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2020-08-20 11:50
(連載2)中国最大の弱点は貿易・先端技術の対米依存体質
加藤 成一
元弁護士
まず、中国の貿易における対米依存度は極めて大きい。2018年のGDP(国内総生産)に占める貿易額の比率即ち「貿易依存度」は、中国は32.63%に対して米国は20.56%である。ちなみに日本は29・30%である(出典2018年UNCTAD:国連貿易開発会議)。のみならず、中国の対米輸出額は対米輸入額の約4倍にも達しており、中国経済は対米輸出に大きく依存している。このことは「米中貿易戦争」では、中国が圧倒的に不利であることを示している。
そのうえ、米国に比べてもともと貿易依存度が高い中国は、米国側からの輸入制限や制裁関税には脆弱である。このように、中国の貿易における対米依存度が極めて大きいことは、中国の重大な体質的弱点であり欠陥であると言える。
のみならず、中国の先端技術における全般的な対米依存度はいまだ極めて大きい。だからこそ中国は、米国の先端企業・先端大学・先端研究所等における中国人留学生や中国人技術者を用いた産業スパイ活動や、知的財産窃取など、非合法な手段に訴えてでも米国の先端技術の獲得を貪欲に行っているのである。最近では米国のみならず、英国、ドイツ、フランス等のEU加盟諸国でも、中国による技術移転の強要や、技術移転を目的とする企業買収などが注目を集めたことで自由主義諸国の警戒心を強めている。中国企業であるファーウエイに対する厳しい締め付けを含め、米国の徹底的な「技術封鎖」により、今後、中国の先端技術開発は大幅に遅れ、相当な打撃を受けるであろう。このため、中国では対外貿易の減少と、米国の技術封鎖により、外国の市場や技術への依存を下げる必要に迫られているのである(2020年8月5日付ドイツ国際放送局ドイチェ・ベレ中国語版サイト)。
このように、建国の父毛沢東以来ひたすら力を信奉し、産業スパイや知的財産窃取を行うなど中国は目的のためには手段を選ばないことが明らかになってきた。一党独裁の共産中国には、それにもかかわらず、上記の通り、貿易及び先端技術の対米依存体質という重大な弱点・欠陥が存在する。そうとなれば、自由と民主主義を信奉する日本は、価値観を共有する同盟国である米国と協調し、日本の先端技術の中国への流出を防がねばならない。なぜならば、世界における共産中国の覇権を許すことが、香港における「自由と民主主義」の死と同様のものを民主主義社会にもたらすからである。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)中国最大の弱点は貿易・先端技術の対米依存体質
加藤 成一 2020-08-19 19:08
(連載2)中国最大の弱点は貿易・先端技術の対米依存体質
加藤 成一 2020-08-20 11:50
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