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2016-02-23 10:19

(連載2)クロダノミクスは成功するか

島田 晴雄  千葉商科大学学長
 この展開に危機感を募らせた黒田日銀は、2014年10月末に、内外の意表をついて、ベースマネーを年80兆円増加するなどの大規模な第二次金融緩和を発表した。その結果、マネタリーベースは350兆円、GDP比で7割まで増加することになった。これは内外の期待感を高めて株価が上昇したが、その効果はほどなく逆オイルショックの波に呑まれてしまった。

 日銀は、それでも目標達成時点を遅らせつつも、インフレ実現のために、生鮮食品とエネルギーを除く新CPIを適用したり、2015年12月には金融資産買い入れ枠拡大など金融緩和制度的補強策の導入といった懸命の努力を続けた。そして、今年2月、歴史上はじめてマイナス金利の導入に踏み切ったのである。黒田総裁は、これで量的、質的そして金利と全方位の異次元緩和を推進するとしている。

 その強い意思と努力は大いに評価するが、これで所期のインフレマインド醸成が可能になるかは、特にここに来て世界同時不況の気配が俄に強まってきていることもあり、期待し難そうである。マイナス金利は、日本では未踏の世界で、金融機関、家計、そして企業にとっても理解し納得できるまで多大な時間がかかりそうだ。

 しかも、その混乱の後には、350兆円ものベースマネーをどう後始末して適切な出口を見い出すかという気の遠くなるような課題がある。世界経済の激変に翻弄される不運はあるが、これだけ苦労して推進しているクロダノミクスは果たして合目的なのか、問い直してみる必要もあるかもしれない。(おわり)
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(連載1)クロダノミクスは成功するか 島田 晴雄  2016-02-22 19:22
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