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憲法の最終解釈権は最高裁にある   
投稿者:萩原 孝夫 (神奈川県・男性・無職・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-24 16:57 [修正][削除]
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3901/3941
  安倍・自民党総裁が、憲法第九条の1項、2項を維持したうえで自衛隊の根拠規定を追加するよう提案した。新聞、雑誌などを見ると、何れの議論も「自衛隊は戦力ではない」との内閣法制局の憲法解釈を巡っての賛成、反対、異論であるようだ。

いつか見た光景だ。平和安全法制の時も、争点は、「集団的自衛の権利は持つが、行使はできない」とのそれまでの内閣法制局の見解をめぐる賛成、反対、異論の議論であった。そこで決め手となったのは、憲法第八一条だったはずだ。「憲法問題について最終的に有権的解釈を下せるのは、国会でもなく、憲法学者でもなく、まして政府の一部である内閣法制局ではない」との正論であった。最高裁の砂川判決は、日本が固有の自衛権を有することを認め、その故に自衛隊を合憲と認めている。これで、すべての議論にケリがついたはすだ。

自衛隊の根拠規定を追加する今回の安倍提案についても、その根拠は、従来の内閣法制局解釈ではなく、最高裁の解釈に依るべきだ。最高裁の砂川判決は、1項は侵略戦争の放棄、2項は侵略戦争のための戦力の不保持、そしてこれが今回の論議で最も重要なことだが、自衛力の保持については、「同条2項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか、否かは別として」と判断を保留している。

   安倍提案はこれに応えるものだ。答えははっきりしている。3項に「自衛のための戦力を有する」と追加すればよい。これで、すべての議論にケリがつく。1項は侵略戦争の放棄、2項は侵略戦争のための戦力の不保持、そして3項には自衛のための戦力の保持を認めるとすれば、これですべてがすっきりする。

(連載2)米国のパリ協定離脱宣言がもつ教育効果 ← (連載1)米国のパリ協定離脱宣言がもつ教育効果  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-23 10:52 [修正][削除]
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3900/3941
 パリ協定からの離脱は、全体にとってだけでなく、米国にとっても不利益をもたらします。それは信頼や認知度の低下という不利益です。全体の取り組みによって得られる利益を享受しながら、全体のためのコストを負担せず、自分の利益だけを追求する者はフリーライダー(タダ乗り)と呼ばれます。フリーライダーが蔓延すれば、全体の努力が無に帰す恐れがあります。そのため、「集合行為のジレンマ」の考え方を打ち出したオルソンによると、フリーライダーを生まないようにするためには、何らかの強制と、お互いの監視が不可欠になります。地球温暖化問題に関していえば、パリ協定で各国に課される排出削減の目標と、その実施に関する定期的な報告が、それにあたります。

 今回の決定で、米国は温暖化防止のためのコストの分担を拒絶しました(独自の取り組みの成果を期待できるなら、そもそもグローバルな取り決めは必要ない)。しかし、その一方で、各国が温暖化防止のための取り組みを進めれば、その成果を米国も享受することになります。つまり、トランプ大統領はパリ協定からの離脱を宣言することで、温暖化問題において「米国がフリーライダーになる」と宣言したに等しいのです。極小の貧困国ならまだしも、名誉ある地位にある国が、全体を維持するためのコスト負担(それがどの程度の割合かはともかく)を拒絶しながらも、自分の利益のみを得たいというのであれば、トラブルメーカーとみなされても文句はいえません。少なくとも、外部からの評価でいえば、トランプ大統領が好んで口にする「米国をもう一度『偉大な国』にする」という言葉の実現は、今回の決定だけでも、何歩も後退したといえるでしょう。いかに大きな力を持っていようとも、その立場に相応しい振る舞いをしないリーダーは、大きな力を持っているがゆえになおさら、フォロワーからの信頼を得にくくなります。現状の米国は、まさにそれです。そして、そのことは、既にロイター通信などで取り上げられているように、結果的に中国の利益にもなり得ます。

 中国は、開発途上国として、京都議定書では温室効果ガスの削減義務を免除されていましたが、パリ協定では削減義務を負っています。中国の歴代政権は、環境、人権、貿易・投資など、欧米諸国主導の国際的な取り決めやルール作りに批判的な立場を貫いてきました。しかし、習近平体制のもとで中国は、むしろグローバルな課題設定やルール作りに積極的に関与することで、国際的な指導力を伸ばす方針に転じています。さらに、パリ協定では開発途上国が温室効果ガス排出削減を進めやすくするための技術協力なども定められており、(その技術水準は先進国ほどでないにせよ)中国はこの分野でも海外進出の加速を図っています。この分野から米国企業が消えれば、その間口は、さらに広がるとみられます。こうしてみた時、パリ協定から米国が離脱することは、中国にとって、環境分野における存在感を高める機会が転がり込んできたことを意味します。言い換えると、今回の決定は、中国の目からみて、いわば大きな「敵失」と映ることでしょう。中国が国際的な認知度や指導力を高めることを、我が事のように喜ぶほど、トランプ氏が博愛主義者とは思えません。

 これらに鑑みれば、トランプ氏のパリ協定離脱宣言は、極めて狭い意味での「国益」を優先させた結果、世界全体にとっての損失となるだけでなく、米国自身の長期的な利益をも損なうものといえます。「損して得とれ」という古い格言があります。短期的にはマイナスとなるような仕事でも、それを元に信頼を培ったり、経験値を高めることで、長期的なプラスに繋げればよいという考え方です。少なくとも今回の場合、トランプ氏はこれとは正反対に「得して損する」という選択をしたと言わざるを得ません。これは、短視眼的な「自国第一主義」が、かえってその国にとって長期的な利益を損ないがちであることを、端的に示す例といえるでしょう。なぜ自分の利益だけを追求してはいけないのか、をこれ以上わかりやすく説明した教材はありません。トランプ氏はまさに「偉大な」教育者とさえいえるのかもしれません。(おわり)

(連載1)米国のパリ協定離脱宣言がもつ教育効果  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-22 11:32  
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3899/3941
 6月1日、米国トランプ大統領はパリ協定からの離脱を宣言しました。2015年、国連で締約されたパリ協定は、世界各国に温暖化防止のための取り組みを求めるものですが、トランプ大統領にいわせると、これが米国経済にとって大きな悪影響をもたらすといいます。いわば、米国を地球環境より優先させたといえます。今回の出来事は、トランプ氏の支持者や、トランプ氏との関係改善を望むだけでなく天然ガス輸出に利益をもつプーチン大統領などを除けば、ほぼ世界中から批判の対象になっています。ただ、そこで敢えてポジティブな意味を見出すとすれば、「『自国第一主義』はどこに問題があるか」、あるいは「なぜ自分の利益だけを追求してはいけないか」を説明するのに、これ以上ない教材を提供してくれたことがあげられます。念のために確認すれば、トランプ氏のパリ協定離脱宣言は、これまでになく「米国第一」が鮮明です。

 温暖化問題に関して米国は、今回のパリ協定離脱に先立って、2001年に京都議定書から離脱した「前科」があります。当時のブッシュ政権は、既に温室効果ガスの大排出国になっていた中国など開発途上国に削減義務がないことが「不公正」だとして、自らの立場を正当化しました。これに対して、中国も削減義務を負っているパリ協定からの離脱において、トランプ大統領はただ「米国にとって不公正」というだけです。パリ協定離脱に関して、ホワイトハウスは「トランプ氏が温暖化対策そのものを否定したわけでない」と釈明しています。しかし、何が不公正かなのかすら明確にしないままに、ほぼ全世界が参加する枠組みから一方的に離脱を宣言したことは、温暖化対策のためのコスト負担そのものを忌避していると言われても仕方ないでしょう。そこからは、トランプ政権の「自国第一主義」は、ブッシュ政権時代の「一国主義」より増幅していることを見出せます。

 トランプ大統領の決定は、米国の石油・天然ガス開発だけでなく、自動車(電気自動車を除く)や鉄鋼などの重厚長大型産業からは支持されやすいものです。米国のこれらの関連企業は、省エネ技術を発達させてきた日本やヨーロッパ企業に比べて、温暖化対策にビハインドがある一方で、伝統的に政治資金を通じて米国政界に大きな影響力を持ってきました。その意味で、パリ協定からの離脱は、国内政治の文脈においては、合理性がないわけではありません。一般論として「それぞれの国が自国の利益を追求するのは当たり前」ということは可能です。これは一見したところ分かりやすいですし、また人間の利己性を考えれば、当然ともいえます。さらに、自分のスランプの原因を外部に求めたがることも、人間的といえるかもしれません。

 しかし、個々人が自分の利益のみを追求すれば、全体にとっては最悪の結果をもたらしがちです。これは経済学では「集合行為のジレンマ」と呼ばれます。例えば、誰しも税金は払いたくありませんが、公共サービスを受けたくないと思う人もほとんどいません。もし個々人が「個人の利益」を最大化するために税金を納めなければ、公共サービスは全てなくなり、全体にとって最悪の結果に行き着きます。国際政治において「集合行為のジレンマ」が最も象徴的に現れるのが、地球温暖化をはじめとする環境問題です。どの国にとっても、快適な環境は望ましくても、省エネなどそのためのコスト負担は避けたいところです。そのため、各国にとって一番(自分の利益を最大化させるという意味で)合理的なのは、「自分の国は規制のためのコストを負担しないが、他国には温室効果ガスの排出のコストを負担してもらう」ということです。しかし、全ての国が「自国の利益」のみを考えれば、地球温暖化は止まりません。それは全人類的に「最悪の結果」といえるでしょう。(つづく)

皇位継承について   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-21 10:55 [修正][削除]
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3898/3941
 この度の通常国会も、事実上6月16日で閉幕となったが、森友、加計問題に大揺れの国会となってしまった。一方では、国論を二分するような「テロ等準備罪法案」、そして200年振りに天皇退位を実現するための特例法案など、重要法案が可決成立した。昨年8月の、今上陛下のビデオメッセージは、近々の退位を望まれる陛下のお気持ちが明確に示されたもので、多くの国民がこれに賛同した。そうした中で天皇退位を実現するには、当初は憲法とも密接に関係する「皇室典範」の改正が必要ではないかとの意見もあったが、典範改正となると、女性宮家の創設や女性天皇につながる問題を扱わなければならなくなり、これに消極的な政府としては、典範と「一体を成すもの」としての特例法で切り抜ける方法を採用した。

 しかし私は、皇位継承問題は別としても、天皇退位という200年振りの大事で、しかも皇太子の不在や皇嗣殿下の創設という、皇室の基本的なあり方に関わる事項が多々あるため、本来は典範の改正によって実現させるべきと考える。今後出来るだけ速やかに典範に手を加えなければならない。さて最近は、三笠宮寛仁殿下、桂宮宜仁殿下、三笠宮崇仁殿下が相次いで薨去されたため、現在の皇位継承順位は、(1)皇太子徳仁親王殿下(2)秋篠宮文仁親王殿下(3)悠仁親王殿下(4)常陸宮正仁親王殿下の4方となってしまった。悠仁殿下に男子が誕生しなければ、皇統は途絶えてしまう。これは明らかに「皇室の危機」であり、今後数十年の間に何としても手を打たなければならない。

 政府や自民党の中には、戦後、皇族を離れた11の旧宮家の復活や、そこから天皇家が養子を迎えるという方法も検討の対象とされている。しかし旧宮家は70年以上皇室を離れており、国民には馴染みがなく、さらに皇位を継承する覚悟を持たれる方は、ほとんど居られない。したがってこの方法で継承者を確保することは、現実的ではないと言える。一方、小泉政権の末期や民主党の野田政権の際に検討が成された「女性宮家」の創設という方法は、まず象徴天皇の膨大な公的行為を助けるのに、極めて有効な手段である。さらに推古天皇や持統天皇など、過去10代8方の女性天皇が居られたという歴史を鑑みれば、男女平等や「女性活躍社会」を目指す現代においては、なおさら女性天皇の可能性を検討することは、当然に追究すべきではないか。

 さらに議論を進めて、女性天皇たる母のみが皇統に属する子による皇位継承、即ち「女系天皇」を認めるか否かは、125代にわたり男系が続いてきたという歴史的重みを考えた場合、この伝統を崩すことには慎重であるべきだろう。しかし男系を維持するが故に皇統が途絶えてしまうという最悪の事態に直面した時、世襲による天皇制を維持するためには、女系を検討する余地は多少なりともあるのではないだろうか。

いったん「鳩化」しても改憲で「鷹」に   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-20 05:18 [修正][削除]
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3897/3941
 俳句の季語に「鷹化して鳩となる」がある。奇妙な季語だが、春の季語で、「殺気ある鷹でも春には温和な鳩に変わる」という中国の伝承を受け継いだものだ。一茶は「新鳩よ鷹気を出して憎まれな」とユーモアたっぷりの句を残している。変わり身が早いさまを変幻自在というが、首相・安倍晋三の記者会見はまさにその「変わり身」を前面に打ち出して「鳩」になったものだ。支持率が軒並みマイナス10ポイント前後の大幅減のなかで、長期政権維持への“危機感”を強く感じた結果の変身術であろう。安倍は、国家戦略特区での獣医学部新設をめぐって、国会答弁で強い口調で反論したみずからの姿勢を反省するとしたうえで、国民の不信を招いたことを認め、加計問題への対処を陳謝した。安倍は「『印象操作』のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」と述べたのだ。

 過去に1人の首相が自らの発意で、その政治姿勢を大転換した例はまれである。政権を交代して自民党そのものが変身を成し遂げた例はある。そのもっとも顕著な例は、安倍の祖父岸信介による60年の安保条約改定の強行とその後の党内抗争が政権交代に直結した例だ。自民党に対する国民の大きなイメージダウンをもたらし、岸は退陣せざるを得なかった。後を継いだ池田は野党の要求する早期解散には応ぜず、総選挙までの4ヶ月間、「国民所得倍増計画」という新経済政策と「寛容と忍耐」という新たな政治路線を打ち出したのだ。このアイデアは、側近大平正芳と宮沢喜一という知恵者が一緒に作ったものだ。回顧録で宮沢は「大平さんが池田さんに、とにかくここは\"忍耐\"しかないですね、と言って、そんなことから\"忍耐\"を一つスローガンにする。もうひとつ私が、ジョン・スチュアート・ミルがよく\"tolerance\"ということを言っていたから、\"寛容\"というのはどうですか、と言って、それでスタートした」と述べている。

  安倍の場合の方針大転換は、自らの政治判断においてなされた色彩が濃厚のようだ。それではその転換を早期に国民の間に印象づけることが可能かというと、少なくとも今月23日告示、7月2日投票の都議選に間に合わせることは難しいだろう。あまりに接近しすぎている。しかし、数か月単位での「変身の定着」は可能であろう。定着と共に支持率も回復基調となる可能性が高い。その最大の理由は内閣支持率が急落したものの、自民党の支持率は変化がないからだ。NHKの調査でも自民党は37.5 %から 36.4 %に微減しただけであり、民進党も7.3 %から7.9 %への微増にとどまっている。民進党支持率にいたっては時事の調査では、なんと過去3か月で最低の4.2%にとどまっている。これが意味するものは、民新、共産挙げての“加計疑惑”追及が得点につながっていないことを意味する。過去にも安倍政権は10%前後の急落を2回経験している。2013年の特定秘密保護法と2015年の安保法制だ。しかし、政権の基盤である自民党支持率に変化がなく、これが内閣支持率の挽回につながっている。安保法制の際の日経の調査の例を挙げれば、成立前の支持率46%が成立後に40%に落ちたが、3か月後に48%に回復している。他社も同様の傾向を示している。

 安倍の支持率回復の軸は外交・安保、経済政策に置かれるだろう。安倍は記者会見で来月7~8日にドイツのハンブルグで開かれるG20サミットについて、「主要国の首脳が集まるこの機会を活用して、積極的な首脳外交を展開したい。挑発をエスカレートさせる北朝鮮問題について、日米韓のがっちりとしたスクラムを確認したい。そして、来たるべき日中韓サミットの開催に向けて、準備を本格化していく」と述べている。これが最初のとっかかりとなるだろう。北朝鮮の存在は常に支持率を上向かせる方向で働く。短期的には夏の内閣改造で体制を整えることになる。長期展望では来年9月の総裁選がヤマ場となるが、安倍の唱える憲法9条への自衛隊条項の加憲をめぐって党内論議も活発化するだろう。元幹事長・石破茂が安倍改憲に異を唱え始めているが、党内の大勢は安倍支持の傾向が強い。石破は党内野党化する公算が高いが、国会議員の間では人気が高まる可能性は少ないものの、地方票の集票が得意であり、油断は出来まい。改憲は急げば来年の通常国会末にも、衆参3分の2以上の賛成で発議することとなろう。その後最短60日で国民投票となる。従って国民投票は衆院議員の任期切れが来年末だから、総選挙とのダブル選挙になる公算がある。安倍はやがて改憲の“錦の御旗”をかかげて政局をリードすることになるが、今回の柔軟路線への転換は9条改憲が主要テーマとなる以上、保革の対決が再浮上する可能性を帯びている。従っていったん鳩に変身したものの、再び鷹の本性を現さざるを得ないのだろう。

民進党にまたもや疑惑のブーメラン   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-16 06:43 [修正][削除]
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3896/3941
 民主党代表前原誠司が偽メール事件で代表を辞任したことは記憶に新しいが、「総理の意向」文書を追及する民進党にまたもや疑惑のブーメランが返って来そうである。代表蓮舫自身が行政刷新相だったころに加計学園の獣医学部新設を推進、最高顧問江田五月が学園理事長加計孝太郎と親密であり、民進党議員が地方創生相石破茂に「なんとしてでも誘致を推進せよ」と国会で迫っている。民進党は6月16日の参院予算委員会集中審議で何の進展もない文科省メモの公表をまるで鬼の首を取ったかのようにあげつらい追及する方針だが、自分の足下が崩れていることを自覚していない。

 そもそも加計学園獣医学部の今治市新設問題は、民主党政権時代に本格化したものだ。それまでは加計学園が長期にわたって申請し続けたが、政治が動かなかった。ところがルーピー鳩山政権は、この陳情を取り上げ、一転して推進に流れを変えたのだ。その中心に位置したのが行政刷新相蓮舫であった。蓮舫は2010年6月8日に枝野幸男から刷新相を引き継ぐに当たって、加計学園の獣医学部設置を重要引き継ぎ事項として受け継いで、獣医学部新設へと動いた。それも2022年度を目途に加計学園問題を推進することを決めたのだ。従って蓮舫が安倍を加計と友人であるという理由だけで「加計疑惑がある」と追及するなら、蓮舫は推進したのだからやはり疑惑を追及されてもおかしくない。自らの“加計疑惑”へとブーメラン返しを食らうことになる。従って安倍政権の方針を「政治をゆがめている」などと批判しても、「民主党の方針をゆがめでいない」という反論が、そのままできることになる。本来なら6月16日の予算委は、蓮舫が追及すべきであろうが、質問者は福山哲郎になっている。どうも逆襲を恐れて逃げた感じが濃厚だ。

 さらに民進党の最高顧問江田五月も加計と親密であることを自らのブログで明らかにしている。2016年10月20日付のブログは加計との親しげな写真を掲載し、「16時から30分ほど、岡山理科大学構内で加計学園の加計孝太郎理事長に議員退任のご挨拶をして、懇談しました。長くご支援いただいており、新校舎の最上階からの岡山市内の眺望も、ご案内いただきました。絶景でした」と書いている。この文章から見る限り何らかの援助を受けていた可能性が強い。普通政治家が「長くご支援いただいており」と書けば、政治献金を意味する。江田が加計から見返りに今治市への獣医学部誘致で陳情を受けたかどうかは定かではないが、可能性としてはあり得ることだろう。加えて民進党衆院議員の高井たかしの場合はもっと“確信犯”的だ。ホームページで「地方創生特別委員会にて、国家戦略特区について、石破大臣に質問しました。愛媛県今治市に50年ぶりの新設をめざす獣医学部について。四国4県の大学には獣医学部が一つも無く、獣医師の偏在が問題になっています。地元の岡山理科大学が力を入れており、『これは何としても実現して欲しい』と強くお願いしました。石破大臣もかつて鳥取県に誘致を試みた経験があるそうで、前向きな答弁を引き出すことができました」と書いている。地元の加計から少なくとも陳情されている証拠だ。

こうした党内の一連の動きを「まずい」と判断したか幹事長野田佳彦は、記者会見でお得意の三百代言的な言い訳をしている。野田は「当時の、民主党政権下における特区というのは構造改革特区です。いわゆるボトムアップで(地方から)上がってきたものについて、検討を加えていくというもの。一方で、2013年12月から制度がスタートしている安倍政権になってからの国家戦略特区はトップダウン型。したがって、総理の意向とか、誰かへの忖度(そんたく)とか、トップダウン型とボトムアップ型とは全く違うので、同じ前提であったかのように議論をすりかえるのはまさに国民に誤解を与えるものである」だそうだ。この幼稚園児もびっくりするようなこじつけ論理は、ハチャメチャだ。たとえボトムアップであろうが、地元への忖度がなければ政治家は動かない。口から出任せの目くらましを駆け出し記者にしてはいけない。トップダウンだから安倍への忖度が働くといっても、首相の場合、官僚の忖度が犯罪行為かと言えば、そんな話など全く成り立たない。

 そもそも官僚が忖度してどこが悪いかだ。実力派の首相であるほど、官僚は首相が何を考えているかをしょっちゅう考えるのだ。それが政治をスムーズに展開させる要諦であり、忖度こそが重要なのだ。トランプの初閣議を見るがよい。閣僚全員が臆面もなく忖度しているではないか。野田も首相当時に野党である自民党の解散の主張を忖度して、民主党政権が自滅した解散を断行しているではないか。獣医学部問題は国家戦略特区諮問会議を経て実現しているのであり、その議論の内容をみれば「安倍の意向」などという言葉は一言も出てこない。官房長官・菅義偉が「特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定などいずれのプロセスにおいても、関係法令に基づく適切な処理がなされており、圧力が働いたりしていない」と発言しているとおりだ。民進党は「加計」と名前が出ればごみ記事でもトップに据えて紙面を作り、「政局」へと結びつけようとする、朝日など左傾化マスコミの“トラの威”を借りてパンチを繰り出しても駄目だ。しょせんは空振りに終わると予言しておく。

 

アメリカのパリ協定離脱   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-14 10:53 [修正][削除]
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3895/3941
 去る6月1日、日本時間では2日未明、アメリカのトランプ大統領は、地球温暖化防止の取り決めである「パリ協定」からの離脱を表明した。同協定はアメリカ経済にとって不利であるとして、大統領選挙の時から示唆していたが、とうとう現実のものとなり、世界各国は一様に落胆した。
 
 パリ協定とは、1995年からはじまった国連主導の国際会議である「気候変動枠組み条約・締約国会議(COP)」の、第21回目の会議が2年前パリで開催され、その時に合意されたマルチの協定である。因みに第1回目(COP1)のリオデジャネイロでは「リオ宣言」、第3回目(COP3)の京都では「京都議定書」が採択され、それぞれエポックメーキングな役割を果たしてきた。
 
 パリ協定では各国が、温暖化の原因であるCO2排出量の削減目標をそれぞれ宣言した他、産業革命からの平均気温上昇を2℃以内に抑えること、2050年にはCO2排出量をゼロにすることを宣言した。温暖化は海面上昇による低地の水没や、大雨や旱魃の被害、台風やサイクロンの巨大化を招くことが明らかとなっている。したがって、全ての国が力を合わせなければ解決できない。
 
 アメリカのCO2年間排出量は、中国に次いで第2位の16%に当たる。その国が離脱する直接の影響は大きいが、オバマ政権が同協定を主導してきたことを考えると、その影響は計り知れない。協定の有効性は揺るがないものの、言い出しっぺのアメリカが離脱となると、各国の取り組みも一気に弱まることが懸念される。トランプ大統領の決意を翻意させることは無理かもしれないが、日本、EU、そして排出量最大の中国が手を組んで、強力な包囲網を作り上げることは、決して無駄ではないはずだ。

偏見と誤解に満ちた国連報告者の対日人権報告   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-14 07:09 [修正][削除]
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3894/3941
 大詰めを迎えたテロ等準備罪法案をめぐって、国際的な“陰謀”が展開されている。映画で活躍する女性工作員のごとく国連報告者らを意のままに操り、日本政府に打撃を与えるための工作を展開している女性がいる。その手のひらで踊らされるがごとく、ジュネーブの国連人権理事会で特別報告者のデビッド・ケイがテロ法案の参院採決に合わせるかのように、想像を絶するほどずさん極まりない左傾化調査結果を報告した。国連報告者とは特定の国における人権状況について調査・監視・報告・勧告を行う専門家であるが、ケイは昨年4月の来日以来、英エセックス大人権センター・フェローと称する人権活動家藤田早苗の誘導のままに報告書を作成しているかのようである。読売も6月14日付けの社説で「日本の一部の偏った市民運動家らに依拠した見解」と位置づけている。藤田の“手腕”は“凄腕” という形容がぴったりであり、日本の女性としては希有な行動力を持っている。その講演は左翼関係者で満員になるほどの盛況だという。

 そもそもケイの来日を画策したのは藤田と言われ、ジュネーブで暗躍して国連の組織を動かし、政府・与党をおとしめるのがその作戦の目的であるかのようである。まず藤田のネット発言をみれば「とうとう共謀罪法案が審議入りした。英訳して国連その他に提供した。専門家からは懸念の声が出ている」と、自らの国連機関への“貢献”を強調している。そして藤田は日本のメディアを取り巻く状況は悪化してきていると指摘し、「権力監視という本来の役目を十分果たしているとはいえない」と分析している。こうした立場からの“洗脳”をうけたのか、ケイは「日本政府が直接間接にメディアに対して圧力を掛けている」として、まず「政治的に公平であること」などと規定した放送法4条の見直しを23日までには報告書に記載する予定だ。これは電波停止を恐れる左傾化民放が主張してきていることであり、藤田らのレクを受けなければとても米国の学者ごときが知り得ない内情である。

 ケイは日本の一部民放の偏向報道のひどさを知らないまま判断しているとしか思えない。民放の電波停止の可能性に関しては昨年2月には総務相高市早苗が「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと具体的な例をあげたうえで、「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と言及している。またかつてテレビ朝日報道局長の椿貞良が「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と他局に偏向報道を働きかけた事件があった。総務省は1998年のテレビ朝日への再免許の際に、政治的公平性に細心の注意を払うよう条件を付した例がある。しかし実際に停止命令が出された例はない。TBSやテレ朝はまたこうした動きが再発することを恐れており、ケイの報告書に書き込ませたいに違いない。

 さらにケイの報告で偏見に満ちているのが慰安婦問題だ。中学校の教科書から慰安婦の記述がなくなったことを指摘して「政府の介入は市民の知る権利を損なわせる」と日本政府を批判した。これも朝日の慰安婦強制連行の大誤報と、社長以下が陳謝したという事実関係を知らぬまま、吹き込まれたことを未消化で報告しようとしているものだろう。加えて秘密保護法に関しても「表現の自由を犯す」として、見直しを勧告するのだという。このように左翼人権活動家の“教育的指導”に踊らされてケイは、実情に疎いまま方向音痴の報告書を作成して、結果的に藤田らの反政府プロパガンダの一翼を担おうとしているわけだ。こうした藤田の動きを朝日は好意的に報道し続けており、構図としては野党ー朝日ー藤田ー左傾民放によるテロ法案阻止の連係プレーが実現していることになる。藤田の狙いは、戦後の教育で国連を理想的組織と印象づけられた国民の意識を最大限に活用して、ケイを利用して政府・与党を追い詰め、野党の力を拡大する事にある。

 しかし、国連報告者などというと、特別に偉い存在であるかのように見えるが、その実は国連には80人もいて、権威などない。国連を代表した者ではさらさらない。事務総長アントニオ・グテーレスも首相・安倍晋三に「国連とは別に個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と説明している。そのような人物のレベルの低い、強制力などかけらもない報告書を大々的に報道する日本のマスコミも、いい加減に国際的な常識を身につけるべきだ。策謀女に踊らされる偏狭なる一学者のたわ言を競って大きく報道する癖を直したらどうか。政府も雑魚相手にけんかしても仕方がない。放置すれば国際社会に誤解が広がりかねない。グテーレスに直接働きかけて対応を求めるべきだ。日本はアメリカに次いで世界第2位の国連分担金を払って、国連活動に貢献しているのであり、事務総長はそのような平和国家をおとしめる発言が国連内部から出るのを放置していいのかということになる。

中国のモンロー主義を警戒   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-13 12:01 [修正][削除]
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 シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(IISSシャングリラ対話)は中国による国際秩序の一方的な変更、軍事的圧力の強化に対する警戒心の高まりを示した。米トランプ政権は「航行の自由」作戦を再開、米中間の軍事的緊張が強まっており、東南アジア諸国連合(ASEAN)の米中対決への不安は募る一方だ。6月2日に基調講演をしたオーストラリアのM.ターンブル首相は中国が地域の支配を狙って米国を排除する「現代版モンロー主義(ドクトリン)を押しつける懸念がある」と警告を発した。首相は新興国の急速な台頭が覇権を守ろうとする大国との間で戦争が起きる古代ギリシャの「ツキジデスの罠」に言及し、「現代の中国が国家主権を主張して1949年に建国したように国の大小にかかわらず、他国の主権尊重によって成功する」と中国が歩むべき道を示した。中国のあまりにも身勝手な主権のごり押しに、「親中派」とされる同首相も苦言を呈さざるを得なかった。

 南シナ海での米軍の軍用機、艦船に対する中国軍機の挑発行動はトランプ政権の出方を探る狙いがある。マチス国防長官は同会議の演説で、国際社会の利益を侵し、規範に基づく秩序を損ねる「中国の行動は受け入れられない」と厳しく批判。「戦略的に重要な東シナ海と南シナ海で海洋の自由を守るため米国は関与を続ける」と断言、中国が完敗した国際仲裁裁判所の裁定が紛争の平和的処理のための「出発点」として、拘束力のある裁定に従うよう中国に要求した。中国に対して腰の引けたオバマ前政権とは打って変わる強硬な姿勢である。東南アジア専門家のL.クオク氏(ハーバード大学客員研究員)は「航行の自由」作戦が米国の関与を示す「重要な尺度」として、トランプ政権が作戦再開の意思を示したことで地域の諸国は「ほっと安堵の息をついた」と評価した。

 中国に経済的な依存度が高く、対抗する軍事的能力もない東南アジア諸国は強圧的な中国に抵抗する手立てがない以上、米国しか中国を抑えられる国はないと分かっているからである。中国はカンボジアやラオスなどに圧力をかけてASEANの結束を乱し、南シナ海の軍事化を批判する共同声明が出せないのが現状だ。ASEANのレ・ルオン・ミン事務局長はシャングリラ対話の場で、南シナ海の領土紛争が解決されなければ「平和的解決がもはや不可能になるところまで緊張が高まるだろう」と警鐘を鳴らしている。米中間の競争がうまく処理されなければ「地域の平和と安定に重大な影響を及ぼす」と深刻な懸念を示した。同氏は米中を巡り亀裂が生じているASEANの結束を呼び掛けた。今年、発足50周年を迎えるASEANは米中関係の荒波に翻弄(ほんろう)されている。

 海洋での日中間の緊張も国際的に注目されている。英BBCニュースは空母の形をした海上自衛隊最大級のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が5月に南シナ海で米艦と共同訓練、シンガポールでの国際観艦式に参加、さらにベトナムの要衝カムラン湾に寄港するなど活動を活発化させていることに関連して「日本周辺海域で支配攻勢を強める中国に対する反応」と伝えた。稲田朋美防衛相はシャングリラ対話での演説で東シナ海とリンクする南シナ海への関与を強める発言をしている。稲田氏は「東シナ海と南シナ海では国際規範に反する主張に基づいて現状を変更しようとする正当な理由のない一方的な企てを目の当たりにしている」と中国を批判した。「二つの海」は地球上のどの国にとっても重要な海上交通路であり、国際公共財である。中国による海の独占的支配は米国と同盟国・友邦による影響力を排除してアジア太平洋地域における国際秩序を一変させる重大な事態なのである。

メディア封殺に加担した池上彰   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-13 06:20 [修正][削除]
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 「世の中に蚊ほどうるさきものは無し、『モンカだカケだ』と夜も眠れず」。一部新聞、民放は、外交・安保の重要局面や最重要法案をさておいて、あさっての方向に突っ走っているのではないか。あれだけ騒いでも内閣支持率も政党支持率も微減でしかない。俳句の会で論理先行で詩情のない句を冷やかすときに「だからどうしたい」と言うが、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる文科省内部文書の再調査問題をめぐる論議も酷似している。文科省がもともとあるメモを見つけ出しても「だからどうしたい」そのものではないか。野党が誰が作ったかも知れぬ無責任なメモを金科玉条とばかりに押し頂いても、事態が急転直下「加計疑獄」になる可能生はゼロだ。前文科事務次官前川喜平が退任させられた意趣返しのごとく発言を続け、これを“活用”してなんとか政局に結びつけようとする野党と朝日、毎日、一部民放の“魂胆”は見え透いている。政府・与党は終盤国会最大の焦点であるテロ等準備罪法案の成立に向け中央突破を断行し、ちゅうちょなく今国会成立を図るべきである。

 NHKの調査では安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より3ポイント下がって48%で、依然として歴代内閣とは比較にならないほどの高水準を維持している。各党の支持率は、自民党が36.4%でマイナス1.1ポイント減、民進党が7.9%で0.6増、共産党が2.7%で変化なしであり、いずれも誤差の範囲内だ。朝日、毎日、TBS、テレ朝が総力を挙げての反安倍キャンペーンが、いかに上滑りしているかを物語っている。国民の真偽を見極める目は衰えていないのだ。首相・安倍晋三が、文科相にメモを「徹底的に調査するように指示した」問題について、民放ワイドショーが勝ち誇ったような番組を放映しているが、相変わらず民放は問題の核心を見逃している。というか核心を度外視している。内閣の命運に関わる文書であったら、政権側は何が何でも公表はしまい。いつになるかは不明だが、公表するのは「政局無関係」が確実であるからだ。少なくとも今治市への獣医学部招致は国家戦略特区諮問会議を経て実現へと動いているのであり、そこに安倍の「意向」は働かない。諮問会議の議事録を読めば明白である。

 前川発言の最大の弱点は、一部マスコミが事細かに報道することに悪乗りしてメモの存在だけに的を絞り、それ以上の疑惑に言及できないことだ。メモが「あるある」といっても、金銭疑惑に直結するような証拠を指摘できないままでは、まさに印象操作にほかならない。印象操作の「あるある詐欺」なのだ。おまけに野党の攻撃は口だけ達者だが、重要ポイントで大失策をやらかしている。まず国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチとやらが、テロ法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍宛てに送付したことを取り上げ、鬼の首を取ったかのように追及しているが、大誤算だ。特別報告者など国連には80人もいて、ワン・オブ・ゼムの主張であり、権威などない。国連を代表したものではさらさらない。おまけに野党がどこかのルートを通じて入れ知恵したと言う説がある。マルタの大学教授のレベルが知れる。国連のしかるべき担当部署は国連薬物犯罪事務所であり、フェドートフ事務局長は法案の衆院通過に際して「条約の締結に向けての動きを歓迎する」と公式に発言している。民進、共産両党は国連にもピンからキリまでいろいろあることが分かっていない。愚者のごとく知らないで藪をつつくから蛇が出るのだ。

 一方で、反安倍姿勢が著しい民放も、言論報道の自由を自ら規制するような重大な発言を池上彰にさせている。12日のテレビ朝日では前川の記者会見で、読売の記者が「在職中に得た情報を明らかにするというのは守秘義務違反に当たるのではないかという指摘がある」と質したことを録画を基に生々しく取り上げた。そして池上は「読売の記者は自分で自分の首を絞めている。この記者は前川さんをけん制している。ということは全国の公務員は読売が取材に来たら守秘義務ですからと言って、拒否していいのかということになりかねない。驚くべき事だ」とこじつけも著しい発言をした。まさにあさってを向いた発言だ。ここで問題なのは、読売の記者の質問ではない。質問自体は前川の国家公務員の守秘義務に関わる発言を問題視して、「業務上知り得た秘密は退職後もこれはもらしてはならない」とする国家公務員法違反の疑いがある点を指摘したのであり、全く適切だ。問題は池上の発言がこうした質問をテレビという公共放送を“活用”して、抑圧しようとしていることだ。マスコミ人と称するものにあるまじき振る舞いだ。記者クラブで問題にしない方がおかしい。昔ならテレ朝は除名ものだ。

 池上は、おこがましくも前川に対するお追従質問はいいが、前川の利益にならない質問は封殺しようというのだろうか。だいいち記者が質問の相手をけん制するわけがない。この場合も真実を知るための質問であって、けん制している様にはどう見ても見えない。記者側にけん制して何の利益があるのか。加えて前川には売春防止法違反の疑いもある。その部分にもっと突っ込んだら池上は、「驚くべき事だ」というのだろうか。少なくともメディアで飯を食わせてもらっている人間が、メディアを封殺するような発言をすべきではない。池上は口八丁で一見理路整然としているように見えるが、その実はあらぬ事を早口でしゃべってごまかしているとしか思えない。理路整然と間違うタイプだ。こうしてメディアはとんちんかんを絵に描いたような傾向に陥っている。もう異論に耳を傾ける時期は過ぎた。政府・与党は、ちゅうちょなくテロ法案成立へと動くべきだ。

日本にカジノはいらない   
投稿者:松井 啓 (東京都・男性・時事評論家、元大使・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-10 21:30 [修正][削除]
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 昨年12月に「IR(Integrated Resort)(カジノを含む統合型リゾート)」の推進法が成立した。これを受けて、政府は本年4月に有識者会議を立ち上げ、7月に構想の骨格を固めて法整備を進め、来年から場所や開業時期等の検討に入ると報じられている。私は2013年以来本欄に「日本にカジノはいらない」と投稿してきたが、新事態となったので再度カジノ不要を訴える。

 そもそも日本人には、報酬は勤勉に働いた結果によって受けるべしとの労働倫理があり、一攫千金を夢見る賭博は暴力団等の闇の世界のもので、まともな人間が手を染めるべきでないとの意識が強い。電通の調査ではIR反対が45%で、賛成の29%をはるかに上回っている。既に競馬、競輪、競艇は認められているが、地域経済全体の振興に本当に役立っているとは見えない。地方の田畑の真ん中にパチンコ屋が出現し、夜中にネオンが輝いているが、周囲の景観とは全く相いれないものである。厚生労働省の国際比較調査では、日本人にはギャンブル依存症の疑いのある人が多く(536万人、2014年8月21日付朝日、日経)、国内でカジノが開帳されれば、悲劇は更に増えるであろう。政府は内閣府の外局に100名規模の「カジノ管理委員会」設置を検討していくとのことであるが、反対がこれだけ多いのに「世界最高水準のカジノ規制を導入」してまでギャンブルを導入しようとの意図は理解しかねる。またしても利権絡みの話と勘繰られかねない。

 他方、外資は虎視眈々と「日本が最後のフロンティアだ」と期待して、1施設当たり1兆円の投資金を用意し、要員の研修を始めているとのことで、経験と経営ノウハウの乏しい日本では、儲けは外資に吸い上げられる結果となりかねない。いっそのことIRはカジノと切り離してはどうだろうか。カジノを東京、大阪、横浜などの大都市を出発点としてゆくゆくは地方都市にも広げ、地域活性化の起爆剤にしようと目論む自治体もあるようだが、家族連れでも楽しめる総合施設ならば何故カジノが必要なのであろうか。観光資源の乏しいマカオやシンガポールを真似する愚はない。外国人観光客はカジノに閉じこもってギャンブルをするためにわざわざ日本に来るのではない。

 2020年を目標としていた年間訪日外国人数2千万人は2016年で2400万人を突破したため、目標は4千万人に引き上げられた。日本には歴史的伝統的な名所旧跡が沢山あり、季節の変化に富み、地方には里山、海、山脈、北海道の粉雪から沖縄の椰子の木までの自然が広がっている。日本には地方ごとのお祭り、伝統芸能、工芸品、特産食品、日本酒も沢山ある。外国人観光客にはカジノで賭博をするのではなく、日本の地方を廻ってもらって、各地の人たちの「おもてなし」に接し日本の良さを満喫してもらってはどうだろうか。これにより家族連れの観光客やリピーターが更に増え、地方経済の活性化及び延いては日本の「中からの国際化」にもつながるのではないだろうか。6月9日に成立した住宅宿泊事業法による民泊の経済的社会的効果はカジノより大きい。真面目な努力によりオリンピック後も観光客が増加することを期待している。

露、北朝鮮の「緩衝国化」を推進   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-07 07:05 [修正][削除]
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3890/3941
 プーチンがサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの公開討論の中で語った極東戦略は、北朝鮮を米戦略に対する緩衝国とはっきり位置づけ、核保有を容認したものである。一方北方領土も緩衝地帯としての戦略的価値を鮮明にさせた。一連の発言は日本にとっては極めて利個主義的な国家エゴと受け取れるが、ロシアにとっては将来を見据えた冷徹なる世界観に基づく極東戦略であろう。プーチンの本音を垣間見せたこの発言は北の金正恩を増長させ、極東の緊張を一段と高めることになり、北方領土交渉にも影響を与えることが避けられない。プーチンによる2日の発言は、まず北方領土でのロシア軍の軍備増強などについて質問されたのに対し、「北東アジアでは、アメリカが北朝鮮情勢を口実に韓国などでミサイル防衛システムの配備を進めている」と答えた。米国による韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備などを指すものだ。そのうえで「これはロシアにとって懸念で、対応しなければならない。脅威を抑えるためには、島々が便利だ。島々が日本の主権下に入れば、アメリカ軍が展開する可能性がある。島々に軍事基地やミサイル防衛システムが配備されることはロシアにとって全く受け入れられない」と述べたものだ。

 北方領土でのロシアの軍備増強は、ミサイル防衛システムの配備によってロシアの核戦力を無力化しようとするアメリカへの対抗措置だと正当化したのだ。この論理は昨年暮れに国家安全保障局長谷内正太郎がロシアの安全保障会議書記パトルシェフに対し、引き渡し後の北方領土に米軍基地を設置する可能性を否定しなかったといわれる情報が流れて以来のプーチンの立場を繰り返したものである。さらに北朝鮮に関する発言は、軍事的圧力を強める米国を批判する中で出た。プーチンは「小さな国々は自らの独立や安全と主権を守るためには、核兵器を持つ以外、他の手段がないと思っている」と言明したのだ。加えて「力の論理が幅をきかせ、暴力が支配する間は、北朝鮮で起きているような問題が生じるだろう」とも述べた。プーチンはこれまで北の核保有に関しては「核クラブの拡大につながり反対する」との立場を表明してきたが、今回の発言はこれを大きく転換させる意思があると受け取れるものだろう。金正恩路線の支持でもある。明らかに米国を念頭に置いたもので、そこには米国が北大西洋条約機構(NATO)で西から、日米同盟と米韓同盟で東から、ロシアに対し圧力を掛けている、との不満がある。

 事はそう簡単ではない。「核兵器拡散防止条約」(NPT)は、米国、英国、フランス、ロシア、中国の核兵器保有を認め、その他の国々の核兵器保有を禁止する「不平等条約」として1968年に成立した。しかし現在では190ヵ国が加盟しており、核の均衡にとっては欠くことの出来ない条約である。この5か国に加えて、インド、パキスタン、北朝鮮が核を保有しており、イスラエルも「核兵器保有を肯定も否定もしない」との立場で保有している。しかし、核保有9か国のうち8か国と北朝鮮との間には決定的な違いがある。8か国は極めて常識的な指導者に率いられ、冷戦終了後に他国を核でどう喝した話は聞かない。しかし北朝鮮だけは「狂気の独裁者」が君臨し、日米韓をどう喝しながら、核実験とミサイル実験を繰り返している。北の核は「気違いに刃物」の構図だが、他国は概ね「床の間の日本刀」なのだ。

 発言から見る限り、プーチンの基本戦略はこの独裁者を“活用”しようとしている魂胆がありありと見える。ロシアからみれば北の核ミサイルのターゲットは日米韓3か国であり、ロシアには向けられていない。これは北が米国の軍事力に対する緩衝国として極めて有用であることを物語っているのだ。毒薬であるべき北の核は、プーチンにとって
は「毒薬変じて薬となる」のである。金正恩が日米韓を核の対象にしている限りは、ロシアにとっては、願ってもない「子分」ができたということになる。要するに、ロシアは北をロシアの対米戦略に組み込もうとしているのだ。万景峰号による定期航路を開通させたのも、その戦略の一環であることは言うまでもない。

 朝露関係は、1961年に当時のソ連と北朝鮮との間で「ソ朝友好協力相互援助条約」を結んだ。この条約はどちらか一方の国家が第三国から攻撃を受けた場合に共に軍事行動を行うという軍事同盟の条約であった。しかしソ連の崩壊で条約は破棄され、1999年に新たに「露朝友好善隣協力条約」が締結されたが、軍事同盟条項は削除された。これで露朝関係は軍事同盟の関係から、親密な友好国家の関係に切り替わったが、プーチンの姿勢は今後陰に陽に北との軍事的関係を深め、国際社会の制裁に対しても“抜け道”的な役割を果たすことになろう。もちろんロシアだけでなく、中国も似たり寄ったりの対応である。北は中国の紛れもない緩衝国であり、習近平にとって金正恩は気にくわないが、北の体制は何が何でも守らなければならないのが基本だ。こうした極東における対峙の構図に日本は否応なしに巻き込まれる。天から平和が降ってくる時代はとっくに終わり、天から降ってくるのは北の核ミサイルの地合いであり、国の防衛は根本から見直さなければならない時期に来ている。

(連載2)憲法学者による憲法9条と13条の倒錯的な理解 ← (連載1)憲法学者による憲法9条と13条の倒錯的な理解  ツリー表示
投稿者:篠田 英朗 (東京都・男性・東京外国語大学大学院教授・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-06 09:52 [修正][削除]
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 憲法9条解釈を例にとってみよう。木村草太・首都大学東京教授は、憲法13条が「9条の例外としての自衛権を根拠づける」のだと主張する。「13条を根拠とする自衛権は、個別的自衛権だけを認め、集団的自衛権は認めない」と主張する。ここで独特なのは「まず9条が13条に先立って自衛権を放棄し、その後13条が個別的自衛権だけを例外化する」という論理展開である。しかし、憲法を前文からきちんと読めば、事情が逆であることがわかる。13条の権利を持つ人民が、原理としての「信託」行為で、政府を樹立する。そして、平和を達成して、よりよく13条を実現するために、国権の発動としての戦争の禁止を宣言する。これが憲法の論理構造であり、「信託」によって成り立つ立憲主義の論理構成だ。

 9条で戦争放棄を宣言している時点で、すでに国民は13条の幸福追求権を持っているはずだ。13条は後付けで9条に例外を加えるための規定ではない。むしろ13条の権利をより一層強く守るために、平和を求める政策が求められ、その手段として9条の規定が定められている、と解釈すべきである。どんな犠牲を払ってでも絶対平和主義を貫こうなどという態度は、本来は反立憲主義的であり、反9条的である。9条で戦争がない国際社会を目指すのは、国民の権利をよりよく守る原理にしたがってのことである。9条で国際法上の概念である自衛権が放棄されないのは、13条を危うくする形で独善的に平和が求められているはずはないからである。国際社会は平和であるほうが13条の権利の保障に役立つので、9条で規定されたやり方が導入される。国際法における自衛権は認めるほうが13条の権利の保障に役立つので、9条のやり方が導入される。そのように、9条を解釈すべきである。たとえ他国の防衛にあたる行為であっても、13条に役立つのであれば、合憲的である。たとえ国際社会全体の平和を守るための行為であっても、13条に役立つのであれば、合憲的である。13条は、日本国民への攻撃があった場合だけに適用される、といった解釈は、国民=国家の有機的存在を実体的に捉えすぎたドイツ国法学的な考え方であり、憲法典上の根拠がない。

 たとえば朝鮮半島有事の場合には、日本が攻撃される前の段階であっても、日本政府が憲法13条の観点から国民の安全に役立つと思われる措置をとることを、止めるべきではない。韓国や米国と協力して、日本国民の安全確保にも役立つ行動をとる日本政府に、「日本が攻撃されていないのに邦人保護するのはおかしい」とか、「米国や韓国と協力せず、どこまでも個別的に行動しなければならない」とか、「朝鮮半島の安全は日本人の安全と全く関係がない」、などと非難を浴びせるとしたら、それは全く独善的な態度であり、反13条の態度だ。木村教授は、本来は国際法の概念である自衛権を、13条で基礎づけようとする。この試み自体が、実はかなり異様である。たとえば、国際法上の民族「自決権」や海洋での「無害通航権」などの権利のいかなるものも、憲法典で根拠づけようなどとはしない。しかし、ただ自衛権だけは、憲法が根拠を示さなければならず、国際法はそれに従わなければならない、というのである。なぜ自衛権だけは根拠が憲法になければならないのか。実定法上の理由はない。憲法学者の思い込み以外には、全く何も他に理由がない。

 全ては、はじめの一歩で9条の絶対平和主義を措定し、あとは例外があるかどうかをチェックするのが、正しい憲法解釈の筋道だと思い込んでいることが原因である。繰り返そう。憲法の「一大原理」は、「信託」である。国民の権利を守る措置をとる社会契約上の権限を、政府に委託しているのが、立憲主義の原理である。政府は、国際平和を希求する際も、自衛権を行使する際も、この立憲主義の原理にそって、行動すべきである。「信託」にそっているかどうかが、政府の行動の合憲性の審査基準であるべきである。これに対して憲法学者は、まず抽象的な絶対平和主義を包括的に設定し、それにしたがって政府の行動を制限したうえで、ただ政府に許可してもいい「例外として自衛権を設定するかどうかを検討するべきだ」と主張する。私は、そのような思考方法は、立憲主義的なものとは言えないと考えている。(おわり)

金銭疑惑ゼロの壁で「政局化」は無理   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-06 06:01 [修正][削除]
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 「国会が森友問題とか加計学園ばかり。モリだとか、カケだとか、私も麺類は好きだけど、こればっかりで国民はうんざりです!」と質問者である自民党参院議員山田宏が嘆いたが、全くその通りだ。もっとも6月5日の衆参決算委員会での質疑は、満を持したのか首相・安倍晋三以下政府側の反論が徹底していて、野党側の第2選級質問者はふんどし担ぎが横綱にかかるような体たらくであった。「総理のご意向」文書も政府側の全面否定で空振り。切り札とばかりに提示した「総理のご意向メール」も、ネットでは「第二の偽メール事件だ」と盛り上がっている。野党と朝日、毎日、民放などが足並みをそろえて、ありもしない魔女狩りのごとき政権追及も、金銭疑惑に結びつけようがなく、宙に浮いた形となった。相変わらずテレビやラジオのコメンテーターらがあることないことしゃべりまくっているが、しゃべればしゃべるほどその中身は良識ある国民ならあきれる「根拠レス」であることが次第に鮮明になっている。もう、この問題での追及は勝負があったのであり、いいかげんにした方がよい。まるで佐藤内閣時代に「黒い霧」と称する追及を野党が展開したが、結局追及が行き詰まり政権側が勝ったのと似ている。佐藤栄作は「黒い霧解散」で沈静化したが、この場面では解散するまでもあるまい。

 5日の質疑を通じて浮かび上がった問題は、いかに野党側の追及が「印象操作」に満ちあふれていたかということであろう。まず前文科次官前川喜平が今治市への加計学園獣医学部設置について「首相の意向が働いた」とマスコミに証言し続けている問題については、次官でありながらなぜ首相に面と向かって反対の意向を伝えなかったかが問われた。安倍は「事務次官で私に『お言葉ですが』と持論を展開される方もいる。3回お見えになっているが、この問題については全く話をしなかったことは当惑せざるを得ない」と発言した。さらに前川の「総理の意向発言」についても「国家戦略特区諮問会議できっちりと議論することになっており、私の意向というものは入りようがない。それありきではなく、公募で決めたという経緯がある。そうしたものに一切触れず、延々と議論されるのは、極めて不適切で、印象操作だ」と反論した。

 一方、前川が出会い系バー通いを繰り返した問題について、官房長官菅義偉は「常識的に、青少年の健全育成、教職員の監督に携わる事務方の最高責任者が、売春、援助交際の温床になりかねないと指摘されている店に頻繁に通って、女性を外に引き出して、お小遣いまで渡していることに違和感を感じる」と厳しく断定した。さらに菅は、かつて前川について「地位に恋々としている」と発言した経緯に言及、「昨年12月末に官房副長官に天下り問題の説明に来た際に、みずからの進退については示さなかった。さらに『3月まで定年延長したい、事務次官として続けたい』と打診があった。天下り問題を考え、『そんなことはダメだ』と言った。天下り問題に対する世論が厳しい状況になって初めてみずから辞めた。だから、私は『恋々としている』と申し上げた」と説明した。ここまで前川の人間性が露呈されれば、軍配は政府側に上がらざるを得まい。そもそも前川には売春防止法というれっきとした法律がある。あらゆる法律順守は公務員としての第一の義務である、ということが分かっていないように見える。一部マスコミに悪乗りして発言を繰り返し、買春疑惑をそっちのけにしようとしても、「引かれ者の小唄」で無理があることが分かっていない。さらにもう一つの焦点は民主党政権が、自ら獣医学部の招致を今治市に決めておきながら、なぜ今になって反対するのかの問題だ。安倍は「鳩山政権は2022年度を目途にに加計学園問題を速やかに検討することを決めた」 と指摘し、菅政権も野田政権もこれを受け継いだと強調した。たしかにこれほどつじつまが合わない問題はなく、なんでも「政局」に結びつけようとする意図が先行しているとしか言いようがない。政治に邪心が入ると、ブーメラン返しを受けるよい例だ。

 国会論議ですら根拠レスだから、民放にいたっては、事実誤認どころかねじ曲げもいいところの論評が続いている。6月5日には反安倍の論調を貫くTBSラジオの「デイ・キャッチ」で、ジャーナリスト青木理が読売の「前川氏が在職中に出会い系バー通いをしていた」という大スクープにいちゃもんをつけた。「何であの時期なのか。朝日、毎日が『総理の意向』を伝えている中での報道だ」と、あさっての方向に疑問を投げかけた。くだんの出会い系バーはマスコミでも有名になっており、記者でも通っている連中がいるという。文部次官が足繁く通えば、注目の対象となる。さらに青木は「政府に異議をとなえた途端にこんなものを出されたら縮こまる。官邸の意向に逆らうとこんな情報が出る」とまるで日本が警察国家であるかのような“危機感”を強調したが、悪いことをすれば誰でも縮こまるのだ。この発言の問題は出会い系バーが菅の指定したように売春の温床になっていることへの視点が全く欠けていることだ。売春防止法というれっきとした法律があり、戦後法律が出来た当初は、警察が頻繁に手入れで踏み込み、売春業者や女性、買春の客などを検挙したのだ。当時はニュース映画で何度も報じられたものだ。その法律違反をしておいて「縮こまる」はないだろう。

(連載1)憲法学者による憲法9条と13条の倒錯的な理解  ツリー表示
投稿者:篠田 英朗 (東京都・男性・東京外国語大学大学院教授・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-05 12:37  
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 1776年アメリカ13州の独立宣言には、次のような有名な文章がある。「われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む、不可侵の権利を与えられている」である。芦部信喜『憲法』は説明しないが、憲法13条はこのアメリカ独立宣言と酷似している。13条とは、次のようなものである。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。なお11条では、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」という表現もある。

 やはり芦部『憲法』は説明しないが、憲法前文とアメリカ独立宣言も酷似している。「自明の真理」を宣言した文章の後に、独立宣言では次のような文章が続く。「こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。そして、いかなる形態の政府であれ、政府がこれらの目的に反するようになったときには、人民には政府を改造または廃止し、新たな政府を樹立し、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる原理をその基盤とし、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる形の権力を組織する権利を有する」。日本国憲法前文には、次のような文章がある。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである」。これが「人類普遍の原理」とされているのは、当然、アメリカ独立宣言と酷似していることを意識したからだろう。ちなみに日本国憲法における「国民」は、英語版の「people」の意訳であり、もともとはアメリカ独立宣言の主体である「people」と同じだ。同じ「people」が18世紀北米13州でも、20世紀日本でも、同じ種類の「不可侵の」権利を持っているので、「人類普遍の原理」とされるわけである。

 実は、日本国憲法で「原理」と呼ばれているのは、この「厳粛な信託」だけである。憲法典の「一大原理」は、「国政は、国民の厳粛な信託による」「人民の人民による人民のための政治」でなければならない、という原則である。ところが、憲法典に書かれている「一大原理」は、憲法学者の教科書と憲法学者の指導による学校教科書類によって、消されてしまうのが常である。日本の憲法の基本書から学校教科書にいたるまで、憲法には「三大原理」がある、と書かれているからである。生徒はそれを丸暗記するように求められる。しかし私は、「三大原理」には根拠がない、と思っている。日本国憲法にあるのは「一大原理」である。そもそも人民が契約によって政府を設立するという社会契約論を立憲主義の礎の原理として掲げないで、いったい何を立憲主義の原理とするというのだろうか。

 しかし、憲法学者は、原理ではない三つのものを「原理」だと主張し、憲法典で明示されている唯一の原理を「原理」として認めない。「三大原理」があるとされる場合、国民主権、基本的人権、平和主義の三つが原理であるとされる。「信託」は、消し去られる。なぜ消えてしまうのか。憲法学の基本書では、前文の「厳粛な信託」の「原理」を、「国民主権の規定である」といった飛躍した表現でまとめてしまっている場合がほとんどだ。「信託」が消されてしまうのは、憲法学者が、それを「国民主権」の規定であるなどとして、安易に勝手に言い換えるからなのである。そしてこの主権者・国民は、絶対平和主義をどこまでも求め続けると決められている。平和は目的であって、原理ではない。憲法は「信託」という「原理」にもとづいて設定されている。その原理の上で、憲法は平和という目的を求めているはずだ。しかし、日本の憲法学者によれば、この順番は逆である。何が何でも絶対平和主義が憲法解釈の一大前提なのであって、あらゆる条項はなるべく絶対平和主義に近くなるように読み解かれなければならない、とまず主張する。厄介な「信託」などは、消し去る。代わりに絶対平和主義を意思するとされる主権者・国民の至高性が強調される。そして、平和、平和、と連呼することになっている主権者・国民が、憲法学者の指導にしたがって、政府を制限するとき、「立憲主義が生まれる」という想像力豊かなアイディアが振り回される。(つづく)

G7での米独仲介を期待された日本   
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-02 23:59 [修正][削除]
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5月のNATOおよびG7首脳会議からほどなくして、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はアメリカとの同盟の妥当性とブレグジット後のイギリスとの関係の継続性に関し、厳しく疑問を呈する発言を行ない、大西洋両岸のメディアと有識者達を驚愕させた。ドナルド・トランプ氏が人格でも政治的見識でもアメリカ史上最悪の大統領であることはわかりきっている。さらに今回のヨーロッパ歴訪では、NATO首脳会議の際にモンテネグロのドゥシュコ・マルコビッチ首相を公衆の面前で無理矢理押し退けたような粗暴な言動によって、トランプ氏はアメリカの恥を晒しただけになってしまった。共和党であれ民主党であれ、かつてこれほど酷い振る舞いをした大統領はいなかった。『フィナンシャル・タイムズ』紙のギデオン・ラックマン氏は5月29日付の自身の論説でトランプ大統領がNATOおよびG7首脳会議で「アメリカの孤立」を深めるという致命的な失敗を犯したことを認めながらも、メルケル首相については「トランプ氏が大統領に就任して4か月も経つのに、特に防衛上のバードンシェアリングに関して相手側が抱く疑念を払しょくできなかった」として批判している。ラックマン氏が主張する通り「メルケル氏がブレグジット交渉をドイツ有利に運ぼうとしてイギリスと対立し、事実を軽視することは無責任」なのである。これではトランプ氏によって傷つけられた西側同盟をさらに弱体化させるだけである。

ラックマン氏が厳しく批判するメルケル氏の「ドイツ版ゴーリズム」は、ドイツの内政とヨーロッパの地域安全保障を反映している。トランプ氏のヨーロッパ同盟諸国軽視の態度はドイツの有権者に苦痛を与えているので、メルケル氏が9月の総選挙で勝つためには反トランプの姿勢を訴える必要がある。またNATO加盟国のほとんどはイギリスなど数ヶ国を除いてGDP2%の国防費という要求を達成できず、そうした国々はドイツに自分達を代表してトランプ政権の圧力に立ちはだかってもらうことを望んでいる。そうした国内情勢および国際情勢から、ドイツのエリート達はトランプ現象とブレグジットを同一視し、アングロサクソン両国に対して大陸での自国の立場の尊重を求めている。ドイツの自主路線追及は文言だけでなく実際の行動にまで及ぼうとしている。メルケル政権は今年に入ってチェコ軍とルーマニア軍をドイツの指揮系統に組みこんで共同防衛を行なうという合意にいたった。ドイツの言動はどれを見ても、トランプ大統領のオルタナ右翼的な世界観への強い警戒感に突き動かされている。

トランプ氏の大統領就任以来の米欧関係を考慮すれば、ドイツとアメリカがG7で熾烈に対立するであろうことは予測できた。G7参加国の中では日本が両国の仲介には最も良い立場にあった。安倍晋三首相はトランプ氏の大統領就任前と就任後に会談し、日本の国家的生存を保証するとともに国際問題への対処での影響力の拡大を目指している。よって日本のオピニオンリーダーの中には、日本はトランプ・ショックを国際的地位向上のチャンスとして利用すべきだとの声もあった。彼らへの賛同の是非はともかく、安倍氏はG7でトランプ氏とメルケル氏の橋渡しをするという重要な役割は果たせなかった。実際に安倍氏はサミットではメルケル氏に次いで経験豊富なリーダーであったが、イギリスのテリーザ・メイ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領はトランプ氏と同様に初参加であった。しかし北朝鮮による緊急の脅威は非常に重大だったので、安倍氏はヨーロッパのリーダーに極東の安全保障に対する注意を喚起する必要があった。

欧米のメディアも日本のメディアも米欧亀裂の緩和のうえで日本が持つ特別な強みを考慮することはほとんどなかった。しかしこれはメディアだけを叩いても無駄である。安倍氏は自身の関与が疑問視されているにもかかわらず、永田町で森友学園および加計学園事件でのいわゆる腐敗スキャンダルにかかりきりであった。首相はしばしば日常の雑事に忙殺される。国家の指導者に国際政治の大局観を与えて重要な外交行事により良い準備で臨むようにはからうのは、外交など諸問題を管轄する政府官僚機構、知識人、その他ステークホルダーらの役割である。しかし事態は手遅れではない。まず、日本はG7で面識を持ったマクロン政権との緊密な連絡を模索できる。マクロン氏は大西洋同盟重視で、イギリスに対しても強硬で教条主義的な態度で臨むメルケル氏とは一線を画して、ブレグジットには柔軟で実務的な合意を主張している。トランプ政権への過剰なすり寄りと批判された安倍氏だが、そこで得られた経験と相手方との関係構築は外交上の強みともなり、良いパートナーを得られればそれが活かされるだろう。

パリ協定離脱で米欧の亀裂深刻   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-01 06:26 [修正][削除]
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3885/3941
 トランプ対メルケルの対立で、ただでさえ離反が目立った米欧関係に、「米パリ協定から離脱」という報道の追い打ちである。もはや亀裂は決定的なものとなりつつある。「アメリカ第一」を掲げるトランプの唯我独尊姿勢は、メルケルが牽引しているEUとの関係悪化を増幅し、抜き差しならぬ段階にまで至った。幸い対ロシア軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)にひびが入る気配はないが、防衛費分担をめぐってギクシャクし始めたことは否めない。米欧の内輪もめにプーチンが小躍りしている事は確かだろう。日米関係はかってなく良好だが、首相・安倍晋三はサミットでも果たしたように米欧離反への接着剤として、双方の「過剰反応」を戒める必要があろう。トランプVsメルケルの紛争は根が深い。3月の米独首脳会談でもトランプはメルケルにそっぽを向き、握手すらしなかった。トランプの欧州訪問とこれに続くG7サミットでも激しく対立した。とりわけメルケルは、オバマが任期最終年に署名したパリ協定をトランプが受け入れなかったことに腹を立てたようだ。メルケルは「気候変動に関しては、非常に満足のいかないものだった。サミットでもパリ協定支持、不支持は6対1で、EUを加えるなら7対1の状況だった」とトランプへの不満を述べている。

 このメルケルの不満が爆発したのが、5月28日にミュンヘンで開催されたパーティー形式の選挙集会での演説だ。ビール片手にメルケルは演説のボルテージを上げ、「私はこの数日で、ヨーロッパが他国に完全に頼れる時代はある程度終わったと感じた」と述べ、米国への不満を表明した。そのうえで、メルケルは、アメリカとの友好関係の重要性を指摘しつつも、「ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」と述べ、ヨーロッパが地球温暖化対策などを主導していく必要性を訴えた。発言について米国のNATO大使であったイボ・ダールダーはニューヨークタイムズ紙に「米国が導き欧州はついてきた時代の終末が来たようだ。米国は主要イシューで欧州と反対方向に向かっていて、メルケルの発言はこうした現実認識から出たもの」と論評した。さらにニューヨークタイムズ紙はG7サミットを論評して「過去ドイツおよび欧州は、自動的に米国に依存してきたが、もはやトランプは信頼すべきパートナーではないと結論づけた」と言い切っている。またワシントンポスト紙は「メルケル首相が米欧関係に新たなページが開かれたことを宣言した」と分析している。

 一方米欧双方に、トランプがNATO条約第5条に言及しなかったことへの懸念が生じている。5条は「NATO同盟の一つの国への攻撃を同盟全体への攻撃と見なし、集団的に防衛する」とし、条約の要である。懸念の発信源はハーバード大学教授のニコラス・バーンズのようだ。バーンズは「歴代の米大統領は全て第5条への支持を表明した。米国は欧州を防衛するということだ。トランプ氏は、NATOでそうしなかった。これは大きな間違いだ」と指摘した。これにメディアが乗った結果大きな問題となった。しかしウオールストリートジャーナル紙は社説で、トランプはNATO本部で開かれた「第5条とベルリンの壁」に関する記念式典で、「この式典は記憶と決意のためにある。われわれは2001年9月11日にテロリストによって残忍な方法で殺害された約3000人の罪なき人々をしのび、追悼する。われわれNATO加盟国は歴史上初めて第5条の集団防衛条項を発動し、迅速かつ断固たる態度で対応した」と述べた点を指摘している。直接的ではないが間接的には5条を支持したというのだ。さすがのトランプもNATOを全面否定すればどうなるか位のことは分かっているものとみられる。

 メルケルは、両次世界大戦の敗戦国としてドイツがあえて米国に異論を唱えることのなかった長い間の慣習を打ち破り、米国の“独善”に勇気を持って発言したことになる。国内はこれを歓迎する空気が濃厚だが、ドイツが直ちに欧州の平和にとっての脅威として登場することはあるまい。しかし、長期的にみれば、大きな曲がり角と見るべきだろう。背景には9月の総選挙で4回連続で首相の座を狙うメルケルが、トランプに批判的な国内世論に訴えようとする意図もないとは言えない。ドイツの野党は「メルケルがトランプに寛容すぎる」と批判しており、トランプ批判は国内の政情に対応するメッセージでもあった。

 こうした中で日米関係は、安倍が昨年12月にトランプタワーで就任前のトランプといち早く会談したことが効を奏して、極めて良好である。とりわけ北朝鮮の「核・ミサイル亡者」が暴発している現状において、日米同盟の結束は不可欠だ。トランプにとっても欧州との亀裂が極東にまで及んでは米国の完全孤立になり、日米関係の堅持は基本戦略だろう。一方、欧州も、安倍がサミットでパリ協定の順守と保護主義の否定に回ったことで一目置いている。安倍は機会を捉えて双方に過剰反応を戒めるべきだろう。トランプも選挙戦のときのような「NATOは時代遅れだ」といった発言は控え、G7の首脳宣言に「保護主義と闘う」との文言を盛り込むことにも同意した。メルケルも基本的には親米的である。トランプが数日以内にパリ協定脱退を宣言すれば、当面の米欧関係はこじれにこじれるだろうが、次回G20サミットが7月7日から8日にかけて、ハンブルグで開催される予定であり、こうした場を活用して米欧双方をなだめることも必要だろう。

馬脚を現した北のミサイル精度   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-05-31 06:57 [修正][削除]
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3884/3941
 大口を開けて馬鹿笑いをする金正恩のどアップは見飽きたが、今度ばかりは馬脚を現した。「7メートルの誤差」と「フェーク映像」である。朝鮮中央テレビは5月29日のスカッド改良型ミサイル打ち上げを報じて「操縦翼や小型エンジンでの速度制御で目標点に7メートルの誤差で正確に命中した」と報じた。しかし、軍事専門家の共通した分析では「7メートルの誤差はあり得ない」のだという。なぜなら米国の最新鋭ミサイルでも誤差は50mから80mであるからだ。本当かどうかは疑問だが、中国の対艦弾道ミサイル「東風」でも誤差は30mから40mだといわれる。7mをGPS衛星利用による誘導で将軍様が達成したのだというが、だいいち軍事利用できる人工衛星そのものを北は所有していない。商業用のGPSの“盗用”ではミサイル制御は不可能とされる。

 なぜ7メートルとしたかというと、米空母打撃群の駆逐艦でも狙う能力があることを示したかったというのだ。さらに北朝鮮は地球の地形の中でミサイルが命中するコンピューター映像を放映したが、専門家は「あのような軌跡は間違いなく合成画像によるもの」だという。だいいち金正恩がミサイル発射を見物している部屋には、テレビのスクリーンは映っていない。軌跡を見るなら大きなスクリーンをいくつも設置したミサイル制御室で見るのが普通である。こうしたフェーク映像の放出はかえって北の“背伸び” を世界に露呈する結果となった。問題は北の側近技術者たちが、他国の技術者がみれば即座に見抜く稚拙な公表をなぜ行ったかだ。おそらく無知な金正恩に誇大性能を報告して、「将軍様のお手柄」とおだて上げ、自らの地位の保全を図ろうとしているに違いない。金正恩政権内部のごますり合戦が手に取るように分かる。

 一方北の外務省は対日どう喝のレベルを一段と引き揚げた。「これまでは在日米軍基地に照準を合わせてきたが、日本がアメリカに追随して敵対的になるなら、我々の標的は変わるしかない」とすごんでいる。しかし今のミサイル精度では横須賀を狙っても八丈島に向かうレベルであり、東京駅を狙っても朝鮮総連に当たるレベルになるにはまだまだの水準だろう。金正恩の狂ったような中・小型ミサイル連発の背景には、米国がオスロの米北接触などを通じて、対話の働きかけをしたといわれることがその理由ではないかと思われる。ミサイルもICBMと受け取られるものの発射は避け、核実験も先延ばしにしている。ICBMや核実験を米国がレッドラインとしているのは暗黙の事実とされており、金正恩はそれが恐ろしいのだ。これは将来米国との会談へと発展した場合に備えて高値をふっかける戦術でもあろう。

 対日どう喝も、いざ瀬戸際という事態になれば、日本が米国に「ミサイル攻撃を受けてはたまらない。ミサイル発射をやめてくれ」と泣きつくように仕向ける意図であろう。日本への攻撃は米軍事基地ばかりでなく大都市を狙う可能生を改めて示して、日本の世論を誘導し、日米分断を図ろうとしているのだ。しかし、もともと北は朝鮮労働党機関紙で攻撃対象を東京、大阪、横浜、名古屋、京都の5箇所を挙げ、また在日米軍基地として横須賀、三沢、沖縄を挙げてきている。いまさらうろたえる者はいない。見え透いた対応の背景には、米空母3艦隊に囲まれて、自らの寝首をかかれることを恐れる、小心な金正恩の姿が浮かびあがるのだ。ミサイル発射でもしないと夜も眠れない心理状態ではないか。故金正日が得意としてきた「瀬戸際外交作戦」を臆面もなく継承しても、もはや通用しないことを金正恩は一刻も早く悟るべきだろう。

 こうした中で首相・安倍晋三が、韓国の大統領文在寅との電話会談で「北朝鮮とは対話のための対話では意味がない。今は北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と主張した。これは対話路線を重視する文にクギを刺したことを意味する。これに対し、文は先の先進7カ国首脳会議で北朝鮮に対する強い姿勢を示した首脳宣言が採択されたことに触れ、「安倍首相が主導的役割を果たしたことに感謝し、評価する」と答えている。当分文の公約である北朝鮮訪問はあり得ない情勢となっている。

教育の無償化について   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-05-30 10:13 [修正][削除]
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3883/3941
 憲法第26条の教育を受ける権利では「全て国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける」権利があると規定している。自民党においても「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に務めなければならない」とする考え方を、従来から有してきたところだ。
 
 しかしながら、昨今の所得格差の拡大などの経済的制約によって、残念ながらこの権利が十分には保障されないケースが増えて来ている。「能力に応じて」や「ひとしく」と並行して、「経済的理由を問わず」というような文言を憲法の規定に盛り込むことは、十分に検討に値すると思う。また第26条2項は「義務教育は無償とする」と規定しており、それを実現する手段としての授業料無償に加え、同項の精神をより広く実現するものとして、教科書無償化が従来から行われてきた。しかし、その他の教材費や給食費、修学旅行費などは自己負担であること、さらには学習塾への支払いなどを加味すると、各家庭の教育費は、義務教育段階でも大きな負担であると言る。「義務教育の無償」という憲法の規定を名実ともに実現するには、更なる財源措置が求められることは、言うまでもない。
 
 さらに教育の無償化を進める際、どの教育段階を優先すべきか、その財源を何処に求めるべきかについては、自民党内でも活発な議論が続いている。教育段階では、有力な少子化対策の一つとして幼児教育を優先すべきという主張と、給付型奨学金の創設とその拡大により、高等教育の無償化を優先すべきという主張の2つの流れがある。
 
 また財源問題では、教育の無償化を目的とした新たな国債の発行や、公的年金などの社会保険料に上乗せして保険料を集め、子育て世帯への給付に充てること、あるいは既存税制に上乗せすることなどだ。今後はこれらの意見を集約して、自民党として一定の方向性を示すことが求められる。なお教育の無償化の実現のためには、憲法改正は必要なく、法律で済むことだとの指摘もあるが、むしろ無償化を明記することが、その後の政府に実現を促す大きな力になると期待する声もある。

パラダイム・シフトに揺れる世界   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-05-29 11:04 [修正][削除]
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3882/3941
 イタリアでの主要国(G7)首脳会議(5月26、27日)が示したものは自由貿易、地球温暖化など世界的な課題に責任を負うG7の手詰まり感である。首脳宣言では「保護主義と闘う」ことがかろうじて明記されたが、気候変動問題では米欧の溝がはっきりした。第二次大戦後のリベラルな国際秩序のパラダイム・シフト(枠組みの転換)が起きていることを反映したのである。北朝鮮の核・ミサイル技術の急速な進展、中国による東シナ海、南シナ海での主権の一方的な主張と実力行使、国際テロ対策など緊急の安全保障の課題に対する具体的な解決策の展望は開けない。欧州では英国の欧州連合(EU)離脱の決定、フランスやドイツでポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭し、米国はトランプ政権によるアジア太平洋連携協定(TPP)の否定、温暖化対策の国際的枠組み(パリ協定)からの離脱検討など「自国第一」の傾向が鮮明である。

 ロシアの軍事的脅威に直面するポーランドなど欧州防衛の要である北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議でトランプ大統領は集団的自衛権の行使を定めたNATO条約第5条への支持を明言しなかった。国連の安全保障理事会では北朝鮮に対する制裁は拒否権を持つ中国やロシアによって実効ある対策が進まない。国際経済面では、西側主導の国際通貨基金、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)に対抗して中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立、アジアから欧州にかけて国際金融の主導権確保に乗り出した。パラダイム変化の背景として第一に新興国家群の台頭がある。先進国に中国、インドなど新興国が加わる主要20カ国・地域(G20)首脳会議の発言力が強まった。米国の影響力の相対的低下が拍車をかける。中東地域の混乱に乗じたテロリズムの欧米、アジアへの拡大は大国の抑止力が働くなった証でもある。

 変化の先頭に立つのは中国だ。陸と海のシルクロードで中国の影響力をアジアから欧州へ、アフリカへと伸ばそうとする「一帯一路」戦略をAIIBが支える。一方で欧州ではロシアによるウクライナのクリミア半島武力併合が、アジアでは東シナ海、南シナ海で中国による領海侵犯、人工島造成など国際法違反がまかり通るのが現実だ。20世紀前半の弱肉強食の世界に逆戻りである。米国プリンストン大学のA.フリードバーグ教授は中国が長期的に米国の立場を弱めるための「政治戦争」を仕掛けていると見ており、太平洋戦争中、大日本帝国が目指した大東亜共栄圏をなぞって「中華共栄圏」と名付けた。教授はアジアの国々がこれに引き込まれないようにするためには互いに利益になる貿易、投資の機会を最大限与えるべきだとして、TPPは「最も重要な戦略的利益」があり、これに代わるものはないことを強調している(上院公聴会)。

 トランプ政権の危険性は保護主義への強い傾斜である。多国間協定よりも、自動車や農産物など米国の産業界にとって有利な2国間協定を主張してやまない。ムニューヒン財務長官は「保護主義の権利」とまで公言するが、自国の利益を追求するあまり世界全体を見ない傲慢さが鼻につく。第二次大戦後、米国が主導して作り上げてきた国際秩序の枠組みを自ら壊そうとしている。トランプ政権はそれが米国にも不利益になって跳ね返るのを自覚していない。包括的な戦略のないままに場当たり的政策で混乱を招き、足元では身内のホワイトハウス高官の「ロシアゲート疑惑」で政治的危機に直面している。米国は巨額の財政赤字でたびたび政府機能の停止、軍備削減に追い込まれ、世界的な影響力が低下した。このままトランプ政権が国際協調路線に背を向けて進めば、世界の不安感は強まり、米国に不利なパラダイム・シフトは急速に進むだろう。

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