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2007-05-18 09:49

円安バッシングの懸念は小さい

塚崎公義  久留米大学准教授
 鈴木淑夫氏が3月22日の当欄で「いまの円安はバブルではないか?」と問題提起をしておられる。しかし、市場参加者が「危険な取引だが今日買って明日売れば儲かるだろうから投機をしよう」と考えているわけではないから、これをバブルと呼ぶことには無理があろう。また、仮に氏が懸念されるように「バブル崩壊」が急激な円高を引き起こして国際取引の混乱を招いたとしても、それが外交問題となることは無いであろう。

 外交という観点から懸念があるとすれば、外国政府から円安の是正を要求される可能性であろうが、そうした懸念は現状では小さいと考えられる。外国の一部政治家が国内を意識したリップサービスとして円安懸念を表明することは有り得ようし、一部マスコミがそうした発言を採り上げることは有り得ようが、政府として正式に不満を表明して真剣に円安是正を要求してくる可能性は小さいと考えてよいであろう。

 米国は基軸通貨国であるから経常収支赤字を気にしていない。失業が深刻になれば日本に矛先が向く可能性はあるが、そうした兆候は見られない。ユーロ圏はインフレを気にしており、円安はインフレ抑制に効果があることから批判の対象とはなりにくい。そもそも日本は為替介入を行なっておらず、市場原理を重視する欧米諸国の政府は市場の決めた為替レートに関して外交上の問題を提起することに消極的であろう。

 米国の景気が急激に悪化すれば別であるが、そうでもない限り、外交の観点からは、現状程度の円安を心配する必要はないであろう。
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いまの円安はバブルではないか? 鈴木淑夫  2007-03-22 11:09
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円安バッシングの懸念は小さい  塚崎公義  2007-05-18 09:49
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