性が高い。今の政治状況からすると、トランプ米大統領とのツバぜり合いが激化する恐れが高い。つまり、米露の軍拡競争が今後さらにエスカレートする危険性があるのだ。

 ロシアとの北方領土問題を抱える日本にとって、この問題を解決できるロシアの指導者はプーチン氏以外考えられない。それだけに、これからの6年間は、プーチン政治24年間の集大成を行うためにも、穏健な政治路線を歩んで欲しいと願わずにはいられない。

パックスシニカに対峙せよ ← (連載1)世界との対話「ユーラシア2025」に参加して  ツリー表示
投稿者:四方 立夫 (東京都・男性・エコノミスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-23 20:48 [修正][削除]
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4114/4161
 三船恵美駒澤大学教授の3月13日、14日付投稿「世界との対話『ユーラシア2025』に参加して」の中で展開されている中国観に大いに共感を覚える。鄧小平による市場経済の導入、並びに胡錦濤による部分的自由化/民主化により、自由主義陣営の多くは中国もやがては自分たちと似た自由主義経済に移行していくと誤解し、2008年の胡錦濤来日の際に「戦略的互恵関係」に関する共同声明が発表された頃までは、我が国のビジネス界においても“China+1”が唱えられていた。然しながら、江沢民の時代から見え隠れしていた「反日ナショナリズム」が習近平の登場によって顕在化し、特に2012年の官製反日デモにおいて鄧小平が自ら松下幸之助に頼んで建設したパナソニックの工場が破壊されたことは、従来の「日中友好」の終焉を告げるものとなった。

 ソ連とは異なり、急速に台頭する中国を「封じ込める」ことができない以上、我が国としては如何に中国と「共存」していくか、が鍵になる。先ず、中国の東/南シナ海における一方的現状変更の試みに対しては、日米安保条約並びに2015年日米ガイドラインにある通り、「自衛隊は日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施する」、「米軍は日本を防衛するため自衛隊を支援し及び補完する」を確実に実行することが肝要である。巷には昨年2月の日米共同声明に「核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」とある部分だけを捉え、「トランプ政権になっても引き続き米国は日本を守ってくれる」と楽観する声が多く聞かれることに懸念を覚える。現在は北朝鮮の核ミサイル開発にばかり目を奪われがちであるが、我が国にとってより大きな脅威は中国である。

 現に中国は核の近代化に邁進し、特に「空母キラー」は米軍にとって眼下の脅威となっており、それが2月に発表された米国の“Nuclear Posture Review”の背景の一つとなっている。又、その中には“additional allied burden sharing”が謳われており、我が国として積極的に抑止力の強化に努めることが喫緊の課題である。一方、昨年トランプ政権がTPPから離脱したにも関わらず我が国主導でTPP11の合意に達し、又、EUともEPAに合意したことは日本外交の勝利である。既に2国間交渉が思うように進展しないことに焦ったトランプ政権はTPPへの復帰を示唆し始めている。日本としては何としても米国をTPPに引き戻し、その高い水準を持ったFTAAPへと繋げ、戦後世界経済発展の基となった自由世界のルール、即ち、自由、公正、法の支配、を堅持し、それに基く広範なMega-FTAsを構築することにより中国の「一帯一路」と対峙していくことも合わせ喫緊の課題である。

 共産党一党支配、そして習近平一強支配、の堅持が至上命題となった中国は、今後益々国家統制を強め、国民の不満の捌け口をナショナリズムに求めてくることは必至であろう。然しながら、現在毎年100万人を超す中国人学生が海外に留学しその3割以上は欧米であると報じられていることから、多くの若い中国人が自由と民主主義に触れ、「思想」としてのみならず「市場経済の基盤となるルール」としての重要性を認識していることであろう。未来を担う多くの中国の若者が「自由世界のルール」が中国の持続的発展に不可欠なものであることを実感することにより、現在の毛沢東時代を彷彿とさせる習近平独裁政権が、かつての鄧小平~胡錦涛時代の「中国の特色を持った部分的に自由化/民主化された市場経済」に回帰するよう、我が国としても政官民挙げて中国の「自由化/民主化」に資することも日中両国民にとって有益である。

日本はロシアのエネルギー政策にどう対応すべきか   
投稿者:袴田 茂樹 (東京都・男性・日本国際フォーラム評議員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-22 10:45 [修正][削除]
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4113/4161
 わが国のある国際エネルギー問題専門家から、米国のエネルギー事情の変化や世界の資源国によるエネルギーを利用した国際政策などに関して、非公式の場で詳しい報告を聞き、意見交換をした。筆者はロシア問題を研究している立場から、エネルギーを巡る欧米とロシアの関係に関心を抱きながらこの専門家の分析を聞き、討論をした。私が考えていることの一端をこの場で述べたい。トランプ政権成立以前のことだが、従来米国は中東産油国やロシアがエネルギーを国家戦略の道具として外交利用するのを批判してきた。米国は中東などからのエネルギー輸入国だったので、そのような態度をとったのであろう。石油輸出国機構(OPEC)が談合して生産量を調節しエネルギー価格を吊り上げて国際政治に影響を与えた場合、つまり資源国が国益のために資源を政治利用した場合、時に国家の存亡にかかわるような強い影響を受けるのは資源輸入国の側であった。日本や資源の少ない他の多くの国も、資源輸入国の側にあり、米国もそうであった。もちろん、資源の供給量が需要を上回る場合は油価は下落し、買い手の方が強い立場に立つ。国際政治では、ある手段を行使して戦略的な行動を取れる側は、当然その手段を大いに活用し、逆にその手段がない側は、相手側のそのような行動を批判し、あるいは抑制しようとする。2005年に筆者がロシアのプーチン大統領主催の会議に出席した時、大統領は自ら「ロシアにとってエネルギー資源は、わが国の最も重要な戦略的手段である」と、当たり前のことのように述べた。つまり、ロシアはエネルギー資源をその対外政治のために全面的に活用していると公言しているのである。

 しかし近年、エネルギーをめぐって米国の状況は劇的に変わった。技術の進歩により2000年代に入って米国のシェールガス・石油の産出量が大幅に増加し、この「シェール革命」によって2016年初頭から米国は天然ガスの輸出国に転じたのだ。こうなると、当然のことながら米国が天然ガスを国際戦略に利用する側になる。最近は地政学的姿勢を露骨に示すようになったロシアだが、そのロシアのエネルギーに過度に依存する状況をEU主脳が懸念するようになった。そして、EUはロシアへの過度な依存を脱する措置も講じている。米国政権も戦略的にそれを支援していると言える。もっとも、EU諸国は国によって対露姿勢が異なっているので、ロシアは対欧州戦略の観点から、また欧州へのエネルギー輸出のためにも、EU諸国の分断に全力を注いでいる。いっぽう米国は、このようなロシアの影響力を削ぐために、欧州へのガス輸出を開始した。またEU本部と協力して、ロシアが欧州のエネルギーを独占支配するのを阻止すべく、ガスプロム主導の「ノルド・ストリームⅡ」(ロシアからバルト海海底を経てドイツに繋がるガスパイプラインの2本目)や、「トルコストリーム」(黒海海底を経てロシアからトルコおよび欧州にガスを輸出するパイプライン)を阻止しようとしている。

 ここで、わが国のとくにロシアのエネルギー問題の専門家の中に見られる異様な見解について疑問を呈したい。国際政治の常識から言えば、資源保有国が資源輸出を対外政策において政治的に利用しようとするのは、プーチン自身も公言しているように、常識であり当然のことである。また、現実主義者としては、資源国はどの国も国益のために資源を政治的に利用していると考えるべきである。ところが、わが国のロシアエネルギーに関連した官庁や組織、企業のエネルギー専門家の間では、私には理解に苦しむ見解が幅を利かせている。つまり、ロシアの事実上の国営あるいは国家統制下のエネルギー企業の対外プロジェクトは、純粋に経済論理に従って行動しており、それはロシア政権の政治戦略とは無関係だと、プーチン自身が驚くような見解がむしろ主流になっているのだ。もちろんガスプロムのどのような対外政策でも、一見、純経済原理に基づいた論理で説明することは可能だし容易いことだ。それは、どのような国家戦略でも、国益という観点から経済原理でも説明可能ということと同じである。あるいは、日米開戦も敗戦も経済論理で説明可能というのと同じだ。冒頭に触れた国際エネルギー専門家は国際政治への理解も深いので、「わが国の経済専門家の間には国際政治に関してナイーブな方が少なくない」とも述べた。わが国のロシア経済専門家の「ガスプロムは純粋に経済原理で動いている」という言葉を聞くと、ナイーブというより、むしろ常識を否定するこのような言葉にこそ特別の政治的意図があるのではないかとさえ疑ってしまう。

 わが国はロシアとのエネルギー協力にどのように対応すべきか、との問題が問われている。具体的には、ロシア国内におけるエネルギー開発プロジェクトやサハリンと北海道の間のガスパイプライン建設問題などに対して、民間企業だけでなく、国民の税金が流れ込む国際協力銀行(JBIC)や独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などが如何に対応すべきか、という政治的かつ経済的な問題である。私はガスプロムなどが実施する対外プロジェクトの政治性を批判しているのではない。それらがロシアの国家戦略と密接な関係があることを、私は当然あるいは自然なことと見ているからだ。私が述べたいことは、わが国の政府や企業も、そのような常識を前提にして対応すべきで、ロシアのエネルギー企業の行動は「純然たる経済原理に基づく行動」といったプーチン発言自体を否定するような不自然な考えを基にしたアプローチをすべきではないということである。言うまでもなく、これはロシアとの協力を否定するためのものではなく、現実を醒めた目でしっかり見据えて対応すべき、との主張である。

政局大胆予想、6対4で安倍逃げ切り   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-21 06:47 [修正][削除]
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4112/4161
 新聞は「首相の連続3選が確実視されてきた秋の自民党総裁選にも、暗雲が漂い始めた」(読売)のだそうだが、果たしてそうか。民放のノーテンキなトークショーはともかくとして、大新聞が書くとそうなってしまうから怖い。しかし、小生の見たところ、6対4で首相・安倍晋三が逃げ切る。なぜなら政局化は虚弱野党がいくら狙っても導火線になり得なくて、自民党内の力関係によって発生するからだ。いまのところ自民党内は、前回書いたように魑魅魍魎しか露骨な動きを見せる者はいない。証人喚問も佐川が破れかぶれの“舌禍路線”に転ずれば別だが、その気配はない。もう国会は佐川喚問を最後に不毛の論議の区切りを付けるべき時だ。証人喚問は27日になるが、それに先だって自民党大会が25日に開かれる。安倍は党大会で9条改正案など改憲問題を前面に据えて意見集約を進める。総裁演説についても改憲への思いを述べ、全党員の結束と団結をよびかける。いまのところ党大会で、政権を揺さぶるような不穏な空気が組織的に生ずる動きはなく、せいぜい一部出席者の不満げな発言を民放テレビが掘り出して、大袈裟に報道する程度にとどまりそうだ。執行部は党員に発言に気をつけるよう注意喚起すべきだ。公平中立な報道を逸脱する傾向が強い民放にも法的措置を取る必要があるかも知れない。

 一方、政府・与党は前理財局長佐川宣寿の証人喚問を受け入れた。渋る首相官邸を自民党が押し切った形だ。官邸は当初、参考人招致でしのぐべきだと喚問に慎重だった。しかし、虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる喚問に応ぜざるを得ないと与党が判断したのは、改ざんへの厳しい世論を無視できなかったためだ。加えて幹事長二階俊博は、ドスが利くのは見かけばかり。その実は小心で、けんかの仕方を知らない。最初から妥協しか考えないから、始末に悪い。しかし、喚問も一見佐川が人身御供になるかのように見えるが、過去の例から見ても参考人招致より喚問の方が切り抜けやすいのが実情だ。過去の証人喚問はロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件などが有名だ。筆者はロッキード事件の喚問を取材したが、証人が「記憶にございません」作戦を展開、野党は歯が立たなかった。今回のように旧大蔵省が舞台となった事件では、98年の「接待汚職」がある。東京地検は、金融機関への検査情報を事前に得ようとする大手銀行・証券会社から過剰な接待を受けた収賄容疑で、同省や日銀などの職員を相次ぎ逮捕、起訴した。同省だけでも112人に停職、減給などの処分が下った。組織が財務省と金融監督庁に分割される原因となった。

 佐川の場合は汚職の嫌疑があるわけではなく、過去の喚問事件と比べてスケールは格段に小さい。書き換え問題は大阪地検が捜査中である。したがって「捜査中の案件については発言を控える」の答弁で切り抜けるしかあるまい。また刑事訴追の恐れのある場合は証言を拒否できる。佐川は事務次官の質問に対してすら、刑事訴追を理由に回答を避けた。野党が狙う政権直撃材料は出ない可能性が高い。証人喚問は厳しいようで攻撃する側は壁が高いのである。野党内には「佐川氏が捜査を理由に答えなければ世論は納得しない」とけん制する声があるが、爆弾発言を期待しても経緯から言って無理だ。政府・与党は、極東情勢が厳しい局面にさしかかっているときに、つまらぬ泥濘(ぬかるみ)に足を取られているときではあるまい。昭恵夫人の喚問を狙う共産党の国対委員長穀田恵二は与党の喚問拒否について「国民の批判はずっと続く」と述べているが、総選挙で9議席減らして12議席になった政党が「国民を代表」して偉そうに発言してもらっても困る。

 そもそも安倍政権は特定秘密保護法や安保法制でいったんは30%台に支持率が落ちたが、その都度回復させてきた。だいいち支持率なるものが朝日や毎日など反安倍メディアと読売・産経など安倍支持メディアで違うのはなぜか。質問者が悪意を持って聞くのが朝日、毎日であるからだ。与党内には「監督する立場の麻生氏の政治責任は避けられない」との声もあり、これで幕引きとなるかは不透明な側面がある。安倍は問題を調査する審議会を民間人を入れて作り、答申を得て財務省改革に着手することも検討してはどうか。その上で、外交問題が一段落したあと夏にも、内閣改造を断行して麻生を副総理から外して党幹部にでも据えた方がよい。総裁3選態勢を整えるべきだ。

米マスコミがトランプの「独断」に警鐘   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-20 05:58 [修正][削除]
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4111/4161
 言ってみればただの商売人が外交をやることに対する不信感だろう。トランプの対北朝鮮政策に対して米国内で危惧の声が高まり始めた。とりわけ5月に予定される金正恩との会談がうまく展開するかについては悲観的な見方が強く、北が核戦力を手放すことはあり得ないというのが“常識”になりつつある。トランプの秋の中間選挙への“邪心”を指摘する声も多い。日本にしてみても、トランプがICBM実験を抑え込んでも、日本を狙ったノドン200発の廃棄まで実現しなければ全く意味がなく、“悪夢の構図”が現出しなねない。なぜトランプが急に米朝首脳会談に乗り気になったかと言えば、韓国の特使の“口車”に乗せられていると言うことだろう。トランプは、特使との会談のその場で「よし会おう」と飛びついているが、そこには、商売人が取引先に会うような「軽々しさ」しか感じられない。世界の片隅で虎視眈々と好餌を狙う、北の体制への理解がないのだ。“口約束”でしかない韓国のメッセンジャーをまるで信頼しきっており、国務・国防両省などプロの意見を無視しているかのようだ。

 情報を総合すると金正恩は首脳会談の前提として(1)非核化に尽くす、(2)核・弾道ミサイルの実験を控える、(3)米韓軍事演習を理解するなどを提案したという。その背景には国連の制裁が紛れもなく効き始めたうえに、中国までが本気で制裁に踏み切った結果、さすがに孤立化をひしひしと感じ取ったことがあるのだろう。トランプの姿勢に対して米国のマスコミの論調は極めて批判的だ。ニューヨーク・タイムズは、トランプが外交責任者であり解任されたティラーソン国務長官にも相談せず、会談の要請を受け入れたことについて「危険で理解し難い」と批判した。「十分な準備がないまま会談に臨み、北朝鮮側の要求を独断で受け入れてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らした。また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、「トランプ大統領との会談にこぎつけたことは金委員長の勝利だ」と皮肉っている。さらに同紙は「金氏が核放棄に関する交渉に応じるかどうか、米国も国際社会も懐疑的であり続けるべきだろう。金氏の父、そして祖父も時間稼ぎのために協議に応じ、水面下で核開発プログラムを推し進めてきた。協議に応じる見返りを手にしておきながら、すべての合意を破り続けてきた。」と看破した。
 
 確かにトランプが問題なのは過去2回にわたる北朝鮮の約束が全て空約束に終わった事すら勉強していないことなのだ。1994年の核開発凍結の約束は、核開発継続に終わった。2005年の6か国協議における核放棄の共同声明は、翌年の核実験で反故になった。北朝鮮はその民族的特性が外交でペテンにかけるところにあることが分かっていない。トランプはいまや恒例と化した北のやり口をすこしは学ぶべきだ。そのやり口とはまず核やミサイル開発で進展を見せ、国際社会の脅威と関心を呼び、その後は韓国でハト派の政権が誕生するのを待ち、外交手段に切り替え援助を得るというやり口だ。

 とりわけ重要なのは既にトランプが引っかかっている「非核化の罠」をどうするかだ。非核化と言っても日本にしてみればICBMの実験中止などで“お茶を濁され”てはたまらない。日本にとっての非核化とは北の核弾頭がゼロになり、製造もしないことを意味する。まかり間違えばトランプはその日本の立場を飛び越えてICBMと核実験の停止で妥協しかねないのだ。そのトランプの極東における核問題の浅薄さを補うのが、安倍の4月訪米だ。ここでトランプをいかに説得するかが極めて重要なポイントとなる。韓国の“伝言”だけに乗っているトランプをいかに目覚めさせるかが安倍の役割だ。

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投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-16 07:33 [修正][削除]
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4110/4161
 これは現代の生麦事件とも言うべきもので、これでは諸外国が中国と安心して経済関係を深めることはできないと思われます。また中国の政府も国民も、義和団の乱のように諸外国の居留民や経済利権の安全を脅かす行為が列強の介入を招いたという歴史的事件を忘れてはなりません。すなわち、中国と国際社会の間で共通の規範や認識がなければ民間企業が安心して経済交流などできないということはもっと強調されてもよかったと思われます。中でも中国の「一帯一路」構想には安倍晋三首相も日本が積極関与すべきと発言していましたが、本当にユーラシア大陸の横断ルートを中国主導で開発するというならウイグル、チベットでの人権問題は考慮されねばならないでしょう。現状では日本企業が当地で安全に活動できると思えぬばかりか、同じ民族が居住する中央アジア諸国やトルコの反発にも配慮の必要があると思われます。

 またイギリスのAIIB加盟にヨーロッパ諸国が続いたことから、日本も中国との経済関係強化にはこれに加盟すべきではないかという議論が優勢を占めたようですが、そこまで言い切ることには拙速の感が否めません。そもそもイギリスのAIIB加盟を強力に推し進めたのはキャメロン政権期のジョージ・オズボーン前財務相でした。当時のオズボーン氏はデービッド・キャメロン前首相の後継者の最有力候補でした。しかしブレグジットによるキャメロン内閣退陣に伴いオズボーン氏も閣僚から一議員となった今、メイ政権下では中国への対処で安全保障問題の比重が増大しています。前内閣で内相の地位にあったテリーザ・メイ首相は、ヒンクリー・ポイントおよびブラッドウェル原子力発電所への中国の投資にスパイ活動を呼び込みかねないと警戒していました。また極東での「航行の自由」作戦への参加も強化してゆく方針となっています。さらにブレグジットを機に保守党内ではジェイコブ・リースモッグ下院議員を中心としたナショナリストの勢力が強まっていることも見逃せません。

 リースモッグ氏は有力閣僚の経験がないので近い将来に首相になるとは考えにくいのですが、世論調査によっては保守党の次期指導者として高く期待する向きもあるようです。彼は反EUの発言が目立つ一方で対中観は明確でありませんが、ナショナリストである以上は中国の市場に惹かれて迎合することは考えにくいです。そして労働党のジェレミー・コービン党首はヨーロッパとの関税同盟への残留案を打ち出すなど、財界の要望との現実的な妥協の姿勢は見せていますが、こちらも対中観の方は不明確です。いずれにせよイギリスで中国に宥和的なオズボーン路線が後退する見通しである以上、日本のAIIB加盟はもっと慎重になっても良いと思われます。しかもAIIBが既存の世界銀行やアジア開発銀行とは競合より協調の方向と言うなら、なおさらと思われます。
 
 さて、本題の「中国かロシアか」に立ち返ると、両国が西側のポピュリズムどう見ているのかも新時代へのパワー・トランジションを考えるうえで重要になると思われます。中露両国ともポピュリズムに混乱する西側の政治を見て、今や自分達の強権政治こそ新たな国家統治モデルだと主張し、ハード・パワーのみならずソフト・パワーでの躍進も狙っているように見受けられます。しかしながら、西側での反エスタブリッシュメントの動きが自国に飛び火するようなら、両国とも国際政治でのパワー・ゲームに入り込み過ぎると返り討ちに遭う危険もあるでしょう。中国で習近平国家主席が終身までの任期延長に踏み切ったのも、大衆の反乱を抑える意図もあると思われます。またロシアではプーチン政権への諦めムードの傍ら、生活水準に対する国民の不満も高まっているとも言われます。そうした中で、プーチン大統領は来る選挙での当選を果たしたとして本当に額面通りに2024年の任期切れで政界を引退するのかという疑問は付きまといます。そうした観点から、予測不能な世界への羅針盤にはポピュリズムの問題も深く議論してゆく必要があると思われます。以上、本稿で述べたような国際情勢を考慮すれば、日本の政策関係者が欧米を中心に対中脅威への問題意識の徹底を訴えることは良いのですが、それがジャパン・ファーストであってはならないでしょう。欧米の関係者に日本はロシアやイスラム過激派の脅威を軽視していると見られると、彼らに対する中国問題の力説も徒労になりかねません。やはり国際公益としっかり結びつけた対中政策を模索しないと、諸外国に対する説得力はないと思われます。また、日本のおける中国研究が欧米をはじめ諸外国にとっても政策的に有意義な質と水準になっているのかを常に問いかける必要もありそうです。(おわり)

小姑、魑魅魍魎が永田町を跋扈   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-15 05:28 [修正][削除]
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4109/4161
 『共産党宣言』の有名な冒頭の一節は「ヨーロッパに幽霊が出る。共産主義という幽霊である」だが、さしずめ永田町でうごめいているのは、魑魅魍魎だろう。政権のあらを探して食らう魑魅魍魎だ。しかし今のところ本格的な魑魅魍魎は出てきておらず、二線級ばかりだ。この二線級魑魅魍魎は、首相・安倍晋三の足を引っ張ろうとしているが、決め手に欠けて空理空論ばかりだ。魑魅魍魎の筆頭に立憲民主党幹部の辻元清美をまず挙げる。辻元はなんと安倍昭恵の「いいね」に噛みついた。昭恵のフェイスブックに掲載された「野党のバカげた質問」などの投稿に、昭恵が「いいね!」ボタンが押したことについて、辻元は14日、「もう感覚が理解できない。なぜ『いいね!』を押したかも証人喚問に来ていただいて、お聞きしたい」だそうだ。「いいね」を押したら証人喚問とは恐れ入った。昭恵の「いいね」は多くの人が共感を持つものであり、憲法に保障された表現の自由の最たるものである。「いいね」で証人喚問という発想は、戦前の軍部の発想に似ていて、女のくせに強権的で鼻持ちがならない特権意識を感じる。審議拒否で1日3億円もの国費を無駄遣いしてきた野党こそ、とっとと出て来るべきだった。

 これまた魑魅魍魎の筆頭が元首相小泉純一郎。安倍といえば自分の内閣を支えた中心人物の一人であるにもかかわらず、引っ張れるだけ足を引っ張っている。文書改竄当時に財務省理財局長だった佐川宣寿の国税庁長官起用に関し「国税庁長官になって記者会見を一度もしていない。ひどいなあと思っていた」と述べた。その上で「安倍首相も麻生氏も長官への起用を適材適所と言い切った。これにはあきれたね。判断力がおかしくなったのではないか。どうしてああ有答弁ができるのか不思議だ」と発言したのだ。この発言は後講釈もいいところだ。起用時には誰一人として佐川が改竄するとは予測をしていない時点の人事であり、分かっていれば起用するわけがない。大体首相がごみ人事に口を突っ込むわけがない。小泉純一郎はどうも狭量な小姑根性が鼻につく。小姑が嫁いびりするたとえに「小姑一人は鬼千匹に向かう」がある。たった1人でも鬼千匹に値するほど、めんどうで扱いにくい存在を指すが、首相まで務めた者が狭量の極みである。

 なんと自民党総務のくせして組織のトップである安倍の足を引っ張る発言を繰り返しているのが村上誠一郎。かつて竹下登がリクルート問題などで政局混乱の責任を取って予算案の衆院通過時に退陣表明したことに言及して「そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか」と露骨に退陣を要求した。大男総身に知恵が回りかねとはいわないが、これが自民党議員の発言とは恐れ入る。週刊誌レベルの情報を元に発言しているように見えて浅薄さは極まりない。安倍が国会答弁で「書き換え前の文書を見ても私や妻が関わっていない事は明らかだ」と述べている通り、この事件に「首相の犯罪」の側面はゼロだ。書き換えは国会対応を担当する理財局の一部の職員が行ったものであり、そもそも首相が大臣や次官を差し置いて職員に直接命令を下すなどということがあるわけがない。民放の馬鹿番組ばかりを見ているからこういう発想が出る。事件の本質はごますり官僚が自らの出世を意識して、“忖度” したところにあり、責任は間の抜けた忖度をした方にあるのだ。いずれの砲弾も“本丸”にとどくまえにお堀に落ちて、鯉をあきれさせているだけだ。

(連載1)「世界との対話」および「日米対話」に参加して   ツリー表示
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-15 01:16  
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4108/4161
 さる2月28日開催、日本国際フォーラム、グローバル・フォーラムおよび仏国際関係戦略研究所との共催による、世界との対話「ユーラシア2025:ポスト・パワーシフトの地政学」と、さる3月2日開催、日本国際フォーラム、グローバル・フォーラムおよび米カーネギー国際平和財団との共催による日米対話「チャイナ・リスクとチャイナ・オポチュニティ:「自由で開かれたインド太平洋戦略へのインプリケーション」にそれぞれ参加させていただいた。両「対話」では、参加者各位から多くの有意義な質問が寄せられるなど、活発な議論が展開されており、大変勉強になりました。特に印象に残った質問としては、日本国際フォーラム上席研究員の坂本正弘氏による「アメリカは依然として中国よりもロシアの脅威を重視していて、日本とは意識の差があるのではないか?」という問題提起でした。両「対話」に参加する前から、私は中国を世界秩序への最重要脅威の一つと見ていましたが、それが東アジアという地域限定からグローバルなものになっているとの認識を深めました。そのような背景を念頭に、改めてロシアと中国の脅威について、本稿で再検討してみたいと思います。

 まずロシアについては、ウラジーミル・プーチン現大統領が何らかの形で権力を掌握し続ける間は重大な脅威であり続けると思われます。その理由として第一に挙げるべきは西側民主国家への選挙介入で、これは国家の存続の根本を揺るがすものです。先のアメリカ大統領選挙でのロシア疑惑が世界のメディアを賑わせていますが、それ以前にプーチン政権はヨーロッパでハンガリーやチェコなどナショナリスト政権の誕生を支援してきました。これらの国々は冷戦直後には旧共産主義から民主主義と市場経済への移行の成功例とされてきただけに、事態はトランプ政権の誕生やフランス、ドイツ、オランダでの極右勢力の伸長以上に深刻です。第二にはシリア内戦への介入でロシアが海外での軍事活動での実績を挙げたことです。そしてロシアは中東での地歩を固めてしまい、彼の地でのアメリカのプレゼンスを相対的に低下させてしまいました。第三にはクリミア併合に見られるような非対称戦争での勝利が挙げられます。

 これらはいずれも西側の防衛体制の虚を突いたものであり、第二の超大国に伸し上がる可能性が議論される中国でさえ成し得ぬ成果です。まさに旧KGB出身のプーチン大統領ならではの所業と言えるでしょう。その一方でロシアの現体制が崩壊した場合、ソ連時代から積み上げた高度な軍事技術が中国に代表される他のリビジョニスト・パワーに流出する恐れがあります。具体例を挙げれば中国には航空宇宙用のエンジン技術がないので、「国産戦闘機」といえどもロシア製のものを使用せざるを得ません。また、空母「遼寧」も元は旧ソ連からウクライナに渡った艦船を中国が買い取ったものです。そうして見ると今後の動向はどうあれ、欧米も日本もロシアをやがて衰退してゆく国と見なして安心していられるとは思えません。そもそもプーチン氏のようなナショナリストの登場は、ソ連崩壊時に西側がロシアの弱体化に安心してしまったツケが回ったものと思われます。

 そして両「対話」の中心テーマとなった中国については安全保障上の脅威には日米を中心に厳しく対処してゆきながら、彼の地での経済的な機会は我々も利用してゆくべきではないかという論点から議論が深められました。安全保障に関しては東シナ海および南シナ海での「航行の自由」作戦、そしてインド太平洋地域での中国による港湾整備や海軍基地建設に関して活発な議論が交わされましたが、ここでは詳細を割愛いたします。ただ私としては、中国側との政治および社会的な価値観の違いを埋めきることなしに国際社会が中国との実利的な関係を築くことは容易ではないと思っています。それが典型的に表れているのが彼の地で度々起きている日本企業駐在員の逮捕事件で、中には中国共産党側の政治的な理由でスパイ容疑に仕立て上げられたと疑われるものもあります。(つづく)

トランプ/金正恩「非核化合意」に備えよ   
投稿者:四方 立夫 (東京都・男性・エコノミスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-14 19:04 [修正][削除]
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4107/4161
 トランプ/金正恩会談が5月に開催される予定が発表された。韓国特使の伝言だけに基き、金正恩委員長からの直接の発言もなく、国防省/国務省とも十分協議することなく、トランプ大統領が即断即決した前のめりの姿勢に深い憂慮を覚える。チョン・ウィヨン国家安保室長のホワイトハウスでの声明には“Kim Jongun said he is committed to denuclearization”、“Kim pledged that North Korea will refrain from any further nuclear or missile tests”とあり、1994年の核危機以来の北朝鮮の数々の声明の内容と基本的に同様にて、“denuclearization”のために在韓米軍の撤退など米国が飲めない要求を出してくる可能性もある。
 
 トランプ政権は昨年末から今年の中間選挙を強く意識した、エルサレムの首都認定及び5月の大使館移転、通商拡大法232条の発動による鉄鋼/アルミニウムの輸入制限措置、などの政策を続々に打ち出し、今回の唐突な首脳会談受諾も「史上初の米朝首脳会談」を有権者にアピールすることが主目的ではないかと危惧される。
 
 昨年の北朝鮮による一連の核ミサイル実験に対し、当初から言われていた「トランプ政権は米国本土に到達するICBMの開発さえ中止させられれば、日本を射程に収めた短中距離核ミサイルは事実上黙認するのではないか」との懸念が現実のものとなる怖れも否定できない。
 
 我が国としてはトランプ/金正恩会談に於いて如何なる「非核化合意」がなされようとも、自国を北朝鮮の核ミサイルから防御することが喫緊の課題である。現在進行中のミサイル防衛システム増強を加速化すると共に、敵地攻撃能力を備えた巡航ミサイルの配備及びその搭載可能な戦闘機の改修/新規配備、ヘリコプター搭載護衛艦への最新鋭ステルス戦闘機の離着陸を可能にする改修、「非核三原則の緩和」による米国と協働した核抑止力の強化、などの対抗策を真剣且つ緊急に構築することが、日本並びに周辺諸国の平和と安全に必要不可欠である。

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投稿者:三船 恵美 (東京都・女性・駒澤大学教授・-)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-14 12:33 [修正][削除]
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4106/4161
 第2に、スリランカのハンバントタ港を代表的な例として、インド洋圏における中国の新植民地主義の展開である。別の言い方をすれば、「清朝中国の屈辱の歴史」を清算するかのようなパフォーマンスを含め、インド洋圏における権益を拡大させている。まさに、当日のパネリストお一人である渡邊啓貴教授(東京外国語大学)がご指摘されたように、ランドパワーである中国が、シーパワーとして台頭を図っているのである。これらの、ランドパワーとシーパワーに加え、「一帯一路」による「宇宙情報回廊」をつくろうとしている点にも注意すべきであろう。中国は、「一帯一路」のメカニズムを通じて、「海洋防災・減災」での早期警戒システムのネットワーク形成を進めようとしているが、(1)地球観測衛星「遥感」(リモート・センシング)、(2)通信放送衛星、(3)航行測位衛星「北斗」の三大システムで一体化した情報ネットワーク=「宇宙情報回廊」を構築しようとしている。サーバーや宇宙での、サイバーパワーやスペースパワーとして、中国は台頭しようとしているのである。

 第3に、中国は、「一帯一路」を通じて、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」に有利な国際環境を整えようとしている。「中国製造2025」とは、2015年5月に中国政府が公表した三段階の発展計画である。中国は、「第1段階」の2025年までに「世界の製造強国入り」を目指し、「第2段階」の2035年までに中国の製造業レベルを世界の製造強国陣営の中位へ押し上げることを目指し、「第3段階」の2045年に「製造強国のトップ」になることを目指している。急速なイノベーションが難しい分野では、中国は外国企業の買収によって技術を吸収している。一方、「一帯一路」を通じて、途上国では、鉱物資源やマーケットの獲得を展開している。「一帯一路」による「朋友圏=お友達圏」は、経済のみならず、政治手段となっているのである。「中国製造2025の公布に関する国務院の通知」において、「軍事・民間技術の資源を統一配置し、軍民両用技術の共同攻略を展開し、軍事・民生技術の相互の有効利用を支援し、基礎分野における転用を促進する」ことが謳われている。軍民両用を進める「中国製造2025」と「一帯一路」が連動していることを、慎重に注視すべきであろう。

 第4に、「一帯一路」による協力圏の構築によって、中国が推し進めようとする政策を国際社会において通しやすくしたり、中国が抑えたい国際社会の政策や行動を押さえ込む手段や力にしたりしている。例えば、中国を念頭にまとめられた欧州企業の買収防衛策案が、中東欧諸国からの反対で流されている。イタリア、フランス、ドイツは、近年の中国企業による企業の買収をめぐり、欧州委員会に対して、戦略的とみなされるすべての対象企業および、国や政府系機関の資金で賄われた買収に対する規制権限の強化を求め、そのような投資を阻止する権限をEUに与えるように訴え続けた。しかし、それを、「1+16」の枠組みを強化している中東欧諸国が阻止した。このような動きに、ドイツのガブリエル外相などから、中国が中東欧を使ってEUの対中政策の足並みを分断するのではないかと懸念する声があがった。また、近年、中国との関係を深めているギリシャの例を挙げれば、昨年、EUが国連人権理事会で中国の人権状況を批判する声明をとりまとめようとしたところ、ギリシャが反対して、EU加盟国全28ヵ国が賛成しなければ「EUとしての声明」が出せないため、EUは中国の人権状況をめぐる批判声明を断念した。

 中国がその影響力を増大しても、平和的な台頭であれば、何も問題はない。友好的な隣国が平和的に台頭するのであれば喜ばしいことである。しかし、増大する影響力を、「膨張する中国」が如何に使うのか、それが日本に何をもたらすのか、が問題である。「氷のシルクロード」の開拓に邁進する中国は、今後は、南西諸島方面のみならず、津軽海峡や宗谷海峡でのプレゼンスを増大させてくるであろう。日本を取り巻く安全保障環境は、いっそう厳しいものになっていくことが予想される。日本は、中国の対日外交や「一帯一路」を、中国が中央アジアやヨーロッパで展開している朋友圏形成の延長上で語るべきではない。また、中国が「安全保障上の直接的な脅威」にはならないヨーロッパ人的な発想で、中国のユーラシア外交を考えるべきではない。パクスシニカをめざす中国の諸政策において日本が如何に位置づけられているのかを分析したうえで、日本が「一帯一路」へ如何に向き合うのかを考えるべきであろう。全人代の常務委員会は、昨年末から、「英雄的な殉難者の精神や愛国心の高揚」を目的とした「英雄烈士保護法」の法案を審議してきており、今年の全人代で同法が新たに制定される。同法は日中戦争時代に日本軍と戦ったとされている中共の「抗日神話」に対する批判を認めないものである。2014年に9月30日を「烈士記念日」と定めた中国は、烈士を記念する活動を執り行ってきた。その一環として発表された「抗日烈士・英雄リスト」には、存在しない人物までリスト入りしていたと指摘されたこともある。「歴史を書き換えようとしている中国」が、日本を如何に位置づけているのか、南西諸島方面をはじめとする日本周辺で如何に行動しているのか、中国の中長期的なねらいを冷静に分析してから、日本の対ユーラシア外交を我々は検討していくべきであろう。いま、ユーラシアで何が起きているのか?パクスシニカをめざす中国の「一帯一路」を、ビジネスチャンスの視角からのみ語るべきではない。(おわり)

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投稿者:三船 恵美 (東京都・女性・駒澤大学教授・-)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-13 16:03  
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4105/4161
 さる、2月28日、日本国際フォーラム、グローバル・フォーラムおよび仏国際関係戦略研究所との共催による、国際シンポジウム、世界との対話「ユーラシア2025:ポストパワーシフト後の地政学」にパネリストとして参加させていただいた。改めて、日本国際フォーラムの高畑洋平先生をはじめ、関係者の皆様に厚く感謝を申し上げたい。当日は、「いまユーラシアで何が起こっているのか」という点についてお話しさせていただいた。報告時間も限られていたので、中国がどのように外交を展開しているのか、という具体的な点については、拙著の『中国外交戦略』(講談社選書メチエ、2016年刊)と『米中露パワーシフトと日本』(勁草書房、2017年刊)をお読みいただければ幸甚である。筆者は、これらの本で、パンダハガ-(媚中派)でもなければ、ドラゴンスレイヤー(反中派)でもない視角から、中国外交を論じている。

 さて、「いま、ユーラシアで何が起きているのか?」という問いに対して、結論をまず一言で言うならば、中国が、「一帯一路」をとても上手に使って、パクスシニカを目指す国際秩序の再編に向かっている、ということである。この「一帯一路」について、日本の多くのマスメディアは、経済圏構想と喧伝するのが大好きである。しかし、経済的な側面は、「一帯一路」の一部分でしかない。中国の習近平は、「国と国との運命共同体」から「地域の運命共同体」、さらには「人類の運命共同体」にまで拡大し、中国と沿線国の発展を結合することが「一帯一路」の意味するところである、と繰り返し述べてきた。「一帯一路」とは、中国が主導する国際秩序形成を意味する「人類の運命共同体」の構築、すなわち、パクスシニカの世界秩序を追求する構想なのである。

 中国が「一帯一路」で推進しようとしているのは、まず、「5つのコネクティビティ」を築くことである。「5つのコネクティビティ」とは、(1)政策面の意思疎通、(2)インフラの相互連結、(3)貿易の円滑化、(4)資金の融通、(5)国民の相互交流の5つである。「一帯一路」は、経済回廊の共同建設にともなうコネクティビティの形成によって、中国が主導するグローバルガバナンスを打ち立てようとする構想である。中国は、「一帯一路」を通じたコネクティビティの拡大と発展によって、「利益共同体」と「責任共同体」を形成し、やがては中国が「人類の運命共同体」と呼んでいるもの、すなわちパクスシニカの世界秩序を構築して、世界の政治経済秩序を中国が主導するグローバルガバナンスの構造へと変えていくことを目指している。中国は、「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合うという『一帯一路』の原則の堅持」を繰り返している。「共に」という言葉を強調することによって、同盟を否定してパートナーシップによる「協力・ウィンウィンを核心とする新型の国際関係を構築しよう」と呼びかけている。「一帯一路」によって、中国は、「一帯一路」の沿線国が互いの主権・尊厳・領土の一体性を尊重し、互いの発展路線と社会制度を尊重し、互いの核心的利益と重大な懸念を尊重する必要性を強調し、共に享受する安全保障構造を築こうと呼びかけている。すなわち、「一帯一路」には、「一帯一路」の沿線国に、「膨張する中国が主張している空間」を「中国の領域」として認めさせ、人権・自由・法の支配といった欧米の普遍的な規範を崩そうとする側面もあるのである。

 では次に、「一帯一路」を使って中国がユーラシアで起こしている主な点について、以下4点挙げていく。まず第一に、「一帯一路」と他の国や地域のプラットフォームとの連結である。中国は「一帯一路」を新規で創ろうとしているのではない。中国が提唱する「一帯一路」とは、既存の地域協力のプラットフォームを戦略的にドッキングさせようとする構想である。中国は「一帯一路」を沿線国と、カザフスタンの「光明の道」、ロシアが提案した「ユーラシア経済同盟」、ASEANの「連結性マスタープラン(MPAC)」、トルコの「中央回廊」、モンゴルの「発展の道」、イギリスの「イングランド北部の経済振興策(Northern Powerhouse)」、EUの「ユンケル・プラン」、中東欧諸国と中国の「16プラス1協力」、ポーランドの「琥珀の道」などをはじめ、様々な地域プラットフォームと「一帯一路」をドッキングしようとしている。(つづく)

国会は、不毛の森友問題に拘泥しているときか   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-13 06:27 [修正][削除]
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4104/4161
 問題は政府・自民党の封じ込め戦略がどこまで通用するかだ。封じ込め戦略とは森友学園への国有地売却の決裁文書が置き換えられていた事件を、財務省理財局内の不祥事にとどめられるかどうかだ。封じ込めに失敗すれば政権を直撃する「政局」マターだが、カギを握るのは、センセーショナリズムの極致を行く朝日新聞とこれに扇動される野党などではなく、自民党内の動向だ。これまでのところ党内の空気は落ち着いており、事件を契機に政権に揺さぶりをかける動きには発展していない。様子見という状況であり、当分腹の探り合いが続くだろう。揺さぶりをかける方法があるとすれば、野党は財務省トップである麻生太郎の辞任をまず求め、ついで麻生に責任を取らせ、安倍へと波及させるしか手はない。しかし、政権側は先手を打った。国税庁長官佐川宣寿の辞任と懲戒処分によるトカゲの尻尾切りである。麻生は「あくまで理財局内での一部の職員によって行われた。その最終責任者は当時の理財局の佐川局長である。私の進退は考えていない」と突っぱねた。

 問題はこれによって事態が収束に向かうかどうかであるが、朝日の13日付け紙面作りを見れば、ますます煽りの姿勢を強めている。安倍にとって最悪の事態は麻生の辞任であるが、これは国会における与野党攻防の力関係が決める。野党は総選挙の大敗北で勢いに今ひとつかけるが、問題は与党内に反乱が起きるかどうかだ。自民党内はいまのところ筆頭副幹事長小泉進次郎がキャンキャン吠えているにとどまっている。しかもその発言は「自民党は官僚に責任を押しつけるような政党ではない。その姿を見せる必要がある」と婉曲的に政治家の責任を求めている段階だ。一方、党内野党の元幹事長石破茂も「だんだん、つじつまがあわなくなってきたのかもしれない。なんでこんなことになるのか。仮に事実だとすれば、誰がどんな思惑でこんなことになったのかなということだ。与党側として、仮に不正な、少なくても法に照らして適正でない問題をかばっていると思われたら、自民党の名誉に関わることだ」と突き放し始めた。

 しかし、これら潜在的反安倍勢力の弱点は、安倍に対抗しうる候補が存在しないことだ。まず政調会長岸田文雄は、まだ海のものとも山のものともつかない。安倍からの禅譲狙いしか戦略の決め手がないように見える。ここは“待ち”の姿勢が正しい。石破もその派閥勢力が20人では、立候補するのが精一杯であり、安倍支持勢力には及びもつかない。安倍支持は出身の細田派に加えて、麻生派、二階派だけで所属国会議員の半数を上回る。この3派の結束は今のところ固く、幹事長二階俊博も「安倍さんへの支持は微動だにしていない。野党のいうがままに総辞職することなどない」と発言している。安倍と麻生の盟友関係は固いうえに、麻生を辞めさせれば、防波堤が除去され野党はかさにかかって安倍攻撃に戦略を移行させる。ここは安倍も麻生も布団をかぶって降りかかる火の粉を避けつつ、駆け抜けるしかない。一方公明党も麻生の進退に関しては慎重だ。公明党代表・山口那津男は麻生の進退について「求められるのは財務省の態勢を建て直す責任をしっかり果たすこと」と、選択肢から除外している。

 そもそも決裁文書の書き換えはけしからんと鬼の首でも取ったように朝日は書き立てるが、焦点は国会への開示文書では「特例的な内容となる」「本件の特殊性」という文言が、なくなっていたことにある。しかしこの部分はあくまで主要部分の書き換えではなく、付随した部分に過ぎない。朝日や野党はこのような重箱の隅をつつくような問題ばかりをクローズアップさせて、重大事件扱いし、何が何でも安倍政権を倒閣に追い込むという姿勢が鼻につく。朝日は13日の紙面は1面から4面まで倒閣路線を貫いている。もはや倒閣マニアのレベルだ。TBSなど民放も明らかに放送法に規定される「中立な報道」を逸脱した報道が目立つ。そこには、マスメディアにあってはならない平衡の感覚の欠如が著しく存在する。おりから極東情勢は激動含みで推移しており、米朝対話も日本抜きで進みかねない。いまこそ外交安保が喫緊の課題であるにもかかわらず、朝日と民放と野党の浅ましいばかりの挙げ足取りはいいかげんにせよと言いたい。

  

トランプ氏「一生に一度」の陥穽   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-12 14:03 [修正][削除]
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4103/4161
 ドナルド・トランプ米大統領が3月8日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の招きを受け入れ、5月までに初の米朝首脳会談を開くことに同意した。文在寅韓国大統領が北に派遣した特使の報告をトランプ氏が受け、その場で会談を受諾したのだ。1993年の朝鮮半島核危機から25年の節目に「千載一遇のチャンス」と「取引師」の勘が働いたのか、即決だった。トランプ氏は日頃、「一生に一度のブレークスルー(飛躍的進展)」という観念を好んでいるという。金氏の方は核放棄への国際的圧力が強まる中、瀬戸際で打った「非核化の意思表示」は体制維持のための深謀なのか。11月の中間選挙で苦戦が予想されるトランプ氏は「願ってもない取引」と飛び付いたが、歴代の米大統領がそうだったように、金氏三代の手玉にとられるのではないか?

 トランプ氏の即断で決まった米朝サミットについて専門家から懸念の声が聞こえてくる。第一に、大統領が韓国特使の前で即決したことだ。同席したマクマスター大統領補佐官、マチス国防長官が懸念を示したが、公然と反対の声を上げなかった。ティラーソン国務長官はアフリカ歴訪中で蚊帳の外だった。第二に、政権内のぎくしゃくがある。ホワイトハウス内部に加えて国務省との間の調整ができていない。与党共和党の執行部との間でも意思疎通が不十分だ。第三に、外交体制が確立していない中での「独断」である。対北朝鮮政策を統括してきたJ.ユン氏が国務省を去り、V.チャ氏は駐韓国大使指名を辞退した。大統領の圧力主義と相容れなかったからという。アジア太平洋担当の国務次官補は議会承認が遅れ就任していない。外交実施体制が全くできていない中で、あと数週間で首脳会談を開こうというのだから懸念が深まるのは当然だ。

 基本的な問題がある。第一に、「朝鮮半島の非核化」。南北首脳会談を4月末に板門店で開くことを韓国政府は3月6日に発表したが、その理由として「北朝鮮は朝鮮半島の非核化の意思を明白にした」ことを上げた。これは南の韓国も含めた非核化であり、米国の核の傘を認めないということだ。文大統領自身も6日の陸軍士官学校卒業式で「朝鮮半島の非核化と平和を作り出す自信」を誇示した(読売新聞)というが、自ら北の主張に手を貸すものではないか。第二に、「北に対する軍事的脅威が解消され、北の体制の安全が保証されるのであれば、核保有の理由がないということを明白にした」こと。これは在韓米軍の撤退、米韓軍事同盟の解消を北が意図しているということだ。第三には、朝鮮休戦協定を米朝の平和条約に切り替えるのが北朝鮮の主張である。

 米朝サミット開催前に、このような基本問題について、トランプ大統領の基本戦略が確立し示されなければならない。今はっきりしていることは9日の安倍晋三首相との電話会談で確認した「完全、検証可能な不可逆的な非核化に向けた確実な手段を講じるまで圧力を維持、国際的な制裁を実施するため韓国との3カ国協調体制を続ける」ことだけである。チャ氏は「首脳会談に失敗すれば、戦争の瀬戸際に追い詰められる」と警告した(ロンドンの国際戦略研究所M.フィッツジェラルド氏)。ニューヨーク・タイムズ紙は社説で「トランプ氏は何の見返りもなしに会談に同意した。大成功になるか、決裂して失敗するか、大ばくちになる」と懸念を示した。そのような賭けは願い下げである。

(連載2)駐韓大使不在のトランプ政権と北朝鮮問題の行方 ← (連載1)駐韓大使不在のトランプ政権と北朝鮮問題の行方  ツリー表示
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-03-11 17:34 [修正][削除]
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4102/4161
 根本的な問題は駐韓大使の件を超えたものである。ポピュリストのビジネスマンには政府と緊密な関係にある人物の知人が多くない。またトランプ氏自身も政府で働いた経験がほとんどない。よって政府高官の任命がこのように大幅に遅れている。2月28日時点でトランプ氏は41ヶ国および地域への大使の任命を終えていないが、その中にはトルコ、カタール、ヨルダンといった戦略的に重要な国々もある。さらにレックス・ティラーソン国務長官の省組織再編計画には安全保障の専門家の間から、犯罪やテロといったグローバルな脅威からの本土防衛能力を低下させ、国際舞台でのアメリカの外交的プレゼンスを低下させるという懸念の声が挙がっている。

 こうした混乱はトランプ氏が大統領選挙に立候補した時から予見できたことである。トランプ氏の偏向したビジネス志向と政府に対する敬意の欠如は閣僚の任用にも表れている。『ワシントン・ポスト』紙1月11日付の記事によると、ジョージ・H・W・ブッシュ氏からバラク・オバマ氏までの歴代大統領は閣僚の80%以上が政府経験者であったが、トランプ政権では47%に過ぎない。他方で企業最高経営責任者を歴任した者はトランプ政権では28%だが、他の政権では18%以下である。

 トランプ政権は資格充分な政治任用者にとっても快適に働ける場所でないばかりか、既存の政府官僚にも敬意を払っていない。トランプ氏が当選して間もない政権移行期に、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院のエリオット・コーエン教授はトランプ陣営の一貫性のない政策と険悪な雰囲気に失望し、保守派の仲間にはこの政権に加わらぬよう助言した。トランプ氏の大統領就任から数ヶ月後の『ワシントン・ポスト』2017年4月3日付の記事では事態はコーエン氏が言った通りにネガティブに進展したことが指摘されている。

 彼の政権はオバマ前大統領に盗聴されたと言って国民を欺き、人権軽視で国際舞台でのアメリカの影響力と評判を低下させ、ネポティズムによってホワイトハウスに公私混同をもたらしたのである。その結果、この政権は適性に問題のある人物を要職に登用せざるを得なくなった。これが典型的に表れているのがピート・ホークストラ駐オランダ大使のケースである。元共和党下院議員ながら外交経験に乏しいホークストラ氏は、本年1月に行なわれた大使就任後初の記者会見でオランダのイスラム教徒への恐怖感を扇動した過去の発言について厳しく問題視された。

 トランプ氏はオバマ前大統領が任命した人物に代わって自分の人脈からのお気に入りを抜擢したいのだろうが、それが国内外で摩擦を引き起こしている。よって、トランプ氏は外交の立て直しのためにもアメリカが誇る外交官集団をもっと尊重すべきである。彼の人脈では人材が枯渇しているので、空席の大使には職業外交官を充てるべきだ。トランプ氏とティラーソン長官は国務省再編計画を撤回し、空席となっている大使の任務に必要な資質を身につけた人材を確保すべきである。事は米韓関係に限らない。先進諸国では公務員および外交官はメリット本位で登用され、大使は時の政権ではなく国家を代表する。トランプ大統領はこうしたグローバル・スタンダードに従うべきだろう。韓国が今のような政府と外交の混乱を見て、アメリカを信用できるだろうか?(おわり)

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