しかし、安倍首相の登場によって政治の機能不全から立ち直った日本の動きは迅速だった。まずは経済を立て直し(アベノミクスの3本の矢)、つぎにそれを言うべき場で言った(ウォール街での“Buy my Abenomics!”発言)。また、安倍総理自らが陣頭に立って、外交の地平を世界に押し広げる「面の外交」を展開した。さらに、世界と地域の平和に貢献する「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の旗を掲げた。そこから、NSC創設、防衛大綱および中期防衛力整備計画の改定等がつづいている。なお、「積極的平和主義」の概念を日本で最初に提起したのは、『二つの衝撃と日本』(PHP研究所、1991年11月)や「NHK日曜討論」(1990年10月21日)における日本国際フォーラム理事長・伊藤憲一の発言であるが、日本国際フォーラムはその後、政策提言「積極的平和主義と日米同盟のあり方」(2009年10月)を発表している。