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2012-03-18 00:50
(連載)原発はどのていど危険なのか(1)
角田 勝彦
団体役員
「原発はいらない」市民集会が各地で盛んに行われている。「いる」との反論も多い。しかし、東日本大震災で安全神話が否定され原発再稼働への住民の説得が急務のいま、主題は、「いる」かどうかより「原発の危険は国民が容認できるていどか否か」になっている。いま必要なのは、客観的「安全」基準の樹立と実施、さらには良識ある市民を納得させ安心させ得る説明なのである。「原発怖い」を払拭することなのである。現実を見るに、今月柏崎刈羽原発の6号機が停止し、北海道の泊原発3号機が5月の定期検査後停止になると、それで日本の54基全ての原子炉が停止することになる。
これは夏を前に、電力確保上、厳しい情勢になることを意味する。とくに西日本が問題になる(現在東西日本の電気は周波数が違うため東でゆとりがあっても西へ融通できない)。産業のみならず一般市民の生活に打撃を与える大停電が起こった場合、「原発はいらない」論者の責任を問うても始まらない。「必要性」の問題で「絶対必要」との主張は聞かれない。「多少の経費負担と不便は我慢する」との反論には抗しがたい。もっとも問題は再稼働である。比較的安価・安定的で地球温暖化対策にも有益な原発の新規建設は世界で続けられているが、地震の多い日本では新設に国民の同意を取り付けるのはまず無理だろう。
「脱原発」が日本の大勢である。これまで定義があいまいだった原発の寿命について運転開始後40年で原則廃炉にすることになったから、新規立地がなければ、2049年には、国内の原発がなくなることになる。政府(当時の菅政権)は停止中の原発を再稼働するかどうかを決めるのに新たな安全基準として、2011年7月に欧州を参考にした安全評価(ストレステスト)を導入した。これは、津波や地震などの過酷な事態にどこまで耐えられるかの限界を調べるものだった。 経済産業省原子力安全・保安院と原子力安全委員会(4月発足の原子力規制庁に統合される)が、電力会社によるストレステストの結果を二重に点検する仕組みである。国際原子力機関(IAEA)の勧告・助言も得た。
これに基づき手続きが進められた結果、このほど内閣府原子力安全委員会が、関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性検査)1次評価に対する経産省原子力安全・保安院の審査結果を了承する見通しとなった。その後政府は野田首相と関係閣僚の会議を月内にも開き、再稼働の是非を判断し、地元の説明に当たる予定である。野田首相は3月3日「政治判断して、稼働をお願いせねばならない時は、政府を挙げて自治体の理解を得るべく全力を尽くす」と強調した。(つづく)
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(連載)原発はどのていど危険なのか(1)
角田 勝彦 2012-03-18 00:50
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角田 勝彦 2012-03-19 01:07
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