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2012-11-28 12:38

(連載)なぜオバマ大統領は再選を果たせたのか?(3)

中岡 望  国際基督教大学非常勤講師
 さらにオバマ陣営を見ると、2008年の大統領選挙で成立した“オバマ連合”が健在であることが明らかになった。オバマ連合とは民主党リベラル派とヒスパニック系、アフリカ系などの少数派、さらに若者層である。出口調査では、アフリカ系の93%、ヒスパニック系の69%、アジア系の74%がオバマ大統領に投票している。彼らがロムニー候補に投票する理由が見あたらなかった。

 確かにアフリカ系の大統領が誕生したが、アフリカ系アメリカ人の生活や社会環境が目立って改善したわけではない。そうした失望感が見られたが、だからといってオバマ大統領と決別する訳にもいかなかった。有権者の19%を占める18歳から29歳の若者層の60%がオバマ大統領に投票している。ロムニー候補に投票したのは36%に過ぎない。若者の雇用情勢は極めて厳しい。前回の選挙のように大学生など若者層が大挙してオバマ大統領の選挙運動に加わるという状況ではなかった。しかし、それでも、彼らはオバマ連合に留まったのである。

 もうひとつ特筆すべきことがある。それはヒスパニック系アメリカ人の重要度が増したことだ。前回の大統領選挙の時のヒスパニック系の有権者数は970万人だったが、今回は1220万人に増えている(約8.7%の増加)。さらに今回の大統領選挙で、初めて全有権者の10%を越えた。特に激戦州での増加が顕著で、それが今回のオバマ大統領の圧勝の大きな要因となったといえる。

 ヒスパニック系アメリカ人の有権者の多い州を列挙すると以下の通りになる。ニューメキシコ州では35%、カリフォルニア州では27%、テキサス州では21%強、フロリダ州では18%強、アリゾナ州では12%、ニュージャージー州では10%強に達している。そう遠くない将来、ヒスパニック系アメリカ人が最大の勢力になることは間違いない。その意味で、今回の大統領選挙はアメリカの政治地図を塗り替える大きな転換点と見られるかもしれない。(つづく)
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