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中国の本格的な北制裁は不可能   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-06 06:31 [修正][削除]
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 ドキリとさせられた。このような時に国会で冗談でも「包丁一本さらしに巻いて」 と歌って訪朝する神経のばかさ加減を疑うが、アントニオ猪木なら包丁を使わなくても金正恩を殺害できる。しかし、もう殺害しか手段はないとこまで行くかもしれない。事実韓国は国防相宋永武が4日、今年12月1日付で暗殺を目指した「斬首作戦」部隊を創設する方針を発表。陸・海・空合同で、その規模は1000人から2000人だという。しかし、その前に日米が国連でやろうとしていることもドラスティックだ。中国の対北石油輸出の規制だ。日本が太平洋戦争に突入した歴史を見れば石油の規制が国家にとって存亡の危機になることは明白だが、習近平がこれを本格的に断行するかと言えば、しないだろう。プーチンも否定的だ。したがって、国連決議などほとんど意味はない。やっても「お茶を濁す」程度だろう。だから金正恩はますます増長して、結局、殺害しかないということになる。

 昔、ニューヨークで国連を取材したが国際機関というものは、ウィーン会議時代と同様に「会議は踊る」のであって、まとまらない。国際会議は戦争の代わりに大国が角を突き合わせる場であり、国家エゴがむき出しになるのだ。北朝鮮問題の本質は、中国とロシアが北を使って米国と対峙する準冷戦の構図であり、その基本構図が変わらない限り、金正恩のやりたい放題は続く。もっとも、先進7か国が歩調を合わせて対北制裁を求める現状に中国とロシアは、国際社会の批判をかわさなければならない局面に追い込まれつつある。とりわけ注目されるのは日米が主張している「対北石油輸出規制」に中国がどう出るかだ。昨年3月の決議ではロケット用燃料を含む航空燃料の提供を原則禁止したが、北は何の痛痒も感じていない。国境には密輸がはびこっているのだ。この先例があるから多少の制裁は全く不可能ではないが、中国は国際世論に向けて極めて“ずる賢く”対応するだろう。鴨緑江を渡る石油のパイプラインを全面的にストップすることには徹底的に抵抗するだろう。現に環球時報は「北に対する石油の供給中止と国境の閉鎖は中国の国益と合致しないため、中国はこのような政争の先鋒に立ってはならない」 と主張している。北の核ミサイルに端を発している安全保障問題を、臆面もなく「政争」と位置づける図々しさである。またプーチンも「制裁は無駄であり効果がない。北が大量破壊兵器を放棄することはない」と制裁に乗る気配はない。中国にしてみれば朝鮮戦争は“休戦”なのであって、北を崩壊させて、中国が米軍と直接国境で対峙することを回避することは戦略的最重要テーマと依然として位置づけている。習近平は金正恩への憎たらしく思う感情を押し殺して、この国家の大計のために我慢し続けるのだ。したがって中国がたとえ譲歩するにしても、せいぜい暫定的かつ部分的な供給制限であろう。“お茶を濁す”程度の対応しかしない。だから北が経済的な困窮に追い込まれることはない。
 
 こうした中で筆者がメディアで最初に紹介した米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の、日本核武装論が大きな波紋を投げかけている。社説で「北朝鮮の核武装を放置すれば日本が核武装することになる」と警告したものだが、今度は米ブルームバーグ通信も社説で日本の重武装の可能性を指摘した。ブルームバーグは「日本国民のおよそ4分の3は、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本が先制攻撃をしたり反撃を加えることに賛成している」と分析し、「中国指導部が北朝鮮の脅威を緩和しない場合、重武装した日本の登場は中国が支払うべき代償の一つだ」と強調した。国会議員のなかからも日本のこころ幹事長の中野正志が「抑止力としての核兵器を保有することの是非を含めた幅広い議論を始めることを提案する」と正面切って核武装論を展開。自民党内でも石破茂はかねてから原発の廃止反対と絡めて核武装論を述べている。11年に「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れる。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。本当に原発を放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない」と発言している。日本の核アレルギーは徐々にその威力を失いつつある。

 さらに韓国にも飛び火して朝鮮日報は5日「韓国の核武装は2年で可能」と題する記事で「北朝鮮の核の脅威に対抗して韓国が選ぶ“最後のカード”には、独自の核武装がある。北朝鮮が核武装を完了した後、朝米交渉を通して在韓米軍が一方的に撤収するなど最悪の状況が迫った場合には、“最後のとりで”として独自核武装のカードを切るべきだ。専門家らは『決心しさえすれば1年半から2年以内に核兵器を持つことができる』と述べた」と書いている。こうして北による核とミサイル実験は極東安保情勢に、おどろおどろしいインパクトを生じさせており、早期に狂った指導者を排除しなければ混迷の度は増すばかりだろう。北が忘れてはいけないのは米国には東京やドレスデンへの大空襲の経験がある。米軍は(1)金正恩ら中枢へのピンポイント爆撃(2)核ミサイル施設全てへの爆撃(3)ソウルを狙う長距離砲への壊滅的な爆撃ーで韓国や日本の被害を最小限にとどめる空爆作戦を立案しつつあるといわれている。ばかなTVコメンテーターらが断定する攻撃不能論は必ずしも通用しない。

金の“パラノイア治療”を実行の時だ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-04 05:32 [修正][削除]
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 とどのつまりは虚勢を張り続ける北朝鮮のパラノイア(偏執病)患者を如何に治療するかということだ。金正恩がパラノイアだという説は今に始まったことではない。近年ミサイル実権や核実権を繰り返すたびに指摘されてきた。米国連大使ヘイリーは金について「パラノイア状態(in a state of paranoia=妄想症、偏執病)だ。彼は、周辺のあらゆることについて非常に心配している」と発言している。米国国家安全保障局の(NSA)の元首席監察官ジョエル・ブレンナーも「あの国を動かしている若者は狂っている。彼のやり方は破壊的で幼児的、病的だ。戦略がない。3歳児と同じで注目を浴びたいのだ」と分析してその狂気性を強調している。前韓国大統領朴槿恵も昨年の核実験の後「北朝鮮の核実験は、国際社会に対する挑戦としか言いようがなく、もはや私たちと国際社会の忍耐も限界を越えている。権力を維持するために国際社会と周辺国のいかなる話にも耳を貸そうとしない金正恩の精神状態は統制不能だと見るべきだろう」と発言した。
 
 いずれも金正恩が「気違いに刃物」状態にあることを強調している。古くから独裁者の精神状態を分析するとパラノイアに行き着くといわれている。ヒトラーはパラノイアの典型的症状だし、スターリンも、あらゆる場所に敵の姿を見て、スパイを疑い、部下の部屋を盗聴させ、疑った人間はすぐさま粛清した。いずれも自分の周りの誰もが敵で、自分の命を狙っているのだ、という典型的なパラノイアを発症している。金はそのヒトラーを限りなく信奉しており、幹部らに就任1年目の誕生日の際、贈り物へのお礼として、『わが闘争』を1冊ずつ配っている。パラノイアの症状は被害妄想、誇大妄想、激しい攻撃性、自己中心的な性格、異常な支配欲、悪魔的なものに美しさを見る悪魔主義などとして表れてくる。金正恩の場合はその症状の全てに当てはまる。まず悪魔主義の姿は、ミサイルを打ち上げるたびに恍惚とした表情で見上げる姿に如実に表れている。打ち上げ後の高笑いは、自分が世界の中心におり、絶対的な存在であると信じ込む自己中心的な性格そのものである。そこには自らが超人、絶対者であるという誇大妄想も見られる。妥協や交渉など一切考えずに攻撃ばかりを考える激しい攻撃性も見られる。叔父の殺害という親族殺人を事もなく行い、昨年までに140人を処刑したのは完全支配を行おうとする異常な支配欲であろう。
 
 まさに紛れもないパラノイアの症状全てが当てはまる。そこには深い思慮などはかけらも存在せず、パラノイアの本能のままに自らの行動を委ねる、まさに「3歳児」の姿だけが浮かび上がる。この妄想人間にどう対処するかだが、治療法には挫折を味あわせるやりかたがあるという。金正恩の場合に如何にして挫折を経験させるかだが、経済的挫折と軍事的挫折の二つがある。経済的挫折は全てが中国にかかっている。中国とロシアは北のミサイルが日米韓に向かう限りは何の痛痒も感ぜず、むしろ基本的には北を米国の圧力への緩衝地帯と位置づけている。中国はこれまで制裁のそぶりを見せるだけで、その実は狡猾にも「バケツのだだ漏れ対応」を行ってきた。石油の禁輸しか手段がないことを分かっていながら、それを実施しない。これを実施させるには、日米韓およびサミット加盟の先進諸国が結束して対中圧力をかけるしかない。経済的な対中包囲網をサミット加盟国も含めて実施に移すのだ。中国を動かすには金正恩を「除去」しても、米韓とも北の国家としても存在を危うくしないという“密約”が必要となろう。

 軍事的対応によるパラノイア治療は、中距離、ICBMなどいかなるミサイルも打ち落とすという「ミサイル実験拒絶」の対応だ。日米韓のミサイルを総動員して、実験のたびに打ち落とす。打ち落とすことによって悪魔主義を断念させる。金正恩がミサイルを打ち落とされたことを口実に、直ちに戦闘状態に突入する“度胸”があるかといえば、ないだろう。金は打ち落とされて初めて日米韓の本気度が分かり「挫折」を味わう事になるのだ。いずれにしても日本は国際的な対北、対中包囲網を主導する必要がある。これらの手段を講じても「治療」が出来ない場合は、金除去の「斬首作戦」を実行するしかあるまい。ピンポイント爆撃か、暗殺を得意とする米CIAが対処するのだ。マスコミの論調は北東アジア情勢を一見行き詰まったように見ているが、打開策はいくらでもあるのだ。

(連載2)マクロン大統領と西側同盟内でのフランスの地位 ← (連載1)マクロン大統領と西側同盟内でのフランスの地位  ツリー表示
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-31 18:05 [修正][削除]
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 マクロン氏が官僚、実業界、そしてオランド政権の経済相という経歴を積み重ねたことを考えれば経済重視は予期されたことであり、彼の内政および外交政策の全体像を理解する必要がある。パリ政治学院(シアンスポ)のザキ・ライディ教授は「マクロン氏の外交政策にはまだ明確な目標はないが、外交での成功の鍵は国内経済になる。前任者のフランソワ・オランド氏は国内経済が良くなかったために、国際舞台でのフランスの地位を高められなかった」と論評している。マクロン氏は経済相として行なった経済改革をさらに進めるために大統領選挙に出馬した。まずマクロン氏の計画では、労働基準の撤廃による価格引き下げ、生性向上への刺激、経済的柔軟性の強化が取り上げられている。そうした規制緩和とともに、企業減税による国際市場でのフランスの産業の競争力強化も視野に入れられている。しかし真に問題となるのは、そうした国防費の急激な削減がフランスの国益に合致しているのかということである。ドイツ・マーシャル基金のマルティン・クエンセス氏はドイツ・マーシャル基金のマルティン・クエンセス氏は「マクロン氏は激しい抗争に勝ちはしたものの、人望厚かったドヴィリエ氏を下野させた代価は大きい。政策形成の過程で大統領から無下にあしらわれた軍部では自分達の職務に対する士気が下がり、それによって安全保障の死活的情報を大統領に伝えることを躊躇するようになるかも知れない」と評している。フランス国防省所属戦略問題研究所のジャンバプティス・ビルメール所長は「フランスにはヨーロッパ大西洋圏外にもシリア内戦、サヘル地域のテロ、リビアの安定、中国の海洋進出、北朝鮮の核の脅威といった安全保障上の重要課題がある。さらにロシアの脅威と国内テロへの対処の他に、核兵器の更新近代化もしてゆかねばならない」と主張する。フランスは国家安全保障でこれだけ多くの課題に対処できるだろうか?もはや問題となるのはトランプ氏ではない。ともかくマクロン氏は「財政赤字が解決すれば国防費を増額する」とは言っている。

 現在の国防費削減案は装備が主な対象となっているが、それによってフランス軍は特に戦力投射能力の面で長期にわたる悪影響を受けかねない。中東とアフリカにおける対テロ作戦での要求水準に鑑みれば、フランスにはより多くの戦車、装甲車、大型輸送機が必要となる。こうした問題はあるが、マクロン氏は中東とアフリカでの対テロ作戦に積極的な姿勢を示している。ドヴィリエ大将の辞任を受けてマクロン氏が統合参謀総長に任命したのは、マリでEU訓練部隊を指揮したフランソワ・ルコワントル陸軍大将である。国防費の削減はあってもフランスはアフリカでのテロとの戦いに4千人を派兵し、他のヨーロッパ諸国もこれに加わるように要求している。しかしマクロン政権が約束通りに翌年からの国防費の再増額を果たせないようなら、そうした訴えも偽善的に思われてしまう。いずれにせよ国防支出を再び増額できるほど経済が好転するのがいつになるのかは不透明である。よってフランスは西側同盟の中で微妙な立場にある。

 マクロン氏がそうした苦境を解決するための選択肢の一つはイギリスとの国防連携の強化であり、これにはブレグジットも関係ない。『デイリー・テレグラフ』紙7月31日付けの報道では、最近のウィキリークスが傍受したマクロン氏のメールのやり取りからによると「フランスはEUによるCSDP(共通安全保障防衛政策)を推進すべきか、それともヨーロッパ諸国では国防に最も積極的なイギリスとの軍事提携を維持すべきかを検討している」という。非常に重要なことに「マクロン氏はドイツ主導の欧州統合軍については同国が合同軍事計画に充分な資金を捻出しないことから懐疑的である」とのことである。いわば、ドイツはフランスにとって財政的な制約に関して必ずしも頼りにならないのである。ヨーロッパ大西洋圏外ではフランスはイギリスとの方がより多くの利害を共有している。中東では両国ともそれぞれがUAEとバーレーンに海軍基地を保有し、アメリカがアジアに兵力を差し向けた場合には英仏で力の真空を埋めようとしている。またアジアではフランスはイギリスとともに南シナ海での航行の自由作戦に参加している。

 そうした諸事情はともあれ、外交政策への取り組みの成否に大きな影響を及ぼすには内政である。現在、フランス国内でのマクロン大統領の支持率は急激に落ちている。不人気の要因の一つには財政規律重視が挙げられる。予算削減は単なる赤字削減ではない。これは政府による公共支出と規制で成長がクラウディングアウトされた民間部門の活性化を意図した政策でもある。しかし財政規律重視は本質的に不人気な政策である。特に軍、教職員、地方自治体が歳出削減を激しく非難した。ドヴィリエ氏の辞任は国防問題を超えて大きな影響を及ぼしている。さらに、マクロン氏の減税と経済自由化は格差を拡大させる政策だと見なされている。それ以上に問題視すべきは、共和国前進のマクロニスタが若く経験に乏しいということである。第5共和制においてフランスの政治家のほとんどはENA出身者であるが、マクロニスタは起業家で占められている。彼らの政府での経験不足がフランスの政治を混乱させている。皮肉にもマクロン大統領はイデオロギー上で正反対の立場にあるトランプ大統領と同じ困難に直面している。マクロン氏は鮮烈なデビューを飾ったが、現在の共和国前進には彼のリーダーシップを再建するためにも、トロイ戦争の老将ネストルのような存在が必要である。マクロン大統領の政策顧問であるジャン・ピサニフェリー氏はこの役割を果たせるだろうか?(おわり)

米有力紙WSJが日本の核武装に言及   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-31 06:27 [修正][削除]
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 筆者は昨日北の核ミサイル保持で敵基地攻撃能力の必要を書いたが、今度は米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が30日、「日本の核武装に道を開く北朝鮮の核容認」と題する社説を掲載した。米政権が「北の核を容認すれば遙かに危険な世界を容認することになる」と警告を発している。WSJは長年にわたりアメリカ合衆国内での発行部数第1位の高級紙であり、世界80カ国以上、100都市以上に支局を構え、創立以来、経済史のみならず世界史に名を残すようなスクープ記事を度々掲載している。米政府や世界各国に及ぼす影響はニューヨークタイムズやワシントンポスト以上だ。この社説がトランプ政権に影響を与えることは必定であろう。同紙はまず北のミサイル実験について「日本北部の住民は29日、北朝鮮のミサイル発射を知らせるサイレンや携帯電話のアラートにたたき起こされた。この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことをあらためて促すものだ」と強調、“日本核武装の可能性”を予測している。

 次いで「日本の最終的な安保は米国の防衛力と核の傘だ。日本が攻撃を受けた場合は米国が反撃することが、日米安保条約で保障されている。しかし、抑止力の論理は敵が合理的であることを前提とするが、北朝鮮相手に合理性は保障され得ない。米国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発も、この均衡を変化させている。北朝鮮が東京を攻撃し、これに応じて米国が平壌を攻撃すれば、米国の都市が危険にさらされかねない」と指摘している。つまり北のICBM開発が終局的には米国の都市攻撃に直結すると読んでいるのである。そして社説は「日本の指導者たちはこれまで、自ら核兵器を保有することに長らく抵抗してきた。しかし、危機に際して米国が頼りにならないとの結論に至れば、この姿勢が変わるかもしれない。あるいは日本として、たとえ信頼できる同盟国の判断であっても、それに自らの生き残りを託す訳にはいかないと判断することも考えられる」と日本核武装の“理由”に言及した。加えて「既に日本の一部の政治家は、独自の核抑止力について話し始めている。世論は今のところ核兵器に反対だが、恐怖で気が変わる可能性もある。日本には民生用原子炉から得た核弾頭1000発分を超えるプルトニウムがあり、数カ月で核弾頭を製造するノウハウもある」と、日本が保有しようとすればすぐにも核保有国になれると予測している。

 そして日本核武装が中国を警戒させ韓国も即座に追随しかねないとして「東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす」と警告、「それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ」と強調している。にもかかわらず米国内には北の核ミサイル容認論があるとして社説は、バラク・オバマ前政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたスーザン・ライスと元国家情報長官ジェームズ・クラッパーの名前を挙げて批判。とりわけ「クラッパーは、『米国が(北朝鮮の核保有を)受け入れ、制限ないし制御することに努め始めなくてはならない』と話している」ことを明らかにした。「8年にわたって北朝鮮の核は容認できないと話していたはずの両氏が今や、トランプ大統領と安倍晋三首相はそれに慣れた方がいいと言っているのだ。しかし、どうやって『制御』するのか」と問題を投げかけている。

 最後に「北朝鮮は交渉で核計画を放棄する意向がないことを明確に示してきた。米国は「相互確証破壊(MAD)」で脅すことはできるが、日本上空を通過した今回のミサイル実験は、北朝鮮が米国と同盟国を威圧・分断するために核の脅威をいかに利用するかを示している。北朝鮮の核を容認すれば、はるかに危険な世界を容認することになる」と結論づけた。この社説は北東アジアの安全保障の構図をよく理解しており、今後トランプの戦略や日本の方針に強い影響をもたらし、世界的に日本核武装の是非論が台頭するだろう。

(連載1)マクロン大統領と西側同盟内でのフランスの地位  ツリー表示
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-30 23:44  
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 エマニュエル・マクロン大統領はヨーロッパと国際舞台でフランスの地位を高めるうえで、外交能力の高さを示した。何かと物議を醸すドナルド・トランプ米大統領を革命記念式典に招待しての首脳会談を成功裡に終わらせながら、アメリカがNATO諸国に出しているGDP2%の国防支出の要求は拒否して、経済を優先することにした。こうした追従も敵対もしないという態度は、マクロン氏がNATO首脳会議の機会にトランプ氏と会談した際に見られた。両首脳は互いに相手に強い眼差しを向け、まるで腕力を競い合うかのように相手の手を強く握り締めて握手をした。それはマクロン・トランプ両首脳の関係を語るうえで印象深く象徴的であった。マクロン氏はこれら国際的および内政的な要求のバランスをどのようにとっているのだろうか?

 まず、トランプ大統領に西側主要同盟国がどのようにアプローチしているか述べてみたい。ドイツは動向の読めないトランプ政権に依存するよりも、自主独立でヨーロッパ志向の外交政策を追求している。それが典型的に表れているのが、ワシントンでのメルケル・トランプ両首脳会談後の冷え切った記者会見である。他方、イギリスと日本はトランプ氏のアメリカ第一主義がどれほどいかがわしくても、安全保障どころか貿易でさえ対米関係の強化が迫られる立場である。国内での反トランプ世論があろうとも、テリーザ・メイ首相と安倍晋三首相は自国の国際的地位を強化するためにアメリカとの特別関係を維持しようとしている。他方でカナダはドイツと日英の中間のアプローチを採っている。ジャスティン・トルドー首相は移民、難民、政治的自由、ポリティカル・コレクトネス、貿易といった諸問題でトランプ氏とは大きく立場を異にする。よってトルドー氏は7月にロード・アイランド州プロビデンスで開催された全米知事協会において、マイク・ペンス副大統領と州知事達にNAFTAに懐疑的なトランプ氏を説得して貿易協定を更新するように訴えかけた。

 マクロン氏のアプローチは他の西側諸国に指導者のものよりトランプ氏に対して積極的で、しかも相手に屈しないものとなっている。『フィナンシャル・タイムズ』紙のギデオン・ラックマン氏は7月14日付けの論説で「マクロン氏がアメリカの新政権に対処するうえで強い立場にあるトランプ氏と初めての握手では穏やかな笑顔をたたえながら、マクロン氏はフランスが自己顕示欲の強い相手に屈しないという姿勢を見せた。マクロン大統領はメルケル政権との連携によって国際主義を推し進めてゆくことを明らかにした」と述べている。他方でラックマン氏は「メイ首相がクローバル・ブリテンを推し進めようにもブレグジットが孤立主義と受け止められているので、世界の指導者達には印象が薄い。しかもナショナリストのトランプ大統領との関係強化を望んでいることで、メイ氏のグローバル志向は疑問視されている」と指摘する。メイ氏の立場は安倍氏とも共通するところがある。マクロン氏は自らの強みを活かして米仏友好を印象づけた。さらに重要なことに、トランプ氏は少なくとも外交政策と二国間関係に関しては何も失言をしなかった。

 マクロン氏はトランプ氏を革命記念式典で歓待しながら、国防費増額の圧力には従わなかった。しかし問題はトランプ政権だけではない。フランスは独自核戦力を持つばかりか、国家安全保障の課題はNATOへの貢献だけではない。ピエール・ドヴィリエ統合参謀総長は8億5千万ユーロにもおよぶマクロン大統領の国防費削減計画に激しく抵抗し、「中東やサヘル地域でのフランスの軍事的関与に鑑みれば昨年のGDP1.8%から2000年の2.6%水準までの引き上げが必要だ」との持論を展開した。しかしマクロン氏は財政赤字をEUが定める3%以内に収め、2007年から翌年の世界金融危機以降の財政的制約に対処しようとしている。大統領との確執によってドヴィリエ陸軍大将は辞任に追い込まれた。(つづく)

敵基地攻撃能力が不可欠となった   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-30 06:30 [修正][削除]
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 自己完結型の存在価値をレゾンデートルというが、今ほど日本が国家としての有り様(よう)が問われているケースはない。北のミサイルの報に、12の道と県が右往左往してなすすべがない。恐らくその様を見て西欧など世界の国々は唖然としているのではないか。国の安全保障を他国に委ねている結果がそうさせているのだ。北朝鮮の核ミサイル開発は平和が天から降臨する時代の終焉を意味する。天から降るのは核ミサイルだ。しかもそのミサイルは多弾頭化し始めた可能性すら高い。その意味するものは、発射されてからでは迎撃が困難になるということだ。今後のミサイル対策は、発射を察知した時点で叩く敵基地攻撃能力の保有が不可欠となったことを意味する。政府が国民の生命財産を守るというなら、専守防衛では十分な対応は不可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換し、せめて巡航ミサイルや新型戦闘機F35に敵基地攻撃能力を保持させるという抑止力の保持が不可欠なのではないか。日本もなめられたものである。火星12号をグアム周辺に撃てば米国の攻撃が必至とみて、金正恩は襟裳岬東方を選んだ。外相河野太郎が指摘したように、「北朝鮮はひるんだ」のだ。

 まず今回のミサイル発射で首相・安倍晋三が「ミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢をとった」と言明していることが何を物語るかだ。明らかに発射の瞬間から軌道を「完全に把握」していたのだろう。そして日本に落下するようなケースでは迎撃命令で破壊する予定であったに違いない。迎撃ミサイルの発射権限のある自衛隊の司令官に対して、安倍はおそらく「必要な状況となれば撃墜せよ」とミサイル破壊の指示を出していたと思われる。これを受けて司令官はイージス艦や地上配備の迎撃ミサイルにアラートをかけていたのだろう。しかし日本上空を通過するミサイルの高度が高く「迎撃する必要なし」と判断したのだろう。こうした判断が出来る背景には、ミサイル発射に関して確たる情報があったからとみられている。政府は28日までに平壌近郊で発射の動きがあることを探知しており、日本列島を越える可能性があることまで掌握していた模様である。このためイージス艦も事前に周辺海域に配備、陸上からはPAC3も対応できる状態であったといわれる。迎撃態勢を整えた上で、ミサイル発射を待ったというのが、実態であったようだ。安倍発言の裏には、相当の対応が進んでいたことをうかがわせるものがあったのだ。日米韓3国が共有の極秘情報であった。

 しかし、この情報が漏れた以上、北朝鮮は今後ますますミサイル発射を掌握困難な場所から行うことになるだろう。したがって日米韓による情報収集活動が、極めて重要になる。そこで必要になるのは、発射して日本列島に届く前に発射基地を叩く敵基地攻撃能力である。敵基地攻撃能力の保有については、1956年に鳩山一郎内閣が「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」との判断を打ち出している。憲法上の問題はクリアされており、後は政治判断だけだ。既に自民党の安全保障調査会は3月に、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を踏まえ、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める提言をまとめ、首相・安倍晋三に提出した。 調査会の座長を務めた小野寺五典は敵基地攻撃能力が必要な理由について「何発もミサイルを発射されると、弾道ミサイル防衛(BMD)では限りがある。2発目、3発目を撃たせないための無力化の為であり、自衛の範囲である」と言明している。安倍はこの小野寺を防衛相に任命した。就任後も小野寺はインタビューで、「提言で示した観点を踏まえ、弾道ミサイル対処能力の総合的な向上のための検討を進めていきたい」と前向きな姿勢を示している。

 これに対して安倍は2月の時点では「どのように国民を守るかは常に検討すべきである」と前向きであったものの、最近では「具体的に検討を行う予定はない」と慎重姿勢に転じている。しかし、相次ぐ北の挑発に“無為”で過ごせば、国家としてのレゾンデートルが問われる段階に入る。同じ敗戦国のドイツの場合を例に挙げれば、国内には米軍の核ミサイルが20基配備されているとされ、有事に米独どちらかの提案を他方が受け入れれば使用できる、という共同運用体制を取っている。第2次メルケル政権で撤去が議論されたときがあったが、ロシアが配備している戦術核に対抗するためには必要という考え方が優勢を占め、オバマ政権も配備を継続した。トランプが信用おけないことから最近では保守系有力紙フランクフルター・アルゲマイネが、米国が欧州防衛を欧州自身に委ねることになった場合には、「ドイツ人には全く考えもしないこと、つまり独自の核抑止能力という問題」が起きる可能性もあると警告している。

 やはりドイツの場合も対米信頼感が揺らいでいるのであり、日本でも同様だ。8月2日に紹介したように米国内には、米国が北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策を破棄して、平和条約を締結し、その際中距離核ミサイルは容認する、という“現状凍結”構想が台頭している。事実上の「日本切り捨て論」である。おまけに今回の場合も当初は国防総省の報道官が「北米にとっては脅威にならない」とまるで他人事のようなコメントを出した。大国は基本的にエゴなのであり、安全保障の全体重を米国に委ねるという歴代自民党政権の対応は、ここに来て、危うくなってきている。自国の防衛は主体的に自国で行わざるを得なくなるのではないか。そのささやかなる1歩が敵基地攻撃能力であり、早期に実現に移すべきではないか。実現させれば日米全体の抑止力も高まる。今解散総選挙のテーマとして浮上させれば、国民多数の理解も得られるのではないか。

解散するなら臨時国会冒頭がよい   
投稿者:杉浦正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-29 05:41 [修正][削除]
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 夏休みボケなのか、茨城知事選の自公勝利に対するマスコミの反応が鈍い。「衆院3補選に弾み」などとやっているが、視野狭窄(きょうさく)的反応だ。ここは「早期解散に弾み」と打つべき時だろう。解散戦略の選択肢は大きく広がったのだ。それも臨時国会冒頭が解散のチャンスだ。7月2日の都議選で負け、同月23日の仙台市長選で負けてきた自民党が、8月3日の内閣改造を経てようやく勝利を占めたのが茨城知事選だ。「モリとカケ」の軛(くびき)と防衛相・稲田朋美スキャンダルからやっと離脱出来た選挙でもある。解散に踏み切れば政権維持に支障のない270議席前後は取れるのではないか。現在の293議席などは多すぎる。多いほど弛緩して若手低能議員の不祥事ばかりが目立つ。首相・安倍晋三は絶好調の経済情勢を背景にアベノミクスの総仕上げを問えばよいのだ。与党で改憲発議の3分の2が維持出来るかは微妙だが、野党を巻き込んだ妥協で改憲は可能だ。まずこのチャンスを逃すとどうなるかだが、野党はどっちみち選挙は近いと判断して、臨時国会では安倍とは関係のない森友と加計の疑惑ばかりを追及して、国民の目を欺こうとするだろう。

 議論をすればするほど何かあるような「印象操作」を展開する。ばかな国民はこれに左右される可能性があり、政府・与党にとって議論すればするほど野党ペースにはまる。なぜなら朝日、毎日、テレ朝、TBSなど反安倍のマスコミ勢力が全力を挙げてこれをバックアップするからだ。この悪い循環は、再燃する前に解散で断ち切るしかないのだ。国民の審判を仰げばようやく断ち切れるのだ。安倍は9月には外交日程がひしめいている。上旬にはウラジオストクでの東方経済フォーラムがあり、プーチンとの会談も行うことになるだろう。インド訪問も準備している。下旬にニューヨークでの国連総会に出席する。ここで安倍は北朝鮮問題を取り上げ、「世界核戦争の危機」を訴える必要がある。欧米の目を極東に向けさせるのだ。北朝鮮問題は直接選挙のテーマにはなりにくいが、首相の取り組む姿勢が票につながる。外交で露出度を増せばますほど、選挙には有利に働く。

 最大のプラス材料は経済がまさに絶好調であることだ。まず安倍が政権を担当してから「アベノミクス」で日本経済の潮目が大きく様変わりした。産経によると15年度の企業の経常利益は過去最大の68兆2201億円で、12年度の48兆4611億円から約20兆円増え、景気の拡大が12年12月から今年4月まで53カ月間続いている。これはバブル景気の51か月を抜き、戦後3番目の長さである。17年4~6月期の名目国内総生産(GDP)は実額で545兆円と、12年年10~12月期から50兆円以上増えた。最大の改善は雇用だ。求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率は6月は1・51倍で、バブル期の90年7月(1・46倍)を上回った。正社員の有効求人倍率も1・01倍と初めて1倍を超えている。東京では2倍だ。まさにバブル期を凌駕する経済効果であり、選挙では最大の武器となり得る。こうした経済効果を前面に出して徹底的に宣伝する必要がある。経済が停滞し始めてからでは遅い。チャンスは到来しているのだ。さらに有利なのは「小池新党」が、全国的なブームとなる気配が少ないことだ。だいいち中心人物の衆院議員若狭勝の顔が悪い。カリスマ的な容姿とはほど遠く、無精髭だけが目立つ。これで民進党離党者などを糾合しても盛り上がる可能性は少ない。小池は内心困っているのではないか。オリンピック棚上げで政争に走っても国民的な共感は呼びにくいのではないか。だいたい都知事が都政そっちのけで国政選挙の先頭に立って全国を回れば、国民のひんしゅくを買うのが落ちだ。いずれにしても臨時国会冒頭解散なら、準備不十分だろう。
 
 また都議選で裏切った公明党が、もみ手で帰ってきたのは大きい。総選挙を控えて自民と対立して自らも議席を減らしては「損」という判断だろう。茨城補選で総力を挙げて応援した。この政党はどうも選挙に勝てば何でもするという、“選挙アニマル”的傾向が強く、そのうちに仏罰が当たる。自民党にとってはありがたく共闘を組むしかない。
 加えて冒頭述べた稲田朋美更迭効果だ。更迭してから朝日も社会部中心の政権追及に陰りが生じており、勢いがない。とっかかりを失っているのだ。江崎鉄磨など舌禍事件を起こしそうな、いささかとろい閣僚がいないわけではないが、総じて閣僚の発言には問題がなく、先の改造はベストに近い布陣を達成した。一方民進党は前原誠司が代表になりそうだが、これで党刷新効果が生じるとは思えない。前原は偽メール事件や外国人献金などで代表や閣僚を辞任しており、攻められると弱い。総選挙で反転攻勢に出る勢いはない。こうした情勢を背景にすればまさに解散のチャンスは9月下旬にも招集される臨時国会ということになる。それもカケだのモリだのの議論などに深入りする前の事実上の冒頭解散がよい。安倍が所信表明演説を行い、野党が代表質問をした上で解散を断行する。これが決め手のような気がする。解散すれば言うまでもなく3補選など吹き飛んで埋没する。

「米中戦争」回避の大戦略は可能か   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-28 11:15 [修正][削除]
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3943/3990
 世界の最大の課題はアジアでは「習の中国」、欧州では「プーチンのロシア」とどう付き合うかである。中ロとも全体主義的な強権政権で、第二次世界大戦後の国際関係を律してきた自由と民主主義、法に基づいたリベラルな国際体制とは真逆の行動が世界に緊張を与えている。これを裏で支えているのが米国の国力の衰えであり、トランプ政権が新たな戦略で体制を立て直さない限り、この傾向がますます強まり世界の混迷が深まるばかりだ。「中華民族の復興」を唱える習政権が経済力を背景に「一帯一路」政策でアジア太平洋からユーラシア大陸に至る影響力をますます強め、安全保障上の懸念が強まるばかりである。東、南シナ海で領土紛争での一方的な攻撃的姿勢はそれを端的に示す。

 新興勢力の中国と、世界を率いてきた米国の間で「覇権」を巡るせめぎ合いが「ツキジデスの罠」として論じられるようになったのは、このような国際情勢の大転換を背景にしている。この問題については過去に本欄でも紹介したが、2015年に論文を発表した米ハーバード大学のG.アリソン教授は、米中関係を展望した「DESTINED FOR WAR」(副題は「米中はツキジデスの罠を回避できるか」)で、米中は戦争には至らないものの、双方の戦略観の違いから協調的共存がいかに難しいかを論じている。米RAND研究所の軍事研究(2015年)によれば、台湾や南シナ海紛争を含め、15年以内にアジアでは米国がその優勢な最前線から後退して行くという。中国は2040年には経済規模が米国の3倍になる試算もある。1972年の訪中で米中国交の扉を開いたニクソン元米大統領は晩年、側近に「我々はフランケンシュタインを生みだしたかも」と漏らしたとの話が残っている。中国がここまでモンスター化するとは思わなかったのだ。

 中国の対米観についてアリソン教授は、米国の西太平洋における立場は衰えており、中国の取る行動は米国の後退を早めるよう努力することであり、南シナ海ではそれが最もはっきり見えるのだという。キッシンジャー元米国務長官ら中国指導部と会談した有力者はそろって、中国側が米国の戦略を「中国封じ込め」と信じていることも紹介されている。米ソ冷戦下では核の「相互確証破壊(MAD)」の相互抑止の下で核戦争が起きなかったように、米中間でも核戦争はあり得ない。しかし、経済的な相互依存が深まる中、「米中は分離できないシャム双生児」(アリソン教授)になった以上、双方が妥協するしか道はないという結論になる。米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」を発行する外交問題評議会のR.ハース会長も「A WORLD IN DISARRAY(仮訳・混乱の世界)」で現代の外交政策として「大国間の対立、紛争が国際システムの特長にならないよう協調する努力」を呼び掛けた。

 中国の攻撃的な外交政策が共産党政権の「政治的正統性の新たな源泉」となる一方、貿易や投資へのリスクとなる。「中国の指導者がこのジレンマをどう解決するかが中国と世界にとって重要だ」とハース氏は指摘した。中国がなすべきは大国としての責任ある振る舞いである。国際法を順守し、国内では人権を尊重して国際標準の法の支配を確立することだ。米国がなすべきことも多い。軍事費削減で体力と士気が低下した軍事体制の立て直しが急務だ。第7艦隊のイージス駆逐艦2隻が相次いで大事故を起こしたのは無縁ではなかろう。トランプ政権の発足でますます激しい社会の分裂を止め、議会特に与党共和党指導部とも対立して、またも暗雲が立ち込める政治機能不全の解決が政権最大の課題である。何よりも大国として必要な一貫性のある戦略を作り上げなければならない。だが「米国第一主義」を掲げたトランプ政権では、「世界第一」のための大戦略を打ち出すのは望み薄かもしれない。

第三次安倍再々改造内閣に思う   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-25 10:16 [修正][削除]
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3942/3990
 同じ総理大臣が衆議院総選挙を経る度に、内閣の名称は一次、二次となる。選挙と選挙の間で内閣を変えると、改造、再改造、再々改造となる。表題の物々しい内閣の名前は、如何に安倍政権が長くなってきたかを、如実に示しているとも言える。政権が長く安定していることは、国民にとって悪いことではないが、それは政権が国民のために働いていることが前提である。アベノミクスを中心とする経済再生の取り組みは、一定の効果をもたらしているが、地方経済をはじめ、まだまだの感がある。

 一方で長期政権は副作用を伴うことが少なくない。安倍政権においても例外ではなく、安倍一強により生じた奢りの姿勢から、森友、加計問題が引き起こされ、閣僚や議員の不祥事も相次ぐこととなった。支持率低下と都議会議員選挙の大惨敗はこれらを反映したものに他ならない。そうした中、安倍総理は人心一新のため内閣の再々改造に踏み切った。ところが留任や再任の大臣は20人中14人にのぼり、新任はわずか6人に留まった。前内閣での大臣答弁に窮する場面が多かったため、答弁能力の向上に腐心した結果ではあるが、「一新」というレッテルは残念ながら貼ることは難しい。
 
 お友達が多いことは決して悪いことではない。ただし是は是とし否は否とするお友達であることに限る。今回の組閣では「お友達」が減り、距離を置く議員が少し入閣したものの、お友達の一部は党役員として処遇されることとなった。挙党態勢を目指したかに見えたが、これも中途半端の印象を拭いきれない。以上のことを総合すれば、この度の内閣改造により、傷口の出血は何とか止められたものの、直ぐに支持率が上がることは難しい。体力の回復に努め、一つひとつの仕事を丁寧にこなしながら、少しづつ支持率アップを図るしかないのではないか。さらに今回の閣僚の中には、やや心配な要素もある。野田聖子総務大臣は2年前の総裁選挙で、出馬直前に断念した経緯を持つ。今回は安倍内閣の一員として内部から改革を行うとしているが、一方で来年の総裁選挙にも出馬すると公言している。野田大臣の閣内での立場は何なのか。閣内不一致の時限爆弾を抱えてしまったのではないか。

 もう一人は河野太郎外務大臣である。お父上の河野洋平先生は、宮澤内閣の官房長官の時に、従軍慰安婦調査に関するいわゆる「河野談話」を発表した。リベラルな政治家であり、その息子さんが外務大臣になれば、中国や韓国は期待するかも知れない。しかし太郎大臣はリベラルというより、歴史観は安倍総理に近いのではないか。期待が失望に変わると、ショックは増幅する。なお今回の組閣においても、内閣人事局長は政務の官房副長官が就任するようだ。人事局長は各省庁の幹部人事を最終調整する役割がある。制度発足当初は、事務の副長官である杉田和博氏が就任するはずだったが、政務の加藤勝信副長官に入れ替えられた経緯がある。人事における「政治主導」を目指す目論見だが、省庁の幹部人事を官邸が握ることとなり、官僚たちは官邸を見ながら仕事をせざるを得なくなった。どんなに配慮ある局長だろうと、政治家が官僚のルールに介入する制度は、政治への「大いなる忖度」が横行する環境が生まれる。再考が望まれる。

日本はいまだに「ひよわな花」   
投稿者:四方 立夫 (東京都・男性・エコノミスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-21 17:17 [修正][削除]
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3941/3990
 今年もまた終戦の日が訪れた。人々は戦没者の霊に頭を垂れ平和を希求する。然しながら平和は祈るだけでは維持することはできない。先日他界したブレジンスキーは1972年”The Fragile Blossom:Crisis and Change in Japan”を上梓したが、 安全保障に関しては日本は相変わらず「ひよわな花」である。北朝鮮の相次ぐ挑発に対し、トランプは北朝鮮張りの罵詈雑言で答えている一方対話の可能性を示唆しており、 ティラーソンやマティスは声高に対話を唱え、 事実ニューヨークでは両国代表による協議が継続している。このままでは米朝が我が国の頭越しに”Deal”をし、「北朝鮮はICBMの開発を『凍結』し、 米国は北朝鮮の現状の核武装を『黙認』する」という我が国にとって最悪のシナリオとなることが危惧される。将に1971年の「ニクソンショック」以上の「トランプショック」である。

 本年2月の日米共同声明には「核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」とあるも、その後に「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」、 並びに「日米両国は2015年の『日米防衛協力のための指針』で示されたように、引き続き防衛協力を実施」とあることを忘れてはならない。即ち、「米国が日本を守ってくれる」のではなく、同指針に繰り返し明記されている通り、「日本は日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し・・・米軍は日本を防衛するため自衛隊を支援し補完する」のである。

 我が国では未だに過半数の国民が憲法9条の改正には反対であり、「平和憲法が日本の平和を保証しており、国際紛争は話し合いで解決できる」と信じている人々が多い。北朝鮮とは1994年の核危機以来、20余年に亘り六ヵ国協議を始め多くの「話し合い」を続け「合意」に達したものの、北朝鮮は何一つとして遵守することなく、他5ヵ国は北朝鮮に核とミサイルの開発の金と時間を与えたに過ぎなかった。先日のWashington Postの報道によれば、北朝鮮は既にミサイルに搭載可能な核の小型化に成功した、との事なるも、そうであればもはや北朝鮮に対する「先制攻撃」は核の報復を招くことが必至であり、日本及び韓国にとって「許容できないリスク」となる。従い、いかなる場合でも北朝鮮に核の使用を思いとどまらせるには、使用した場合は北朝鮮として「許容できない損失」を被ることを理解させるしかない。

 戦後我が国は米国の核の傘に入ることによりその安全を確保してきたが、北朝鮮による核の脅威が現実のものとなった以上、米国の核による抑止に対し積極的に関与しその抑止力の強化を図ることが喫緊の課題である。既に韓国では米軍の核を自国に再配備するとの議論がなされているが、我が国としても「非核三原則」の「弾力的運用」により米国の核抑止力を強化すると共に、NATO、特に敗戦国ドイツ、と米国との”Nuclear Sharing”を参考にしながら、核抑止力の一層の強化を図ることが我が国にとって死活問題である。もはや安全保障に「タブー」はない。

日米「2+2」、中国抑え込み明確に   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-21 10:29 [修正][削除]
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3940/3990
 トランプ米政権下で初めて8月17日にワシントンで開かれた外務、防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)が示したのは、(1)米国の拡大抑止の関与の再確認、(2)海洋安全保障への日米の継続的な関与、(3)宇宙、サイバー空間分野の協力である。一見、新しくは見えない。だが、アジアの軍事的脅威(北朝鮮や中国)に対する日米間の安全保障戦略のすり合わせが行われた結果、影響力拡大を続ける中国の押さえ込みにかかったことを明確にしたのがこの3項目である。トランプ政権は北朝鮮の核武装阻止に中国が本気でやる気がないことをようやく悟った。米通商法第301条の発動による調査開始(18日)で経済面から圧力をかけようとするが、制裁発動には中国が報復する構えで米中対決の機運が高まることは避けられず、対中外交上も日米の軍事戦略の態勢固めが不可欠であると気がついたのである。

 2+2では、「核の傘」を含む拡大抑止が余すところなく強調された。北朝鮮の核・ミサイル開発の目覚ましい進展に米国内の識者間でしきりに日韓の「核武装」が論じられている。韓国内では有力紙が核武装を主張している。米国としては揺るぎない同盟関係を示すことによって、同盟国である日本、韓国の「核武装の可能性」の芽を摘み取る必要に迫られた。日韓の核武装論がさらに北朝鮮を刺激、中国の警戒感を一気に強め、中国外交の硬直化を招く恐れがあるからだ。ティラーソン米国務長官が2+2後の記者会見で「米国の拡大抑止が日本の安全保障、アジア太平洋地域の平和と安定を確保するため決定的な役割を果たしている」と強調したのは、米国の危機感を端的に表すものだ。閣僚協議の2日前に安倍晋三首相とトランプ大統領との電話会談が行われた。ここで、2+2の日米安保協力強化の基本路線が敷かれたのである。

 これを受けた2+2の共同発表は「米国の核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じた日本の安全に対する同盟のコミットメント(関与)を再確認した」と、米国の戦力の総動員を確約して「だめ押し」したのであった。海洋安全保障では、中国が領海侵犯を繰り返す尖閣諸島(沖縄県)について、日米安全保障条約第5条の適用を再確認した。毎回の首脳や閣僚の会談、文書で再確認しなければならないほど、「米国は本当に守ってくれるのか?」と米国の日本防衛の「本気度」についての疑問がつきまとうからである。ここで注目すべきは南シナ海情勢にあった。共同発表文で「日米の継続的な関与が重要」と明記した。南シナ海への日本の関与を公式文で表明したのは初めてではないか。河野太郎外相は記者会見で南シナ海に日本が関与し続ける必要を確認する旨の発言をした。沿岸国に2019年までの3年間に5億ドルの供与を行い、米国と協力を深めることを表明したのはその表れである。

 2+2は日米同盟の新しいフロントとして「宇宙、サイバー空間の協力」を柱の一つに掲げた。その翌日(18日)、米国防総省は太平洋軍など九つの統合軍の一つである戦略軍の指揮下にあったサイバー軍を統合軍に格上げした。同省の発表によれば、この措置は戦争の本質的変化を反映してサイバー空間が米国の国家安全保障の中心的位置を占めるようになったとの認識に基づく。サイバー戦能力によって中国、ロシア、北朝鮮は核兵器を使わなくても米国の軍事作戦能力を無力化することが可能な時代になったのである。日本がなすべきことは、日本を守る米国の拡大抑止力を一層高めるための着実な防衛力の整備だ。「イージス・アショア」の導入などミサイル防衛の強化、南西諸島の防衛体制の充実が喫緊の課題である。日本側は次期中期防衛力整備計画(2019年-2023年)を策定する2018年に合わせて防衛計画大綱の見直しを米国に伝えている。小野寺五典防衛相は日本が専守防衛の基本に立って日米同盟の中で「盾」の役割に徹することを表明した。脅威に対して浮き足立たず、地道で着実な防衛体制の整備こそが必要なのである。それが米国の拡大抑止の有効性を高めるゆえんである。

トランプ、「バノン切り」で穏健現実路線へ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-20 06:42 [修正][削除]
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 2月23日の解説の段階で「バノンをを潰すか、トランプ政権が潰れるか」と、「バノン切り」を予言したが、けりがついた。背景には「陰の大統領」バノンが選挙公約と現実政治のけじめを理解出来ず、公約に固執し続けた結果、自らを窮地に追い込んだことがある。トランプは自説に固執する理念重視型のバノンと対立していた穏健現実路線派に政権の基盤を移行させることになるが、バノンだけでなくトランプ自身も内政的には厳しい状況に立たされる。というのも、バノンが唱えた保護貿易や移民排斥路線は白人の低学歴労働者の支持を狙ったものであり、ただでさえCNNの支持率が過去70年の歴代大統領で最低となる36%にとどまっていることを考えると、バノン更迭で支持率が大幅に好転する可能性は少ない。来年の中間選挙は共和党惨敗をトランプが先導することになりかねない状況でさえある。

 「ウオールストリート・ジャーナル」紙の社説がいみじくも「バノンは自分で自分を解任した」と分析しているが、まさにきっかけは自傷行為であった。左派系ニュースサイト「アメリカン・プロスペクト」とのインタビューでバノンは、ホワイトハウスの内部抗争を暴露して「トランプ氏の側近らと毎日戦っている。戦いの連続であり、いまだに戦いは続いている」と激しい対立に言及した。これは抗争が終末期に到達して、自らが逃げ場のないほど追い込まれた事を意味する。娘婿の上級顧問クシュナーや安保担当補佐官のマクマスター補佐官らとの対立は抜き差しならぬ段階であったという。これまでは保護主義的な貿易政策、強硬な移民政策、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱などで強硬路線を取って政権をリードしてきたバノンだが、パリ協定離脱に関しては娘のイバンカら穏健派が反対を唱えたものの、バノンは強硬路線で突っ走った。このころから向かうところ敵なしに見えたバノンの力に陰りが見え始め、イスラム圏からの入国禁止措置は司法の大反発で失敗の憂き目を見た。トランプはバノン路線に乗った結果、政治的、法的な敗北を喫したことになる。

 さらにバノンは、インタビューで北朝鮮問題について「北朝鮮関係などは余興に過ぎない。軍事的解決などあり得ない。忘れてよい」 と言い切った。これは軍事的解決を排除しないトランプの北朝鮮政策と真っ向から対立するものである。これに追い打ちをかけたのがシャーロットビルでの騒乱だ。白人至上主義を掲げるグループとこれに抗議するグループとの激突は、だれがみても白人至上主義派に問題があった。それにもかかわらずトランプはバノンの影響を受けて「双方に非がある」とけんか両成敗的な発言をしてしまったのだ。これには世論が憤ったのみならず、ユダヤ系市民にまで反発が生じた。ユダヤ系の米国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーンも激怒して辞任寸前となった。コーンはこれまで通商問題でトランプ政権内の過激な主張を抑え、税制改革でも中心的な役割を担っており、辞任は政権への大打撃となる性格のものである。

 こうしてさすがのトランプも、政権維持とイメージ回復のためにも 「バノン切り」に踏み切らざるを得なくなったのだ。今後の政権はホワイトハウス内の力関係が一変する。まず、7月末に就任した大統領首席補佐官ケリーを中心に体制再構築に動くだろう。ケリーは、退役海兵隊大将であり、現役の陸軍中将のマクマスター、退役海兵隊大将の国防長官マティスの「軍人トリオ」がホワイトハウスをリードし、外交は実業家の国務長官ティラーソンが担うことになる。従来通りクシュナーと娘で大統領補佐官イバンカら“親族”も加えて、バノンの強硬路線からホワイトハウスは一挙に穏健現実路線へと形を変えることになる。ホワイトハウスのメディアとの関係は、トランプ本人がメディア敵視政策を変えない限り一挙に好転することは難しいだろう。しかしトランプもバノンの「メディアは野党だ」といった発言を請け売りしていた側面もあり、バノンの辞任はとげの一つが抜けたことは確かであろう。

 バノンも古巣の右翼メディア「ブライトバード・ニュース」の会長に復帰し、「我々が選挙で勝ち取ったトランプ政権は終わった。大統領周辺のやつらは穏健な道を進めさせようとするだろう」 と述べている。バノンは政権中枢の半年間でスキャンダルも含めた様々な情報を握っている可能性が高く、トランプは敵に回したくない相手であろう。ブライトバードはさっそく「トランプ政権の終わりが始まった」 と酷評している。もっとも、バノンも政権幹部とメディア会長では、影響力が天と地ほど違うことを思い知ることになるのも確かだろう。バノンは大敗を喫したのだ。

世界テロへの唯一の対策:自国への愛国心   
投稿者:肥後 小太郎 (熊本県・男性・団体役員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-19 18:11 [修正][削除]
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バロセルナでテロ事件が発生した。モロッコ人、スペイン人の若者たちが犯行グループだと言う。ヨーロッパは今やテロが続発する危険地域と化した。ヨーロッパはこれまで人権擁護優越国家の掲げる新しい人類文化として無制限の移民受け入れを提唱し、拡大してきた。今日の事態は、その隠れた課題が自然発火したともいうべき事態である。

 日本は未だ安全な国家、治安安定国家 平和国家として自慢できる状態だが、これは戦後72年間もの間、日本への移住を希望する外国人の入国規制を厳格に守り続けた結果である。民族国家としての国益を守ってきたことによる。

 しかし、日本国内にも移民・難民の受け入れを促進すべしとする解放思想の国民は存在する。足下だけ見つめた狭義の人類文化である。家族が己の家庭から家出して、流浪生活をするのを推奨するようなもの。豊かさを求めてアメリカや日本へ移住したいと考えるひとの気持ちは理解できるが、大事なことは、生まれ育った自国への愛国心を持つことである。愛国心の欠如が、己の国つくりを忘れ、脱自国からの脱出しか考えない逃避する国民を産み出す。

 それぞれの国内において 良い政治、良い国作りに貢献する愛国心が強く求められている。我々はそれぞれに自国の国家としての繁栄を願い、世界からテロを撲滅する世界共通の政治文化を探求すべきだと思う。

中国第一主義と日本の役割   
投稿者:松井 啓 (東京都・男性・時事評論家、元大使・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-13 17:53 [修正][削除]
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3937/3990
 中国は「太平洋は中米二カ国にとって十分に広い」としてこの地域におけるアメリカの覇権に挑戦し、ゆくゆくは朝貢外交で近隣諸国を掌握していた中華帝国を再興し、Pax Sinica(中国による平和)の構築を夢見ている。中国は経済力では2010年にGDPで日本を抜き世界第2位の経済大国となり、「一帯一路」構想、アジアインフラ投資銀行(AIIB)創設等で政治的経済的権益の拡大に励む一方、軍事力、特に海軍の増強に励み、南シナ海におけるフィリピンとの領海問題に関する常設裁判所の2016年7月の判決を反古紙と称し、この海域を「九段線」で囲み、軍事施設を構築している。中国は1971年10月に国民党政権(台湾)に代わり国連の議席を得て、安保理事会の常任理事国になったのであるが、近年の国際社会での行儀をわきまえない肥満児のごとき振る舞いは、大国としての責任や矜持を自覚しておらす、国連安保理事会の常任理事国の資格はないと断じざるを得ない。

 日本は明治維新以来富国強兵をスローガンにして、国民の生活を犠牲にしてまで軍備を増強し、日清戦争、日露戦争、朝鮮半島の併合、シベリア出兵をし、国際連盟で非難されるや脱退し、五族(日本人、漢人、朝鮮人、満州人、蒙古人)協和の「理念」により満州国を建国する一方、東南アジアへの権益拡大を図ったが、最終的にはアメリカを始めとする連合軍に敗れ、日本の夢は1945年8月に潰えた。中国にはこのような日本の轍を踏まないように、自重して欲しい。8月初旬のアセアン外相会議の機会に河野外相は中国の王外相と初会談をした。その際に王外相の方から南シナ海での中国の自制を促した河野外相の演説に「失望した」との苦言が述べられた由だが、これに対し河野外相が「中国は大国としての振る舞いを身に着けてほしい」と切り返したのは、まさに正鵠を射ていた。外交の世界ではおもてなしや気遣いは無用であり、沈黙は金ではない。

 中国は今後とも資金力を使ってアジア諸国に対し個別に経済的・軍事的進出(経済インフラや軍港等の拠点建設)を図ってこよう。他方、日本が戦後営々と行ってきたアジア諸国への経済技術協力がこれら諸国の経済発展に貢献し、特に東南アジア諸国の信頼を得てきた。今後とも大気汚染等の環境対策、伝染病等の疾病対策、地震や洪水等の自然災害に関する日本の支援や情報提供は、これら諸国の結束を促す一助となろう。アメリカの存在感は特にトランプ政権になってから薄くなってきている、日本はアジアの平和と安定には大きな責任を持っており、地政学的には中露米の三大国に囲まれて朝鮮半島と対峙している。日本は同盟国アメリカを支援しつつアジアのバランサーとしてこの地域の安定維持に積極的な役割を果たしていく必要がある。

政府は北朝鮮危機への臨戦態勢を整えよ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-11 06:07 [修正][削除]
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3936/3990
 今回の北朝鮮危機は、かつてのキューバ危機と異なって、トランプと金正恩の間に何らの意思疎通も成立しないままに、一触即発状態になだれ込んでいるように見える。過去数年の事例からみても、北がミサイルで方針を宣言した場合は必ず実行に移しており、実行に移せばトランプは90%以上の確率で迎撃して破壊せざるを得ないだろう。そこに全面戦争に直結しかねない要素がある。国防長官ジェームズ・マティスは「北の体制崩壊」を警告している。一方、米軍の攻撃で壊滅寸前になっても、北は日本の米軍基地への核ミサイル攻撃を断行し、最悪の場合1から2発が大都市に落ちる可能性を否定出来ない。日本は、まさにその瀬戸際の状況に陥りつつあると警戒すべきであろう。政府は迎撃など臨戦態勢を整えるしかあるまい。

 状態を甘く見ない方がよい。北の狂気の指導者金正恩は核ミサイルの誇示で、体制を維持するしかないからだ。この「北の狂気」は中央通信を通じて「中距離弾道ミサイル『火星12号』4発を同時に米領グアム島周辺に向けて発射する計画を検討していると発表した。ミサイルは島根県、広島県、高知県の上空を通過し、グアム島周辺30~40キロの水域に着弾することになる」とした。これに対して米軍がどのような対応をするかだが、予想されるのは3段階での破壊だ。まず発射する場所が分かればブーストフェーズでトマホークなどを使って破壊する。飛び上がった段階では日本海からTHAADやイージス艦搭載ミサイルで撃ち落とすことになろう。グアム近海ではグアム配備の対ミサイル防衛網を使うか、イージス艦を急きょグアム周辺に配備して迎撃するなどの対応が取られる可能性が高い。これらの対処を複合的に行う可能性も否定出来ない。今回の場合時期は「中旬」、標的は「グアム周辺」と分かっているので比較的対応がしやすく、かなりの確率で4発全てを破壊できる可能性が高い。

 トランプの直接的な言及は今日発せられると見られるが、既に北の軍事行動を見越してトランプは、「北はこれ以上アメリカを威嚇しないほうがいい。世界が見たことのないような炎と激しい怒りに直面するだろう」と言明した。NBC放送によれば米軍は「B1爆撃機や巡航ミサイルによる北の発射基地などに対する精密爆撃を実行する準備を整えた。大統領の命令があればいつでも攻撃可能だ」としている。恐らくトランプは北にグアム周辺攻撃を“宣言”されて、黙っていることはないだろう。だまっていればこれまでの北への強硬姿勢は何であったかということになる。それこそ大統領の威信は地に落ちる。さらに重要なのはグアム周辺への攻撃を看過すれば、今後「北の狂気」はヤクザの脅しのごとく、ハワイ周辺、サンフランシスコ・ロサンジェルス周辺、ニューヨーク周辺への実験へと、どう喝のスケールを確実に拡大するであろうことだ。既に対北忍耐も限界に達しつつあり、米国務長官ティラーソンの穏健発言でバランスを取る時期は過ぎたのではないか。マティスは「北の指導者は体制の崩壊や国民の破滅につながるような行動を考えるべきではない」と警告している。

 一方日本は国会で防衛相・小野寺五典が、8月10日、北朝鮮が日本上空を通過して弾道ミサイルを発射した場合、昨年3月に成立した安全保障関連法に基づき、集団的自衛権を行使して迎撃する可能性があることを表明した。グアム島周辺への攻撃で、日本と密接な関係にある米軍への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる明白な危険がある「存立危機事態」に該当する可能性がある、との認識の上に立っての対応だ。小野寺は「米側の抑止力、打撃力が欠如することは、日本の存立の危機にあたる可能性がないとも言えない」と語った。相変わらず民共など野党や朝日は反発しているが、至極まっとうな考えだ。さらに時事によると、防衛省は10日、ミサイル通過を予告された中国・四国地方で、地上から迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開する方向で検討を始めた。北朝鮮のミサイルに不具合があった場合、日本国内に落下する不測の事態も排除できないため、PAC3の展開を検討しているとみられる。ただ日本上空を飛ぶ場合は200キロの宇宙空間となる可能性が高く、領空の概念は大気がある100キロとされているため、実際にPAC3が使用される場合は日本に落下してきた場合などに限られるものとみられる。

 こうした状況下で日本政府に求められる問題、は一刻も早い敵基地反撃能力の保有である。1956年に鳩山一郎内閣が次のように政府見解を示しており、憲法上の問題はない。「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」である。自民党の安全保障調査会は3月に、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を踏まえ、敵基地を攻撃する「敵基地反撃能力」の保有を政府に求める提言をまとめ、首相・安倍晋三に提出した。調査会の座長を務めた小野寺五典は「何発もミサイルを発射されると、弾道ミサイル防衛(BMD)では限りがある。2発目、3発目を撃たせないための無力化の為であり自衛の範囲である」と言明している。防衛相に就任してからは慎重に言葉を選んで発言しているが、もはや緊急事態である。自民党は一致して対応できる野党との協力体制を早急に整えるべきであろう。

 そもそも日本が緊急事態の時に米軍が本当に行動を起こすかについても疑問が残るのは否めない。先に伝えたように米国には北と妥協して、米本土に届かない中距離核ミサイルまでは認めるという日本にとっての「悪夢の選択」が妥協案として存在する。いくら緊密でも、独自の「敵基地反撃能力」くらいは保有すべきではないか。まさに専守防衛とはこのことでもある。それにつけても不可解なのは金融市場の動きだ。ウオールストリートジャーナル紙も首を傾げているが、トランプが米大統領が北朝鮮に対して「世界がいまだ目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう」と警告したわずか数時間後に円がドルとユーロに対し上昇したのだ。同紙は「核武装の道をまい進する独裁国家と日本との近距離に対する懸念よりも、安全な逃避先通貨という円の位置づけの方が重要だということだ」としているが、カネのためなら何でもする銭ゲバ達の考え方は理解の範疇を超えている。

民主系メディアを締め付けるプーチン政権   
投稿者:飯島 一孝 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-09 17:36 [修正][削除]
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 タス通信は7月22日、ロシアの民主系メディア総支配人、デミヤン・クドリャフツェフ氏が裁判所の決定で市民権をはく奪されたと伝えた。連邦移民局へ提出した書類に不備があったためと信頼すべき筋が述べたとされる。来年春の大統領選に向け、民主系メディアを締め付けるのがプーチン政権の狙いとみられる。タス通信によると、クドリャフツェフ氏は民主系経済新聞「ベードモスチ」と英字新聞「モスコー・タイムズ」の総支配人を務めている。1992年2月、旧ソ連からロシアに国名が変わる際、ロシアに在住していた国民は自動的にロシアの市民権を受けたが、同氏は当時イスラエルの市民権しか所持していなかったという。

 新生ロシア誕生から四半世紀も経ってから市民権をはく奪されたのは異例で、プーチン政権が政治的な意図を持って摘発した可能性が高い。クドリャフツェフ氏は旧ソ連崩壊後、新興財閥になった一人で、2011年には経済新聞「コメルサント」系の雑誌「ブラスチ」(権力)編集長としてプーチン首相(当時)を中傷する写真を掲載、解雇処分を受けている。

 「ベードモスチ」「モスコー・タイムズ」とも民主系の新聞で、プーチン大統領への批判を強めていることから、政権側は市民権はく奪の強硬手段に出たとみられる。信頼すべき筋によると、市民権はく奪により半年間に90日以上、ロシアに滞在できなくなるという。

 一方、プーチン大統領は若者との対話集会に出席し、来年3月に予定される次期大統領選への立候補について「まだ決めていない」と述べている。だが、プーチン政権内では立候補は既定方針とされており、早くも反プーチン派への締め付けが始まったと言える。

朝鮮半島は日本にとりいかにあるべきか   
投稿者:松井 啓 (東京都・男性・時事評論家、元大使・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-07 22:19 [修正][削除]
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 日本にとり朝鮮半島の安定は地政学上死活的に重要である。中国、ロシアがこの半島を実効支配することを避けるため、日本は日清戦争、日露戦争、朝鮮併合、そして敗戦後の朝鮮戦争等幾多の試練を経てきた。米ソ冷戦構造時代の負の遺産は、ヨーロッパでは東西ドイツが統一され(西が東を統合)、アジアでは南北に分裂していたベトナム等のインドシナ諸国も安定化したので、朝鮮半島のみとなっている(依然として休戦状態にあり「国連軍」が存在する)。北朝鮮の三代目の独裁者金正恩委員長は、北の独立は核兵器保有によってのみ維持できるとの信念のもと、特に経済的にも軍事的にも圧倒的な大国であるアメリカに対する自己の立場を強化しおくべく、核弾頭及びその運搬手段であるミサイルの開発に邁進している。金委員長は、戦争を始めれば核兵器を使用してもアメリカを相手に勝ち目はないことは十分に認識しているが、他方アメリカが多大の犠牲を払ってまで戦争を始めることはない、と腹をくくっている。

 中国は北朝鮮を外交カードとして保持しておきたく、米露の影響下に入るのを阻止し、習近平主席としては秋の党大会を控えこの地域に波風を立てたくないであろう。ロシアも北朝鮮とは国境を接しており、自己の影響力強化を虎視眈々と狙っている。同国から北朝鮮への石油輸出は昨年同期比で2倍になっているとの報道もある。アメリカはオバマ政権時代に「世界の警察官」を止めると表明し、トランプ大統領も「アメリカ第一主義」を打ち出しているので、米本土から1万キロも離れた朝鮮半島で多数のアメリカ兵や市民の生命を犠牲にする積極的利益は見いだせないだろう。この点、ケネディ大統領時代に起こったキューバ危機とは次元が異なる。北朝鮮の暴発により危機的状況が起こった場合に米国が同盟国日本を援護する保証は、必ずしもないと見ざるを得ない。

 チュニジアから始まった「アラブの春」がエジプト、リビヤ、イラク、シリア等に安定をもたらさなかったのは、既存政権崩壊後の体制の在り方につき主要関係国間であらかじめ合意ができていなかったためである。対北朝鮮の軍事演習や斬首作戦等をちらつかせて金委員長を追い詰めても、核兵器開発を止めるどころかかえって加速させことになっているのは、最近のミサイルの連発で明らかである。国連の制裁決議にしても、中露は対話姿勢を崩さず、抜け穴を作るのは北朝鮮のお家芸である。逆に、現北朝鮮体制の崩壊により、大量の難民が国境を越え中国、韓国、更には日本に押し寄せてくる場合の備えは、少なくとも日本では全くできていない。

 結局のところ2007年3月の第6回以降中断されている6者(米韓北朝鮮中露日)協議に立ち戻るしかないだろう。長期的に見れば同一民族である韓国と北朝鮮が合併するのは自然であり、いきなりは無理であろうから、当初は南北による連邦制とし、核兵器は凍結、次に廃止し、ゆくゆくは統一国家となり、朝鮮半島を大国の支配下にない緩衝地帯とする方向で、中国とロシア、更にアメリカがこれを保障するような合意の形成に向け、日本が陰ながら動くのが、この地域の長期的安定と日本の国益につながることとなろう。

安倍再起動内閣が「改憲なし解散」にかじ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-04 05:57 [修正][削除]
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 改造人事から見た首相・安倍晋三の政局運営方針は来年末の任期満了選挙から「改憲なし解散」に大きく舵を切ったことだろう。今年中の解散か遅くても来年夏の「6月解散7月選挙」へと動きそうな雲行きだ。いまだに「解散は来年末」などと公言しているコメンテーターがいるが、信用しない方がいい。党内的には岸田文雄を政調会長に据えてより強固な執行部体制を整えたが、野田聖子を閣内に取り込み石破茂を完全に孤立化させる形となった。岸田は「ポスト安倍」レースのトップを走る勢いとなり、来年9月の総裁選は安倍・岸田連合対石破の構図が強まり、石破の目は極めて困難となった。この内閣を命名すれば「安倍再起動内閣」だろう。パソコンも使いすぎると動きが遅くなるが、再起動で元のスピードを取り戻すのだ。安倍は改造後の記者会見で憲法改正について「スケジュールありきではない。高村さんが『党に任せて』と言うとおりだ」と述べて、改正案を秋の臨時国会に提出する方針を転換させた。この最大の理由はハト派の岸田が「9条改正は直ちに必要ない」と発言するなど消極的であり、政調会長に据える以上その主張に妥協せざるを得なくなったと言える。力の構図を「安倍一強」路線から「安倍岸田連合」による協調路線へと転換せざるを得なくなったことを意味する。

 当初岸田は、朝日新聞の「岸田外相留任」という7月21日の大誤報を多くのメディアが追随、留任かとみられた。しかし政調会長への流れは7月初旬のブリュッセルにおける安倍・岸田会談で決まっていた。岸田は「どのような立場になっても安倍政権を支える」と言明、安倍は「どんなポストでも選んでください」と述べ、この時点で外相以外のポストの流れが出た。朝日は7月20日の会談で岸田が「外相を外してほしい」と安倍に要請したのに、この会談を誤解して「留任」と打ってしまったのだ。3日の朝日は稲田朋美の防衛相辞任で痛手を負ったことを理由に安倍が方針を変えたなどと書いているが、とんちんかんな言い訳に過ぎない。岸田の戦略は「待ち」に徹する方向に固まった。本人は来年9月の総裁選でも安倍に協力し、4年間待つくらいの気持ちであるようだ。岸田にしてみれば安倍に挑戦してリスクを背負うより、恩を売って安倍の支持を得た方がよいとの判断だろう。基本的に“熟柿作戦”だ。安倍、岸田、石破の3人が立候補すれば、安倍と岸田が食い合いになり、石破に漁夫の利を占めさせる可能性があった。しかし、岸田の指南役の古賀誠は、安倍が1年しか持たないと踏んでいるフシがあり、その立場から「首相の人事には全てイエスとこたえる方がいい」と入れ知恵しているようだ。権謀術数の権化のような顔をした古賀らしい発想だが、ドロドロとした思惑が水面下では渦巻いているのである。岸田は4年半の外相の重任を解かれ、政調会長として地方行脚などで支持勢力を拡大して、将来に備えることが出来る。

 党内で反安倍色を強めてきた石破は入閣しなかった。今回の安倍の人事で一番際立っていたのは石破とともに反安倍で騒いでいた野田を閣内に取り込んで石破を孤立させたことだ。朝日によるとこの人事について石破は「受けるとは思わなかった」と漏らしていたというが、切り崩された無念さが伝わってくる。石破派からは3人入閣したがいずれも石破への相談もなく一本釣りの形であり、領袖としての面目も失った。石破は「首相は俺の手足を縛ろうとしている」と漏らしたと言うが、厳しい立場を自認している。一方、もともと安倍と野田は同期会で「私のこと嫌い」と野田が尋ね、安倍が「全然」と答えるような仲であり、「晋ちゃん」「聖子ちゃん」と呼び合っていたのを石破は知らない。しかし、野田は閣議後記者団に「来年の総裁選挙には必ず出る」と息巻いている。「総裁選候補者全てが政策を戦わせ、国民とつながる場面であり、よい習慣だ」と発言。まるで佐藤3選阻止に閣僚として挑んだ外相三木武夫のようなことになりかねないが、安倍は獅子身中に虫を抱えたことになろう。佐藤は三木出馬に対して「不明の至りであった」と述べたものだが、入閣冒頭からこんな発言をするようでは、首相をなめている。三木より悪い。果たして安倍が野田を懐柔できるかどうかがポイントだ。意外な人事は河野太郎の起用だが、ワシントンのジョージタウン大学を卒業した国際派であり、今回の改造では期待できる。一匹狼の異端児が外相というポストで成長するかどうかが見物だ。憲法や原発で安倍の方針と真逆の発言をしていたが、閣僚になったら発言を控えるだろう。既に安倍内閣で、内閣府特命担当大臣を務めており、問題発言はない。

 今回の改造人事は安倍が捲土重来、乾坤一擲を賭したもので、これで失敗したらどうしようもなかったが、大成功の部類だろう。支持率が焦点だが、これは新聞によってまちまちの結果が出そうである。総じて上向きの傾向が出れば、早期解散へとつながりうる。少なくとも下落傾向にはよほどのことがない限り歯止めがかかるだろう。安倍が述べる「仕事人内閣」の気迫は国民にも伝わるはずだ。折から北朝鮮をめぐる極東情勢は一発触発の危機とも言え、野党のカケだのモリだのの追及などにかかわずらっている暇などない。臨時国会などは当面開く必要ない。断末魔のような民進の体たらくなら、293議席維持は無理でも260から70議席はいくだろう。それでも、3選へと動く。

ISの拠点化が進む比マラウィ市の悲劇   
投稿者:山崎 正晴 (東京都・男性・危機管理コンサルタント・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-03 16:18 [修正][削除]
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フィリピンのマラウィ市は、ミンダナオ島西部ラナオ・デル・スル州の首都。ラナオ湖に面し、起伏のある丘と谷が美しい高原の都市だ。20万人の住民の約9割はイスラム教徒で、市の公式名称はマラウィ・イスラム市となっている。2017年5月23日、この町を突然の不幸が襲った。市の中心部で、IS系アブサヤフのリーダーであるイスニロン・ハピロンが、友好組織マウテグループの幹部といるところを、軍の治安部隊が急襲したことが発端となり、市の中心部で両者間の激しい戦闘が始まった。

 ハピロンの要請で応援に駆けつけたマウテグループのメンバーが戦闘に加わると、形勢は逆転し、約500人の過激派組織側は圧倒的攻勢に転じて、警察署から武器を奪い、市庁、病院、教会、刑務所など市内の主要施設を制圧するとともに、市に通じる全ての道路を封鎖して、マラウィ市を完全支配下に置いた。20万人の市民の大半は市外へ避難したが、逃げ遅れた約2000人が「人間の盾」として拘束された。この事態を受けて、フィリピンのドゥテルテ大統領は、直ちにミンダナオ島全域に戒厳令を敷いた。当初2カ月の予定だったが、その後事態の深刻さを考慮し、年末まで期間を延長した。7月26日現在、依然として戦闘は続いており、これまでに一般市民、軍治安部隊、過激派組織を合わせて、少なくとも600人の死亡が確認されている。

 この事件で注目すべき点は、過激派組織の戦闘員の多国籍化だ。フィリピン国軍の発表によれば、過激派組織側には地元出身者のほか、近隣のインドネシア、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、さらにサウジアラビア、イエメン、パキスタン、チェチェン、モロッコなどからの戦闘員も加わっているようだ。インドネシアの紛争政策研究所(IPSC)は、7月21日のリポートの中で、ISは2016年中にシリアからミンダナオ島の過激派組織に数十万㌦を送金し、過激派はその資金を使って周辺諸国で戦闘員の徴募を行っている、と報告している。
 
これらの事実をつなぎ合わせると、イラクとシリアの“領土”喪失が目前に迫ったISが、ミンダナオ島を新たな拠点として構築しようとしている姿が見えてくる。IS系アブサヤフが拠点とするスールー諸島は、フィリピン、インドネシア、マレーシア三国の中間海域にあり、海賊が多発する無法地帯だ。インドネシアやマレーシアからの海上ルートでの戦闘員の流入は、事実上野放しにされている。気になるのは、この「隣人の不幸」への日本の関心の薄さだ。事件発生を受けて、近隣のマレーシア、インドネシア、シンガポールは直ちに国境警備強化への協力を申し出た。それに加えて、中国、ロシア、米国、オーストラリア、イスラエル、韓国、EU(欧州連合)、トルコの諸国が、資金、武器、技術もしくは人道援助の提供を申し出ている。一方で、今年1月のフィリピン訪問時にドゥテルテ大統領と個人的友情を深めたはずの安倍首相からは、何の言葉も聞こえてこない。メディアの関心も低い。この日本の底の浅さ、何とかならないものだろうか。

米に日本置き去りの対北“現状凍結”構想   
投稿者:杉浦正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-02 05:44 [修正][削除]
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 安全保障分野において米政府の高官としてもっとも経験が豊かな元国防長官ロバート・ゲーツが、対北朝鮮政策の大転換を唱えている。内容は、米国が北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策を破棄して、平和条約を締結するというもので、その際中距離核ミサイルは容認するという“現状凍結”構想だ。背景には米国内に北が1年以内に核搭載のICBM保有に成功するとの見方が強まっており、放置すれば米国にミサイルが到達し、核戦略の転換を根本から迫られるという危機感が存在する。しかし、その場合日本はどうなるかだ。中距離核ミサイルを認めれば、日本は常に核どう喝の対象になり、脅かされることになる。間違いなく日本には核武装論が台頭し、非核3原則など吹き飛ぶ。ゲーツ構想は如何に危急存亡時においては、米国がエゴイズムを発揮するかを如実に物語るものだ。政府は外務省を通じて米側に懸念を伝達すべきだ。

 ウオールストリートジャーナル紙とのインタビューで、現在ウィリアム・アンド・メアリー大総長のゲーツは「中国が依然としてカギを握る」として、中国に対して、(1)旧ソ連とキューバ危機を解決したときと同様に、北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策の破棄を約束する用意がある、(2)北朝鮮と平和条約を締結する用意がある、(3)韓国内に配備している軍事力の変更を検討してもいい――と提案することを述べている。すなわち、この見返りに、米国は北朝鮮の核・ミサイル開発計画に対して強い制約、つまり基本的には現状での凍結を要求し、国際社会や中国自身が北朝鮮にこれを実施させることを求める必要があることなどを提唱している。このうちとりわけ重要なのは「現状での凍結」が意味する問題である。詳細は後で述べるが、日本や韓国が受け入れられるかどうかを度外視している。加えて「北朝鮮に核兵器をあきらめさせることはできないと思う」「金氏は核兵器を体制存続のために欠かせないと考えている。しかし運搬手段(ミサイル)の射程をごく短距離にとどめさせることはできるかもしれない」などと述べた。

 さらに米国は中国に対して、「これを受け入れられなければ、われわれは中国が嫌がる手段をアジアで講じる」と、中国をどう喝している。「米中間でこうした合意形成ができない場合、米国は韓国や日本、太平洋の米軍艦上を含め、アジアに多くのミサイル防衛システムを配備し、さらに米国は北朝鮮から発射された大陸間弾道ミサイルと思われるもの全てを撃ち落とすと宣言する。要するに、外交的な解決策がなければ、この政権を封じ込めるために必要な手段が何であれ、われわれはそれを実施するということだ」と言明している。そしてゲーツは「レックス・ティラーソン国務長官とジム・マティス国防長官がこの計画を中国に示し、中国が支持すれば、その時初めて北朝鮮との直接協議が始まる」と強調している。

 この構想は金正恩を小躍りさせるものであり、逆に日韓両国は、米国のエゴイズムに置いてけぼりを食らう形となる。日本にしてみればいくら北朝鮮問題が行き詰まり状態にあるとはいえ、米国が中国との間で日本の頭越しに戦略を展開されては、日米同盟の基本を崩しかねない問題へと波及し得るものだ。米国は、ニクソンの対中頭越し外交の伝統が物語るとおり、行き詰まると日本を度外視して超大国間の直取引に傾きがちな傾向を示す。問題は安保ど素人のトランプを始めティラーソンらが、ゲーツ構想に乗りかねない点であり、日本としては米国にクギを刺す必要がある。そうでもしなければ国会で野党から「それみたことか」と追及を受けるのは安倍となる。

 もっとも今のところ、米政府はゲーツ構想では動いていない。米国内では、北が本格的な核搭載のICBMを配備してからでは遅いという立場から「今後1年以内が軍事行動に残されたゴールデンタイムだ」とささやかれている。国連大使ヘイリーは声明を発表し、制裁強化に消極的な中国を名指しで「協議の時は終わりだ」とし、協力するのかどうか決断するよう迫っている。また中央情報局(CIA)長官マイク・ポンペオは、「朝鮮半島から核兵器を排除し、非核化すれば素晴らしいが、それに関して最も危険なのは、現在それらをコントロールしている人物だ」と指摘するとともに「そのために、われわれにできる中で最も重要なのは、2つを分けることだ。能力と(核開発の)意図を持つ人物を分け、引き離すことだ」と強調した。これは言うまでもなくCIAが金正恩暗殺を狙って動き出していることを意味する。今後斬首作戦の展開は言うまでもなく、クーデターの誘発、各種の方法での宣伝や謀略を北朝鮮国内で展開してゆくことになろう。

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