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2020-02-20 01:04
(連載2)日英関係強化は「インド太平洋」構想の視点で
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
イギリスは、単に「インド太平洋」と無関係ではないだけでなく、「インド太平洋」が欧州と接合するために一つのカギを握る国である。ブレグジット後のイギリスが真っ先に関係を強化したいのはコモンウェルス構成諸国だが、その筆頭が近年に著しい経済成長を果たしたインドであり、その周辺に位置するバングラデシュなどの新興国であることは、言うまでもない。イギリスの関心は、「インド太平洋」に注がれた次に、極東の日本に向かう。つまり、日本だけに関心があるわけではない。
日本にとって、イギリスがアメリカと同格の同盟国になることはないし、それはイギリスにとっても同じだ。イギリスは、EUからは脱退してもNATOからは脱退しない。イギリスの軍事同盟国は、依然としてNATOを構成する28カ国だ。日本は含まれない。NATOは、現在もアフガニスタンで展開中の「Resolute Support」ミッションなど域外展開を含めて活発な活動をしており、人類史上最も成功したとも言われる巨大軍事同盟組織である。
他方で、現在のEUは、6つの軍事ミッションと、11の文民ミッションを展開させる、巨大な安全保障貢献組織でもある。ブレグジット後も、EUの安全保障ミッションに対してイギリスは関与を続けるだろう。これらの共通安全保障・防衛政策の領域で、イギリスがEUと決別する兆候はない。
既述の通り、日本が「日英同盟」復活を通じてNATOやEUと間接同盟関係となるとは想像し難い。もっとも私は、これらの組織と協力関係を強化すべきだと考えている。少しずつでも要員をNATOやEUのミッションに参加させるべきだ、と考えている点で、おそらく日本国内の誰よりも具体的に、そう考えている。そのためにこそ、イギリスとの関係は、さらに強化していくべきだといえる。もちろん、それは1902年日英同盟の復活などとは全く意味合いが異なる。21世紀の「インド太平洋」構想の強化の見取図の中で、日英関係の強化を進めていくべきということだ。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)日英関係強化は「インド太平洋」構想の視点で
篠田 英朗 2020-02-19 16:44
(連載2)日英関係強化は「インド太平洋」構想の視点で
篠田 英朗 2020-02-20 01:04
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