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2010-02-15 07:35
いま「みんなの党」が面白い
杉浦 正章
政治評論家
最近の永田町の会合で最大の話題が「みんなの党」(渡辺喜美代表)の“躍進”だ。躍進といっても一部世論調査の動向だが、民主、自民両党に次いで第3位につけるものも出て来た。特殊な調査では、何と1位になるものまである。この傾向は一体何を意味するのか。簡単に言えば、「民主支持への反省」が自民党を通り越してみんなの党に落ちているのである。ひとえに自民党のふがいなさがなせる業だが、この調子でゆけば、みんなの党が参院でキャスチングボートを握る可能性も否定できない。まず目立ったのが、日経新聞の調査だ。みんなの党の支持率が前回の2%から5%に上昇し、共産党や公明党を上回って3位になった。参院選の投票先でも8%で、やはり3番手につけた。毎日新聞の世論調査も、2ポイント増の6%となり、09年8月の結党後、初めて公明党(5%)を抜いて3位だ。株価情報を提供している日経系の短波放送による個人投資家対象のインターネット調査では、政党支持率が46%で1位となったほどだ。
この傾向を分析してみよう。まずみんなの党の一連の発言が分かりやすく、説得力があることだろう。小泉路線を堂々と引き継いでいる渡辺喜美をはじめ、幹事長・江田憲司、政調会長・浅尾慶一郎らのテレビの対談、国会質問などを聞くと、実によく勉強していることが分かる。同じ小党でも、社民党や国民新党幹部の発言は、ワンパターンであり、メモを取る気も起こらないが、みんなの党はメモに値する。例えば、渡辺の「法人税減税して、強い企業をもっと強くすれば、みんなが豊かになる」「CO2問題でも、やりすぎでは、国力を損なう。そんなことも理解できない民主党は、売国奴にちがいない」「失業率を高めているのは、 民主党だ。またその救済に税金を使う。全く労働組合あがりの愚かな集団が、民主党だ」などは、すっと国民や経営者の気持ちに入り込み、うっぷんを軽減する傾向を持つ。別に自民党がこの発言をしても、全くおかしくないが、みんなの党だから大衆は湧く。
なぜだろうか。多くの有権者が、長年の自民党政治にアレルギーを抱き、それがなかなか払拭できないからであろう。民主党は小鳩疑惑で信用ならぬが、自民党もやはりその次に信用ならぬという感覚に、どうしても陥るのだ。そして政界を見渡せば、元気のいい党が理路整然と民主党を突いている。「新鮮だ」と感ずるのだろう。しかし問題は、この新鮮さが持続するかどうかだ。過去に新自由クラブ、新党さきがけなど、小人数でスタートして政権の中枢に参画したケースはある。幹事長・浅尾は「参院10議席を目指す」としているが、2大政党激突のはざまで、それが可能か。過去のミニ政党は中選挙区を土台として勢力を拡大したが、小選挙区では大政党に割り込むのは至難の業であろう。しかし比例区で伸びる可能性は否定できない。
さらに、みんなの党のマイナス要因は、民主党に“変事”が生じた場合、離反した支持率が民主党に戻る可能性も否定できないことだ。“変事”とは、民主党が疑惑の小鳩の切り離し、もしくは小沢だけの切り離しに成功した場合だ。これは、風向きが変わる可能性がある。みんなの党に流れた支持率が、やはり昨年自ら選択した民主党を支持して、「もう少し様子を見よう」という気持ちにさせるかも知れない。昨年の総選挙前と同じ展開である。旗印「自由と活力」のみんなの党がどこまで票を伸ばすか、新たな政界流動化の要素となることは間違いない。もしキャスチングボートを握った場合、どちらに付くかだが、いまのところ民主党批判で支持率を拡大している要素が大きく、自民党に付くとみられている。しかし政権参画は“蜜の味”。こればかりはふたを開けないと分かるまい。
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