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2021-10-14 20:27
(連載2)激動の9月を振り返って
松川 るい
参議院議員
24日、QUAD首脳会談が対面で行われ、完全にQUADが定着したなという感じがあります。経済、技術、宇宙(衛星データ共有)なども協力対象です。防衛は議題にしませんでしたが、今後の方向性としては、防衛面でも(QUAD防衛大臣会合とか)進んでいけばいいなあと思うところです。EUが「インド太平洋戦略」を発出したのも自由で開かれたインド太平洋作りに向けた大きな意義があります。
また、今月実は個人的には最も衝撃だったのがTPPを巡る動きです。16日に中国が加盟申請表明したのに続き、22日、台湾がこれに触発されて加盟申請を正式にしました。対中戦略の観点から、今後のハンドリングが極めて重要になってきます。日本の議長国は本年まででCPTPPの議長国はシンガポールとなります。マレーシアやブルネイは中国の加盟申請表明を「歓迎する」としています。NZも前向きな感じ。日本からすると「ええ!」と思うわけですが、東南アジア諸国の対中観は日本のそれとは異なることを理解しなければなりません。TPPはただの貿易枠組みではありません。4年前の予算委員会でも質疑しましたが、これは、自由で開かれた世界を志向する「海洋国家同盟」なのです。RCEPにインドが結局入らなかった結果、RCEPは中国のプラットフォームになる可能性が高いことを考えれば、TPPまでも中国経済圏になってしまっては困ります。他方、英国が既に2月に加盟申請をして交渉中であり、台湾も加盟申請をしたことに鑑みれば、中国の加盟申請は「要監視」としつつ、中国自身の加盟申請を地域の安定という観点から良い形で活用できるかどうかといった観点からも戦略的な思考で取り組む必要があると思います。米国がTPPに戻ってくる起爆剤にもなるかもしれません。ともあれ、メンバーでもない中国が、「台湾加盟に反対する」といっていることには突っ込みどころ満載ではありますが、まさに、台湾が中国より先に(同時はあるかもしれないが)加盟しなければ台湾加盟は実現できないことは明白です。日本は台湾加盟を支持していますし、台湾加盟を確保することは死守しなければなりません。
北朝鮮も9月だけで3度もミサイル発射していますし、そのミサイルも極超音速の変則飛行型と北朝鮮は発表しています。弾道ミサイル防衛での防御が難しいミサイルを開発しようという意図は明らかです。一方で、南北のホットラインは再開してもいいとか、文在寅大統領の国連演説での終戦宣言提案についても後ろ向きでない発言をするなど、韓国への秋波も送っている北朝鮮です。韓国が米国よりになったので米韓離間の意図もあるでしょうが、まあ、それだけ経済的に困っているという見方もできます。
米中対立は深まっていますが、一方で、米国からの対話の呼びかけもおこなわれています。強い立場から対中外交を行うというバイデン政権の方針なのであろうと思います。米中対立は長く続くと思いますが、抑止と対話のフェーズは様々変わっていくことも念頭に置く必要があるでしょう。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)激動の9月を振り返って
松川 るい 2021-10-13 22:31
(連載2)激動の9月を振り返って
松川 るい 2021-10-14 20:27
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