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米、北へのサイバー攻撃実施の可能生   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-21 06:03 [修正][削除]
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3855/3855
 サイバー攻撃などは宇宙戦艦ヤマトの専売特許かと思っていたが、なかなかどうして米軍では実戦に配備されているかのようだ。とりわけ4月16日の湿った花火のような北朝鮮のミサイル発射実験失敗は怪しい。発射後数秒で爆発している。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によるとやはりサイバー攻撃の可能性が高いようだ。もともと米軍にはオバマ時代から「Left of Launch作戦」(発射寸前作戦)があり、時々北のミサイルにサイバー攻撃やレーザー攻撃を仕掛けているようだ。もちろんトップシークレットである。サイバー兵器問題を漏らした米軍幹部が処分されている。サイバー攻撃が米軍によって採用されているとすれば、すでに北との“暗闘”が宣戦布告なしに展開されていることになる。この重大な事態を日本の全国紙が掌握していないのか、ほとんど報道しないのにはあきれた。

 NYTは米軍から最近までサイバー攻撃について書かないように要請されていたが、4月15日付の同紙は「北朝鮮と米国の間では、過去3年にわたり、ミサイル計画をめぐる隠密の戦争が行われてきた」と暴露した。確かに16日の実験の失敗はアメリカによるサイバー攻撃が原因である可能生がある。NYTは、この種の攻撃は少なくとも過去3年にわたって展開されてきた「Left of Launch作戦」だという。北朝鮮は今年2月から3月にかけて北極星2型およびスカッドERの発射に成功したが、3月以降、ミサイル発射は3回連続で失敗した。今月5日には、新浦から弾道ミサイルを発射したものの、飛行距離は60キロにとどまっている。16日に新浦から発射した弾道ミサイルは、発射後わずか4-5秒で墜落した。

 さらにNYTは、北朝鮮が使用しているロシア製ミサイルの発射成功率が低いのは、アメリカが北朝鮮のミサイル関連ソフトを操作したり、北のネットワークを妨害しているからだという。同紙によると、北朝鮮の失敗が多いのは、ミサイル関連インフラがロシアのそれには及ばないという事情はあるものの、北朝鮮のミサイルがベースとしている旧ソビエト時代のミサイルの発射失敗率が13%だったのに対し、北朝鮮のミサイルは88%もの確率で失敗しているからだと指摘されている。この失敗の確率の高さは、米国が部品の輸入段階でのサプライチェーンを使って欠陥を生じさせている可能性もあるようだ。16日の実験失敗の経緯について米CNNは、来日した副大統領ペンスに空母ロナルド・レーガン上でインタビューしている。サイバー技術などを使った可能性について質問されたペンスは、「我が軍の電子およびIT能力についてはコメントできない」と発言。「私に言えるのは、(北朝鮮のミサイル発射が)失敗したということだ。あれはさらなる挑発だった。そしてそれは終わらせなければならない」と強調した。「ノーコメント」として否定も肯定もしなかったのだ。

 サイバー攻撃は人工衛星や、U2やグローバルホークなど有人無人偵察機、ドローン、スパイ情報、通信情報などを通じて得た情報をクロスチェックしたうえで実施されるようであり、戦時には針の落ちる音すら見逃さない精度があるという。従って新浦での動きは掌握されているのであろう。新浦に接近しているイージス艦などが攻撃の役割を果たすものとみられる。ひょっとしたら2016年には実戦配備されているはずのレーザー兵器を使っている可能生も否定出来ない。レーザー兵器は、2010年にイギリス国際航空ショーで軍艦に設置された米レイセオン社製レーザー兵器が、約3.2キロ先を時速480キロで飛行する無人飛行機4機を破壊している。最新の技術情報によれば、ポーランドで遠距離到達も可能な極めて高出力のレーザー衝撃波を生成する技術的なブレークスルーがあり、小型艦船・迫撃砲弾・ロケット弾などへの攻撃・迎撃にも使用可能となっているといわれる。

 従って、今後北朝鮮の核実験に対してもサイバー攻撃やレーザー攻撃が行われる可能生も否定出来ない。既に核施設へのサイバー攻撃はイランに対して行われている。2009年にイランの核燃料施設を破壊したサイバー攻撃プログラムは、NSA(米国家安全保障局)のサイバー集団がイスラエル軍と共に作り上げたものだ。このサイバー攻撃作戦は、大統領ジョージ・W・ブッシュの下で立案され、オバマに引き継がれて決行され、成功している。北は衛星写真向けに、核実験場前の広場で職員にバレーボールをやらせて、「実験はまだしない」と訴えているかのようだが、する兆候が察知されれば攻撃されると覚悟した方がよい。

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投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-20 07:56 [修正][削除]
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 同様のことは、シリアについてもいえます。今回のシリア攻撃は、国際法を逸脱した米軍の行動という意味では、2003年のイラク侵攻と同じです。しかし、この時はフセイン政権の打倒(体制の転換)のための「実際の戦闘」を目的にしたものでした。それに対して、シリアの場合、米軍の攻撃目的はあくまで化学兵器使用に対する懲罰(仮にアサド政権が化学兵器を用いたとしても、米国にそれを処罰する権限があるかはともかく)であり、「二度と化学兵器を使うな」という「威嚇」です。そして、トランプ政権は「アサド退陣」の要求を念入りに避けています。つまり、いきなり攻撃することで、トランプ政権は「何をするか分からない」とアサド政権に思わせながらも、「化学兵器さえ用いなければ、(アサド政権にとっての死活的な利益である)『体制の転換』までは求めない」というメッセージを発して、譲歩を迫っているといえるのです。北朝鮮に話を戻すと、トランプ政権が瀬戸際外交を展開しながらも「体制の転換」を明確に否定したことは、中国に対しても「脅し」をかけていることになりますが、それと同時に「配慮」でもあるといえます。

 シリア攻撃に先立つ米中首脳会談の直前の4月2日、トランプ氏は「北朝鮮問題で中国が積極的に動かないなら、米国が単独で行動を起こすこともある」と発言していました。米国が実際にシリアを攻撃したことは、「米国は何をするか分からない」という認識を、北朝鮮だけでなく、北朝鮮と経済取り引きを続けることで、その大量破壊兵器開発を事実上可能にしてきた中国にも持たせる効果があったといえます(米国のシリア攻撃を中国政府は「主権侵害」と批判している)。その意味で、シリア攻撃は、中国にとって、米国に譲歩して北朝鮮への働きかけを強めざるを得ない状況を生んだといえます。ただし、中国にとっては、朝鮮半島で大量破壊兵器の開発が進むことと同様に、北朝鮮の現体制が崩壊することもまた、避けたいところです。そんな事態になれば、数多くの難民が中国国境に押し寄せることは、目に見えています。つまり、北朝鮮に対して「『体制の転換』は求めないが、大量破壊兵器の開発だけは認められない」というトランプ政権の方針は、中国のそれとほとんど差がないことになります。トランプ政権が、大量破壊兵器の放棄を条件に、「体制の存続」を暗黙のうちに認めたとなれば、(いい加減北朝鮮を持て余している)中国にしても、北朝鮮への働きかけをしやすくなります。後ろ盾となっている国に対して「ちゃんと子分のしつけをみろ。さもないと撃つぞ」と脅しをかける一方、「大量破壊兵器の問題に始末をつけるなら、体制の転換までは求めないから、それをエサに子分を納得させればいい」と提案を示している点では、アサド政権を支援し続けてきたロシアに対しても同じといえます。

 とはいえ、トランプ政権の「瀬戸際外交」が効果をあげるかは不透明です。北朝鮮に関していえば、その最大の障壁としては「米国に対する不信感」があげられます。1953年に朝鮮戦争が休戦になってからも、北朝鮮と米国は「敵国」であり続けました。そのため、米国への不信感で固まっているといえます。そんな北朝鮮政府にとって、最悪の事態は「大量破壊兵器を諦めた後になって体制の転換を求められること」です。実際、リビアのカダフィ体制は、米国との関係改善のなかで、それまで開発中だった核兵器を放棄した後になって、2011年からの「アラブの春」の混乱のなかで、NATOが支援する反政府軍によって倒されました。これをみていた北朝鮮政府にとって、トランプ政権からの提案を受け入れることは、容易ではありません。さらに、米国からの「『脅し』に屈した」となれば、北朝鮮国内で政府の権威は丸潰れで、それこそ体制がもちません。

 これらに鑑みれば、北朝鮮政府がトランプ政権に対して「超強硬」な反応を示すことは、当然です。したがって、金正恩第一書記の就任5周年などの行事が目白押しの4月中に、北朝鮮が核・ミサイル実験を行うかが、チキンゲームが加速し、緊張がさらにエスカレートするかの、一つの焦点になるでしょう。しかし、その場合には、トランプ政権も後に引けなくなります。「米国は本当に何をするか分からない国」と北朝鮮に思わせるため、「威嚇」ではなく「攻撃」がホワイトハウス関係者の視野に入ってきたとしても不信感ではありません。つまり、「ただの威嚇でない」ことをみせつけるための、米軍が限定的な軍事活動を実際に起こす可能性は、かつてなく高まっているといえます。4月11日に北朝鮮政府が「米国からの攻撃があれば核攻撃を行う」と宣言したことは、米軍の先制攻撃の可能性を予見したものといえます。また、米国に譲歩を迫るためには、米国にではなく、日本を含む周辺国に限定的な攻撃を行うという選択肢も考えられます。いずれにしても、十八番を奪われてなお、北朝鮮には「瀬戸際外交」しか選択肢がないといえます。しかも、それはトランプ政権の「瀬戸際外交」で加速しているといえるでしょう。トランプ政権が「瀬戸際外交」に着手したことは、これまで膠着していた北朝鮮情勢を一気に突き動かすだけのエネルギーを秘めています。それだけに、日本周辺の緊張は、これまでになく高まりやすくなっています。トランプ政権の次の一手が何であるかについて、確実なことは言えませんが、それが日本のみならず東アジア一帯に大きな影響を与えることは確かといえるでしょう。(おわり)

(連載1)北朝鮮はどこに向かうか:その「瀬戸際外交」  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-19 12:32  
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3853/3855
 4月8日、米国政府は原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海へ派遣すると発表。その前日7日、米軍は突如シリアに59発の巡航ミサイルを撃ち込み、シリア軍の軍事施設を破壊していました。9日に出演したTV番組で、ティラーソン国務長官は「他国への脅威となるなら対抗措置をとる」と強調。「アサド政権が化学兵器を使用した」と断定する米国政府がシリアをいきなり攻撃したことは、核開発やミサイル実験を続ける北朝鮮への警告だったと示唆しました。その規範的な評価はさておき、一連の行動にはトランプ政権の特徴がいかんなく発揮されています。それは「何をするか分からない」と周囲に認識させ、敵対する者に譲歩を余儀なくさせる手法です。これは北朝鮮の十八番である「瀬戸際外交」と、構造的にはほぼ同じものといえます。

 北朝鮮は、分不相応ともいえる核・ミサイルの開発を推し進め、しかもそれをわざわざ誇示してきました。周辺地域を頻繁に不安定化させることで、北朝鮮は各国から「何をするか分からない面倒な国」という認知を得てきたのですが、それは意図的なものといえます。通常の国であれば、そのような評価は全く名誉なことではありません。評判を一つの利益と考えるなら、北朝鮮はわざわざ自分の利益を損なってきたように映ります。ただし、何を「死活的な利益」と捉えるかはそれぞれで異なります。いまの北朝鮮政府にとって最大の利益は、体制の維持と、それを米国に認めさせることにあります(その意味では、「生存」という最低限の利益を重視しているともいえる)。その核・ミサイル開発は、多少なりとも有利に交渉を運ぶため、自分を大きくみせるためのもといえます。その際、重要なことは、ただ「持っているのをみせつけること」だけでなく、「実際に用いるのを躊躇しないという意思を相手に認識させること」です。これがなければ、「こけおどし」とみなされ、相手にとっての脅威にはなりません。つまり、北朝鮮は執拗なまでに核・ミサイル実験を繰り返すことで、「普通の国なら撃たないタイミングでも撃ちかねない国」と各国に思わせ、それによって相手の譲歩を引き出し、自分の最優先の利益(生存)を確保してきたといえます。「相手はまともでないのだから、自分が譲らなければ、正面衝突というお互いにとっての最大の損失に行き着く」と思わせ、相手に「自発的に」譲歩させることが、北朝鮮の常套手段である「瀬戸際外交」の本質といえるでしょう。確信犯的に非合理的な行動をとることで相手の合理的判断に働きかけて譲歩を迫る構造は、チキンゲームと呼ばれます。

 ところが、シリアへのミサイル攻撃から朝鮮半島へのカール・ビンソンの展開に至る米軍の行動は、少なくともその構造だけを抽出すれば、北朝鮮のお株を奪うほどの瀬戸際外交といえます。まず、シリアへの攻撃は国連決議などを経たものでなく、シリア政府が「侵略」と呼ぶことも、ロシアやイランが「国際法違反」と指摘することも、その限りにおいては誤りでないでしょう。ここでのポイントは、そこまで露骨な違法行為を、米国があえて行ったことです。繰り返しになりますが、米国のシリア攻撃に法的根拠は乏しく、さらに米国にとってシリアの化学兵器が差し迫った脅威であるわけでもありません。つまり、米国は「普通の国なら撃たないタイミングで撃った」のです。米朝が正面から衝突すれば、北朝鮮は言うまでもありませんが、米国も、そしてその同盟国である日韓も、少なくとも無傷では済まないでしょう。さらに、中国やロシアも難しい選択を迫られます。つまり、米朝の正面衝突は、関係各国にとって、避けなければならない最悪の結末です。この混乱を避けるため、オバマ政権は「戦略的忍耐」とも呼ばれる選択を余儀なくされたといえます。しかし、今回のシリア攻撃で、トランプ政権は北朝鮮と攻守を入れ替えたことになります。今や「いざとなったら、脅しでなく、本当に撃たれる」と認識せざるを得ないのは、そして正面衝突という双方にとって最悪の事態を避けるために、「何をするか分からない相手」に譲歩を迫られているのは、北朝鮮なのです。

 北朝鮮の場合もそうですが、「瀬戸際外交」は正面衝突の寸前まで突っ込み、ギリギリのところで相手がかわしてくれることを期待して、あえて理不尽な振る舞いをする戦術です。しかし、相手に「かわす」という選択をさせるためには、緊張を高める一方で、「ここでなら、賭けを降りても、最低限のこちらの利益は確保される」というポイントを相手にそれとなく提示することも必要になります。トランプ政権の場合、それは北朝鮮の「体制の維持」を認めることです。4月9日、ティラーソン国務長官は北朝鮮の「体制の転換(レジーム・チェンジ)」には関心がないと言明しました。それは言い換えると、「大量破壊兵器の開発を控えるなら、体制の存続を認めないわけではない」というメッセージを北朝鮮政府に送ったことになります。先述のように、北朝鮮政府にとっての「死活的な利益」とは、現在の体制の維持に他なりません。だとすると、トランプ政権による威嚇は、北朝鮮政府の首脳部に、「核・ミサイル開発を諦めれば、最優先事項である体制の維持は認められる」という選択の余地を示していることになります。一方、トランプ政権にとって重要なことは、北朝鮮が大量破壊兵器の開発をこれ以上進めて、米国にとっての脅威とならないことです。ティラーソン氏の発言は、米国にとっての「死活的な利益」が守られるなら、それ以外のことは大目に見る、というメッセージと読み取れるのです。(つづく)

日米会談、謎の35分は霧の中   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-19 06:40 [修正][削除]
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 安倍・ペンス会談を一言で形容すれば、中国の北朝鮮への働きかけを当分見守るというところにあるのだろう。従って米国が当面軍事行動に出ることはまずあり得ない。会談からは、軍事行動が迫っているような雰囲気は感じ取れなかった。しかし、禁止用語を避ければ「クレージーマンに刃物」を持たせたような金正恩が、突如核実験に踏み切れば、事態は軍事衝突へと一変する。米国務省高官は「金正恩政権の転覆は求めない」とまで言い切っているが、これも筆者が前回指摘したとおり、中国との「密約」の急所だ。これがなければ中国は金正恩を説得する手段がない。したがって米空母打撃群は、北と中国をにらんだ脅迫材料として朝鮮半島周辺に存在し続けるだろう。

 会談での注目点は、首相・安倍晋三が「米国が全ての選択肢はテーブルの上にあるという考え方で対処しようとしていることを評価する」と軍事行動への支持を正式に表明したことだろう。ペンスにしてみれば安倍発言は願ってもない支持表明であり、日米の一致した軍事行動も辞さない構えは、北への抑制効果を一段と増幅することになる。ペンスは「戦略的忍耐の政策は終わった」と、優柔不断のオバマの政策からの決別を明言した。また「国際社会が団結して北に圧力をかければ、朝鮮半島の非核化達成の好機が生まれる」と日米韓の中国との結束の必要を強調した。両者の口ぶりからは、北への圧力をひたすら強化しなければならない現状が分かる。この方向を公表しなければ、ペンスの同盟国歴訪の意味がないからだ。

 しかし、ソウルが甚大な被害を受けかねない韓国が、ペンスに軍事行動への慎重論を説いたといわれるように、北の攻撃にさらされる恐れがある日本も、むやみやたらに主戦論に傾いているわけではあるまい。北のミサイルにはまだ原爆は搭載されていないが、サリンなど化学兵器をイタチの最後っ屁のように一発でも撃ち込まれてはたまらない。従って会談では公表された部分以外のきわどいやりとりがあった可能性がある。会談は一時間の昼食が終了した後、人数を絞って35分間行われている。そこでの話し合いは、機密事項であり、推測するしかないが、あえて推測すれば、まず中国がどこまで本気で北朝鮮を説得するかが話し合われたのではないか。米中両国はこのところ頻繁な接触を繰り返しており、ペンスは米国の感触を伝えたはずだ。

 また、公表されていないが、米国が攻撃に踏み切る場合の日本との事前協議についても話し合われた可能性がある。安倍は4月15日の参議院予算委で、朝鮮半島有事の際について「米国海兵隊は日本から出て行くが、事前協議の対象になるため、日本が了解しなければ、韓国を救援するために出動できない」と述べている。既に日本政府は米政府に対し、北朝鮮への軍事行動に踏み切る場合には事前協議を行うよう求めているといわれる。こうした方向を安倍がペンスにも再確認することはあり得るだろう。政府高官は「北が核実験を行った場合の対応については、今日のやりとりはなかった」と述べているが、既にトランプは「核実験=軍事行動」を明確にしており、ここの“急所”が話し合われなかっただろうか。米側から何らかの見通しの説明があってもおかしくはあるまい。

 こうした中で、北朝鮮の“口撃”は佳境に達している。日朝国交正常化担当大使宋日昊は「我々にとっては、アメリカだけでなく、日本軍国主義も主たる敵だ。戦争になったら一番の被害を被るのは日本だ」と毒づいている。既に北は3月に、金正恩が在日米軍基地を攻撃する任務を負った部隊による4発のミサイル発射実験を指揮しており、露骨な嫌がらせを展開している。日米の離反を目指す戦略が見え見えだが、こうした言動が繰り返されるたびに、眠っていた日本国民の国防意識を目覚めさせていることが分かっていない。日本の極端な右傾化が、朝鮮半島にとっては、米国より怖いことは歴史が証明している。これを知らない金正恩の挑発と火遊びはいいかげんにしないと、火の粉は自分に降りかかることを肝に銘ずるべきだ。いずれにしても、すべては中国の対北外交の成り行き待ちだが、金体制を崩壊させないことを前提条件としていることは、金正恩をいよいよつけあがらせるだけとも言える。中国が原油ストップなどよほどの強硬策をとらない限り、水面下での中朝交渉はラクダを針の糸に通すくらい困難であろう。

米中結託で北朝鮮説得に動く   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-18 06:25 [修正][削除]
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 まるで北朝鮮をめぐって米中結託の様相である。トランプは「習近平主席を気に入った。尊敬する。素晴らしい人だ。どうなるかを見ていよう。努力をしてくれると思う」と臆面もなく秋波を送った。脅したうえで、なだめすかすトランプ流の「手口」が垣間見える。これに対して中国は「対話による平和的解決」(外務省報道官)と応え、水面下で核実験、ICBM実験中止へと動く。中国の対北政策は一変したかのように見える。中国の北に対する基本政策は、米国への防波堤としての存在価値を利用する点にあったが、トランプ・習近平会談がこれを微妙に変化させたのだ。北の体制維持を米国が認めたとされる「密約」があることが大きく作用していると言われる。しかし、中国の北への説得工作が短期的には奏功しても、北が核とミサイルを永久に放棄することはあり得ないだろう。したがって、金正恩体制を崩さない限り、極東の緊張緩和は達成できない。

 米中間の接触は極めて頻繁である。4月6、7日の首脳会談に続いて、12日には電話首脳会談。16日には国務委員楊潔チと国務長官ティラーソンが電話会談している。こうした会談を通じて、米側は「中国がやらなければ米国がやる」(トランプ)を基本姿勢に、習近平を揺さぶった。空母カール・ビンソンを朝鮮半島に近い西太平洋に展開、中東でシリアへの巡航ミサイル攻撃、ISへの大規模爆風爆弾(MOAB)使用など、明らかに北朝鮮と中国をけん制する軍事行動に出た。これが中国の尻をたたいた。こうしたムチに加えて中国のアキレス腱である対米貿易黒字に関しても、為替操作国指定を見送るなどのアメも提供した。トランプ政権の狙いは、とりあえず北の核とICBMの実験を中止させるところにある。こうして中国は水面下での対北説得工作を展開し始めたのだ。その説得材料は、現体制を潰さないとする密約をもとに、場合によっては原油パイプラインを止めることや、中朝友好協力相互援助条約の「中国参戦条項」の不履行をほのめかしながらの脅しだろう。原油パイプラインのストップは環球時報が「中国は北への原油供給を制限するなど、かつてない制裁を考えている」と報じた。

 一方、中朝条約不履行は有事における北の壊滅を意味するだけに大きい。同条約第2条は「一方の国が戦争状態に陥った場合、他方の国は全力で軍事援助を与える」と規定しているが、第1条では「両国は世界平和を守るためあらゆる努力を払う」と規定されている。中国は北の核開発は第1条に反しているという立場だ。さらに中国にしてみれば、北の核を認めれば、日本や韓国の核武装へと極東情勢が誘導される可能性があり、そうなれば中国一国が極東で「核優位」に立つ戦略上のアドバンテージを失うことになる。これも避けなければならないという事情がある。中国による最大限の圧力に北がどう反応しているかは定かではない。その一挙手一投足から推理するしか方法はない。一つは金日成生誕105周年記念式典で、西側の記者団を人質に取るかのように招待して、米国のピンポイント攻撃を回避したうえで姿を表した金正恩が、軍服ではなく背広姿であったことだ。精一杯の「平和志向」のシグナルと解釈できる。さらに党副委員長崔竜海は15日、式典での演説で「全面戦には全面戦で、核戦争には我々式の核打撃で対応する」と述べた。

 その一方で、「我々は平和を愛する」とも付け加えたのだ。こうした北の反応は、一見強気にみえる金正恩が、相当な圧力を感じていることを物語る。米国と全面戦争をすることは避けたいというのが本音であろう。問題は中国と米国が現在予定されている核実験や、ICBMの実験を中止させることに懸命であるかのようであることだ。米中が唱える朝鮮半島の永続的な非核化は現実問題として極めて難しいといわなければなるまい。なぜなら、北朝鮮の伝統的な基本戦略は核ミサイル保有国として米国と対等の対話が出来る国になることであり、その戦略に何が何でもしがみつこうとするからだ。韓国に亡命した元駐英北朝鮮公使太永浩が昨年12月「1兆ドル、10兆ドルを与えると言っても北朝鮮は核兵器を放棄しない」と述べたが、まさにその通りであろう。これまでの6か国協議が結局失敗に終わったのは、何をしようと北の核ミサイル願望は消滅しないからなのだ。従って極東の危機は米国が金正恩を“除去”するまで続かざるを得ないのだろう。

我が国は「技術立国」の長期戦略を持て   
投稿者:四方 立夫 (東京都・男性・エコノミスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-17 18:02 [修正][削除]
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3850/3855
 トランプが今度は習近平を賞賛し始めた。中国4,000年の歴史を背景にした習近平にとって、ずぶの素人であるトランプを籠絡することはいとも容易いことであろう。習近平は秋の党大会で自身の権力基盤を固めるまでは何としても米国を宥めるべく、美辞麗句を並べ続けるものと推察する。米中の間で“Deal”が成立し、例えば北朝鮮にICBMの開発は「断念」させるが、短距離~中距離ミサイルに関しては「黙認」することになれば、我が国にとっては最悪のシナリオである。北朝鮮は「極秘裏」にICBMの開発を続けると共に、既存のミサイルの精度を上げ、核開発を推進することは必至であり、将来的には米国本土もその標的となり、もはや手の打ちようがなくなる。

 トランプは就任当初から日本の自動車企業のメキシコに対する投資を批判してきたが、東芝の子会社であるウェスティングハウスが米連邦破産法11条の適用を申請した件については、政権「高官」が「安保への影響が懸念される可能性」を示唆したとの報道もある。同法は、航空会社の多くが申請し、再生を果たしていることからも、企業の再生を目指した「民事」であるにも関わらず現段階で早くも介入が報じられることは、自由主義経済の原理原則に反するものである。かかるトランプ政権の一連の動きを見るに、安倍首相との「蜜月」も安泰とは言い難い。特に、尖閣有事に際しては、たとえヒラリーが大統領であったとしても、中国を最重要市場と見做し、中国が米国経済にとって最重要パートナーであることから、イラク及びアフガニスタンに於ける泥沼の戦争で厭戦気分の米国民を説得して、無名の小島の防衛のために米国の若者を戦場に送るかは疑問無しとしない。

 いずれにせよ今後とも予見しうる限りの未来において、米国は日本にとって最重要同盟国であり続けることに変わりはないと思われるも、相対的に米国の力の低下が懸念される中で、我が国としてはより一層自国のスマートパワーの向上に励まなければならない。日本学術会議は、「軍事目的の科学研究を行わないとするこれまでの声明を継承する」とのことであるが、IT、ロボット、炭素繊維など軍事用と民生用の区別がつきにくい重要分野が拡大していく中で、我が国としては政官民一体となって日本独自の技術を開発することが喫緊の課題である。特に、我が国はサイバー及び宇宙における防衛技術に於いて遅れをとっていると言われており、この分野での国を挙げての推進は緊急を要する。

 ノーベル賞受賞者である大隅教授は「このままでは日本から新たなノーベル賞受賞者はいなくなる」と懸念を表明し、基礎研究の重要性を訴えているが、我が国は長年に亘り「ポスドク問題」を抱え、有能な若者が研究者への道を断念せざるをえないケースが多々ある。幼少の頃から科学に親しませ、優秀な理系人材を育てて、我が国を再び「技術立国」の国とすることは、中長期的に見て我が国の存立基盤である。合わせ、可及的速やかに憲法改正を行い、21世紀の実態に合わせ交戦権並びに戦力の保持を明記し、我が国が他の先進諸国と共に積極的な平和貢献をできるようにすることが重要である。それでこそ初めて我が国は「真の独立国」となり、かかる国の基本理念と存立基盤の上に立ってこそ、米国と名実共に「対等な同盟関係」を確立することができるのである。

米中ロのシーソーゲームと日本   
投稿者:松井 啓 (東京都・男性・時事評論家、元大使・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-17 06:56 [修正][削除]
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3849/3855
 良くも悪くもアメリカの民主主義制度により選出されたトランプ氏は、想定外の事態が起こらない限り、今後4年間は大統領としての任にあたることとなった。同氏の選挙キャンペーン中の「アメリカ第一主義」をはじめとするスピーチやツイッターは物議をかもしたが、一代で不動産王として財を成し「金目」からの取引感覚に優れていても、短期的視野に基づいたアメリカ国益最優先では、政治・経済・軍事が複雑に絡み合った今日の国際関係の中では、自国の国益すら維持できない。そのような事態を新大統領は学習しつつあり、他方、米議会と裁判所は大統領の独断専行にブレーキをかけ、軌道修正をさせている。

 「アメリカによる平和(Pax Americana)」は21世紀に入り終焉し、オバマ前大統領は「世界の警察官」としての米国の役割放棄を宣言したが、米国はいまだに世界第一の経済・軍事大国である。他方、中国はGDPで世界第2位の経済大国となり、習近平主席を権力基盤の「核」とする中華大帝国建設を目指し、軍事力、特に海軍力を増強して、海洋権益の拡大に邁進している。また、ロシアのプーチン大統領はソ連崩壊による失地を回復すべく、西側へ着々とチェスの駒を進め、また中東での影響力拡大(南下政策)を図っている。一方ヨーロッパでは移民の大量流入を一因として、自国優先主義が台頭しつつあり、長年かかって構築してきたEUも、英国離脱に見られるように、結束が乱れてきており、プーチン大統領に有利な状況となってきている。

 このような国際関係流動化の状況下では、アメリカが拱手扼腕している場合ではないことを認識したトランプ大統領は、4月6日習主席との晩餐会の最中にシリアを空爆し、中露間に楔を打ち込み、北朝鮮の核・ミサイル開発にも毅然とした姿勢を見せている。これにより、決断と実行力ある強い大統領との印象を内外に与えたが、中東とアジアの二正面作戦を取らざるを得なくなっている。国際政治へのアメリカの回帰である。4月16日からのペンス副大統領のアジア太平洋諸国歴訪に見られるように、アメリカがこの地域に本腰を入れてきたのは、日本にとり好ましいが、金正恩北朝鮮労働党委員長の究極目標が金日成主席の遺志を継いだ「北による朝鮮半島統一」であるならば、米国威嚇のための核・ミサイル開発に益々固執するであろう。相手の腹の読み違えによる第二次朝鮮戦争の勃発は是非とも避けなければならないので、米中の緊密な連携による対北朝鮮包囲網(特に経済制裁)を着実に強化する必要がある。

 このように日本は北朝鮮という至近の脅威を抱え、米中露三大強国間の微妙なシーソーゲームのなかで、アメリカと協力してアジア太平洋地域の平和と安定に積極的なイニシアティブをとれる枢要な地政学的位置にある。安倍首相が他国に先駆けて就任前のトランプ氏と会い、更に正式な日米首脳会談を行ったのは、日米関係の緊密さを広く印象付けた。他方、首相は昨年来プーチン露大統領とも頻繁に接触し、北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく交渉を進めている。日本は現在国連安全保障理事会の非常任理事国であり、安倍首相は本年中にG7の最古参メンバーとなる可能性もあり、国際社会での日本の存在感は高まっている。戦後72年を経て日本はようやくアメリカと対等な同盟関係を構築して、「普通の独立主権国家」となる機会を得ている。今こそ日本は、現実的な安全保障体制を基盤とした「国のあり方」につき真剣な論議を重ね、国民的な合意を形成することが喫緊の課題である。

中国、北への原油供給制限を検討か   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-13 06:40 [修正][削除]
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 韓国が「朝鮮戦争以来最大の危機」(中央日報)と焦燥感を強めている中で、中米、日米の外交的接触が活発化している。中国は習近平が4月2日のトランプとの電話会談で「平和的解決を」と抑制的対応を求めれば、日本は米国に対して「攻撃する場合には事前協議を」するよう要求した。こうした中でトランプが北への攻撃に踏み切るかどうかを判断するポイントが、北の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の2点に絞られつつある。中国もいずれかの実験をすれば、米国の攻撃を傍観する可能性すら生じている。ひしひしと迫る米国の重圧の中で、金正恩が予定通り早期の核実験とミサイル実験に踏み切るという「自殺行為」をするかどうかだ。韓国では新月の4月27日を狙って爆撃を開始するとの情報がネットで拡散しているが、筆者はおそらくトランプは「北が核かICBMの実験をしない限り攻撃を先送りするかもしれない」と思い始めている。

 中国は昨日書いたように大きくその姿勢を変化させている。習近平は電話会談でも厳しい口調はなく、説得調であったといわれる。その証拠に習近平はトランプの年内訪中を再確認している。もちろんトランプがこれに応じたのは言うまでもない。習近平の「平和的解決」要請にトランプがどう応じたかは霧の中だが、少なくとも中国の北への圧力強化を求めたことは間違いあるまい。トランプが原油供給問題に言及した可能性もある。北への圧力強化は、既に中国が実施に移している石炭の輸入1年間停止では足りまい。最大の焦点は中国が北の首根っこを押さえている原油の供給停止か供給制限に踏み切るかどうかであろう。北朝鮮は原油の9割を中国に依存しており、原油が止まれば北の経済は崩壊する。金正恩体制も危機に瀕することは自明の理だ。
 
 原油は豆満江をわたるパイプラインで供給されているが、驚くことにその中国に石油供給を制限するという説が台頭し始めた。読売によると中国共産党系のタブロイド紙「環球時報」は、12日の社説で「北朝鮮が今月、追加の核実験やICBMの発射に踏み切れば、中国が原油の供給の制限に踏み切る可能性」を示唆したという。「環球時報」は共産党機関誌「人民日報」の国際版とも言えるが、「人民日報」ほど高級志向ではなく、大衆的だ。しかし、中国首脳が「環球時報」を使って観測気球を上げるケースが多く、今回もその可能性が強い。北に対して「禁じ手をあえて使うぞ」というどう喝に出たのであろう。一方、日本政府も米国に対して攻撃の場合には事前協議をするように求めている。官房長官菅義偉は否定しているが、ありそうな話だ。北は日本の米軍基地を名指しで攻撃すると言っており、突然米軍に攻撃されてはたまらない。事前協議は、1960年に安保条約を締結した際の交換公文で在日米軍が戦闘作戦行動をする際に事前協議をするよう規定されている。今回のケースはカールビンソンを使う場合には在日米軍基地は使用しないから適用外だが、横須賀で点検整備中の空母ドナルド・レーガンが北に向かって攻撃のための出撃する際には当然対象となる。

 各社報道していないが事前協議の対象は、もう一つある。それは沖縄返還時に日米間で交わされた、米軍による有事の際の日本への核兵器の持ち込みに関する密約のことだ。米国政府は核兵器の所在について否定も肯定もしない政策をとる一方、沖縄返還に当たってはいったん撤去した沖縄の核を再持ち込みする事がありうるとの立場を強硬に主張した。日本政府は「核兵器を持たず・作らず・持ち込ませず」を“国是”としており、これと矛盾するが、米国の強い要求に佐藤内閣はこれを認めた。しかし、密約として公表されなかった。従って国会でも社会党の追求の的となった。どちらのケースかは状況によるのだろう。いずれにしても北が核でどう喝するという、異常事態の発生である。有事寸前の事態でもある。米軍の核持ち込みが必要とされるケースはあり得るのであり、事前協議を経てこれを認めるのは日本防衛の要であり、当然であろう。

 もっとも、簡単に米軍による北攻撃が行われると見るのは早計であろう。米統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォードが昨年3月の議会軍事委員会で「北の軍事力は世界第4位だ」と発言している。しかし軍事分析会社グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)による「世界の軍事力ランキング2016年版」では、上位10位は米国、ロシア、中国、インド、英国、フランス、ドイツ、トルコ、韓国、日本の順で北朝鮮は36位となっている。ダンフォードの指摘は陸上の白兵戦を意味するのかもしれない。いずれにせよ「北を叩く」といってもそう簡単ではない。第一次朝鮮戦争では3万6000人の米軍人が戦死しており、空爆だけで北が降伏すれば簡単だが、地上戦ともなれば甚大な被害が予想される。シリアの空爆などとは比べようもない。本格戦争を覚悟しなければなるまい。また極度に緊張が高まれば、米国の先制攻撃どころか、北が誤判断などから先制攻撃に出る可能性すら否定出来ない。従って、軍事行動を示唆して最大限の圧力を行使し続けるものの、北が核実験の実施やICBMを発射しない限り、トランプといえどもそう簡単に全面戦争に踏み切れるものでもない。

 
 

中国、朝鮮半島沈静化に動く   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-12 06:32 [修正][削除]
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3847/3855
 読売が4月12日付社説で、北朝鮮の核・ミサイルによる挑発行為について「中国の実質的関与を促したい」と間の抜けた主張をしている。なぜ間が抜けているかと言えば、中国が、北朝鮮の非核化に向けて本格的に動き始めたのを見逃しているからである。中国外務省の朝鮮半島問題特別代表武大偉が10日訪韓して外務省韓半島平和交渉本部長金ホン均と会談、「中国はいかなる場合でも北朝鮮の核保有国としての地位を認定、黙認しない」と、金正恩をこれまでになく強く批判したのだ。中国は、ICBMの打ち上げや核実験をやれば見捨てる、と言っているのだ。これは明らかにトランプが習近平との会談で「中国が役割を果たさないなら我々が単独でやる」と“説得とどう喝”で「行動」を促したことを反映している。空母カールビンソンと横須賀停泊中のロナルド・レーガンに取り囲まれて、中国までが離反し、北は外交・安保両面で完全に追い込まれ、孤立化したのだ。こうした米中の方針は、韓国の大統領選の帰趨に大きな影響を及ぼしつつあり、トップを走っていた親北の「共に民主党」の文在寅が失速しつつあり、戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)容認など保守票を意識した中道・国民の党の安哲秀が世論調査で劇的な逆転となり、有利となりつつある。

 習近平はよほどこたえたとみえる。米中首脳会談から3日後に武大偉を韓国に派遣している。それに首相李克強も10日、北京で元衆院議長河野洋平らと会談し、「北朝鮮情勢は緩和すべきだ。中国もやるべきことがあるし、中日でも共にできることがある」と、日本との連携すら示唆している。明らかに中国は対北政策で金正恩への圧力をかけ始めるという北朝鮮政策の重大な方向転換をした。一面トップ並みの動きだが、日本のマスコミの多くがこの動きを見逃している。韓国中央日報によると、武大偉は「北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射のような『戦略的挑発』を敢行する場合、国連安全保障理事会の決議に基づき強力な追加の措置があるだろう」と発言した。両者は(1)北が追加で挑発すれば、よりいっそう強力な安保理決議はもちろん、制裁と圧力を持続的に強化するべきである、(2)北の非核化のために韓中協力と5カ国(韓・米・日・中・露)の連携が重要だ、(3)韓中は核問題の緊急性・厳重性に対する評価を共有し、北の挑発を懸念して、反対するという立場で一致した。

 こうした中国の動きは、ひしひしと朝鮮半島に迫る「4月危機」に対して、中国がとりあえずは緊張緩和に動かざるを得ない状況に立ち至ったことを意味する。習近平はトランプとの会談で韓国へのTHAAD配備に懸念を表明しているが、その基本的な立場は維持しつつも、今後金正恩が核実験やICBM実験、さらにはICBMへの核搭載に踏み切れば、事態は抜き差しならぬ戦争に突入しかねないという危機感を抱いたのであろう。もともと習近平は金正恩を毛嫌いしているといわれており、就任以来朴槿恵とは会談しても金とは会談していない。しかしこのまま放置すれば第2次朝鮮戦争、ひいては第3次世界大戦まで誘発しかねない事態へと発展しかねない。朝鮮戦争ともなれば最終的には米国主導で韓国による半島統一に向かう事は必定だ。これはなんとしても防がなければならない、という考えに立ち至ったのであろう。

 それで武大偉を韓国に派遣したのであろうが、こうした動きは北に対して極めて厳しい威圧になる。問題は、中国がこうした動きを背景に北への説得に動くかどうかだ。金正恩を説得するには包囲網だけでは足りない。武大偉は韓・米・日・中・露5か国の連携の必要を提起しているが、これがかつて堂々巡りを繰り返した6者協議と同じことになる可能性は否定出来ない。やはり中国自らが石油の禁輸などドラスティックな制裁をかけることで北を脅し、金正恩を外交的に屈服させるしか方法はあるまい。習近平がそこまで踏み込むかどうかが当面の焦点となる。

 一方で韓国の大統領選はこうした極東情勢を強く反映したものとなりつつある。5月9日の投開票に向けて事実上文在寅と安哲秀の一騎打ちの様相を呈してきた。先月には8.4の支持率しかなかった安哲秀がここ1週間で急速に支持率を上乗せして、文在寅を逆転した。8~9日に聯合ニュースが実施した世論調査の結果によると、候補者5人への調査で安の支持率は36.8%で、文の32.7%より4.1ポイント高かった。また候補を2人に絞った場合も、安は49.4%で、文の36.2%を13.2ポイントの差でリードした。テレビ朝鮮の調査も安候補が34.4%、文候補が32.2%だった。2人に絞っても、安が51.4%で、文の38.3%より13.1ポイント高かった。この結果がなぜ導かれたかと言えば、朴槿恵への反発から「当選したらまず北へ行く」と述べる親北朝鮮の文在寅へと流れた支持が、北による半島危機によって限界を示し、逆に中道とはいえ米国との連携に大きく舵を切った安哲秀に支持が向かったといえよう。とりわけ安哲秀がこれまで反対してきたTHAAD配備を支持する方向に転換したことも、行き場がなかった保守層の支持を獲得し始めたものとみられる。こうした状況は1か月後の投票に向けて加速するような気がする。安哲秀が勢いを付けたまま投票に突入する公算が大きい。しかし、最近の選挙はトランプ当選を誰も予想しなかったように「魔物」が潜んでいる可能性もあり、断定は出来まい。

考えうる最悪の事態に備えよ   
投稿者:四方 立夫 (東京都・男性・エコノミスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-11 11:49 [修正][削除]
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3846/3855
 トランプがアサド政権の空軍基地にミサイル攻撃を実施した。今後米国はアサド政権にどう対峙していくのか?シリア問題にはどう関与していくのか?ロシアとのIS撲滅共同作戦はどうするのか?以上の様な根本的な問題に対する長期戦略無しに唐突な軍事行動に訴え、その後トランプは「シリア政府軍が使用した化学兵器による乳幼児を含む多数の犠牲者が出たことで考えを変えた。Flexibilityを誇りに思う」との声明を出したが、かかるトランプ政権の軍事外交戦略に危うさを覚える。トランプは自ら”unpredictability”をもって良しとしてきたが、未だに主要省庁の政治任用の高官は著しく不足し、国務省の予算が大幅に削減されようとしている。そんな中で、十分な戦略立案を行わずにトランプ自身の”instinct”によって突然「豹変」し、直ちに実行に移す姿勢は、7,000発以上の核弾頭の発射権限を有する「超大国」の大統領として同盟国に対しても不安を抱かせるものである。

 今回のミサイル攻撃は対中国及び対北朝鮮に対し”demonstration”としての一定の効果はあったかもしれないが、たとえ中国が北朝鮮に対して実効性のある踏み込んだ制裁を課したとしても、「シリアが攻撃されたのはイラクやリビアと同様に核兵器を持っていなかったからだ」との確信を強めた金正恩はロシアに接近し、益々ICBMの開発を加速させることが懸念される。

 米中首脳会談は表面的には「両首脳の信頼関係を構築した」とのことであるが、共同声明や共同記者会見もなされず、内容としては多くの課題を残すものとなった。特に、北朝鮮は4月には記念日が目白押しであり、韓国では5月に政権交代により北朝鮮や中国に融和的な政権が誕生し、THAAD配備撤回、GSOMIA破棄、など東アジアのみならず米国にも甚大な影響を及ぼす政策転換がなされる怖れがある。そんな中で、北朝鮮がICBM発射実験などを実施すれば、それが米国による先制攻撃の引き金となる可能性がある。その場合、北朝鮮としては在日米軍基地に対し報復攻撃を仕掛ける可能性が大であり、周辺住民に被害がもたらされる怖れがある。さらに、東京をはじめとした主要都市に対するサイバー攻撃も同時に実行される可能性が高く、そうなれば、多くの一般市民の生活にも支障をきたす怖れがある。

 政府としてはSM3及びPAC3による迎撃態勢を整えるものの、迎撃の確立は100%ではなく、我が国が被弾するリスクも無しとしない。国はもとより地方自治体に至るまで広範に亘り被害を最小限に食い止める対策を講じなければならない。更に、民間企業に対するサイバー攻撃に対しては、民間企業自身が防御態勢を構築することが必須であり、一般市民においても地震に対して備えている以上に、各自備えをすることが必要である。即ち「自分の身は自分で守る」との覚悟を固め、その準備をすることが肝要である。いずれにせよ政官民あげて70年以上に亘り平和を甘受してきた全日本国民に対し「もはや平時ではない」との危機意識を持って考えうる最悪の事態に備えるよう喚起することが喫緊の課題である。

米中関係は、新秩序への試金石   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-10 11:20 [修正][削除]
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3845/3855
 政権交代後の外国指導者の首脳会談はその後の二国間、多国間関係を決定づける重要な出会いである。ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の会談(4月6、7日)は今後の米中関係の基調を占い、新たな国際関係の形成に大きな影響を与えるものとして世界が注目した。結果を見れば期待先行で、首脳間の理解は進んだものの、差し迫った北朝鮮の核・ミサイル危機、東シナ海、南シナ海問題、貿易不均衡是正などの解決の具体策には及ばずに終わった。共同声明も共同記者会見もなかったのは、米中間の溝がいかに大きく、深かったかを示すものだ。初顔合わせの指導者のイメージはその後の国同士の関係をも左右する。米国のケネディ大統領がソ連のフルシチョフ書記長に見せた弱さが、キューバへの核ミサイル持ち込みを許したとされるほどだ。

 トランプ大統領は習主席を招いた夕食会の時にシリア空爆を敢行、世界を驚かせた。力の信奉者に対しては力を見せつけることが最も効果的であることをトランプ氏は知っているのだ。それはシリアのアサド大統領、彼を支えるロシアのプーチン大統領だけでなく、習主席や北朝鮮の金正恩委員長に対しても適用できる。習氏がオバマ前政権に働き掛けてきた「新型の大国関係」は、トランプ大統領に「無視」された。中国がよく口にする「相互尊重」は会談後のホワイトハウス報道官の発表にもあるが、米国は「対等な市場アクセス」を強く主張、「中国政府の経済への介入」に「深い懸念」が表明されている。一方、中国側も「一つの中国」政策の堅持を求め、南シナ海の主権主張を止めず、強硬な外交方針を譲らなかったことは明白である。

 米大統領と対等に渡り合ったというイメージが作り出されなければ、「核心」的な指導者としての習主席の地位が損なわれる。国内政局の安定こそ習氏の外交戦略の基盤である以上、既定の路線を踏み越えることはできないのだ。米国の対中貿易赤字削減に向け「100日計画」の策定で合意したものの、中国側の発表にはない。100日以降の今秋に中国共産党大会が控えているため、米中双方が満足する成果は困難だろう。

 最大の焦点は北朝鮮問題であった。シリアと違い、核兵器とミサイルを武器に脅しをかける北朝鮮の軍事力は無視できない。アメリカン・エンタプライズ研究所(AEI)のM.オースリン日本研究部長は、北朝鮮はトランプ政権にとって「最初の国際危機になった」と言う。米メディアは「ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が在韓米軍への戦術核兵器の再配備を大統領に提案した」と伝えた。大統領は「あらゆる選択肢がテーブルにある」として、中国が北朝鮮に対する制裁圧力を強化しないなら「米国は単独でも対応する」と、習主席に警告した。しかし、中国政府の発表では、中国は国連安全保障理事会の制裁決議を「引き続き全面的に履行」、北朝鮮の核・ミサイル活動と米韓合同軍事演習の「同時停止」、「高高度地域防衛(THAAD)ミサイルの配備反対」など従来の路線から一歩も出ない。これでは朝鮮半島危機は深まる一方である。

 米中関係の進み方は日本にとっても重大な関心事である。安倍晋三首相は4月9日、トランプ大統領と電話会談した。2月の首脳会談、北朝鮮のミサイル発射直後の4月6日の電話会談に続く頻繁なやりとりは、二人の信頼関係を反映している。首相は「北朝鮮について中国の対応に大変注目している」「日米の緊密な連携、日米韓の結束が重要なことで完全に一致した」と語った。次の核実験や弾道ミサイル発射など北朝鮮の新たな挑発に対して、米中会談を経た習指導部がどのような有効な措置を打ち出せるか、けん制したものである。東シナ海、南シナ海を含めアジアに軍事危機を作り出してきた中国の姿勢に変化は起きるのか。中国が目指す「一帯一路」などの新たな国際秩序作りの行方を左右する試金石になるだろう。

韓国への核配備に本気のトランプ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-09 06:32 [修正][削除]
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3844/3855
 日本の報道では何やら歯切れが悪く、米中首脳会談は平行線をたどったように見えるが、トランプと習近平の間では北朝鮮の核ミサイル対策でかなり激しいやりとりがあったようである。より深刻な対応を迫られている韓国の報道を見れば、トランプは戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備について「韓国に対して報復措置を取らないように(中国に)求めた」(東亜日報)という。これに対し習近平はTHAAD配備に反対するとともに、米韓軍事演習について「軍事的圧力を停止すべきだ」と逆襲している。かなりきわどいやりとりである。一方、トランプが「中国がやらなければ、米国が独自の行動について準備が出来ている」と伝えたことについて、軽佻(けいちょう)浮薄なる民放テレビのコメンテーターらが「すわ軍事行動」とばかりに騒いでいるが、そうとは限るまい。軍事行動の前に行いそうな最大の一手は、韓国への戦術核配備であろう。韓国に核配備する以上、トランプが日本にも有事の際の核持ち込みを求める可能性がないとは言えまい。極東情勢の激変で非核三原則の是非について、国会での議論が再燃する可能性もある。

 首脳会談を経て米国は、ここ当分は中国の北への動きを注視することになるだろう。会談のポイントはトランプが習近平の尻をたたいたことにあるからだ。米中首脳会談を狙ってシリアへの巡航ミサイル攻撃を断行、国家安全保障会議(NSC)に韓国への核配備を提言させるなど、どぎつい対中圧力を展開したトランプは、中国がこれに促されて北に対して行動を起こすかどうかを見守るのだろう。起こさなければ、矢継ぎ早に対策を打つだろう。既に下院が可決した北のテロ支援国家再指定を実行に移し、北と取り引きする第3国の企業・個人への制裁、同盟国のミサイル防衛網の整備などをちゅうちょなく打ち出すであろう。そしてその白眉とも言えるものが韓国への戦術核の再配備である。トランプは就任後国家安全保障チームで、韓国に核を配備して北への“劇的な警告”を行うことを検討してきた。これを習近平の訪問を待っていたかのようにNBCテレビにリークして「米国家安全保障会議(NSC)が在韓米軍への核兵器の再配備をトランプ大統領に提案した」と報じさせた。

 グアムに配備している戦略核はミサイルや爆撃機でいつでも使用できるから、韓国への配備を検討するのは戦術核であろう。戦術核とは局地戦で使用するもので、戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器である。かつて在韓米軍は、核弾頭を装着できる地対地ミサイル「オネスト・ジョン」と280ミリ核大砲、空中投下核爆弾、超小型破壊用特殊核爆弾などを搬入した。しかし、冷戦終了への流れがはっきりしてきた1991年、ジョージ・ブッシュが軍縮計画に添って、これらの戦術核兵器を朝鮮半島から撤収した。現在、北大西洋条約機構(NATO)では、5ヵ国の米空軍基地の6ヵ所に戦術核兵器約150~200個が備蓄されている。核兵器の再配備先としては、ソウル南方にある烏山(オサン)空軍基地が候補に挙がっている。タイミングとしては金正恩が6回目の核実験をやった直後かもしれない。トランプのNSCは、金正恩の臆面もないミサイル打ち上げと核開発で、極東が核危機の状況になりつつあると見ており、韓国への核配備は戦略上も欠かせなくなってきたと判断したようである。韓国内は5月9日の大統領選挙に向けて保革伯仲の戦いが展開されているが、この戦術核配備が争点になりつつある。「核武装」すら主張する与党保守勢力は歓迎しており、文在寅など野党候補は反対している。選挙結果は配備に影響するかもしれないが、トランプは選挙に関わりなく配備する構えのようだ。

 こうして昔懐かしい核の傘論や非核三原則論が日本でも活発になるだろう。「作らず、持たず、持ち込ませず」の非核3原則は、佐藤内閣時代から「国是」となっている。佐藤栄作は1967年衆院予算委員会で「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないというこの核に対する三原則のもとにおいて、日本の安全はどうしたらいいのか、これが私に課せられた責任でございます」と答弁して、非核三原則を表明した。2006年には安倍が衆議院予算委員会で「我が国の核保有という選択肢は全く持たない。非核三原則は一切変更がないということをはっきり申し上げたい」と堅持を表明している。重要なのは、この非核三原則があるかぎり、アメリカは安心であるということだ。なぜなら「作らず」「持たず」があるかぎり、日本の核武装はなく、米国の世界戦略は安泰であるからだ。経緯を知らないトランプが「持ち込みくらいいいだろう」と言い出さないとも限らない。しかし、非核三原則は一体であり、持ち込むとなれば、大きな反核闘争を巻き起こし、死に体のようになっている民進党と、共産党を利するだけということになる。よほどの有事になれば別だが、今のところは平時だ。平時に波風を立てる必要はない。有事にはどさくさに紛れて持ち込むことも可能だ。

米のシリア空爆で度肝を抜かれた習近平、プーチン、金正恩   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-08 06:57 [修正][削除]
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3843/3855
 一挙に米国のリーダーシップを回復させ、四方八方に目配りしたこの見事な世界戦略は、トランプの立案とは思えない。おそらく国家安全保障担当大統領補佐官マクマスターが国家安全保障会議(NSC)をリードして成し遂げたに違いない。解任されたマイケル・フリンの後を継いだマクマスターは政権のダークベイダー・スティーブン・バノンをNSCから追い出したが、この“政変”もシリアをめぐる中東政策の違いが原因ではないかと思えるくらいだ。シリア空爆をあえて「見事な世界戦略」と形容するのは、フロリダで会談中の習近平、シリアに存在感を増すプーチン、増長の極みの金正恩の度肝を抜いたからである。加えて35%まで落ちたトランプ支持率を大きく押し上げる効果も生じよう。なぜならアサド政権への攻撃は道徳的な側面が強く、米国民の好きな正邪の戦いでもあるからだ。まさに八方にらみ、一石四鳥の世界戦略である。朝日は8日付け社説でミサイル攻撃を「無責任な単独行動」と相変わらず唯我独尊的に批判しているが、放置すればアサドは図に乗って毒ガスをばらまく。それでいいのか。首相・安倍晋三がトランプの決断を支持したのは、全く正しい。読売も社説で安倍を支持している。

 度肝抜かれのナンバーワンは習近平であろう。華麗で和やかなる晩餐会は東部時間午後8時から9時半まで続いたが、事もあろうにトランプはその最中の午後8時40分にトマホーク巡航ミサイル59発をシリアのシャイラート飛行場へと発射するよう指示していたのだ。トランプがこれを習近平にささやいたかどうかは分からないが、おそらくささやいていないだろう。なぜなら空爆の成功を確認できないうちに、言えることではないからだ。トランプが発表したのは空爆成功を確認した食事後であり、習近平はその後知らされた可能性が高い。もともとシリア政府軍攻撃は急ぐ話ではなかった。2日や3日遅れても問題が生ずる話ではない。従ってトランプは“わざと”晩餐の時を狙った可能性が高い。まさに巧妙なる“作戦”に、習近平はこけにされたことになる。トランプのアッパーカットを食らって、今日の米中首脳会談までに態勢を整えるのに懸命の有様が目に浮かぶ。

 次に度肝を抜かれたのはプーチンだ。プーチンはトランプを米大統領選挙で陰から助けたといわれており、対露強硬路線のクリントンが政権を担わないでほっとしていたところだろう。イランとともにシリア内戦に介入して、冷血動物のようなアサドを支持し、アサドがサリンのような神経ガスや塩素ガスなどの化学兵器を使ったことを否定してきた。プーチンはトランプが親露である以上、一挙に攻撃には出まいと誤算していたのだ。しかし、プーチンの主張とは逆にミサイル攻撃が、化学兵器による爆撃の拠点となったシリア中部のホムス空軍基地に限定されたのは、米国が空撮などの動かぬ証拠を握っているからだという説が強い。米国務長官ティラーソンは来週訪ロするが、これに先立って「米露関係がどのような方向に進むかはロシア側から聞く内容次第」とすごんでいる。ニューヨークタイムズはティラーソンがプーチンに会うと報道しているが、外相ラブロフだけとなるかははっきりしない。いずれにせよプーチンは、あくまでアサドをまもるか、米国との関係を考慮するか、の選択を迫られる形だ。米露が対立すれば内戦はより複雑化して長引くだろう。

 一方、超度肝を抜かれたのは黒電話ヘアの金正恩だろう。ヘアが逆立ったかもしれない。金正恩は「戦略的忍耐」と称して優柔不断だったオバマしか知らないから、トランプになってからもミサイルの打ち上げを続け、6回目の原爆実験も準備している。金はトランプが安倍に「全ての選択肢がテーブルの上にある」と軍事行動示唆の発言しても、実感を伴って理解出来ないでいたのだろう。しかし、巡航ミサイル59発の威力を映像で目の当たりにして、金正恩は「隠れ家の地下壕をより深く掘れ」と命じたかもしれない。自民党副総裁・高村正彦はNHKに「『無法国家』にアメリカの決意を知らせることになり、『無法』ができなくなるということが考えられる。その反面、北朝鮮が、『シリアは核を持っていないから攻撃された』と、ますますミサイルや核が必要だと考えるかもしれない。トランプ政権はオバマ政権と違い、レッドラインを越えたと思えば思い切ったことをやるというメッセージが、『無法国家』を抑制させる効果が出ればいい」と延べ、看破している。高村の言うとおり国内的には核開発の口実になり得るが、実体的には相当の抑制効果となる可能性が大きい。

 しかし、トランプの世界戦略がマクマスターによって動かされている限りにおいては、米国がアサド政権に対するように北朝鮮への奇襲攻撃を軽々に断行するかについては疑問がある。なぜならマクマスターの戦略のプロとしての思慮分別が強く働くからだ。というのも、ソウルは北の報復砲撃によって火の海になるし、傲岸不遜にも金正恩は日本の米軍基地をミサイル攻撃の標的にすると公言している。特に東京周辺の基地にサリンを積んだミサイルで攻撃をかけられれば、被害は甚大だ。日本国内でトランプに対する怨嗟の声が澎湃(ほうはい)と起こり、野党は鬼の首でも取ったように矛先を安倍政権に向けるだろう。ただまだ核ミサイルを保持していない現段階での北朝鮮攻撃は「最後のチャンス」とも言える。その場合も、北の反撃が出来ないように一挙に800カ所もの拠点を壊滅的に攻撃しない限り、日本がミサイル攻撃を受ける可能性がある。問題はそれを米国が出来るかどうかだ。外交的にはカギを握る中国が、シリア攻撃を目の当たりにしてトランプに同調するかどうかだが、習近平はしたたかであろう。まるでキューバにソ連が核ミサイルを持ち込もうとしたキューバ危機のような様相が北東アジアで展開されるかもしれない。その場合秋田での避難訓練が大都会でも行わなければならなくなる可能性がある。

「六本木の赤ひげ」アクショーノフ院長を偲ぶ   
投稿者:飯島 一孝 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-07 19:22 [修正][削除]
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3842/3855
 「六本木の赤ひげ」と呼ばれ在日ロシア人らに信頼されていた白系ロシア人医師エフゲーニー・アクショーノフさんが院長を務めていた、インタナショナル・クリニックがとうとう解体された。東京・港区の飯倉片町交差点角地に半世紀以上も開業し、ロシア人だけでなく、海外からの賓客や観光客の診察も行ってきたが、2014年8月5日、アクショーノフさんが90歳で他界し、その後は事実上、クリニックは閉鎖されていた。

 先日、知人から「インタナショナル・クリニックの敷地にブルドーザーが置いてあった」と聞き、出かけてみると、二階建ての洋館はすでに解体され、後は整地を待つばかりになっていた。正面のブロック塀と、英語で書かれた「インタナショナル・クリニック」の看板だけが残っていて、表通りからは隣の区立麻布幼稚園が直接見えた。樹木が何本か残っているが、寄りかかる物もなく、寂しげだった。塀に張ってあった管理会社に電話して聞くと、「解体後の更地にオフィス系のビル建設を検討しているが、まだ決まっていない」との返事だった。アクショーノフ院長の死後、病院の関係者はクリニックの存続を模索したが、叶わなかった。アクショーノフ院長が守ってきたクリニックは一代限りで終焉を迎えた。

 アクショーノフ院長は、ロシア革命後、中国東北部のハルピンに逃げた白系ロシア人家庭の一人っ子として生まれた。馬の牧場を経営していた父の元に日本から馬を見に来た津軽義孝伯爵(常陸宮華子妃殿下の父)と知り合い、それが縁で太平洋戦争中の1943年に来日した。苦学しながら医師国家試験に合格し、戦後、米陸軍病院勤務などを経て1953年、クリニックを開業した。満州国崩壊後、無国籍になったが、旧ソ連に帰らず、無国籍のまま、一生を日本で過ごした。

 冷戦時代はソ連のスパイとみなされ、警察の調べを受けるなど、苦境に陥ることもあったが、持ち前の才覚と人懐こい性格で生き抜いた。ロシア語のほか、中国語、フランス語など6ヶ国語を話せるうえ、貧しい外国人には無料で診察し、在京の大使館などから頼りにされた。プーチン大統領と何度も懇談するなど、日露友好にも大きな役割を果たした。しかし、日本政府からはその功績を偲ぶ言葉はまだない。

自動運転について   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-06 11:44 [修正][削除]
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3841/3855
 私たちが想像している以上に、車の自動運転の技術は進化を続けているようだ。日本でもトヨタ、日産、ホンダをはじめ各社が先を争って過熱気味でもある。Googleやyahoo!といったITソフト会社なども、車メーカーとは違った手法で積極的に開発を進めている。もちろん現在は、自動ブレーキや車間距離を保つシステム、車線をキープする技術、駐車動作のアシストなど、まだまだ完全な自動運転には距離がある。しかしやがては、ハンドルやアクセルブレーキ操作をせずに、運転手が席に座っている段階、そして運転手なしで走行する段階に至るのは、それほど遠くないといわれている。
 
 自動運転には主に2つの流れがあるという。1つは道路や関連設備から車に情報を伝え、車がそれを読み取りながら走行する方法である。もうひとつは車自体が考えながら、適切なドライビングを選んで行く方法だ。後者の方がよりAI(人工知能)に頼る部分が大きい。
 
 私はこれまで45年間、安全運転に心掛けて車を運転してきたが、ここまで自動運転が身近に迫ってくるとは予想していなかった。確かに自動運転になったら、これほど楽なことはないだろう。また体力が衰え運転出来なくなっても、このシステムに委ねれば何処へでも行ける。
 
 ただ私はこれまで、自分で運転することによって、ドライビングそのものを堪能したり、少し大袈裟だが、自己の存在を確かめたりすることができた。面倒くさいようだが、気持ちや考えを整理するには、案外役立つ時間でもあった。もし将来、自動運転以外の走行を許さないとしたら、このような楽しみは奪われてしまう。自動運転は大賛成だが、どうかマニュアル運転も出来る余地を、新しいシステムは持っていてもらいたい。

辺野古埋立「承認撤回」と翁長知事の損害賠償責任   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-03 11:52 [修正][削除]
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 沖縄県の翁長知事は、3月25日米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する集会で、「撤回を必ずやる」と述べ、辺野古の埋め立て承認撤回の方針を初めて表明した。これに対し3月27日菅官房長官は、対抗措置として、実際に承認撤回がされた場合には、知事権限乱用で翁長知事に損害賠償を請求する可能性を示した。「公有水面埋立法」に基づき、知事には埋め立て承認の権限が与えられている。行政法の一般理論によれば、翁長知事において仲井真前知事の埋め立て承認の手続きや内容に瑕疵があると判断すれば「承認取消」ができ、適法な承認後に公益を害する事由が生じたと判断すれば、「承認撤回」ができる。そして、「承認撤回」は、撤回で生じる国の不利益よりも県の公益が大きい場合に認められる(参考判例・菊田医師指定医撤回事件昭和63年6月17日最高裁第二小法廷判決民集154号201頁)。しかし、翁長知事による「承認取消」は、すでに昨年12月20日付け最高裁第二小法廷判決で違法とされ確定している。したがって、辺野古移設を阻止する有力な手段としては「承認撤回」しかない、と知事が判断したのであろう。

 行政法の一般理論として、「承認撤回」が認められている以上は、翁長知事による「承認撤回」が直ちに知事個人に対する損害賠償責任を発生させるものではない。しかし、(1)「承認撤回」について、国以上の公益性や合理性、必要性がなく、知事の行政裁量権の逸脱又は知事権限の乱用がある旨、国による知事に対する取消訴訟で認定された場合は、「承認撤回」の行政処分は取り消される(行政事件訴訟法30条)。のみならず、(2)「承認撤回」に関する翁長知事の職務執行に故意又は重大な過失があり、国に損害を加えた場合は、知事個人にも損害賠償責任が発生する(国家賠償法1条2項)。

 先ず、(1)の翁長知事による「承認撤回」が、行政裁量権の逸脱又は知事権限の乱用に該当するかについて検討する。思うに、翁長知事において、辺野古移設を阻止する目的で「承認取消」を行なったが、これが最高裁で違法とされたため、同じ目的でさらに「承認撤回」を行なうことは、まさに、同一の当事者が、同一の目的のために、概ね同一の事実関係について、重複して類似の行政処分を行なうことになり、実質的には「一事不再理の原則」に抵触する可能性がある。そのうえ、翁長知事の主張する「公益」は沖縄の基地負担の軽減であるが、前記昨年12月20日付け最高裁判決は、「普天間に比べて辺野古は施設規模が縮小され、移設すれば、航空機が住宅地の上空を飛行するのを回避できる」と認定しているから、辺野古移設は、翁長知事の主張する「公益」である沖縄の基地負担の軽減にも叶うのである。したがって「承認撤回」はむしろ「公益」に反することになると言えよう。以上の諸点を考えると、「承認撤回」は、行政裁量権の逸脱又は知事権限の乱用として、取消訴訟では短期間で取り消される確率が高いであろう。

 次に(2)の翁長知事個人の損害賠償責任については、翁長知事が上記(1)の諸事情を熟知しながら、専ら辺野古移設を阻止妨害するために、敢えて「承認撤回」の行政処分をすれば、職務執行における故意又は重大な過失による知事権限の乱用として、知事個人についても損害賠償責任が発生する可能性は否定できないであろう。損害としては、「承認撤回」で移設工事が中断すれば、機材調達費や人件費など莫大であろう。参考になるのは、最高裁第三小法廷平成28年12月13日付け決定によれば、東京都国立市の元市長が、高層マンションの建設阻止のために、市の内部情報を提供して住民運動を起こさせたり、マンションが建築基準法に違反するかのような議会答弁をするなど、職務の執行につき故意又は重大な過失があったとして、国立市が業者に支払った損害賠償金3100万円を市に支払うよう、元市長に命じている。これは、最高裁が地方自治体首長個人の損害賠償責任を認めた重要な裁判例である。

(連載2)主権意識の欠如が対北危機を招いた ← (連載1)主権意識の欠如が対北危機を招いた  ツリー表示
投稿者:袴田 茂樹 (神奈川県・男性・日本国際フォーラム評議員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-02 11:03 [修正][削除]
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3839/3855
 02年9月17日の小泉訪朝時の平壌宣言では、「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した」と、今から見ると失笑するような合意がなされている。拉致問題についても、後述のようなナンセンスな合意がなされた。このような楽天主義、宥和主義の雰囲気を基礎に六者協議が始まった。08年12月に中止されるまでこの協議では、中露だけでなく日韓の圧力で、また米国国内事情も絡み、米国の北朝鮮への武力行使は否定された。それが明らかになるやすぐに、北朝鮮は公然と「核保有」を宣言し、その後核・ミサイル実験を繰り返して、誇示している。

 筆者は以前からこの六者協議を、経済最貧国の北朝鮮を国際政治の主役に祭り上げ、同国に核開発の猶予を与えただけだと、厳しく見てきた。わが国は「対話と圧力」政策を掲げるが、経済制裁の圧力が中国によって骨抜きにされることは、以前から分かっていたはずだ。トランプ政権は、過去20年の対北朝鮮政策は誤りだったとし、再び「机上には全選択肢がある」としてオバマ政権の「戦略的忍耐」を否定した。ただ今は北専に核放棄をさせることは比較にならないほど困難となっている。カダフィ殺害や「クリミア併合」が、金正恩に核保有の絶対的な必要性を確信させたからだ。(ウクライナは1994年のブダペスト覚書で、米、英、露などによる領土保全などの主権保証と引き換えに核を放棄した)。

 拉致問題だが、平壌宣言でもその時の小泉首相の記者会見でもこれを「日本国民の生命と安全に関わる重大な問題」とした。一方、1967年には韓国中央情報部が韓国人留学生を西独から不法連行し、彼らは韓国で北朝鮮絡みのスパイ罪等で死刑、無期懲役の判決を受けた。西独はこれを自国民の人道問題ではなく「主権侵害」の問題として国交断絶を突き付けて17名の韓国人全員をその年のうちに取り戻した(東ベルリン事件)。日本には、このような国家としての主権意識や毅然とした態度が大きく欠けている。

 最後になるが、今年2月にマレーシアで金正男が北朝鮮関係者によって猛毒で殺害された。北朝鮮は現在公然と、米国と軍事同盟を結ぶ日本を核攻撃のターゲットと述べているが、化学兵器の使用もあり得るということだ。この問題に対しても、わが国の国会やメディアは真剣に対応を検討・議論していない。さらに金正男に関して想起することがある。2001年5月に彼は偽造旅券で不正入国しようとして成田空港で一旦拘束されたが、結果的には日本政府は、腫れ物に触るような扱いで「お帰り頂いた」。一国の主脳の子が日本の主権を侵しているのに、この日本政府の扱いは解せないと筆者はある場所で述べた。国によっては、国境地帯は特別管理され、不法に越境する者は銃殺され得るという状況を知っていたからだ。その時、わが国のある北朝鮮問題の専門家が、「たかが出入国管理令違反の微罪ではないか」と反論した。ちなみに小泉首相の初訪朝は、この翌年である。この事件も、日本の政府や専門家でさえも、国家主権というものの重さを理解していないことを示している。(おわり)

(連載1)主権意識の欠如が対北危機を招いた  ツリー表示
投稿者:袴田 茂樹 (神奈川県・男性・日本国際フォーラム評議員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-04-01 12:15  
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3838/3855
 最近の日本の政界やメディアを見ていて、異様に感じることがある。それは、国会でもメディアでも、専ら国政の本質ではない目先の政争問題が大々的に扱われ、例えば北朝鮮の核・ミサイル問題などわが国の安全や主権の重大な危機が、一過性の出来事のように軽く扱われていることだ。そのような対応の結果が、今の北朝鮮絡みの深刻な状況を生んだのではないか。これは日本だけでなく国際社会の対北朝鮮政策の誤りの結果でもあるので、やや広い観点から考えたい。

 すでに1990年代に北朝鮮の核問題は深刻化し、95年には朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が設立された。2001年の米同時多発テロ事件の後、2002年1月にはブッシュ大統領は北朝鮮など三国を「悪の枢軸」国家とし、「机上には全選択肢がある」と武力介入も辞さずの態度を示した。米国が中心となって、その前年12月にはアフガニスタンのタリバン政権を崩壊させ、03年の3月には、イラクのフセイン独裁政権を軍事攻撃して、約一か月で崩壊させた(その是非は論じない)。これに心底震え上がったのが金正日やリビアのカダフィなどの独裁者で、前者はピンポイント攻撃などでの暗殺を恐れて長期間姿を隠し、後者は03年12月に核計画を廃棄した。

 筆者は米国が断固とした姿勢を示したこの時期が、北朝鮮の核放棄が現実性を有した唯一の時期だったと見ている。と言っても、北朝鮮に武力行使をすべきだとか、それが核・ミサイル問題の唯一の解決法だと言うのではない。武力行使の現実の可能性を背景にして初めて、交渉や対話によって核を放棄させられる、という意味である。ただ、この時期に小泉純一郎首相が訪朝し(02年9月)、また北朝鮮の核・ミサイル計画阻止のための六者協議が始まった(03年8月)。筆者は、日本および国際社会のこの2つの行動は、北朝鮮指導部の心理も現実も理解していない過ちの典型だと見ている。

 小泉訪朝は、02年8月30日に電撃発表された。この日、筆者は露外務省局長室で、長年露と専門家会議をした安全保障問題研究会の一員として、露の対日政策責任者と二人で懇談していた。その時部下が入室して文書を局長に渡し、彼がそれに署名して私に次のように述べた。「袴田さん、小泉訪朝の重大ニュースです。<北東アジアの安定のために歓迎する>との露外務省声明に今署名しました」。このすぐ後、元露外務次官で駐韓大使も務めたクナーゼ氏と個人的に話した。氏は、外交専門家として公式声明とは逆の厳しい小泉評を次のように率直に述べた。「小泉氏は北朝鮮問題を国内政治の観点からしか見ておらず、国際戦略や外交問題が全く理解できていない」。日本にとり最重要のはずの米戦略をぶち壊しにした、との意である。(つづく)

朴槿恵大統領、遂に罷免される   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-03-30 11:03 [修正][削除]
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3837/3855
 昨年来、韓国政界を揺るがしてきた、朴槿恵(パク・クネ)大統領とその友人である崔順実(チェ・スンシル)氏の癒着関係が、遂に憲法裁判所による大統領弾劾訴追という、韓国政治で初めての出来事を起こしてしまった。崔氏の行動が大統領の不適切な対応を生み、韓国最大財閥・サムスンのトップをも引き摺り下ろしてしまった。韓国国民の怒りは、度重なる大規模デモの発生により、我々にも痛いほど伝わってきた。大統領罷免によってその怒りは静まったかも知れないが、これが新たな韓国の混乱、さらには東アジアの不安定につながるのではないかと、大変懸念している。

 韓国はかつての朝鮮半島における王朝の時代から、特異な社会構造を示してきた。政界でも財界でも、地方出身者が中央で出世すると、それにつながる一族郎党が、その権限を利用して利益を得るケースが目立って来た。また韓国経済は大財閥によって左右されることが多く、健全な中堅企業や中小企業がなかなか育たない。今回の崔氏が引き起こした一連の疑獄事件も、このような特異な社会構造を背景として発生したものと思われる。さらには過去の大統領の多くも同じ構図の中で苛まれ、大統領退任後に訴追されたり、自殺に追い込まれるケースもあった。今後の韓国政治や経済の安定的発展を望むのであれば、このような社会構造を根本的に改善しなければならないのではないか。

 さて朴大統領の出身母体である与党セヌリ党は、5月に実施される次期大統領選挙に候補者が出せない状況が続いている。有力候補とされていた潘基文(パン・キムン)前国連事務総長、大統領代行を務めていた黄教安(ファン・ギョアン)氏が相次いで出馬を辞退している。最大野党の「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が最有力とされているが、仮に文氏が当選した場合、これまでより左寄りの政治が行われる可能性が高い。

 折しも北朝鮮・金正恩政権は核ミサイル開発に拍車をかけ、マレーシアで義兄の金正男氏を暗殺するという蛮行を行った。日米をはじめ国際社会がまとまって北朝鮮制裁に力を合わせようとしている矢先、韓国の新大統領がかつての盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏のように、北に対する「太陽政策」をとられると、対応が難しくなってしまう。韓国大統領選挙の結果は、ここ数年の東アジアの安全保障に大きな影響を与えかねない。注意深く見つめていかなければならない。

PKO派遣ゼロでいいのか   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-03-27 11:03 [修正][削除]
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3836/3855
 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設部隊(350人)について、政府が3月10日の国家安全保障会議(NSC)で、司令部要員を残して5月末に撤収させる方針を決めた。日本がPKO 部隊を1992年にカンボジアに派遣して以来25年、難民支援事業も含めるとモザンビーク、ゴラン高原、東チモールなど13件延べ1万2000人の自衛隊員が汗を流してきた。政府は「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場からPKOへの協力を重視」している(外交青書)。安倍晋三首相は「南スーダンの国造りに大きな貢献を果たした。首都ジュバでの施設整備は一定の区切りをつけることができると判断した」と撤収の理由を説明した。日本のPKO派遣部隊はゼロになるが、それで日本は国連の安全保障理事会の理事国(非常任)としての責任を果たせるのだろうか?条件が許せば積極的に新たな参加を検討すべきである。

 現在の施設部隊は新安保法制の中で2016年12月、初めて「駆け付け警護」と「宿舎の共同防護」の新しい任務を付与されて送り出された。その時期に起きたのが、現地部隊から日々送られてくる活動報告(日報)の隠蔽問題である。防衛省が新任務の実動訓練を公開した同年10月、菅義偉官房長官はジュバの情勢について「比較的安定している」と強調した。ところが後日分かったことだが、7月11日の施設部隊日報や上部機関である陸自中央即応集団司令部の翌日のレポートには「激しい銃撃戦」「激しい戦闘」の記載があった。官房長官の発言は現地の緊迫した情勢とはかけ離れたものだ。既に8月には、南スーダンで政府軍と反政府武装勢力の戦闘が7月に再開されて「数百人死亡」の情報が流れていた。7月の日報について10月に情報公開請求がされたが、防衛省は12月に「日報を破棄した」として不開示の決定をした。防衛省・自衛隊が情報を官邸に隠していたなら文民統制上も由々しき問題である。

 稲田朋美防衛相が再調査を指示したところ10日後に統合幕僚監部にデータが存在していたことが分かった。しかし、防衛相に日報の「発見」が報告されたのは年が明けて1ヶ月後の2017年1月末、防衛省が日報の保管を公表したのはさらに遅れて2月になってからだった。7月の「戦闘」報告以来、公表までになんと半年以上も費やしたのは防衛省、自衛隊内部に隠蔽体質が染み渡っていたからではないか。稲田防衛相は3月16日の衆院安全保障委員会で「防衛省、自衛隊に隠蔽体質があれば改善したい。事実なら国民の信頼を大きく損ないかねない」と述べたが、国と国民の安全をあずかる防衛トップの指導力こそが今問われているのだ。防衛相は特別防衛監察の実施を直轄の防衛監察本部に命じたが、徹底的な監察とその結果をすべて公表すべきである。

 北朝鮮や中国、ロシアなどの脅威によって日本を取り巻く安全保障環境が悪化している現在、自衛隊に対する国民の理解と支持がなければ、国の安全は確保されない。内閣府の防衛に関する世論調査(2015年1月)でPKO活動への支持は80%と高く性別、年代別にも大きな差異はない。他方、2016年11月の外交に関する世論調査では、PKOへの参加支持は前回調査より6.5%減り73.5%に、参加に消極的ないし反対は7.4%増えて21.9%になった。「駆け付け警護」を含む安全保障法制の国会審議や南スーダンの治安情勢の悪化を反映したと考えられる。世界的に見てもPKOミッションに参加する部隊が無傷であり続ける保証はない。大量の難民が発生するような武力衝突が日常的に起きる世界では、平和維持活動においても犠牲が生じることは覚悟しておかなければならない。これは派遣各国が直面する冷厳な現実である。だからこそ新たな任務を付与された日本のPKO 活動に国民の理解と支持を確固とするする必要があるのだ。そのためにも情報開示を徹底させる大きな責任が安倍内閣にはある。

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