安倍政権発足から半年近くが経ち、いよいよ首相が特に熱を入れる国家安全保障体制の再設計の作業が具体化され始めた。本稿では、先月末に相次いで文章化された「国家安全保障に関する官邸機能強化会議の最終報告」および「官邸における情報機能強化の基本的な考え」を材料に、政府議論のあいまいさ・不十分さを指摘する。安倍政権が行う一連の作業は政策決定とインテリジェンスにおいて三つの変革を目指している。(1)日本の統一的国家安全保障戦略の策定体制整備、(2)縦割り行政の打破、(3)緊急時・有事の際の即応体制の強化である。このような方針をアメリカの National Security Council とのアナロジーで論じる言論が多いが、本稿では上記の三つの変革ポイントを論点に、日本が持つ既存の安保体制との比較において論じてみたい。