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2015-08-29 01:31
(連載1)剣が峰のアベノミクス
角田 勝彦
団体役員、元大使
景気は足踏み状態になっている。下ぶれのリスクも大きい。株式市場を含む世界景気の先行きには暗雲が漂い、日本経済回復の牽引役を期待される輸出は急減し、個人消費と設備投資も低迷している。黒田日銀総裁は8月26日ニューヨークでの講演で2%のインフレ目標達成に自信を示したが楽観的過ぎるとの批判がある。アベノミクスの失速を恐れ、追加的金融緩和のみならず景気を刺激する補正予算の編成を促す声も出ている。
米国も世界的株式市場の混乱を懸念し、26日オバマ大頭領は安倍首相との電話会談で連携して対応することで一致した由であるが、米連邦準備制度理事会(FRB)が検討している9月の利上げ開始は金融市場への影響が懸念されている。中国の習主席の9月訪米やTPPの動きも注目されている。
他方政治面、とくに安保関連法案の国会審議でも9月は正念場である。自民総裁選は安倍総裁の無投票3選が濃厚になった。一強の安倍首相の集団的自衛権行使容認への意欲は増そう。しかし、維新の党の混乱が野党との修正協議などにどう影響するかは不明だが、与党が目論む9月11日までの参院通過には問題が多そうである。国民の反対は強まっている。国会での混乱も予想される。
国民生活を重視すればアベノミクスから目をそらす余裕はない。概算要求102兆円規模で、国債費も過去最大となるとされる2016年度予算も重要である。安倍首相の慎重な対応が望まれる。世界同時株安には一応の歯止めがかかったようである。27日の日経平均は続伸し、上海株は大幅反発した。日本銀行の黒田東彦総裁は、26日夜ニューヨークで、中国経済の減速懸念が世界的な株安の連鎖の発端となったことに対して、「一部の市場関係者は悲観的になり過ぎている」と指摘した。(つづく)
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