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2010-06-17 11:00
戦術さえもない稚拙な与野党
大藏 雄之助
異文化研究所代表
お友達内閣といわれた安倍総理は、入院してから辞職すべき順序を間違えて、再起の可能性を失った。次の福田総理は、小沢民主党総裁が大連合の約束を守れなかった際に、積極的に行動を起こすべきだった。さらに麻生総理は、政権たらい回しの批判に応えるためにも、自民党の支持率が回復したのをテコに解散していれば、衆議院の過半数を維持できたかもしれないし、少なくとも大敗北を喫することはなかったであろう。
無策であることでは、谷垣総裁も同断である。普天間問題で鳩山総理が辺野古逆戻りを言明した時に、直ちに内閣不信任案を提出しなければならなかった。民主党としては、否決するほかはない。そうすれば鳩山内閣は、小沢幹事長ともども超低空飛行のまま7月11日の参議院選挙に突入することになるはずだった。そのチャンスを逃した谷垣総裁は、その後も迷言を続けている。与党側が「最低50議席獲得」と明言しているのに対して、「40議席を目指す」と、告示前から負け戦を認めるような態度だ。
菅内閣も、愚かさではひけをとらない。自民党の政権たらい回しを非難していたのだから、組閣直後に衆議院を解散して、衆参同日選挙を行えば、筋を通すことができるだけでなく、世論を味方につけることもできたであろう。衆議院では圧倒的多数の議員を抱えているのだから、候補者には困らない。一方、自民党は、前回の衆議院の落選者の多くを参議院選挙の候補者に回しているから、新たに衆議院の候補者を立てるのは容易ではあるまい。
鳩山前政権の不人気からV字型の回復をした新政権は、参議院選挙で一応の議席を確保するかもしれない。しかし、政権たらい回しをはじめ、修正した公約を見ても、民主党は結局自民党時代と大して違わないことが明らかになった。このあとに、まだ検察審査会の小沢再審査や沖縄の基地問題や郵政改革法案など数々の難問が控える。自民党のさらなる崩壊につれて政界再編は避けられない。
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