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2020-12-25 02:21
(連載2)私の組織論
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
手前味噌ですが、民社党という小さな政党が1960年から1994年まで34年間続いた理由というのは、他にも理由は山程ありますが、なんだかんだ言っても民主社会主義という基本的な理念とそれを実現するための綱領をしっかりと党員や関係者が共有できていたからだと、私は思っています。
いま、多くの政党が離合集散を繰り返す最も大きな理由はここにあるのだと思います。もちろん政党を巡る制度の問題などいろいろ課題はあるにせよ、その理念や綱領が明確ではない、徹底されていない、ということです。自由民主党であってさえ、本来は憲法改正が創設の理念であったはずですが、いまやそれがすっ飛んでしまっていて、権力を維持することが自己目的化した政党と成り果てているわけです。
ただ、理念だけ立派にあればいいというものではなく、それに実現可能性のある手順を踏んで近づいていくというものも、地味で目立たないことですが組織論においては重要です。例えば、二・二六事件の陸軍青年将校たちは純粋な志のもと立ち上がったものの実現可能性のある手順・具体案というものがないまま蹶起してしまった時点で失敗したようなものでしたし、1941年12月8日の真珠湾攻撃もその作戦自体は成功しましたが、米国の影響力の排除という対米開戦目的から導き出される具体策としてどうなのかといえば、組織論としては駄目だったと言えましょう。共産党なんかは共産主義実現のためならばそこにいたるために何をやってもいいんだというような考え方で、私の考え方とは相容れないものですし、このような手段はほとんどの国では成功していません。
クラス会や自治会のような小さな組織から、国政政党や大企業などの大きな組織まで、いずれにも通じることなのですが、確かな理念としっかりとした手順、これが組織の中でしっかりと共有され機能しているということが、組織を立ち上げ運営していく上では必要不可欠なことなのです。(おわり)
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(連載1)私の組織論
荒木 和博 2020-12-23 20:25
(連載2)私の組織論
荒木 和博 2020-12-25 02:21
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