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安倍、「国難突破解散」で賭け   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-26 05:24 [修正][削除]
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3967/3967
 佐藤栄作は「解散はするほど総理の力は高まる」とうそぶいたが、首相・安倍晋三も全く同じだろう。過去4回の国政選挙大勝の経験から選挙こそ政権維持・強化の要と考えているのだ。解散・総選挙の決断をこの時点で行った背景には北朝鮮問題が国民に投げかける安保上の危機感をくみ取るという強い意思が感じられる。まさに「国難突破解散」である。今後1年余りの衆院議員任期の中で、選ぶとしたら今しかないという政局判断も強く作用した。自らの目指す政治信条実現のためもっとも適切な時期を選んで解散に踏み切るのは憲法が裏付ける首相の特権であり、今回の決断も政権担当者として当然であろう。おりから民進党は離党者続出だ。小池百合子の「希望の党」も“落ち武者”かき集めの「野合の党」か、都知事職そっちのけで国政に食指を伸ばす「野望の党」の色彩が濃厚で、全国的な小池百合子ブームなどは生じまい。北の狂った指導者の核・ミサイル実験もとどまることを知らないが、当面は軍事衝突といった事態ではない。その間隙を縫っての解散・総選挙の判断はまさに絶好の機会であったことが後々分かるだろう。朝日新聞は社説で北朝鮮問題があるのに「衆院を不在にする解散より、与野党による国会審議こそ必要」と主張しているが、政治空白などは出来ない。そのための二院制度である。
 
 解散は28日の臨時国会冒頭に行われる。冒頭解散の例は過去に佐藤による「黒い霧解散」、中曽根康弘による「死んだふり解散」、橋本龍太郎による「小選挙区解散」の例がある。黒い霧解散は安定多数を確保して長期政権の道を開いた。死んだふり解散はダブル選挙に結びつけて圧勝。小選挙区解散は28議席を増やして政権安定につながった。今度の冒頭解散は、最低の場合でも自公で政権維持に必要な過半数の233議席以上獲得することは確実であり、安倍政権は維持される方向だろう。もちろん野党の体たらくからみれば安定多数以上の議席を獲得する可能性が大きいだろう。希望の党を立ち上げる小池の記者会見を聞いたが、失礼ながら「嫌な女」感がますます強まった。記者団が「東京五輪、豊洲移転問題が途切れるのではないか」と質したのに対して、小池は「ぷっつんするものではなく、アウフヘーベンするものだ」とヘーゲルの哲学用語を持ち出して煙に巻いた。しかし、小池の場合は「止揚」ではなく、単に「重要課題の先送り」にすぎない。2足のわらじで都政もオリンピックもおろそかにするものにほかならない。戦後の新党なるものは新自由クラブに始まって、維新の党や嘉田由紀子の「日本未来の党」にいたるまで、全てが同じ運命をたどって国民からそっぽを向かれている。日本のこころ代表の中山恭子も25日、離党届を提出、希望の党に移籍する。ばかな反自民系民放テレビがもてはやすが、これも一過性だろう。自民党に3回も比例当選で衆院議員にしてもらった福田峰之は、一度も選挙区で勝ったことがない。こんどは内閣府副大臣にしてもらった恩も忘れて希望に移籍。民進を離党した松原仁といいまさに希望の党は寄せ集めだ。小池は「医師や弁護士が手を上げている」というが、医師や弁護士上がりはろくな政治家はいない。政治的判断力に欠ける衆愚が投票するのはせいぜい1-2回だけであり、我楽多政党の末路は目に見えている。

 こうした小池の姿勢に対して安倍は対決姿勢を打ち出すかと思いきや「希望というのは、いい響きだと思います」と余裕のアピール。「安全保障の基本的理念は同じだろう」との認識を示すとともに、「小池知事とは、東京オリンピック・パラリンピックを成功させなければならないという共通の目標を持っている。選挙戦はフェアに戦いたい」と述べた。安倍の基本姿勢は、選挙後に小池新党を取り込もうとしている気配が濃厚だ。連立参加政党の数を増やす可能性がある。今回の総選挙は定数改正で465議席の争奪戦となる。安倍が宿願の改憲を目指すには定数の3分の2の310議席が必要となるが、自公維だけでは足りなくなる可能性があり、その場合は希望の議席が視野に入る。これを狙っているのかも知れない。

 選挙でアピールする政策のポイントについて安倍は北朝鮮問題に加えて全世代型の社会保障を争点にする構えだ。解散の理由についても19年10月の消費税10%への引き上げにともなう増収の使途変更を挙げている。これまで借金返済に充てる予定だった2兆円を子育て支援や、教育無償化などに充てる構想だ。北朝鮮については「選挙で信任を得て、北朝鮮の脅かしには屈せず、力強い外交を進める」と言明した。この2大争点は野党も反論をしにくいことは確かだ。だいいち前原も消費税の使途で安倍と同様の提案をしている。安倍は解散名を「国難突破解散」と命名して、危機感を煽る戦術に出た。北朝鮮が10月10日の朝鮮労働党創建70周年に合わせて、核実験か弾道ミサイルの発射を実施すれば、まさに「神風」になる可能生もある。国民の危機感は高まり、これが自民党票に直結するからだ。逆に政府や党幹部の失言などがあれば、一挙に崩れる。「寸前暗黒」とみて用心するにこしたことはない。

「日米韓」連携強化の条件   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-25 15:30 [修正][削除]
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3966/3967
 国連総会を舞台にした日米韓首脳会談(9月21日)で、北朝鮮への圧力強化のため中国やロシアを含めた国際社会への働き掛けなど、連携を強めることで一致した。北へのさらなる圧力強化が必要との認識も共有、三カ国の安全保障・防衛協力を進めることも合意した。安倍晋三首相は国連総会演説で「必要なのは対話でなく、圧力だ」と訴えた。国連安全保障理事会の制裁決議とは別に、トランプ米大統領は広範な独自制裁の大統領令に署名した。米本土を射程に収める核弾頭付き大陸間弾道弾(ICBM)の実戦配備が秒読み段階に入ろうとしている以上、当然の措置である。日米韓三カ国による連携強化の条件は三つ。第一に、韓国の文在寅大統領が北朝鮮への融和政策を圧力重視に転換すること。第二に、トランプ政権が政策の一貫性を取り戻すこと。第三に、日本は米国の核抑止力を担保するための防衛力強化をスピードをもって進めることである。首脳会談の直前に韓国政府が北朝鮮に800万ドルの人道支援を行う(実施時期は未定)と発表したことは日米韓連携に水を差すものだ。北朝鮮によるかつてないほどの危機にもかかわらず、左派の文政権の対北融和政策が本質的に変わっていないことを示す。三カ国会談でトランプ大統領は新たな独自制裁で米国の決意の強さを示した。文大統領は三カ国で緊密な協力を続ける考えを伝え、安倍首相は北の核放棄に向けた戦略討議を呼び掛けた。

 文発言は7月6日、G20サミット(ドイツ・ハンブルグ)での日米韓首脳会談の共同声明において、安全保障協力を推進し続けることを約束したのを踏まえたものだ。この共同声明は、北朝鮮に「最大級の圧力」をかけるための協力を約束していた。にもかかわらず、人道支援を韓国政府は決定したのである。文政権の親北姿勢は制裁の効果を損なうものでしかない。ホワイトハウスの発表によれば米韓2国間の首脳会談で両首脳は「北朝鮮への最大限の圧力と制裁が必要」で一致した。これは韓国の人道支援に「待った」をかけたと読める。日本とも安全保障の協力を進めるのであれば、反日政策を根本的に改めてもらわなければならない。

 日米、米韓の両同盟の要である米国の責任はとてつもなく大きい。トランプ氏は大統領選中の「同盟見直し」論をさすがに大ぴらに口にしなくなった。しかし、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉など「米国第一主義」による世界各国とのあつれきが国際秩序の混乱につながっていることに変わりはない。外交に一貫性を欠く政権の体質は大きな問題をはらんでいる。日韓への防衛コミットメントは再確認しているものの、米韓自由貿易協定の再交渉など経済交渉の行方によっては万全でなくなる不安を抱えている。

 日本の安全にとって米国の核の傘を含む拡大抑止の体制が揺るがないことが大前提である。安倍首相がトランプ大統領との信頼関係ができていることは心強い。日米首脳会談(9月21日)でもトランプ氏は「安倍首相は日本国民のためにすばらしい仕事をしている」と持ち上げた。安倍首相も三カ国会談で米国の独自制裁を「歓迎し、心から支持する」と応じ、文氏を前に「ドナルドのリーダーシップ」を連発したほどである。トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)諸国に防衛費の国内総生産(GDP)比2%の達成を要求したように、米国は日韓両国に対しても防衛力の強化を求めてきた。日本としては、スピード感を持って質量ともに大幅な防衛力整備が必要である。それが北朝鮮や中国に対する圧力の大きな柱になることは言うまでもない。

(連載2)「北朝鮮との協議」を難しくする4つのポイント ← (連載1)「北朝鮮との協議」を難しくする4つのポイント  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-24 15:34 [修正][削除]
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3965/3967
 第2に、相互不信が根深いことも北朝鮮問題を協議で解決することを難しくしています。体制の存続とともに、少なくとも既にある核・ミサイルの保有を認めれば、北朝鮮政府に「これ以上核・ミサイルで威圧的な行動をとらない」、「核・ミサイル開発をこれ以上進めない」と約束させることは可能かもしれません。ただし、問題は、北朝鮮がその約束を守るかが定かでないことです。これまでも北朝鮮は国際的な取り決めをしばしば反故にしてきました。その最大のものは、五大国にのみ核保有を認めた核不拡散条約(NPT)に署名しておきながら、その間も核開発を進め、2003年に脱退した後、2005年に核開発成功を宣言したことです(この点、そもそもNPTに参加せずに1998年に核保有に至ったインドやパキスタンは、少なくとも「合法的」であった)。これに照らせば、何らかの約束を交わしても、それが守られないという懸念は払拭できません。その一方で、北朝鮮の側にも不信感はあります。仮に核・ミサイルの放棄を条件に体制の存続を米国が容認したとしても、北朝鮮がそれを信用するとは思えません。リビアのカダフィ政権の場合、2000年代初頭からの西側との緊張緩和の一環で大量破壊兵器を廃棄しました。しかし、その後の2011年の「アラブの春」とリビア内戦の混乱のなか、NATOの軍事介入によってカダフィ体制は崩壊。金正恩体制がカダフィ体制と同じ轍を踏まないよう警戒していることは、核・ミサイル保有に固執する一因になっているといえます。

 そして、第3に、北朝鮮が核・ミサイルを既に保有しているという事実も、交渉を難しくする一因です。同じく核開発をめぐって各国と対立したイランの場合、「平和利用」を条件に原子力開発を制限することで合意に達しました。まだ保有していないイランと異なり、北朝鮮は既に核兵器を保有しているのであり、それを「放棄させる」ことは、金正恩体制を崩壊させない限り、ほぼ不可能といえます。人間は、いまだ手に入れていないものは容易にあきらめられても、一度手に入れたものは手放そうとしません。信用できない相手から死活的利益の放棄を求められ、全面的な封鎖で追い詰められれば、「降伏する」より「日干しになる前に一撃喰わせて自分の言い分を認めさせる」ことが合理的判断にさえなり得ます。自らの軍事力にそれなりの自信があれば、なおさらです。満州事変後、原油禁輸を含む全面的な経済封鎖を敷かれ、明治以来の全ての権益を手放すことを求められた日本が、米国の「経済封鎖で日本は大人しくなるはず」というシナリオと裏腹に、むしろ米国攻撃に向かったことは、これに符合します。

 さらに北朝鮮との協議を難しくする第4の、そして最後のポイントは、北朝鮮の核・ミサイル保有を特例として認めた場合、NPTが地盤沈下を起こし、同じように核武装を目指す国が生まれかねないことです。NPTは、第二次世界大戦末期米国が核兵器の開発に成功し、戦後にソ連、英国、フランス、中国がこれに続くなかで1968年に結ばれました。つまり、NPTの締結は、五大国にとっては「先行者の利益」を確保でき、それ以外の国にとっては「これ以上の核拡散によって世界全体を不安定化させることを防ぐ」という利益を得られるものだったのです。五大国のみが核保有を認められることは確かに不公平なものですが、行きがかり上、世界全体の安定の観点から避けられないものだったといえます。しかし、北朝鮮を特例と認めれば、第二、第三の北朝鮮を生むリスクも発生します。それは既に不安定化している世界の安全保障環境を、さらに不安定化させ得るといえるでしょう。

 こうしてみたとき、北朝鮮の要求のうち、「体制の維持」はともかく、「核・ミサイルの保有」を受け入れることは、各国にとって大きなリスクとなります。しかし、冒頭に述べたように、経済制裁で北朝鮮を締め上げることには限界があり、軍事行動のリスクも大きすぎます。そのため、いずれは協議に向かわざるを得ませんが、どちらにしてもリスクがあるなら、より小さなリスクを選択する必要があります。「北朝鮮から核・ミサイルが飛散するリスク」と「北朝鮮の核・ミサイル保有を認めるリスク」の二者択一を迫られた時、米国がより不確実性の高い前者を嫌ったとしても、不思議ではありません。もちろん、その場合であっても、必要以上のごね得を許さないために、「これ以上の核・ミサイル開発をしない」ことを北朝鮮に約束させ、その監視体制を構築するなどの条件がつくことは容易に想像されます。とはいえ、朝鮮半島に核保有国がある状態が常態化する可能性があることも、あらかじめ想定する必要があることは確かです。いずれにせよ、北朝鮮問題は大きな転機を迎えつつあるといえるでしょう。(おわり)

(連載1)「北朝鮮との協議」を難しくする4つのポイント  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-23 00:04  
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 9月15日、北朝鮮が再びミサイル発射に踏み切りました。水爆実験を受けて、11日に国連安保理で天然ガス禁輸などを含む制裁が決議されたことに反発してのものとみられ、そのわずか3日後の出来事でした。今回のミサイル発射に対して、16日には日米の要請で安保理の緊急会合が再び開催され、北朝鮮に対する「強い非難」が表明されました。しかし、11日以前の段階でトランプ政権は「原油の全面的な禁輸」を盛り込んだ制裁を提案していましたが、16日の会合では9月11日に採決された石炭・鉄鉱石などの輸出禁止や石油精製品の輸出上限の設定などの制裁の履行が求められた一方、新たな制裁決議は決議に盛り込まれませんでした。新規の制裁がなかったことには、北朝鮮に一定の理解を示してきた中ロへの配慮や、速やかな非難決議を優先させたという見方ができます。しかし、その一方で、新たな制裁決議が盛り込まれなかったことは、日米韓とりわけ米国にとって、結果的に「一息つく」余裕を生み、北朝鮮との協議に向かう可能性をもたらしたといえます。

 これに関してまず確認すべきは、原油の全面禁輸は経済封鎖のなかで最も強いカードであるため、これで効果があがらなかった場合、米国による軍事行動もいよいよ視野に入ってくることです。しかし、核保有国同士の衝突となれば、米国も少なくとも無傷ではすみません。加えて、金正恩体制を崩壊させれば、核・ミサイルが闇市場を通じて拡散するリスクもあります。リビアでは、カダフィ体制の崩壊が中東・アフリカ一帯に武器を流出させ、IS台頭の一因となりました。北朝鮮の場合、核・ミサイルは各国との交渉を有利に運ぶための手段であり、「実際にそれを使用する」ことはほとんど想定できません。つまり、北朝鮮の場合、分かりにくい形ではあっても、「自分の利益を最大化すること」を目指す合理性があり、だからこそ北朝鮮は実際に米国に着弾させることはしないといえます。ところが、イスラーム過激派のようなテロリストの場合、そのような合理性を期待することはできません。核抑止とは、相手の損得勘定に働きかけて攻撃を思いとどまらせるものであり、自爆攻撃すら厭わないテロリストには全く無力です。その意味で、テロリストの手に渡る状況を考えれば、金正恩体制が核・ミサイルを握っている方が、確実性という意味では「まだまし」と思わざるを得ないのです。

 したがって、軍事行動に踏み切るリスクを考えれば、米朝が水面下で行っているといわれる接触を公式の協議にもっていく必要があります。しかし、対立の解消において、「どのタイミングで協議を始めるか」はそのゴールにまで影響を及ぼすものです。つまり、どちらかが圧倒的に有利な状況下で協議を始めれば、その状況が結論に大きく反映されます。米朝がお互いに次々と強いカードを切っていく状況においては、双方ともに「自分が有利な状況にある」という心理的アリバイを抱く余裕すらありません。しかし、それは裏を返せば、それぞれが「自分の有利」を確信できる状況なら、米朝が交渉に向かうことが可能になります。その意味で、15日のミサイル発射と16日の国連安保理の新制裁ぬきの決議は、両者がそれぞれ「自分の有利」という心理的アリバイを確保でき、交渉に向かうことを可能にする状況を生んだといえます。「中ロの反対があったから新制裁は延期する」という大義のもと、16日の決議で原油禁輸などの新制裁が盛り込まれなかったことは、米国にとってむしろ幸いだったともいえます。それにより、実際には全面衝突に向けてのスピードを落とせただけでなく、「11日の(北朝鮮の輸出総額の9割を削減すると見込まれる)これまでにない制裁を着実に履行する」という大義があることで、「我々の側がいまだに優位にある」と思えるからです。これに対して、北朝鮮にとっても、16日の決議に新制裁が含まれなかったことは、単に「これ以上の制裁に直面しなくて済む」という以上の意味があったとみられます。15日に発射されたミサイルは射程が約3500キロメートルとみられ、これによって北朝鮮はグアムに到達できる力を示しながらも、実際には別方向に向かって撃ちました。つまり、北朝鮮も「グアムを攻撃できる」ことをみせながら、そうしないことで全面衝突のスピードを落としたといえます。そして、これに対して、国連安保理では、非難決議以上のものは出されませんでした。つまり、このタイミングは、米朝ともに「自分たちが優位にある」と心理的なアリバイを作れるものです。これは、米朝間の協議に向けた第一歩になり得るといえるでしょう。
 
 しかし、緊張のエスカレートから抜け出すために米朝が協議に向かったとしても、そこには幾多の困難があります。第1に、最大の問題は、共通の利益を見出すことが難しいことです。国際政治においては、対立する者同士でも、利害関係が一致すれば交渉が行われることは珍しくありません。冷戦時代、1969年からの戦略兵器制限交渉(SALT)をはじめ、米ソはしばしば核兵器の軍縮・軍備管理を協議しました。この場合、「無制限に核軍拡を進めれば、緊張が高まるだけでなく、双方ともにコストが大きくなる」という共通認識のもと、核兵器の制限に共通の利益を見出せたことが、協議を可能にしました。しかし、北朝鮮の場合、「共通の利益」を見出すことはソ連との場合より難しいといえます。北朝鮮は体制の維持を最重要課題としていますが、むしろ最大の焦点は「北朝鮮の核・ミサイル保有を認めるか」にあるからです。ティラーソン国務長官をはじめ、米国政府は北朝鮮の体制については認める発言を繰り返しています。つまり、各国にとって最大の懸案は、北朝鮮の体制ではなく、その核・ミサイル開発にあります。そのため、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すれば、海外からの援助・投資も再開され、国民の窮状も改善されるでしょう。国家・国民を優先させるなら、それが北朝鮮にとって合理的な判断といえます。しかし、北朝鮮では体制が国家・国民に優越します。国家の発展や国民の幸福を犠牲にしてでも体制の存続を図ってきた北朝鮮政府にとって、核・ミサイル開発はそれを米国に認めさせる手段でもあります。そのため、全面的な経済封鎖があったとしても、北朝鮮にとって核・ミサイル開発を放棄することは全く非合理的な選択といえるでしょう。つまり、北朝鮮を取り巻く問題の構造は、「北朝鮮の核武装を認めるか、認めないか」という二者択一であるため、当事者の間に「共通の利益」を見出すことは困難なのです。(つづく)

(連載2)北朝鮮問題と駝鳥の平和論 ← (連載1)北朝鮮問題と駝鳥の平和論  ツリー表示
投稿者:袴田 茂樹 (神奈川県・男性・日本国際フォーラム評議員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-23 00:04 [修正][削除]
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3963/3967
 さて日本の対応であるが、インターネット上での反応を見る限り、メルケル発言への支持が圧倒的に多い。ドイツの首相ではなく日本の首相があの発言をすべきだった、との見解も少なくない。北朝鮮の核開発や事実上それを容認する中国、ロシアの対応に対して最も危機感を抱くべきなのは我々日本人であろう。では、わが国の国会で与野党がこの問題を真剣に議論しているだろうか。実際に討議されているのは、安全保障の現実を無視した観念的な憲法論議や、森友・加計問題など権力闘争絡みの国内政局が中心で、今日の世界全体が直面している国際危機をリアルに認識して、わが国がそれにどう対応するかについては、ほとんど議論されていない。安保法制に対する国会やメディア上での議論が、国際常識から如何に離れているか、という認識も我々はほとんど有していない。つまり、わが国の多くの国民や政治家たちは、世界の現実の動きやそれがもたらす危機には目をつむっている。

 26年も前の湾岸戦争の後、村上兵衛氏(1923-2003)が、日本人の平和・戦争観について次のような辛辣な言葉を述べている。巷間、戦後の日本は戦争を放棄したと、と言われる。無論それはウソである。日本人は戦争も平和も、ともに「考えること」自体を放棄して、今日まで来たのである。戦後の日本の「平和思想」あるいは「平和主義」が、いかに軽薄かつ詐欺に充ちたものであったか……(今日の日本人の)近・現代史に対する無知、無関心は驚くべきものである。平和を、戦争との相関において考えようとしない知的な怠惰……。過去の歴史はおろか、現代世界に生起しつつある「戦争と平和」について、その一切に目をつぶって来た。日本人は「駝鳥の平和(砂に頭だけを突っ込んで目を塞ぐ)」を生きて来た。日本人は自分自身をダマす天才である。(『This is 読売』 1991年4月号)

 村上氏は22歳のとき陸軍中尉で敗戦を迎え、戦後東大ドイツ文学科を出た作家、評論家である。彼の言葉は、今日の北朝鮮の核問題、中国やロシアの軍事拡張に直面する現在のわが国に対しても、ほぼそのまま言えるのではないか。近年は安全保障問題に多少関心が高まっているとはいえ、森友・加計問題、自衛隊「日報」問題などよりも真剣に、野党が北朝鮮危機や中国問題に関して関心を持ち、与党に政策論議を挑んでいるとは到底思えない。政権側には確かに深刻な諸問題は存在する。しかし、野党の観点からすると、日本国民にとって、北朝鮮、中国などの強硬政策より、今の日本政府の方がはるかに危険なのだろうか。(おわり)

(連載1)北朝鮮問題と駝鳥の平和論  ツリー表示
投稿者:袴田 茂樹 (神奈川県・男性・日本国際フォーラム評議員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-22 13:48  
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 北朝鮮のミサイル・核をめぐって、同国と米国の間でチキン・レース的なきわどい応酬がなされている。それに対するメルケル首相の批判は正しいのだろうか。また、日本国民はこの危機に、真剣に対応しているだろうか。北朝鮮は7月に2回、ミサイルの発射実験を行った。7月28日夜の発射の後、金正恩は、「米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきりと立証された」と述べた(毎日新聞)。それ以前に北朝鮮は、同国の大陸間弾道弾によって「アメリカ帝国は前代未聞の核惨禍の中で悲惨な終末を迎える」といった発言もしていた。そして、8月9日には、米軍基地のあるグアムから30-40kmの水域に、中長距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時に着弾させると発表し、そのルートとミサイルが通過する日本の地名まで具体的に挙げた。ちなみに今年3月にも北朝鮮はミサイル発射実験を行ったが、日本の米軍基地が目標だと明言した。

 これに対してトランプ大統領は8月8日、グアム周辺へのミサイル発射予告の直前に、「北朝鮮は、これ以上アメリカを脅かさないのが最良だ。さもなくば、北朝鮮は、世界が見たことがないような炎と怒りに直面するだろう」と警告していた。そして、北朝鮮のミサイル予告後の10日には「8日の発言は物足りなかったかもしれない」と述べ、北朝鮮への発言は脅しではないと強調して「グアムに対して何かすれば、誰も見たことのないような事態が北朝鮮で起きることになる」「北朝鮮が新たな大陸間弾道ミサイルの発射実験や核実験を行った場合は、武力行使も辞さない」との強硬発言を行った。同時にトランプは「対話の用意がある」との発信もしてきた。

 この両者の発言に対して、ドイツのメルケル首相は北朝鮮だけでなく米国に対しても「誤った対応だ」と批判し「問題の軍事的な解決はあり得ない」と米朝双方に自制を求めた。つまり、武力行使による解決ではなく話し合いと外交による解決を求めた。外交的な対話以外に解決法はない、というメルケルの言は正論だ。しかし、彼女の考えには致命的な間違いがある。それは、状況によっては武力行使の現実の可能性を突き付けて、つまり「テーブル上に全ての選択肢」を置いて初めて、彼女の主張する「対話による解決」も可能になる、という政治のリアリズムの初歩を彼女は無視しているからである。メルケルは、中国や北朝鮮の問題が、日本にとってどれだけの脅威か、リアルには理解していない。中国に親密な姿勢を示す彼女にとっては、南シナ海、東シナ海問題も、北朝鮮問題も、「遠いアジアの紛争」に過ぎないのだろう。今回のトランプの強硬発言は正しかった。ただ問題は、大統領に安定した戦略思考が見られないことだ。側近の頻繁な入れ替えがそれを示している。

 尤も今日の時点では、たとえ「解決」が可能になるとしても、残念ながら北朝鮮の核廃棄は、無意味な(というより逆効果の)「6者協議」などで何年も無駄にしたため、すでに絶望的である。ただ今後、対応次第で北朝鮮に一定の譲歩をさせることは可能だ。事実、「グアムに向けてミサイルを発射したら武力攻撃も辞さない」とのトランプ発言に対して、8月14日に金正恩は、「米国の行動をもう少し見守る」と述べた。これは米国の強い決意の前に、世界が注視する中で金正恩が屈服し譲歩した訳で、彼にとっては大きな屈辱だ。トランプの対応に彼が屈したのも、今年4月に米軍が地中海からシリアの空軍基地(ロシア空軍も使用)に59発の巡航ミサイル・トマホークを打ち込んでいたからだ。つまり、算盤勘定のディールしか関心がないと見られていたトランプも、オバマと異なり、いざとなったら武力行使することを示していたからである。メルケルが批判したように、もし米国が「話し合いの解決」のみを予め宣言していたなら、また日米間の軍事協力や日本海での米韓合同演習、THAADミサイルの配備などもなかったなら、北朝鮮を譲歩させることは出来なかっただろう。(つづく)

動き出した「極東冷戦」長期化の構図   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-21 06:16 [修正][削除]
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3961/3967
 トランプの国連演説をどう読み解くかに世界中が躍起になっている。米国内でも大まかに言えば「軍事力行使も含めて北の体制変革を追求するもの」と「核保有国として北を封じ込めるもの」に二分されている。しかし筆者はこの二者択一ではなく、「核保有国としての北朝鮮を封じ込め、金正恩体制の崩壊を追及する」という形で“連動”したものだと思う。注目すべきはトランプ発言のこの部分だ。「今こそ全ての国が結束して金正恩政権を孤立化させ敵対行為をやめさせるときだ」。この発言が意味するところは事態が北朝鮮を封じ込め、陰に陽に支援する中露をけん制する広義の「極東冷戦」の構図に入ったことを意味する。短期間で終わるか東西冷戦並みに半世紀近くも続くかは不明だが、トランプ発言からは長期対峙の構図が透けて見える。こうした方針を裏付けるかのように首相・安倍晋三は国連演説で「必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調した。

 多くのマスコミがトランプ発言をとらえて、軍事的な行動の可能性の側面だけを強調しているが、必ずしもそうではあるまい。発言の核心である「アメリカは偉大な強さと忍耐がある。だが自国や同盟国を守らざるを得ない状況に追い込まれたならば、北朝鮮を完全に壊滅させる意外に選択肢はない」を読み解けば、ちゃんと前提がある。「状況に追い込まれたら」の部分である。状況に追い込まれなければどうするかは言及しておらず、まだ状況に追い込まれていないと解釈できる。国務省のナウアート報道官はトランプ発言について「国際社会が力を合わせて北朝鮮に圧力をかけることが重要ということをはっきり示したかった」と解説している。この「国際社会が一致して圧力をかける」の意味は、明らかに封じ込め戦略である。戦後米国が取った独裁国家に対する封じ込め戦略は大小様々なものがあるが、最大のものは半世紀弱にわたってソ連に対して実行された東西冷戦である。1946年に始まった冷戦は最終的には1991年のゴルバチョフ辞任によるソ連邦崩壊で終わった。ワシントンでも対北封じ込めの長期戦略を唱える声が増大している。なぜなら戦略的に対北軍事行動はソウル、日本という“人質”が存在しており、金正恩による破れかぶれの報復を考えれば、事実上成り立たないからだ。トランプ発言の「壊滅」とは、金正恩本人、核施設、全てのミサイル施設、全てのソウルに向けられた長距離砲を対象としたものであり、国民を含めたものではない。国防総省はそれが可能な作戦を組み立ててはいるようだが、危険が伴うこの種の軍事的オプションは最後の最後の選択とならざるを得ないのだ。

 ウオールストリートジャーナルは封じ込め戦略について「高価で恐ろしい状況だが、朝鮮半島で戦争が起きるほど恐ろしくない」とワシントンの本音を述べている。同紙は封じ込め戦略について「外交的手段で北朝鮮の核プログラムを廃棄させることができなければ、米国やその同盟国は核保有国の北朝鮮を封じ込める長期的な戦略に目を向けることになろう。そうなれば、ミサイル防衛システムのための支出は大幅に増加し、米国のアジアにおける軍事プレゼンスは拡大し、日韓の軍備は増強され、おそらく米国の戦術核の韓国への再配備が行われるだろう」と書いている。安倍は国連演説の中で「北朝鮮にすべての核・弾道ミサイル計画を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのために必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調したのは、このトランプ路線と同期するものであろう。米国は既にこの封じ込め戦略を世界的な規模で実行に移しており、その効果が生じ始めている。韓国東亜日報によると米国は、北朝鮮が5回目の核実験を強行した昨年9月以降、高官クラスが世界各国を回り、安保理決議とは別に北朝鮮との外交関係を格下げするか断絶する追加措置を取るよう要請してきた。これを受けて スペイン政府が18日、自国に駐在する北朝鮮大使に30日までに出国するよう命じた。メキシコ、ペルー、クウェートに続き4番目の北朝鮮大使の追放だ。またペルーやクウェート、イタリア、ブルガリア、南アフリカ共和国などは、自国内の北朝鮮外交官の数を大幅に削減した。外交関係において大使の追放は断交の次に強力な措置であり、北朝鮮の核実験に対する最も強力な警告と抗議を含んでいる。これまでに米国の「外交封鎖」政策に呼応して、北朝鮮の大使を追放したり外交官の数を減らしたりした国は約10ヵ国にのぼる。アンゴラ、ベトナム、エジプトなど過去に北朝鮮と友好的だった国も、最近では国連の北朝鮮に対する制裁決議履行の報告書を提出するなど積極的に応じている。北朝鮮の3大貿易国であるフィリピンもさる8日、北朝鮮との貿易を中止すると宣言した。

 こうした対北包囲網はロケットマンに対してボディーブローのように利くものとみられるが、問題は貿易の90%を占める中国をどうするかだ。トランプの国連発言はその意味で北と同時に中国を強くけん制するものでもある。トランプは金融面からの締め付けを今後一層強化する方向だし、対中貿易にも大きく踏み込むものとみられる。ロシアとの貿易も大きく増えており、中露の説得がカギとなっている。こうしてトランプ発言は中露も巻き込んだ極東冷戦の構図を一層濃くしてゆきそうだ。ただし極東冷戦の構図は中国が北を“支援”する限り、実効を上げにくい。米ソ冷戦でも度々あったように一触即発の危機がないとは言えない。冷戦戦略の成否は全て中国にかかっていると言っても過言ではない。

対北抑止とアベノミクス総仕上げを問う:解散・総選挙   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-18 04:51 [修正][削除]
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 8月初めから筆者が予想していた通り、首相・安倍晋三が臨時国会冒頭解散に踏み切るようだ。まだ安倍の発言がないが、ほぼ間違いなく冒頭解散だろう。総選挙は来月22日になる可能性が高い。一部新聞は選挙のテーマがなく党利党略の解散のように主張しているが、そうではあるまい。日米同盟の堅持による対北朝鮮抑止力強化など安全保障問題が今ほど問われているときはない。加えてアベノミクスの大成功で経済は活況を呈しており、その総仕上げの是非を問うことになる。極東安保とアベノミクスが2大テーマだ。おりから野党は民進党が離党続出の体たらくであり、「若狭新党」なるものも、若狭勝のにやけた髭面でカリスマ性が欠如。小池百合子が乗り出しても、全国的な盛り上がりは見せないだろう。自民党は、内閣と党の支持率回復を背景に委員会の過半数に加えて委員長を獲得できる議席数269の絶対安定多数以上は確保出来るものとみられる。場合によっては、現在の293議席も“夢”とはいえないかも知れない。従って安倍長期政権は確定する。

 解散原稿というのは“読み”と“推理”で書く記事の筆頭だ。解散権を持つのは日本で安倍1人。誰も知らない首相の胸中を推し量って書くのだから、極めて高度の判断力が必要である。一種の「動物勘」が必要になるが、近頃の政治記者にはこれが欠ける。刑事に動物勘がなくなったのと同様に政治記者にも勘が働く政局担当記者がいなくなった。こればかりは自慢する訳だが、筆者は8月4日に安倍が改憲にこだわらず年内に解散する方向を打ち出し、同月29日にも「臨時国会冒頭解散」 と世界最速の見通しを打ち立てている。報道各社の茨城知事選の報道ぶりについて筆者は「茨城知事選の自公勝利に対するマスコミの反応が鈍い。『衆院3補選に弾み』などとやっているが、視野狭窄(きょうさく)的反応だ。ここは『早期解散に弾み』と打つべき時だ」 と洞察している。政治記者共は人がせっかく教えてやっているのに爺(じじい)のたわ言扱いして、無視しよった。民放テレビのトーク番組のごときは、コメンテーターがつい最近まで「解散は来年末」などと予言しておった。

 今回の解散報道は17日朝刊が勝負の場面であった。内容と言い質と言い産経の圧勝だ。産経は「安倍首相は28日の臨時国会召集から数日以内に解散」と冒頭解散を強く打ち出している。朝日もサブ見出しで「臨時国会冒頭も視野」 と打っているから合格だ。日経は「早期解散強まる」 で、まあまあの報道ぶり。NHKは早朝から「臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し」 とやっている。独自取材による報道と思いたいが、17日午前2時に共同通信が「与党が年内解散へ準備」 と冒頭解散を短く報道しているから、これを見た可能性がないとはいえない。共同は地方紙で中央紙の早版を刷っているところがあるから、地方紙から情報を得た可能生もあるが確かではない。午前2時では新聞の締め切り後だ。どうしようもないのは読売、毎日、時事の後追いだ。ただ読売は8月28日に早期解散の可能性をトップ記事ではないが3面に書いているから救われる。毎日は17日12時39分、時事は12時37分で全くの後追い。昔の時事は解散ではトップを切っていたものだが、近頃は動物勘がなくなったらしい。

 朝日と毎日は例によって「臨時国会冒頭での解散は、森友学園・加計学園問題を隠すものだとして野党からの反発は必至。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射が続く中、政治空白をつくることへの懸念もある」 と、難癖を付け、野党に“入れ知恵”している。しかし「モリカケ」 は、モリの当事者が逮捕されて政治的には決着。カケも新事実は2か月出ておらず選挙民は忘却の彼方だ。「政治空白」 は、いつ総選挙をやっても出来る。北朝鮮は金正恩が核ミサイル実験について「完成目標は終着点に至った」 と延べており、ひょっとしたら一段落かもしれない。今のうちに解散・総選挙をやった方が利口だ。戦争に突入する可能性があるなら気が抜けないが、まずない。あっても参院はそのためにある。政府の重要決断があれば、とりあえず参院に報告すればいいだけの話だ。北のおかげで国民の安保意識は一段と高まりを見せており、これは自民党に有利だ。経済も絶好調だ。有効求人倍率は全国平均で1.52倍であり、東京では1人に2つ職がある2倍だ。バブル期の最高が1.46倍である。1974年2月以来43年ぶりの高水準だ。従って臨時国会冒頭解散は自民党にとって今後来年末の衆院任期切れまでに再び生じないチャンスであろう。

北朝鮮問題に特効薬はない   
投稿者:篠田 英朗 (東京都・男性・東京外国語大学大学院教授・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-15 11:25 [修正][削除]
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 小野寺防衛大臣が、北朝鮮は核保有国としての能力を持っている、と発言した。その一方で、日本としては北朝鮮の核保有を容認することはできない、という立場を明言した。率直な言い方であり、妥当だと思う。現状認識として、核開発がここまで進んでしまっては、北朝鮮に核廃棄をさせるのは困難である。巷では、軍事的圧力だけではなく外交交渉を進めろ、といった抽象的主張が横行しているが、外交交渉は簡単ではない。在韓米軍の撤退くらいの手土産を用意するのであれば、話は別だが、もし北朝鮮に譲歩する形で撤退したら、朝鮮半島の力学に大きな転機をもたらし、新たな問題を引き起こすことが懸念される。

 小野寺防衛大臣が述べているように、北朝鮮が核武装をしていること自体は、もはや一つの事実である。したがって、米国とその同盟諸国が抑止効果を狙った対策をとっていること、北朝鮮がすでに抑止効果を持つ手段を保有したと自負していることは、すでに発生した事実である。北朝鮮に対する抑止策とは、現在すでに存在している仕組みのことなのである。ただし、抑止策だけで、北朝鮮の実験・開発を止めさせることはできない、ということだ。この状態は、次のいずれかが実現するまで続くだろう。すなわち、(1)何らかの状況の変化による劇的な外交交渉の進展、(2)北朝鮮における体制転換、(3)戦争の勃発、のいずれかである。現状では、これら3つの全てについて、準備をしておかなければならない。

 北朝鮮を核保有国として容認するかどうか、という問いは、今後も核廃棄を北朝鮮に対して求め続けていくか、という外交姿勢の問題である。私自身は求め続けていくべきだと考えている。そのため、「異次元制裁」を実施できるかどうかが、当面の課題だと考えている。制裁に限らず、中国を取り込めるかどうかが、大きな鍵である。最近、スーザン・ライス元国家安全保障担当大統領補佐官や、ロバート・ゲーツ元国防長官ら、オバマ前政権時代の高官が、北朝鮮を核保有国として認めたうえで、制限管理策に関する合意を模索するべきだ、という見解を表明している。だが実は制裁以上に中国が合意するか不明な政策方針であり、簡単に実現し、維持できる見込みがあるわけではない。無策だったと批判されているオバマ前政権時代の高官の発言だ、と理解せざるを得ない。

 容認論の延長線上で、韓国と日本の核保有が議論されている。日本国内にも、核兵器を保持すれば、現状が打開できるのであれば、それでいいのではないか、といった議論が見られる。だが本来は核抑止とは、非常に複雑な仕組みであることを忘れてはならない。日本がただ一つや二つ核兵器を開発すれば、それで全て安定するというわけではない。これほど非対称かつ不安定な状況で、核抑止体制が構築された前例はないのではないか。むしろリスクが高まる恐れすらある。事態を打開する簡単な方策はないと認めた上で、安易な仮説に飛びつく誘惑には警戒すべきである。

いつまで続くか「北辺の猿の尻笑い」   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-15 05:45 [修正][削除]
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 北朝鮮が世界をあざ笑っている。金正恩は「火星14号」を、日本列島を越えて発射する準備を着々と整えている。8月29日の列島越え以来の発射だ。自分の欠点に気がつかずに、他人をばかにして笑うことを「猿の尻笑い」というが、太った猿の尻笑いが、またまたテレビでお目にかかれるのは楽しみだ。尻笑いできるのは中国が“密輸”大歓迎で、いくらでも買ってもらえるからだ。ロシアも抜け道大歓迎だ。今度の国連決議のガソリンなどの55%削減と労働者の雇用の全面禁止などは、お茶の子さいさいで抜け道があると北は高をくくっているし、中国ロシアはそのつもりだろう。実際に効果は疑わしい。しかし、米国と日本の国際世論醸成に向けての外交攻勢はたけなわとなりつつある。今度ばかりは「決議して終わり」 でなく「決議が始まり」 となるだろう。
 
 米財務長官スティーブン・ムニューシンは「北との貿易取引を行う国との貿易を止めることが出来る」と発言したが、ホワイトハウス筋は「発言が世界的に利きだした」と漏らしているという。もちろん中国がターゲットだが、その他の国々も北との交易をちゅうちょし始めているのだという。それもそうだろう。中国が北からの輸出の90%を引き受けているから残りの10%などはたいした数字ではない。そのために対米貿易が損なわれては各国とも元も子もなくなるのだ。中南米ではメキシコとペルーが北朝鮮の外交官の国外退去を実施、ブラジルとチリも足並みをそろえる。アジアでは首相・安倍晋三とインド首相のモディとの会談で、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル開発を非難する共同声明を発表。声明は北朝鮮について「最も強い言葉」で非難し、核・弾道ミサイル開発の放棄や挑発行動の自制、拉致問題への最大限の早期の対応を要求した。この声明がアジア各国に与える影響は大きい。ベトナムやフィリピン、北との友好国カンボジアまでも安保理決議を履行すると宣言している。ヨーロッパでは国務長官ティラーソンが英首相メイと会談、「国際情勢を不安定化させる金正恩政権に圧力をかけるため共に取り組む」事になった。ドイツ首相メルケルも仏大統領マクロンと電話会談で「北朝鮮問題での関与を強める」事で一致している。

 国際世論の高まりは単に北朝鮮への圧力になるだけではない。中国ロシアへの牽制効果がある。実際中国による“密輸”奨励のやり口は巧妙だ。北の船舶はパナマ国旗やジャマイカ国旗をつけて石炭を北から運び出し、ウラジオストクで1日停泊した上で中国の港で荷下ろしをするという迂回策をとっている。また英ファイナンシャルタイムズは北の船舶数百隻が香港の幽霊会社に所属して密輸に使われていると報じている。米共和党下院議員のテッド・ポーは「数年間、我々は北朝鮮の金一家に弄ばれた」と憤懣を延べ、「こんどこそ決着を付ける」との決意だという。北朝鮮の船舶偽装と不透明な船舶貿易ネットワークが、国際社会の制裁の中でも北朝鮮経済が持ちこたえることができた要因ということだ。国連制裁などは中国にとってわけもなく抜け道を作れるというのが現状だ。従って北の横暴をストップさせるには「中国対策」が全てのカギを握ることになる。ムニューシンは「中国が国連制裁を徹底的に履行しない場合、我々は中国を追加で制裁する。中国が国際ドル通貨システムに接近できないようにする」と発言している。下院外交委員長ロイスは12日に開かれた外交委公聴会で中国の招商銀行、農業銀行、建設銀行、丹東銀行、大連銀行、交通銀行、錦州銀行などを名指しして「制裁対象になり得る中国機関のリストを委員会名義で政府側に伝えた。今は最大の圧力を加える時」と述べている。トランプが国連制裁決議について「小さな1歩に過ぎない」と述べているのは、こうした中国の銀行直撃の対応が含まれているのだろう。

 こうした世界世論が高まりを見せる中であきれたことに韓国大統領文在寅は何と北朝鮮に国際機関を通じて800万ドルの「人道支援」を行うのだという。人道支援は2015年に80万ドルを送って以来21か月ぶりだが、いくら革新系とはいえ文在寅の“精神状態”が大丈夫かと言いたくなるような動きだ。人道援助とはいえ、今北朝鮮に金品を送ると言うことはまさに“利敵行為”となることが分かっていないのだろうか。官房長官・菅義偉が「国際社会が結束して明確な意志を示す中で、北朝鮮に対して圧力を損ないかねない行動は避ける必要がある」と述べている通り「盗人に追銭」そのものだ。これを認めたらせっかく構築しつつある国際的な包囲網に影響が生ずることが分かっていない。ダダ漏れとなる。前から「駄目大統領」と思っていたが、その度しがたさは世界有数だ。

地球温暖化からの警鐘   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-13 13:26 [修正][削除]
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 アメリカ合衆国ではこの夏、過去最大級のハリケーン・ハービーがテキサス州東部に上陸した。その後停滞したこともあり、総雨量は1000ミリにも達し、63人が犠牲となる被害が出た。100年に一度の惨事とも言われている。
さらに今週末には、大西洋史上最強と言われるハリケーン・イルマがやってくると大騒ぎである。ドミニカ、キューバなど西インド諸島の国々を巻き込みながら、フロリダに上陸する可能性が高い。「ハリケーン銀座」と言われ、慣れっこになっているフロリダ州民だが、真剣に避難準備を始めたという。

 一方、東日本ではこの夏、記録的な日照不足になった。場所によっては観測史上最小というところもあった。真夏のジリジリ照りつける太陽が恋しいくらいだった。平年の3割から4割という日照時間は、農産物の生育に影響を及ぼし始めている。こちらも100年ぶりという異常気象である。いずれもその原因は地球温暖化にあるという。強いハリケーンは、海水温の上昇で水蒸気の供給が多くなり、パワーを増しているのだ。日本の日照時間減少は温暖化に逆行しているように思うが、温暖化の影響による偏西風の蛇行で、夏の主役の太平洋高気圧が張り出さず、ずっと梅雨のような天候をもたらしたとされる。これまで発生した台風が迷走気味なのも、これが原因である。

 地球温暖化を防止するための国際会議、COP21が一昨年冬パリで開催され、「パリ協定」が発効した。加盟各国が今後のCO2排出量削減目標をプレッジし、その履行状況をチェックしていく仕組みである。しかし中国に次いで第2位、全体の16%を排出するアメリカは、トランプ大統領の宣言により、離脱の手続きを開始している。

 この影響はアメリカが約束を履行しないだけでなく、全体の箍が外れ、追随する国が出ないとも限らないのである。トランプ大統領には、被災地の惨状をしっかりと見据え、もう一度温暖化防止チームのリーダーに帰ってきて欲しい。それが本物のMake America great again!!になるはずである。

「北への石油」の陰に中露の極東戦略   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-13 05:51 [修正][削除]
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 国連の対北制裁決議を分析すればするほど、極東における“準冷戦”構図の厳しさに帰着する。「日米韓対中露」対峙の構図だ。その中心に位置する北朝鮮の“ばか大将”ならぬ“核大将”金正恩が両者の力関係を見据えるかのように核とミサイルの実験を繰り返す。そのたびに国連もむなしい決議を繰り返す。2006年10月9日に北朝鮮が初めて核実験を行ったことに対し、安保理が、同月14日に核の不拡散と北朝鮮に関する決議を採択して以来、9回にわたり繰り返された決議がミサイルと核実験を止められない。止められないから技術力はどんどん向上して、早ければ半年後には米大陸に届くICBMが実現する。国連が如何に無力であるかを物語るものにほかならない。もはやオリンピック精神ではないが決議に参加することに意義があるとしか思えない。ぬかに釘なのである。勢いづいた金正恩は今度はICBMに模擬核弾頭を載せた実験などを準備するに違いない。主要国は国連など頼りにせず、独自の制裁を行うしかあるまい。
 
 決議のたびに国際社会は「こんどこそ」と一縷(る)の望みを抱くが、今回の決議の一縷の望みは、ガソリンなど石油製品の55%削減と労働者の雇用の全面禁止とされる。40か国に5万人いる北朝鮮労働者と繊維製品の輸出禁止で北の収入を10億ドル削減できるというが、本当に削減が可能か。中露との国境線は長い。万景峰号のロシア航路も始まった。ガソリンくらいは密輸で容易に手に入る。またシベリア開発に便利な北朝鮮労働者をずる賢いロシアが簡単に手放すだろうか。評論家は石油製品の禁輸でエネルギー系にはじめて踏み込んだ意義を強調するが果たしてそうか。はじめて踏み込んだから次の実験では、石油禁輸が実現するのか。そうではあるまい。逆に言えば中露は石油の禁輸阻止に成功したのであり、予見しうる将来においてこれを守り切るだろう。日本が石油の供給をストップされ、破れかぶれの太平洋戦争に突入したように、中露は北が破れかぶれになるのが極東の「安定」を崩すから嫌なのである。従って、国連における駆け引きにおいて国連大使ヘイリーは中露結託組に紛れもなく敗れたのである。最初は「最強の制裁決議」と胸を張っていたヘイリーだが、「石油」に踏み込め得なかったことは米国連外交の敗北にほかならない。この結果、制裁が北の核・ミサイル開発に打撃となり得るかは極めて疑問だ。各紙が朝刊で北の輸出産業の9割が制裁対象となったと報じているが、問題は実効性があるか疑問であるということなのだ。

 中露にとっては北がミサイルと「貧者の核」を完成させても、これが自国に向けられない限りは、米国に対する緩衝国としての役割が拡大するからありがたいのだ。韓国が朝鮮半島を統一して、国境線まで米軍が来ることが最大の懸念材料なのだ。“核大将”は核とミサイルを持ったと威張るが、その本質は中露の準傀儡(かいらい)政権なのである。中露が見放せば崩壊するのだ。よく中国は北の政権が崩壊すれば難民が国境を越えてなだれ込むというが、果たしてそうか。そんな事態になれば中国陸軍と海軍を終結させれば、容易に阻止可能だ。従って難民押し寄せ論は中国にとっては口実に過ぎない。何のための口実かと言えば、自国の安全保障のための口実なのだ。むしろ中国の本音は、たとえ核とミサイルを持った“核大将”でも、存在し続けてくれることが、極東戦略からみればありがたいことなのだ。たとえ噛みつき犬でも番犬としては役立つのだ。とにかく中国はワルだ。陰の北支援が止まらない。そもそも核兵器を格段と進歩させている最大の理由は科学者の中国留学にある。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、海外留学した北朝鮮の科学者が持ち帰る専門知識が、核とミサイル技術を格段と発展させた理由であると報じている。留学先の筆頭は中国であり、明らかに北に核ミサイルのノウハウを教えること禁じた2016年の国連制裁措置に違反しているケースがあるという。同紙はここ数年で北朝鮮から数百人の科学者が留学、その多くは国連が北朝鮮の兵器開発に役立つ可能性があると指摘した学問分野だった。同紙は「いまや自国の科学者が核開発を担うとなれば、その野望を封じることは一段と困難にならざるを得ない」とお手上げの状態に至っていることを明らかにしている。

 こうした手詰まり状態の中で、生じているのが日韓の核保有論である。韓国の場合は中央日報が「前大統領朴槿恵がオバマに昨年11月に戦術核の再配備を要請していた」ことをすっぱ抜いた。ホワイトハウス関係者は「要請があればトランプ政権が韓国に戦術核を配備する可能性があることを排除しない」 と漏らしているという。日本の場合も元幹事長・石破茂が米軍による核持ち込み推進論である。古くは佐藤栄作がジョンソンに日本の核保有の可能性を述べた。その後佐藤は沖縄返還に関連して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則に転換しているが、政府見解では答弁書で「核兵器であっても保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」 と明示している。狂った“核大将” が存在する限り、核アレルギーは崩壊し、核保有論が日韓両国で台頭する可能性がある。

制御不能の核拡散の悪夢   
投稿者:鍋嶋 敬三 (神奈川県・男性・評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-12 11:26 [修正][削除]
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 北朝鮮による第6回核実験を受けて国連安全保障理事会が12日朝(日本時間)、新たな制裁決議を全会一致で採択した。米国の原案にあった原油供給の全面禁止などは中国やロシアの強い反対で盛り込まれず、骨抜きになった。中露の拒否権を回避するための妥協の結果だが、北朝鮮にとって決定的な打撃にはほど遠い。原油の禁輸について中国は「市民生活への影響が大きい」と反対したが、だからこそ有効な制裁措置だったのである。国際社会の総意として「全会一致」に主眼が置かれた結果、「最も強い制裁」を目指した米案から大幅に後退した。

 北朝鮮は制裁をけん制して採択直前に「制裁決議にふさわしい代価を支払わせる」「強力な措置を連続して取る」と異例の声明を発表しており、大陸間弾道弾(ICBM)や潜水艦発射弾道弾(SLBM)の発射などの対抗措置に出るだろう。米国防情報当局は、北朝鮮が早ければ来年(2018年)中に核弾頭搭載のICBMの生産に入るとの結論に達したとされる。予想を上回る技術的進展に国際社会は手詰まり感に覆われている。中国やロシアが強力な制裁決議に対して足を引っ張り、有効な制裁が実施できない。過去の制裁決議も完全に実施されていないのが実情だ。安保理決議とは別個に米国、日本、韓国や欧州連合(EU)も巻き込んだ独自制裁を進めることが必要である。

 しびれを切らせた米国内に北朝鮮に対する先制攻撃論が出ている。その代表格がJ.ボルトン元国連大使だ。ルーズベルト大統領が1941年9月11日の炉端談話で「ガラガラヘビが襲って来るのを見たら、襲われるまで待っていないだろう」と語り、ナチス・ドイツ海軍に対する先制攻撃を許可した故事を紹介した。同氏は「ルーズベルトが語ったその時点に我々は急速に近づいている。今や先制攻撃の時だ」と主張した。ボルトン氏は先制攻撃に代わるものは核兵器の全面的拡散だとまで言うのだが、先制攻撃は全面戦争に直結しかねない。トランプ大統領の勇ましいツイッターとは別に政権内の現実派であるティラーソン国務長官、マチス国防長官は外交による解決を呼び掛けている。北朝鮮が核とミサイルの実験中止の意思表示をすれば、交渉の入り口になるという考え方である。

 核弾頭付きICBMが米本土のワシントンに到達する能力を確立する前に開発の「凍結」を目指すというのが米国の識者の中で有力な意見になってきている。ここでも北朝鮮の後ろ盾になっている中国の存在が大きい。中国抜きで朝鮮半島の平和と安定が保証されないことも事実である。ロンドン大学キングス・カレッジのK.ブラウン教授は「核・ミサイルを装備した北朝鮮が世界の大国を目指す中国にとってよいことはひとつもない。際限ない挑発と瀬戸際政策に手がつけられなくなったら、重大な結果を被るものの中に中国もいる」として「北朝鮮に決定的なてこを持つ中国の強い対応」を促した。国連安保理で拒否権を持つ常任理事国はイスラエル、インド、パキスタンなどの核保有を容認してきた。核不拡散体制のほころびは北朝鮮の核開発で余すところなく示されている。次に待っているのは「イスラム国(IS)」など非国家主体への核拡散というコントロール不能の悪夢である。

(連載2)チキンゲームの果ての「水爆」実験 ← (連載1)チキンゲームの果ての「水爆」実験  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-08 12:20 [修正][削除]
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 ただし、その一方で、今回の水爆実験により、北朝鮮自身も「自分で自分の首を絞める」状況になっているといえます。第一に、国際的な孤立です。トランプ政権とのチキンゲームが激化するにつれ、特に伝統的な友好国である中ロとの関係は悪化。6月には中国最大のエネルギー系国有企業である中国石油集団(CNPC)が北朝鮮への石油輸出を停止。8月下旬からは、北朝鮮の貨客船万景峰号のウラジオストク入港が禁止されています。このように伝統的な友好国も部分的とはいえ制裁に協力せざるを得ない状況は北朝鮮をして、ますます傍若無人な行動に向かわせています。今回の水爆実験は、中国をホスト国とするBRICS首脳会合が福建省アモイで開催されているなかで実施されました。これは「朝鮮半島の非核化」を求めてきた中国のメンツを潰すものといえます。北朝鮮にとって中国やロシアは「金づる」ではあっても、「兄貴面してあれこれ言ってくる面倒な相手」でもあります。今回の水爆実験は、日米韓への威圧であると同時に、中ロに対する「独立宣言」に近いものといえるでしょう。ただし、いうまでもなく、それは北朝鮮の孤立をさらに加速させるものです。

 第二に、さらに重要なことは、今回の水爆実験により、日米韓にとってだけでなく北朝鮮にとっても、威圧の応酬のネタ切れが近づいたことです。北朝鮮は核・ミサイル技術を向上させており、それはICBMや水爆開発に帰結しました。技術向上の成果を定期的にみせつけることは、北朝鮮にとってほぼ唯一といっていい交渉条件であり、水爆は恐らく北朝鮮にとって虎の子の「技術向上の成果」だったとみてよいでしょう。ただし、それは裏を返せば、水爆実験を行った以上、そのうえにさらに何か「隠し玉」があるかは疑わしいことになります。米ソ(ロ)の場合、冷戦時代から複数個別誘導再突入機(MIRV)、巡航ミサイル、ミサイル防衛網(MD)などの技術を進展させてきました。しかし、北朝鮮は相手に致命的な破壊をもたらす核戦力として最低ラインの「水爆プラスICBMおよびSLBM」を持つに至ったばかり(もちろんそれが脅威でないという意味ではない)で、それ以上のものを既にもっているとは考えられません。

 つまり、今回の水爆実験を受けて、日米韓の主導でより包括的な制裁が行われた時、北朝鮮には従前以上の威圧手段はなくなります。そのなかでチキンゲームをさらに加速させようとすれば、ミサイル発射などの頻度をあげるか、実際にどこかに着弾させる以外の選択肢はなくなります。日米韓が安保理緊急会合の開催を要請した4日、北朝鮮がICBM発射準備に入ったと報じられたことは、その兆候といえます。しかし、頻度をあげれば、それだけコストが膨らみます。冷戦終結とソ連崩壊の遠因は、核開発競争によるコスト負担の大きさにありました。その意味で、ICBMなどの量産化に踏み切ることも、やはり北朝鮮にとって「痛しかゆし」といったところです。また、「いつあるか分からない」からこそ核実験やミサイル発射のインパクトは大きく、これが年中行事になれば威嚇としての効果は低下せざるを得ません。さらに、実際にどこかに着弾させるとなれば、北朝鮮にとってもリスクの大きすぎる賭けです。チキンゲームが加速するなか、日米韓だけでなく北朝鮮にとってもカード切れが迫っているとみてよいでしょう。

 したがって、遅かれ早かれ北朝鮮と日米韓、とりわけ北朝鮮が主たる相手と目している米国は交渉に向かわざるを得ないといえるでしょう。とはいえ、米国にとって北朝鮮の体制はともかく、その核保有まで認めることは、悪しき先例を作ることになりかねません。逆に、北朝鮮がほぼ唯一の交渉カードを手放すことは想像できません。さらに、どんな形であれ交渉に踏み切ることは、一貫してこれを主張してきた中ロの影響力が大きくなることを意味するため、これもトランプ政権と金正恩体制を逡巡させる要因といえるでしょう。こうしてみたとき、今回の水爆実験を受けて安保理で次の決議が採択されれば、双方にとってそれ以上進むことも退くことも難しい局面に入ることは確かとみられます。それは北朝鮮が締め上げられて日干しになるか、その前に暴発するかの長いレースの一里塚といえるでしょう。(おわり)

“北朝鮮効果”で政局は安倍有利の展開   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-08 06:32 [修正][削除]
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 局面が一か月でがらりと変わった。北朝鮮効果だ。北朝鮮問題を国内政局から見れば、「森友と加計」の空虚な疑惑から首相・安倍晋三を解き放った。支持率は上昇基調をたどっており、逆に前原民進党は支持率低迷状態に「山尾不倫疑惑」 が追い打ちをかけ、踏んだり蹴ったりの状況だ。年内結成を目指すという小池新党も、髭ずらの冴えない衆院議員若狭勝では力量不足でブームなど起きない。最重要ポイントは社会部主導で「モリカケ」を狂ったように追及した朝日が紙面を北朝鮮問題にに一変せざるを得なくなったことだ。社運をかけた“モリカケ倒閣紙面”も、失敗に終わった。このまま対北政策を誤らなければ、安倍には早期解散のチャンスが待っている。一時「危ない危ない」と思ったのは評論家ごときの進言に安倍が乗るのではないかと思われたからだ。田原総一朗が得々として「政治生命をかけた冒険をしないか」と提案したことが「電撃訪朝」であることは分かっていたが、ようやくその内容が「北朝鮮と日米韓中ロで話し合う6者協議の復活を目指した訪朝」であることが分かった。6者協議などという“埋葬”された北説得方式を掲げて訪朝すれば、世界の笑いものになるところであった。乗らなかったのは正解だ。

 安倍の北朝鮮政策は本筋に乗っている。オバマ政権の戦略的忍耐では局面打開困難と判断、トランプと連携して北朝鮮制裁へと動いている。狂気の指導者には力を見せるしかないのであって、今取り得る最良の道は軍事力行使も辞さぬ構えを見せつつ、交渉の場へとひきづり出す事だ。中国と歩調を合わせるかに見えるプーチンは乗らなかったが、重要なことは安倍が主張し続けることなのだ。安倍官邸は北朝鮮問題では水際立った対応をしている。8月29日のミサイル発射のさいも事前に情報を入手、安倍は公邸に泊まり込み、午前5時58分の発射後6時23分には執務室に現れ、直後に記者会見するという手際の良さだった。自民党内では石破茂が乾坤一擲の勝負に出ている。掲げる政策は、「日本への米軍核兵器持ち込みによって、北への圧力を強める」という構想だ。北のおかげで日本人の核アレルギーは再考を迫られ、徐々に崩れ始めているが、まだ石破構想を多数が是認するところまでにいっていない。もともと事態の成り行きを見て安倍が選択すればいい話であり、石破はやや早計であろう。一時は党内で反安倍の動きが台頭したが、北情勢は安倍を叩けば自分たちが叩かれる状況を生じさせている。

 政調会長岸田文雄も、怪僧ラスプーチンのような岸田派顧問古賀誠の「安倍は1年で倒れる」との予言で外相を辞めたが、これも善し悪しであった。この北朝鮮危機を外相として乗りきれば、国民的な評価も高まったが、評価が高まっているのは河野太郎であり、政調会長では出番がない。来年9月の総裁選では、安倍を助けて禅譲路線を狙うのが一番の得策であろう。稲田朋美を更迭したことも利いて内閣支持率は改造後に跳ね上がった。共同通信の調査で8月初めには44%で8.6ポイントも上昇した。その後北朝鮮情勢を経た日経の8月25-27日の調査でも支持率は46%となり、4ポイント上がった。不支持率は3ポイント低下して46%で、支持、不支持が拮抗した。やがては逆転しそうだ。一方、民進党も小池新党も振るわない。共同の9月の調査でも「前原に期待しない」が51.2%、「期待する」は40.3%だ。小池新党も「期待する」が38.4%で「期待しない」が51%。ブームは去った感じが濃厚だ。民進党代表戦は白票が8票出て党内では「離党予備軍ではないか」との見方が生じている。党の体たらくを物語る話ばかりが山積だ。おまけに前原の人を見る目のなさは幻の「山尾幹事長」人事で露呈した。おそらく前原は山尾が、主婦の「保育園落ちた日本死ね」発言問題で安倍を追及した手際を評価したのだろうが、見誤った。不倫では離党は当然だ。議員辞職にもつながるべき話だ。

 朝日のずっこけは安倍にとって天佑というべきものだろう。大体安倍関与の根拠などないモリとカケで倒閣が可能と考えた編集局幹部の考えが甘い。このところの紙面は北朝鮮一辺倒であり、モリとカケは影を潜めた。北への対応に懸命になっている首相をとらえて、あらぬ方向の疑惑にすり替えれば、読者はあきれかえるのが目に見えているから方向転換したのだろう。朝日にしてみれば一段落したらまたモリとカケで政権を追い詰めようとするだろうが、安倍にしてみればその手は桑名の焼蛤だ。だから党内で臨時国会冒頭解散説が流れているのだ。タイミングよく総選挙になれば、北のおかげで結構自民党は議席を取るかも知れない。現在の293議席維持は困難でも270前後はいくかもしれない。そうなれば「安倍長期政権」が復活する。

(連載1)チキンゲームの果ての「水爆」実験  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-07 22:16  
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 9月3日、北朝鮮は6回目の核実験を行い、「ICBM搭載可能な水爆の開発に完全に成功した」と発表。これに対して、日米韓は国連安保理で新たな制裁決議の採択に着手。軍事的な選択に関してトランプ大統領は「そのうち分かる」と含みをもたせています。北朝鮮の核・ミサイルによる挑発と、それに対する封じ込めの応酬により、北朝鮮を取り巻く緊張はこの数ヵ月で加速度的に増してきました。今回の水爆実験は、この応酬にも大きく影響するとみられます。それは日米韓だけでなく、北朝鮮にとっても、これ以上切れるカードが残り少ないことによります。まず、この数ヵ月の米朝の威圧の応酬を確認します。2017年4月、トランプ大統領は化学兵器の使用が疑われていたシリア軍の基地をいきなりミサイルで攻撃。「米国は何をするか分からないから譲歩する方がよい」というメッセージは、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」を放棄するという方針でもありました。しかし、「外圧に屈した」とあっては、北朝鮮政府は国内に自らの支配の正当性を主張できず、存続すら危うくなります。そのため、その後も北朝鮮はミサイル発射を続け、7月には米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を強行し、8月にはグアム周辺にICBMを4発発射すると宣言しました。ただし、このときはトランプ大統領の「世界史に類をみない炎と怒り」という報復宣言が功を奏したとみえて、北朝鮮は8月29日に北海道の東に向けてミサイルを発射することでお茶を濁しました。そのうえで水爆実験を行い、「ICBMに搭載可能な水爆がある」と米国に認識させたことは、北朝鮮にとって報復が予想されるグアム方面に向けた発射より、安全でありながらも威圧の効果が高い選択だったといえるでしょう。

 北朝鮮は自国の体制の存続を目指し、これを「敵国」米国に承認させることを最優先課題としてきました。他に交渉手段が乏しい北朝鮮にとって、核・ミサイル開発で周囲を困惑させることは、それによって言い分を押し通す手段に他なりません。「何をするかわからない」と思わせ、相手の合理的判断に働きかけて譲歩を迫る構図は「チキンゲーム」と呼ばれます。これに対して、強気が身上のトランプ政権は、威嚇されたら「倍返し」で威嚇し、北朝鮮から主導権を奪い返そうとしてきました。強気で共通するトランプ政権と金正恩体制の組み合わせは、チキンゲームを加速させたといえます。その果ての今回の水爆実験を受けて、安保理ではかなり踏み込んだ制裁が議論されるとみられます。7月の二度のICBM発射を受けて、8月6日に安保理は、石炭の輸出や北朝鮮労働者の新規受け入れの禁止などにより北朝鮮の輸出額を約3分の1に減らす、これまでにない包括的な制裁決議を全会一致で採択。今回の安保理緊急会合では、北朝鮮からの繊維製品の輸出禁止、航空機の乗り入れ禁止、公的機関向けの石油禁輸、海外での北朝鮮労働者のさらなる規制、政府関係者の海外資産凍結と渡航禁止などが焦点になるとみられます。

 これまで北朝鮮への制裁に中ロは消極的でしたが、今回の水爆実験は「合法的な核保有国」としての特権を脅かしかねないだけに、中国、ロシアともに反対の姿勢を示しています。ただし、中ロはその一方で北朝鮮との交渉の必要性も強調しており、制裁決議にどこまでの内容が含まれるかは現状で不明です。とはいえ、いずれにせよ、仮に中ロが制裁に賛成して、先述の内容が安保理決議に全て盛り込まれたとしても、それで全て解決するとはいえません。繰り返しになりますが、北朝鮮政府にとっては「体制の維持」が最優先事項であり、「外圧に屈した」とみられることは避けなければなりません。そのため、その内容が包括的であればあるほど、制裁決議が通れば北朝鮮は次の挑発行動をとることが想定されます。その場合、今回の水爆実験を受けて包括的な経済制裁が採択されれば、各国がとれる選択肢はもはや民間人も対象となる食糧、エネルギーの禁輸しかほとんど残らなくなります。本格的に締め上げて北朝鮮の一般の人々に被害が出れば、かえって結束が強まる恐れがあるばかりか、「窮鼠ネコを噛む」という反応すら懸念されます。日本に太平洋戦争の開戦を決断させた一因は、満州事変後の米国などによる経済封鎖の強化により、経済的に追い詰められたことにありました。その意味において、全面的な制裁にはリスクがあるといえます。

 だとすると、包括的な経済制裁を敷くことは、それが包括的であるほど、次に北朝鮮が挑発行動をとった場合にもうカードがないということになり、その場合に残る選択肢は軍事行動しかなくなります。しかし、北朝鮮に対して実際に軍事行動をとることは、さらなるリスクを呼びます。仮に米国が先制攻撃したとしても、既にICBMだけでなくSLBMも保有している以上、北朝鮮からの報復攻撃を免れることはできません。さらに、仮に首尾よく金正恩体制を打倒したとしても、その場合には既にある核・ミサイルやその技術が飛散する懸念もあります。1991年のソ連崩壊後、米国がロシアへの経済支援を強化した一因には、技術者や軍需物資の流出への警戒がありました。北朝鮮の場合、核開発のプロセスではパキスタンと、ミサイル輸出においてはイランやイエメンと、それぞれ関係をもってきました。金正恩体制という重しがなくなった場合、これらの各国を通じて闇市場に北朝鮮の核・ミサイル技術が流出する可能性は、2003年のイラク侵攻における米国政府の「フセイン政権がアルカイダとつながっている」という主張より、よほど確度が高いといえるでしょう。いずれにせよ、たとえ経済封鎖を通じてであっても、金正恩体制を崩壊させるリスクは難民の流出だけではありません。こうしてみたとき、北朝鮮がICBMと水爆を既に掌中に収めた段階に至っては、これを止める手段は限りなく制限されているといえるでしょう。(つづく)

成人年齢引き下げにともなう今後の課題   
投稿者:船田 元 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-07 15:38 [修正][削除]
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 今秋の臨時国会では、いよいよ民法改正案が提出される運びとなった。今回の改正は、主に成年年齢を満20歳から満18歳に引き下げることである。これに関連して、いくつかの法律でも年齢制限を見直すこととなる。大人の年齢を引き下げるきっかけは、平成19年に憲法改正国民投票法を制定する際、諸外国の例にならって投票権年齢を満18歳からにしたことだ。その後選挙権年齢をこれに合わせて満18歳からにしたのが2年前。いずれも与党内、与野党間で調整役を任された私としては、今回の成年年齢引き下げは大変感慨深いものがある。

 成年年齢引き下げの意図は、グローバルスタンダードに合わせるというだけでなく、人口減少時代を迎えた我が国が、今後も活力を維持していくために、若い人々に早く確実に自立してもらう必要があるからだ。しかしながらそれにはいくつかのハードルも存在する。大人の年齢を18歳からにすると、酒タバコも18歳から認めるかどうかだ。しかしこれについては、健康上の理由から20歳のままで良いとの意見が大勢を占めるので、現状維持が妥当である。各種ギャンブルの参加権も、依存症の低年齢化に危惧する意見が多く出されており、これも現状維持で良いのではないか。

 意見が割れているのが、契約の世界である。成人になると各種契約を一人で行えるとともに、親の権利でその契約を取り消すことが出来なくなるのである。現在も大人になりたての20歳に契約トラブルが集中しており、成人年齢を引き下げれば、トラブルは18歳、19歳にも拡大しかねない。大人の年齢を引き下げても、18歳、19歳は何らかの形で契約トラブルから守るべきとの意見がある一方、折角引き下げたのだから、消費者教育をきちんとした上で、大人として自立させることが重要だとの筋論もある。この件については、私が委員長を務める若年成人の教育・育成に関する特命委員会でも、従来から議論を重ねてきた。

 未だ結論は出ていないが、私としては18歳、19歳を契約上の特例とすることは避け、年齢に関わらず「知識不足」「経験不足」にかこつけて、あるいは恐怖心理や好奇心を煽って不当に契約させたものは取り消すことができるという、契約ルールの改善をすべきではないかと考える。このことは高齢者を狙った悪徳商法の撃退にも通用するのではないか。この度の大人の年齢の引き下げという、画期的な制度改正を成功させるためには、国民の間の着実な理解を醸成するとともに、消費者教育の充実など、きめ細かな準備が不可欠である。

中国の本格的な北制裁は不可能   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-06 06:31 [修正][削除]
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 ドキリとさせられた。このような時に国会で冗談でも「包丁一本さらしに巻いて」 と歌って訪朝する神経のばかさ加減を疑うが、アントニオ猪木なら包丁を使わなくても金正恩を殺害できる。しかし、もう殺害しか手段はないとこまで行くかもしれない。事実韓国は国防相宋永武が4日、今年12月1日付で暗殺を目指した「斬首作戦」部隊を創設する方針を発表。陸・海・空合同で、その規模は1000人から2000人だという。しかし、その前に日米が国連でやろうとしていることもドラスティックだ。中国の対北石油輸出の規制だ。日本が太平洋戦争に突入した歴史を見れば石油の規制が国家にとって存亡の危機になることは明白だが、習近平がこれを本格的に断行するかと言えば、しないだろう。プーチンも否定的だ。したがって、国連決議などほとんど意味はない。やっても「お茶を濁す」程度だろう。だから金正恩はますます増長して、結局、殺害しかないということになる。

 昔、ニューヨークで国連を取材したが国際機関というものは、ウィーン会議時代と同様に「会議は踊る」のであって、まとまらない。国際会議は戦争の代わりに大国が角を突き合わせる場であり、国家エゴがむき出しになるのだ。北朝鮮問題の本質は、中国とロシアが北を使って米国と対峙する準冷戦の構図であり、その基本構図が変わらない限り、金正恩のやりたい放題は続く。もっとも、先進7か国が歩調を合わせて対北制裁を求める現状に中国とロシアは、国際社会の批判をかわさなければならない局面に追い込まれつつある。とりわけ注目されるのは日米が主張している「対北石油輸出規制」に中国がどう出るかだ。昨年3月の決議ではロケット用燃料を含む航空燃料の提供を原則禁止したが、北は何の痛痒も感じていない。国境には密輸がはびこっているのだ。この先例があるから多少の制裁は全く不可能ではないが、中国は国際世論に向けて極めて“ずる賢く”対応するだろう。鴨緑江を渡る石油のパイプラインを全面的にストップすることには徹底的に抵抗するだろう。現に環球時報は「北に対する石油の供給中止と国境の閉鎖は中国の国益と合致しないため、中国はこのような政争の先鋒に立ってはならない」 と主張している。北の核ミサイルに端を発している安全保障問題を、臆面もなく「政争」と位置づける図々しさである。またプーチンも「制裁は無駄であり効果がない。北が大量破壊兵器を放棄することはない」と制裁に乗る気配はない。中国にしてみれば朝鮮戦争は“休戦”なのであって、北を崩壊させて、中国が米軍と直接国境で対峙することを回避することは戦略的最重要テーマと依然として位置づけている。習近平は金正恩への憎たらしく思う感情を押し殺して、この国家の大計のために我慢し続けるのだ。したがって中国がたとえ譲歩するにしても、せいぜい暫定的かつ部分的な供給制限であろう。“お茶を濁す”程度の対応しかしない。だから北が経済的な困窮に追い込まれることはない。
 
 こうした中で筆者がメディアで最初に紹介した米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の、日本核武装論が大きな波紋を投げかけている。社説で「北朝鮮の核武装を放置すれば日本が核武装することになる」と警告したものだが、今度は米ブルームバーグ通信も社説で日本の重武装の可能性を指摘した。ブルームバーグは「日本国民のおよそ4分の3は、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本が先制攻撃をしたり反撃を加えることに賛成している」と分析し、「中国指導部が北朝鮮の脅威を緩和しない場合、重武装した日本の登場は中国が支払うべき代償の一つだ」と強調した。国会議員のなかからも日本のこころ幹事長の中野正志が「抑止力としての核兵器を保有することの是非を含めた幅広い議論を始めることを提案する」と正面切って核武装論を展開。自民党内でも石破茂はかねてから原発の廃止反対と絡めて核武装論を述べている。11年に「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れる。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。本当に原発を放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない」と発言している。日本の核アレルギーは徐々にその威力を失いつつある。

 さらに韓国にも飛び火して朝鮮日報は5日「韓国の核武装は2年で可能」と題する記事で「北朝鮮の核の脅威に対抗して韓国が選ぶ“最後のカード”には、独自の核武装がある。北朝鮮が核武装を完了した後、朝米交渉を通して在韓米軍が一方的に撤収するなど最悪の状況が迫った場合には、“最後のとりで”として独自核武装のカードを切るべきだ。専門家らは『決心しさえすれば1年半から2年以内に核兵器を持つことができる』と述べた」と書いている。こうして北による核とミサイル実験は極東安保情勢に、おどろおどろしいインパクトを生じさせており、早期に狂った指導者を排除しなければ混迷の度は増すばかりだろう。北が忘れてはいけないのは米国には東京やドレスデンへの大空襲の経験がある。米軍は(1)金正恩ら中枢へのピンポイント爆撃(2)核ミサイル施設全てへの爆撃(3)ソウルを狙う長距離砲への壊滅的な爆撃ーで韓国や日本の被害を最小限にとどめる空爆作戦を立案しつつあるといわれている。ばかなTVコメンテーターらが断定する攻撃不能論は必ずしも通用しない。

金の“パラノイア治療”を実行の時だ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-04 05:32 [修正][削除]
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 とどのつまりは虚勢を張り続ける北朝鮮のパラノイア(偏執病)患者を如何に治療するかということだ。金正恩がパラノイアだという説は今に始まったことではない。近年ミサイル実権や核実権を繰り返すたびに指摘されてきた。米国連大使ヘイリーは金について「パラノイア状態(in a state of paranoia=妄想症、偏執病)だ。彼は、周辺のあらゆることについて非常に心配している」と発言している。米国国家安全保障局の(NSA)の元首席監察官ジョエル・ブレンナーも「あの国を動かしている若者は狂っている。彼のやり方は破壊的で幼児的、病的だ。戦略がない。3歳児と同じで注目を浴びたいのだ」と分析してその狂気性を強調している。前韓国大統領朴槿恵も昨年の核実験の後「北朝鮮の核実験は、国際社会に対する挑戦としか言いようがなく、もはや私たちと国際社会の忍耐も限界を越えている。権力を維持するために国際社会と周辺国のいかなる話にも耳を貸そうとしない金正恩の精神状態は統制不能だと見るべきだろう」と発言した。
 
 いずれも金正恩が「気違いに刃物」状態にあることを強調している。古くから独裁者の精神状態を分析するとパラノイアに行き着くといわれている。ヒトラーはパラノイアの典型的症状だし、スターリンも、あらゆる場所に敵の姿を見て、スパイを疑い、部下の部屋を盗聴させ、疑った人間はすぐさま粛清した。いずれも自分の周りの誰もが敵で、自分の命を狙っているのだ、という典型的なパラノイアを発症している。金はそのヒトラーを限りなく信奉しており、幹部らに就任1年目の誕生日の際、贈り物へのお礼として、『わが闘争』を1冊ずつ配っている。パラノイアの症状は被害妄想、誇大妄想、激しい攻撃性、自己中心的な性格、異常な支配欲、悪魔的なものに美しさを見る悪魔主義などとして表れてくる。金正恩の場合はその症状の全てに当てはまる。まず悪魔主義の姿は、ミサイルを打ち上げるたびに恍惚とした表情で見上げる姿に如実に表れている。打ち上げ後の高笑いは、自分が世界の中心におり、絶対的な存在であると信じ込む自己中心的な性格そのものである。そこには自らが超人、絶対者であるという誇大妄想も見られる。妥協や交渉など一切考えずに攻撃ばかりを考える激しい攻撃性も見られる。叔父の殺害という親族殺人を事もなく行い、昨年までに140人を処刑したのは完全支配を行おうとする異常な支配欲であろう。
 
 まさに紛れもないパラノイアの症状全てが当てはまる。そこには深い思慮などはかけらも存在せず、パラノイアの本能のままに自らの行動を委ねる、まさに「3歳児」の姿だけが浮かび上がる。この妄想人間にどう対処するかだが、治療法には挫折を味あわせるやりかたがあるという。金正恩の場合に如何にして挫折を経験させるかだが、経済的挫折と軍事的挫折の二つがある。経済的挫折は全てが中国にかかっている。中国とロシアは北のミサイルが日米韓に向かう限りは何の痛痒も感ぜず、むしろ基本的には北を米国の圧力への緩衝地帯と位置づけている。中国はこれまで制裁のそぶりを見せるだけで、その実は狡猾にも「バケツのだだ漏れ対応」を行ってきた。石油の禁輸しか手段がないことを分かっていながら、それを実施しない。これを実施させるには、日米韓およびサミット加盟の先進諸国が結束して対中圧力をかけるしかない。経済的な対中包囲網をサミット加盟国も含めて実施に移すのだ。中国を動かすには金正恩を「除去」しても、米韓とも北の国家としても存在を危うくしないという“密約”が必要となろう。

 軍事的対応によるパラノイア治療は、中距離、ICBMなどいかなるミサイルも打ち落とすという「ミサイル実験拒絶」の対応だ。日米韓のミサイルを総動員して、実験のたびに打ち落とす。打ち落とすことによって悪魔主義を断念させる。金正恩がミサイルを打ち落とされたことを口実に、直ちに戦闘状態に突入する“度胸”があるかといえば、ないだろう。金は打ち落とされて初めて日米韓の本気度が分かり「挫折」を味わう事になるのだ。いずれにしても日本は国際的な対北、対中包囲網を主導する必要がある。これらの手段を講じても「治療」が出来ない場合は、金除去の「斬首作戦」を実行するしかあるまい。ピンポイント爆撃か、暗殺を得意とする米CIAが対処するのだ。マスコミの論調は北東アジア情勢を一見行き詰まったように見ているが、打開策はいくらでもあるのだ。

(連載2)マクロン大統領と西側同盟内でのフランスの地位 ← (連載1)マクロン大統領と西側同盟内でのフランスの地位  ツリー表示
投稿者:河村 洋 (東京都・男性・外交評論家・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-31 18:05 [修正][削除]
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 マクロン氏が官僚、実業界、そしてオランド政権の経済相という経歴を積み重ねたことを考えれば経済重視は予期されたことであり、彼の内政および外交政策の全体像を理解する必要がある。パリ政治学院(シアンスポ)のザキ・ライディ教授は「マクロン氏の外交政策にはまだ明確な目標はないが、外交での成功の鍵は国内経済になる。前任者のフランソワ・オランド氏は国内経済が良くなかったために、国際舞台でのフランスの地位を高められなかった」と論評している。マクロン氏は経済相として行なった経済改革をさらに進めるために大統領選挙に出馬した。まずマクロン氏の計画では、労働基準の撤廃による価格引き下げ、生性向上への刺激、経済的柔軟性の強化が取り上げられている。そうした規制緩和とともに、企業減税による国際市場でのフランスの産業の競争力強化も視野に入れられている。しかし真に問題となるのは、そうした国防費の急激な削減がフランスの国益に合致しているのかということである。ドイツ・マーシャル基金のマルティン・クエンセス氏はドイツ・マーシャル基金のマルティン・クエンセス氏は「マクロン氏は激しい抗争に勝ちはしたものの、人望厚かったドヴィリエ氏を下野させた代価は大きい。政策形成の過程で大統領から無下にあしらわれた軍部では自分達の職務に対する士気が下がり、それによって安全保障の死活的情報を大統領に伝えることを躊躇するようになるかも知れない」と評している。フランス国防省所属戦略問題研究所のジャンバプティス・ビルメール所長は「フランスにはヨーロッパ大西洋圏外にもシリア内戦、サヘル地域のテロ、リビアの安定、中国の海洋進出、北朝鮮の核の脅威といった安全保障上の重要課題がある。さらにロシアの脅威と国内テロへの対処の他に、核兵器の更新近代化もしてゆかねばならない」と主張する。フランスは国家安全保障でこれだけ多くの課題に対処できるだろうか?もはや問題となるのはトランプ氏ではない。ともかくマクロン氏は「財政赤字が解決すれば国防費を増額する」とは言っている。

 現在の国防費削減案は装備が主な対象となっているが、それによってフランス軍は特に戦力投射能力の面で長期にわたる悪影響を受けかねない。中東とアフリカにおける対テロ作戦での要求水準に鑑みれば、フランスにはより多くの戦車、装甲車、大型輸送機が必要となる。こうした問題はあるが、マクロン氏は中東とアフリカでの対テロ作戦に積極的な姿勢を示している。ドヴィリエ大将の辞任を受けてマクロン氏が統合参謀総長に任命したのは、マリでEU訓練部隊を指揮したフランソワ・ルコワントル陸軍大将である。国防費の削減はあってもフランスはアフリカでのテロとの戦いに4千人を派兵し、他のヨーロッパ諸国もこれに加わるように要求している。しかしマクロン政権が約束通りに翌年からの国防費の再増額を果たせないようなら、そうした訴えも偽善的に思われてしまう。いずれにせよ国防支出を再び増額できるほど経済が好転するのがいつになるのかは不透明である。よってフランスは西側同盟の中で微妙な立場にある。

 マクロン氏がそうした苦境を解決するための選択肢の一つはイギリスとの国防連携の強化であり、これにはブレグジットも関係ない。『デイリー・テレグラフ』紙7月31日付けの報道では、最近のウィキリークスが傍受したマクロン氏のメールのやり取りからによると「フランスはEUによるCSDP(共通安全保障防衛政策)を推進すべきか、それともヨーロッパ諸国では国防に最も積極的なイギリスとの軍事提携を維持すべきかを検討している」という。非常に重要なことに「マクロン氏はドイツ主導の欧州統合軍については同国が合同軍事計画に充分な資金を捻出しないことから懐疑的である」とのことである。いわば、ドイツはフランスにとって財政的な制約に関して必ずしも頼りにならないのである。ヨーロッパ大西洋圏外ではフランスはイギリスとの方がより多くの利害を共有している。中東では両国ともそれぞれがUAEとバーレーンに海軍基地を保有し、アメリカがアジアに兵力を差し向けた場合には英仏で力の真空を埋めようとしている。またアジアではフランスはイギリスとともに南シナ海での航行の自由作戦に参加している。

 そうした諸事情はともあれ、外交政策への取り組みの成否に大きな影響を及ぼすには内政である。現在、フランス国内でのマクロン大統領の支持率は急激に落ちている。不人気の要因の一つには財政規律重視が挙げられる。予算削減は単なる赤字削減ではない。これは政府による公共支出と規制で成長がクラウディングアウトされた民間部門の活性化を意図した政策でもある。しかし財政規律重視は本質的に不人気な政策である。特に軍、教職員、地方自治体が歳出削減を激しく非難した。ドヴィリエ氏の辞任は国防問題を超えて大きな影響を及ぼしている。さらに、マクロン氏の減税と経済自由化は格差を拡大させる政策だと見なされている。それ以上に問題視すべきは、共和国前進のマクロニスタが若く経験に乏しいということである。第5共和制においてフランスの政治家のほとんどはENA出身者であるが、マクロニスタは起業家で占められている。彼らの政府での経験不足がフランスの政治を混乱させている。皮肉にもマクロン大統領はイデオロギー上で正反対の立場にあるトランプ大統領と同じ困難に直面している。マクロン氏は鮮烈なデビューを飾ったが、現在の共和国前進には彼のリーダーシップを再建するためにも、トロイ戦争の老将ネストルのような存在が必要である。マクロン大統領の政策顧問であるジャン・ピサニフェリー氏はこの役割を果たせるだろうか?(おわり)

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