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2020-05-21 19:31
(連載2)ソフトバンクグループの躓きに見る世界経済の暗雲
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
このCLOを農林中金とゆうちょが大量に買い込んでいる。それを主導しているのは、ゴールドマンサックス出身の人々だ。また、ゼロ金利で収益が上がらない地方銀行も危険な商品を買い込んでいる。こうした危険な商品が爆発すると、リーマンショック以上の金融爆発が起き、世界恐慌へと進んでしまう。この時、日本人が汗水たらして貯めてきたお金が消え去ってしまう。
今回の新型コロナウイルス感染拡大は富裕層にもマイナスの影響を及ぼしている。たとえば、トランプ大統領の長年の盟友であり、世界のカジノ産業のトップであるシェルドン・アデルソンは資産を3割も吹っ飛ばしている。彼の資産のうち1兆円が今年に入って消えてなくなってしまった。フォーブス誌は今年の3月上旬からの12日間で200名以上の富豪が億万長者、ビリオネア(10億米ドル[約1100億円])のステータスから外れたとしている。3月上旬の時点で10億ドル以上の資産を持っている富豪が世界で2200名以上いたが、それが3月18日の時点で2000名になっていたということである。これは3月の中旬時点での数字なので、現在は株式が戻りつつあるにしても、更に億万長者の数は減っているだろう。
トランプ大統領は就任以来、株高を演出し、好景気だと言い張ることで支持を集めてきた。トランプ大統領の株高の演出には日本もその片棒を担がされる形になっているが、日本を含め世界全体が新型コロナウイルス(COIVD-19)感染拡大の悪影響をもろに受けている。これから悪影響はより広く、より深刻に社会や経済に浸透していく。そうなると、世界経済は減速、同時不況に陥り、2008年のリーマンショックを超えるレベルとなれば、世界大恐慌の再来ということにもなるだろう。
この事態が不景気とデフレを引き起こすとなれば、現金の持つ力は大きくなる。現金と流動性の高い(すぐにお金に換えられる)実物、具体的には金(きん)ということになるというのは、経済に疎い私でも容易に導き出せる考えだ。ソフトバンクグループの積極的な投資戦略の躓きはある種の転換点として暗示的で、これからは世界経済の成長に回る投資資金は収縮していくだろう。(おわり)
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(連載1)ソフトバンクグループの躓きに見る世界経済の暗雲
古村 治彦 2020-05-20 21:56
(連載2)ソフトバンクグループの躓きに見る世界経済の暗雲
古村 治彦 2020-05-21 19:31
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