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2020-11-27 16:18
(連載1)トランプ主義が分断をもたらしたのではない
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
アメリカ大統領選挙について、今でも法廷闘争や抗議活動が続いている。今回の選挙で今のところ、民主党のジョー・バイデン前副大統領が勝利したということになっている。ここで思い出してもらいたいのは、「バイデン氏が圧倒的に有利」と言い続けたメディアの報道だ。メディアにはそれだけの調査能力はなく、大学や世論調査会社の行った各種世論調査の結果を引用してそのような報道を行った。私の記憶では、10月の段階で、その当時の世論調査の結果を当てはめると、「バイデンが360近く、トランプが180程度」となるということだった。
しかし、そんな大差の付く戦いではなかった。総得票数で見ても、激戦州での票差を見ても大接戦だった。7000万以上のアメリカの有権者たちがトランプを支持したということは間違いない。トランプ大統領とトランプ大統領への支持者への悪罵を考えると、その支持の堅固さは特筆すべきだ。
2015年から2016年にかけて、全くの泡沫候補扱いだったトランプが共和党の有力候補に駆け上がり、党の指名を獲得し、最後には圧倒的に有利と言われたヒラリー・クリントンに勝利を収めた。トランプ現象、トランプ主義という言葉と「なぜあんな野蛮なトランプが支持されるのか。誰が支持しているのか」という疑問がメディアに溢れた。
トランプ現象について、2016年2月、共和党の予備選挙が始まって間もない(トランプがまだ共和党の候補者として確定しない)時期に、チャールズ・マレー氏が分析した論稿『トランプのアメリカ(Trump’s America)』(2016年2月13日、ウォールストリート・ジャーナル)を紹介したい。これはトランプ現象分析においては今でも色あせない内容である。(つづく)
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