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2022-07-06 12:51

(連載2)日本から見たNATO加盟の利点

加藤 成一 外交評論家(元弁護士)
 しかし、日本は正式な加盟国ではないため、他国から武力攻撃されてもNATOによる集団防衛の恩恵を受けることはできない。NATOに加盟するためには、北大西洋条約第5条の「NATO加盟国に対する武力攻撃は、すべての加盟国に対する攻撃とみなすことに同意する」必要がある。すなわち、他国間の戦争に参戦する義務が生じる。これは全面的な集団的自衛権行使を意味するから憲法9条や「専守防衛」に抵触する可能性がある。
 
 日本がこれをクリアするためには、憲法9条2項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」に加えて、第3項として「前項の規定は、個別的及び集団的自衛権行使のための戦力の保持及び行使を妨げない。」といった趣旨の追加改正をすればよい。
 
 この改正は自民党が主張する名目的形式的な「自衛隊明記」の改正よりも日本の安全保障にとって遥かに有益である。なぜなら、この改正によって日本はNATOへの加盟が可能となり、核共有や核保有をしなくても、NATOの核を含む強力な抑止力の恩恵を受けることになるからである。
 
 

以上の通り、日本は米国との安保体制に加え、さらにNATOへの加盟により中国・ロシア・北朝鮮に対して核戦力を含む一層強力な抑止力を獲得することが明らかで、「尖閣有事」「沖縄有事」の抑止にも極めて有効である。したがって、日本は、今後一層盤石な安全保障体制を確立するために、憲法改正を含め、与野党を超えてNATOへの加盟を実現するためのNATOとの外交交渉に全力を傾注すべきである。(おわり)

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(連載1)日本から見たNATO加盟の利点 加藤 成一 2022-07-05 18:08
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