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2007-10-02 11:11
連載投稿(2)福田内閣は外交ビジョンを提示せよ
角田勝彦
団体役員・元大使
実は、国民にも責任がある。世論調査で福田内閣に優先的に処理して欲しい政策課題を聞いた(複数回答)ところ、「年金・福祉など社会保障政策」が70%のトップで、「政治とカネの問題」(34%)と「格差問題」(29%)が続いた。外交・安全保障問題はその次(20%)だった。無理もない。テロ特措法問題がなければ、もっと関心は低かったろう。この十年ODA削減が続くことに、識者がいくら悲憤慷慨してもダメだった。
民主党の攻勢に対抗するためもあり、福田内閣は福祉関係施策の強化に踏み切り、「骨太の方針」で打ち出された2007年度から5年間で1.1兆円の社会保障費を削減するとの方針を転換すると見られる。これを一例として、小泉構造改革を受け継ぐと言いながら、陰の部分に配慮するという言い方で、その軌道修正が行われそうである。しかしODAなどの外交は、国民の関心が薄いことから後回しにする可能性が高い。
国内政治は実務型でよいが、国際政治はイメージの果たす役割が重要である。そのためにはビジョンの提示が有効である。1977年の福田(赳夫)ドクトリンは、その一例である。
安倍・麻生外交で打ち出された「平和と安定の弧(回廊)」構想、価値観外交や地球温暖化に関する日本提案などは、その意味で優れたものだった。福田首相には安倍前首相と路線の違いも見られるから修正もあろうが、たとえば気候変動については継続出来るのではないだろうか。ポスト京都の仕組みについては、EUはもちろん、国連も米国も、会議を主催し指導権を握ろうとしている。明年の北海道洞爺湖サミットの主要議題でもある。エネルギーとの関連もあり経済的意義は大きい。
福田首相は、近く米中両首脳との会談も予定している。幸い両国の反応は良好で、実務関係で懸案も限られよう。その準備のためにも、外交に関する福田ビジョンをそろそろ打ち出すことが望ましい。(おわり)
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投稿履歴
連載投稿(1)「実務型」福田内閣の強さゆえの危うさ
角田勝彦 2007-10-01 22:20
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連載投稿(2)福田内閣は外交ビジョンを提示せよ
角田勝彦 2007-10-02 11:11
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