強大になった中国といえども、現代の世界ではアジアにおける「華夷秩序」はあり得ないことを理解すべきである。武力により最大の版図となった清帝国の再現を夢見るのは、中国の長期的国益を害するだけだ。あえて過去の栄光をいうのであれば、武力のみならず文化文明で世界をリードし、周辺の朝貢国のみならず遠くシルクロードの諸国にとっても大きな文化的求心力を持った漢帝国や唐帝国に学ぶべきであろう。ハードパワーで脅威を与えるのではなく、優れたソフトパワーと品格を備えてこそ、真の意味で中国は偉大になりうる。いかに共産党独裁国家とは言え、14億人にもなろうとする中国には良識のある人々も多いと思う。中国人の良識や正当な願望に期待しながら、中国が真の意味での大国、単なるBig Power ではなくGreat Powerとなるのかどうか見守りたい。