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2011-03-31 20:07

菅首相は、原発推進の基本姿勢を変えるな!

加納 俊夫  大学教授
 昨30日の本欄で「松井啓氏の『原発即時閉鎖』論は、ピント外れの暴論 」と論じたが、真意は松井氏を批判することにはなく、真意は「今こそ、日本だけでなく、人類全体にとって、原子力発電を維持できるか、できないかの瀬戸際であって、ここで一時的な感情に駆られて、『反原発』の結論を出すと、取り返しのつかないことになる」と主張することにあった。

 よく読み返せば、松井氏も「反原発」論者なわけではなく、人類は原発なしにはもはやその文明を維持できないところまで来てしまっていることを、きちんと理解しておられる。電気といっさいの縁を切った中世、古代の文明にもどる覚悟がわれわれにない限り、われわれの選択は「より安全な、さらには絶対安全な、原発」でしかない。

 オバマ米大統領は30日に米ジョージタウン大学で演説し、原発推進の姿勢を堅持する方針を打ち出した。サルコジ仏大統領は31日来日して「今しなければならないことは、国際的な原発の安全基準を定めることだ」と、同じく原発維持の方針を打ち出している。それぞれの国の発電量の、フランスは8割、アメリカは2割、そして日本は4割を原子力発電に依存している。

 そのときに、人気取りだけを行動基準とする定見なきわが菅首相は、「原発推進の方針を見直す」と、早速のぶれである。いま菅首相の言うべきことは「福島原発事故の原因を徹底解明する」ということ以上であってよいはずはなかろう。女川原発はなぜ今回の地震、津波でびくともしなかったのか。そこにはわれわれに希望を与えてくれる教訓があることを、われわれは知るべきである。
 
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